ソーシャルワイヤー 【東証グロース:3929】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、自らが担う社会的責任について常に念頭に置き、中長期的な企業価値向上に努めております。
新型コロナウイルス感染拡大により変化した消費活動における価値観に対応するため、2022年よりコーポレートビジョンを「全ての魅力にスポットライトが当たる社会へ」に変更し、あらゆる企業や商品、個人が持つ魅力や価値を、事業を営む地域・規模に関係なく世の中に広く伝えることを当社の使命とすることといたしました。
また、経営方針である「付加価値の追求による企業価値の向上」に従い、複数の事業ポートフォリオを保有する事業構成から、収益率の高い事業に経営資源を集中させる大幅な事業再編を実施しております。また、顧客価値を最優先したプロダクト開発・提供を通じて継続顧客数及び顧客単価を重視する高付加価値経営に加え、新たな事業への中期的な投資育成による企業価値の向上に努めます。
(2) 中期的な経営戦略等
① 事業再編と財務体質の改善
競争環境が激化し投資対効果が低下した国内シェアオフィスサービスの事業譲渡を決断し、収益率の高いデジタルPR事業に経営資源を集中してまいります。また、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行を予定しており、キャッシュ・フローと財務体質の健全化を進めます。
② 成長戦略の実効性
各サービスの事業戦略の実効性を確認する指標として「顧客数」と「顧客単価」を重要指標とします。各プロダクトが提供する価値を高めることで顧客継続率を向上させます。顧客の継続率を向上させることで、重要指標を増大させ、売上高及び営業利益の成長に努めてまいります。
③ 新規事業
現在の中核サービスであるリリース配信、インフルエンサーPR、クリッピング(取引先チェック含む)市場における競争優位性の構築、または周辺市場への進出に資する新規性のあるサービスを展開します。
上記施策により、財務体質の改善及び継続顧客数・顧客単価の向上による持続的な事業成長を実現し、中期的な高収益化及び企業価値の向上を目指してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針「付加価値の追求による企業価値の向上」に合わせ、「営業利益」を最重要指標としております。併せて、「顧客数」「顧客単価」を成長戦略の進捗状況を示す指標としてまいります。
(4) 当社グループを取り巻く経営環境
① デジタルPR事業
(a) インフルエンサーPR市場
2022年11月、株式会社サイバー・バズ/株式会社デジタルインファクトは「国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査」を発表しております。同調査によると、2023年の国内ソーシャルメディアマーケティング市場規模は1兆899億円(前年比117%となる見通し)であり、カテゴリ別内訳は、「ソーシャルメディア広告」が9,724億円で全体の89.2%、これに「インフルエンサーマーケティング」が741億円で全体の6.8%。また、企業の「SNSアカウント運用支援」が261億円で全体の2.4%、「分析ツール」が80億円で0.7%、そして「キャンペーンプランニング・コンサルティング」が92億円で0.8%と推測されます。今後もインフルエンサーPRの役割はますます高まることが期待されており、2027年のソーシャルメディアマーケティング市場規模は、2023年比約1.7倍、1兆8,868億円に達すると予測されます。
(b) 広報・PR市場
当社が運営するリリース配信代行サービス及びクリッピングサービスにおける市場規模は発表資料がありませんが、2021年5月公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会発表「PR業に関する実態調査」によると、2020年度における市場規模は1,111億円と、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2018年度(1,290億円)と比較し一時的な減少はあったものの、2022年度における市場規模は1,479億円とアフターコロナ後の消費活動の活性化に伴う企業のPR意欲は、今後も段階的に成長するものと推測しております。
② シェアオフィス事業
レンタルオフィス市場は、働き方改革、リモートワーク、遊休不動産活用、オープンイノベーション、スタートアップ支援など多様な切り口で急拡大しており、企業にとっては通常のオフィス賃貸と同等水準の『標準的な選択肢』となっております。一般社団法人大都市政策研究機構が2023年3月に発表した「日本のコワーキングスペースの拡大」によるとコワーキングスペースの数は、2019年の799件から2022年には2,129件と大幅に増加している一方で、大手不動産会社のシェアオフィス事業への参入により、特に政令指定都市や地方の中心都市において競争環境は激化しております。
なお、拠点運営を行っているシンガポールにおいて、シンガポール都市再開発庁(URA)が2024年1月に発表を行った「不動産統計」によると、同国の2023年のオフィスと民間住宅の賃料がいずれも過去最高を更新し、経済活動再開の本格化がみられます。このような背景を鑑みますと、比較的賃料が安定し、初期費用が抑えられるコワーキングスペースの需要は一定程度得られるものと推測しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、創業以来、最大の事業再編を実施したことによる純資産の減少及び自己資本比率の低下が財務上の課題であり、早期の財務体質の改善が必要と認識しております。併せて、今後、経営資源を集中させるデジタルPR事業の成長戦略の実効性の確認、及び中期的な事業成長のマイルストーンを示すことも必要と認識しております。
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。
① 成長戦略の実効性と中期経営計画の策定
当社グループは、付加価値の追求による企業価値の向上を経営方針に掲げており、経営方針に準じた成長戦略として、プロダクト価値の向上に向けた積極的な投資をしております。本投資による効果として、継続顧客数(リピート客)及び顧客あたり取引額の増加を見込んでおります。また、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行を予定しており、資本業務提携における成長戦略の実効性の確認後、改めて中期経営計画の策定に取り組む予定です。
② 事業の選択と集中
当社グループは、損益及び財務体質の改善に向け、事業の選択と集中を積極的に行っています。ノンコア事業については、他人資本の受入れや事業譲渡等、あらゆる選択肢を排除せずに経営の効率化を推進し、コア事業については、高付加価値サービスメニューを開発し、顧客の継続率を高めることで、ストック性の高いビジネスモデルへ昇華させ、収益率の向上を進めております。
③ 純資産の減少と回復
当社グループは、事業の選択と集中を進めるなか、国内シェアオフィスサービスの事業譲渡(クロスコープ横浜拠点除く)及び「クロスコープ横浜」の撤退に係る固定資産の減損損失及び法人税等調整額を前連結会計年度に計上したことにより、当社グループの純資産は大幅に減少しております。当連結会計年度におきましても、国内シェアオフィスサービスの事業譲渡(クロスコープ横浜拠点除く9拠点)及び「クロスコープ横浜拠点」の撤退を行い、事業譲渡関連損失の影響もあり、引き続き当社グループの純資産は低調な水準となっております。一方、2024年4月25日付「株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行、並びに、主要株主である筆頭株主の異動及び親会社の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、株式会社ジーニーとの資本業務提携、第三者割当による新株式発行による増資払い込みを2024年7月に予定しており、デジタルPR事業の更なる拡充・先鋭化及び財務基盤強化によるキャッシュ・フローの健全化を見込んでおります。
④ マネジメント人材の育成とエンゲージメント向上
当社グループは、「ポジション(ポスト)が人を育てる」という育成方針のもと、従業員の積極的な管理職の登用を行い、ポジション(ポスト)提供と権限移譲による事業運営を行っております。競合や顧客等の市場分析からサービス企画・開発、マーケティング企画、オペレーション管理、計数管理、人的管理まで幅広い知識と経験を要し、事業部を牽引するマネジメント人材の育成と確保は当社の成長には欠かせません。成長組織のマネジメント実績を有する人材の調達をはじめ、マネジメント層の指導力・管理能力の向上、社内教育制度の充実を図るとともに、社内コミュニケーション活性化の施策を通じたエンゲージメント向上に努めていく方針であります。
⑤ 情報管理体制の強化及びサイバー攻撃への対処
当社グループにおける事業運営上、顧客の公開前情報や個人情報を含む機密情報を保有することがあります。そのような中、今般のリモートワーク導入の加速化や個人情報保護法の改正等の外部要因もあり、ますます機密情報の保護に関しては重要課題であると認識しております。また、昨今はマルウェア等のサイバー攻撃も多発していることから、情報管理面やセキュリティ対策において、その保護方針及び社内規程に基づく管理を徹底するとともに、社内教育・研修の実施、業務フローの精度向上、持続的なシステムの整備やサイバーセキュリティ対策等を行ってまいります。
⑥ テクノロジーを活用したサービス価値創出
当社グループが今後も各市場において競争優位性を発揮し続けるためには、AIをはじめとした最新テクノロジーを活用し、生産性の向上及びサービス付加価値の創造を推進することが必要です。そのために、エンジニアの採用強化等、社内の新規事業の組織体制の強化を進め、テクノロジーを活用したサービス企画と運用、検証のPDCAサイクルを回し、テクノロジーの自社活用における有効性を検証してまいります。
⑦ AIの技術革新に伴うサービス影響
各サービスにおいては、インターネットを活用した各サービスを展開しており、AI技術の発展により提供される技術革新への対応が遅れた場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのようなAI技術の発展への対応を図るため、新技術の開発やAI技術の発展に基づく新サービスの導入において、自社グループ内にシステム開発部門を設けており、顧客の用途やニーズに合ったシステムへフレキシブルに対応し、日々新たなビジネスモデル開発を進めることで対応してまいります。
⑧ 内部管理体制の強化
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識をしております。業務拡大に合わせ、関連する法規制や社会的要請等にも適切な対応をすべく、引き続き内部管理体制の整備及び改善に努めてまいります。
⑨ M&A及び新規事業による成長性
当社グループでは、創業より多くのM&Aを行っており、今後も積極的にM&Aを活用する方針であります。また、既存事業の周辺市場の開拓に向けた新規事業も展開する可能性がございます。M&Aや新規事業を行うにあたり、投資効果及び事業規模、事業の成長性、相乗効果、並びに次世代に求められる事業ニーズや先進性等を十分に検討したうえで、事業領域の拡大と業績の向上につながるM&Aや新規事業を積極的に実行し、競争力の強化を図ってまいります。
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