セイコーグループ 【東証プライム:8050】「精密機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) ガバナンス
サステナビリティに係る重要事項は、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動を円滑に行うことを目的として設置されたサステナビリティ委員会で議論のうえ決議され、取締役会に報告されます。取締役会はサステナビリティ委員会の監督機能を担っており、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。
また、役員業績連動報酬の業績評価指標(KPI)に「非財務(ESG)評価」としてCO2排出量削減率を組み入れています。
1) 推進体制
2) 各役割
(取締役会)
サステナビリティ委員会からの決議内容について年1回以上報告を受け、課題への取り組みや進捗状況の監督機能を担います。また、定期的にサステナビリティに係る重要事項について議論を行います。
(代表取締役社長)
代表取締役社長は、サステナビリティ委員会の委員長を担い、気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsに関わる方針の策定や、それに基づく活動全般に関する経営判断の最終責任を負っています。
(サステナビリティ委員会)
代表取締役社長を委員長とし、ESG・SDGs担当役員をはじめとした常勤役員、グループ各社代表取締役がメンバーとなり構成されています。気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、原則年2回の定例会、必要に応じて開催される臨時委員会で議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。サステナビリティ委員会で決議された内容に基づき、担当役員が中心となって活動を進めています。
3) 取締役会・委員会開催実績
気候変動に係る重要事項を含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項については、原則年2回、サステナビリティ委員会において議論のうえ決議を行い、取締役会に年1回以上報告を行うこととなっています。当社グループでは2021年9月にサステナビリティ委員会を設置し、以降、活発に議論・決議を行い、取締役会に報告しております。
4) 役員業績連動報酬
役員業績連動報酬については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」に記載しております。
(2) リスク管理
当社グループでは、次の4つのステップを経て、マテリアリティ特定を行いました。
■STEP1 社会課題の把握・抽出
社会課題についてGRIスタンダード、SDGs、ISO26000等を中心に、当社に関連する社会課題を抽出、絞り込みを行いました。
■STEP2 マテリアリティ候補の抽出
当社グループ各社から選出されたメンバーで、社会課題解決について議論、取組み施策を検討、リスト化を行いました。
■STEP3 抽出された候補の重要度評価
当社に解決を期待するマテリアリティについてステークホルダーに対してアンケート調査を実施しました。
■STEP4 マテリアリティの特定
外部ステークホルダーの意見に基づき、再検討、見直しを行いました。企業理念、パーパス、長期ビジョンとの整合性を図り、最終的に取締役会で決議を行いました。
当社グループでは、グループの事業に重大な影響を与えるリスクを一元的に管理すべく、代表取締役社長を委員長とするセイコーグループリスクマネジメント委員会(以下「当社リスクマネジメント委員会」)が中心となり、リスクへの対応に取り組んでいます。グループ横断で対処すべき重要リスクを「グループ重要リスク」と定義し、毎年、当社リスクマネジメント委員会が、その発生可能性や影響度等から重要度を評価し選定を行っています。
グループ重要リスクについては、当社リスクマネジメント委員会が、当社およびグループ各社のリスクオーナーより、対応策やその進捗の報告を受け、リスク対応をモニタリングし、取締役会へ報告します。加えて、当社常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成するグループリスクマネジメント委員会と、グループ全体のリスクを確認・共有する体制としています。
気候関連リスクについては、より詳細な分析を行うため、サステナビリティ委員会がシナリオ分析を通じて、グループ各社の気候関連リスクの中から特にインパクトが大きいリスクを特定・評価し、決議を行い、グループ各社とリスクへの対応策を推進しています。決議内容については取締役会に報告する体制となっています。
なお、気候関連リスクはグループ重要リスクに含まれており、その気候関連リスクについては、サステナビリティ委員会で決議された対応策やその進捗を、担当役員を通じて当社リスクマネジメント委員会に報告しています。
グループリスクマネジメント推進体制
上記の各委員会の役割は以下の通りです。
■セイコーグループリスクマネジメント委員会
代表取締役社長を委員長とし、グループ横断で対処すべきリスクへの対応に取り組んでいます。また、当社およびグループ各社のリスクオーナーより報告を受け、各社のリスクマネジメントの推進を支援しています。
■グループリスクマネジメント委員会
常勤役員とグループ各社の代表取締役で構成され、グループ全体のリスクの確認・共有、グループ重要リスクのリスク対応のモニタリング・情報共有を行っています。
■グループ各社リスクマネジメント委員会
グループ各社は、各社リスクマネジメント委員会を中心に、自律的にリスクマネジメントを推進しています。
■サステナビリティ委員会
気候関連リスクを含む、当社グループのESG・SDGsのマテリアリティに関する事項につき、議論のうえ決議を行い、決議内容を取締役会に報告します。グループ重要リスクに選定された気候関連リスクについては、担当役員を通じて対策やその進捗をセイコーグループリスクマネジメント委員会に報告します。
(3) 戦略
1) サステナビリティ方針
セイコーグループは、グループパーパスを原点に、”WITH”(W:well being より良い人生を / I:inclusion すべての人に / T:trust 確かな信頼で / H:harmony 地球との調和)を実現する事業活動に取り組み、グループのたゆみない成長とともに持続可能な社会発展に貢献します。
2) マテリアリティ
目指す解決の方向性 | マテリアリティ | キーアクション | |
Well-being よりよい人生を
| 人に優しく、寄り添う会社として従業員をはじめとするあらゆるステークホルダーが多様な価値観を認め合い、誇りと生きがいを感じながら働き、生活ができる社会を目指してまいります。また社会に根ざす人権、福祉等の課題にも積極的に取り組み、より多くの人が自分らしく、心身の幸福を感じて暮らしていける世の中の実現に貢献していきます。 | 働きがいの実現と多様な人材の活躍 | 人材の育成を成長戦略の柱とし、エンゲージメント向上とダイバーシティ推進への取組み |
心身の健康増進・福祉の実現 | 医療、ヘルスケア向けビジネスの開発・提供 | ||
人権尊重への取り組み | 人権デュー・ディリジェンスの実施 | ||
次の世代の育成・支援 | 体験型イベント/教室の開催による次の世代の育成支援 | ||
Inclusion すべての人に
| いつの世も変わらぬ人間の幸福への希求に対して企業は大きな役割を担います。私たちは、利便性のような機能価値に加え、伝統的な文化・価値観の尊重に基づいた製品・サービスによる感性価値の提供、また、音楽・スポーツ等の活動支援を通じてワクワク・ドキドキのような心の豊かさを提供し、人類の未知なる挑戦を応援し、笑顔の未来を築きます。私たちは、新しい時代における人々の多様な生活様式に必要な基本的な生活インフラをモノづくりとデジタルの力で支え、安心安全な社会を実現することを目指します。 | 安心・安全でインクルーシブな社会インフラ構築への貢献 | すべてのヒトとモノが繋がる「Society 5.0」の実現に向けて、DXを活用したソリューションの創出・提供 |
文化・スポーツ支援を通じた豊かな社会への貢献 | 人々の心と生活を豊かにするスポーツ、音楽、文化などの社会貢献活動の推進と企業価値向上 | ||
地域コミュニティに対する貢献 | 国内外の各拠点における社会の活性化に向けた、地域コミュニティに根付いた活動 | ||
Trust 確かな信頼で
| 創業当時からこだわり続けてきた品質・良品へのこだわりを追求することがステークホルダーへの期待に応えることにつながると考えています。「社会に信頼される会社であること」を基本理念におき、法令の遵守、経営の透明性、公正性の確保、社会倫理の尊重を重要な経営課題と位置づけています。この理念の実現に向けて、企業不祥事・不正や反競争的行為、ステークホルダーとの情報の非対称性、顧客プライバシーの侵害などの課題に対応します。 | 社会に信頼される高品質な製品・サービスの提供 | 持続可能な事業活動をもたらす、各事業ドメインの特長を生かした高品質/高付加価値を提供する製品・サービスの展開 |
責任ある調達・サプライチェーンの推進 | 人権、環境などの社会課題に対応したサステナブルなサプライチェーンマネジメント体制の構築と運用 | ||
コーポレートガバナンス・コンプライアンス体制の強化 | 法令遵守に基づくコーポレートガバナンス、コンプライアンス運営の維持向上 | ||
Harmony 地球との調和
| 近年、気候危機による自然災害の増加などの社会課題が一層深刻になっています。私たちは、グローバルブランドとしての責任として、大量消費・大量廃棄に代表される従来型の消費・生産活動の転換に注力します。また、環境技術への対応を通じ、温室効果ガスの排出などの課題に対処し、地域社会とともに地球環境と共生する持続可能な社会の構築に貢献します。 | 気候変動・脱炭素への取り組み | セイコーグループのCO2排出量削減の長期目標に紐づく削減施策の立案および推進 |
循環型社会の実現 | 環境配慮型製品/サービスの創出、拡充 3R(Reduce Reuse Recycle)の推進 | ||
自然との共生 | 事業拠点の特長に応じた生物多様性および自然資本の保全活動を通じた、将来にわたる自然との共存 |
3) 気候変動・脱炭素への取り組み
セイコーグループは2021年10月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。
「気候変動・脱炭素への取り組み」をマテリアリティの一つに位置付け、取り組みを進めています。
今後も、TCFD提言に基づく情報開示(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に努めていきます。
① シナリオ分析プロセス
気候関連リスク・機会が当社グループに与える財務影響および事業インパクトを異なるシナリオ下で評価し、当社グループのレジリエンスを高めることを目的として、下記のステップに沿ってシナリオ分析を実施しています。
(参照シナリオ)
区分 | シナリオの概要 | 主な参照シナリオ |
2℃未満シナリオ | 脱炭素社会の実現へ向けた政策・規則が実施され、世界全体の産業革命前からの気温上昇幅を2℃未満に抑えられるシナリオ。移行リスクは高いが、物理リスクは4℃シナリオと比較すると低く抑えられる。 | ・IEA World Energy Outlook 2022. Announced Pledges Scenario ・IPCC RCP2.6/SSP1-2.6 |
4℃シナリオ | 新たな政策・規制は導入されず、世界のエネルギー起源CO2排出量は継続的に増加するシナリオ。2℃未満シナリオと比べ、移行リスクは低いが、物理リスクは高くなる。 | ・IEA World Energy Outlook 2022. Stated Policy Scenario ・IPCC RCP8.5/SSP5-8.5 |
(シナリオ分析ステップ)
STEP1 重要な気候関連リスク・機会の特定、パラメータの設定 | ●気候関連リスク・機会の抽出 ●重要性の高いリスク・機会の評価 ●重要性の高いリスク・機会に関連するパラメータの設定 |
STEP2 気候関連シナリオの設定 | ●STEP1の情報等をふまえ、既存シナリオのうち、関連性の深いシナリオを特定 ●気候関連シナリオ(社会像)の設定 |
STEP3 各シナリオにおける財務インパクトの評価 | ●STEP2で設定した各シナリオと、STEP1で特定した重要な気候関連リスク・機会と関連パラメータをふまえ、各シナリオにおける財務インパクトを分析 |
STEP4 気候関連リスク・機会に対する戦略のレジリエンスの評価・更なる対応策の検討 | ●気候関連リスクおよび機会に対する当社戦略のレジリエンスの評価 ●更なる対応策の検討 |
② 気候関連リスク・機会に伴う事業インパクトおよび当社グループの対応
2021年度は主たる事業分野についてシナリオ分析を実施しましたが、2022年度は対象範囲を全事業に広げ分析を行いました。
(気候関連リスク)
リスク区分 | リスク内容 | 事業インパクト (2030年)※1 | 当社グループの対応 | |||
2℃未満 シナリオ | 4℃ シナリオ | |||||
リスク | 移行リスク | 政策 ・ 規制 | 炭素税導入・強化によるコスト増加 | 10.9億円 ※2 大 | 7.4億円 ※2 中 | ・温室効果ガス(GHG)排出量削減の長期目標、脱炭素移行計画に基づき、戦略的にGHG排出量を削減 ・省エネ推進 ・再エネ価格・各国政策動向を随時チェックしながら再エネ導入を推進 ・原材料・製品輸送につき、GHG排出量が多い事業を中心に、モーダルシフト・ 輸送効率化による削減を推進 |
技術 | エネルギー価格の上昇による製造・輸送コスト増加 | 中 | 中 | |||
市場 | 取引先からの気候関連対策の要請に対応できないことによる売上減少 | 中 | 中 | ・脱炭素移行計画に沿ったGHG排出量の削減を実施 ・取引先の気候関連課題解決に貢献する製品・サービスの開発を推進 | ||
原材料価格の上昇による仕入れコスト増加 | 中 | 中 | ・最小発注数量の調整や納期等の購買条件でサプライヤーと連携を強化 | |||
物理リスク | 急性 | 異常気象によるサプライチェーンの寸断・物流遅延による売上減少 | 小 | 中 | ・気候変動による大規模災害や損害保険料の増加等に備えて、被害を軽減するBCPを策定済み。今後見直しを行い、さらなるリスク低減を図る ・複数購買、洪水実績のないサプライヤーとの取引を実施済み。今後さらに拡充 ・洪水影響が特に懸念される生産拠点では、高台に第二工場を設置する等の対応を実施済み。今後さらに操業体制見直し、中長期的な設備移設計画を検討 ・適正な安全在庫の確保等で得意先への納入遅延を回避。洪水発生時は速やかに 代替部品・生産場所を確保し生産継続を図る ・損害保険料を把握し、今後大きく保険料が増加しそうな拠点については、情報収集に努め、必要に応じてBCPを見直す | |
異常気象による工場・店舗の運営中断・人員確保困難による売上減少 | 中 | 大 | ||||
慢性 | 異常気象増加による損害保険料の増加 | 中 | 中 |
(気候関連機会)
機会区分 | 機会内容 | 事業インパクト (2030年)※1 | 当社グループの対応 | ||
2℃未満 シナリオ | 4℃ シナリオ | ||||
機会 | エネルギー源 | 再エネ導入によるコスト削減 | 中 | 中 | ・策定した脱炭素移行計画に基づき、電力コスト削減にも貢献する自家発電・オンサイト/オフサイトPPAの追加導入を加速 |
製品及び サービス | CPS/IoT社会の拡大に伴う低消費電力対応製品の売上増加 | 中 | 中 | ・水晶振動子・発振器などの電子デバイスにおいては、低消費電力製品を拡充して拡販 ・データセンターの省電力化に貢献する高精密部品では、旧製品からの置換えを積極的に促進 | |
自動車のEV化に伴う関連部品の売上増加 | 中 | 中 | ・水晶振動子・発振器などの電子デバイスにおいては、「車載(EV向け)」を新規重点市場として拡販活動を推進 ・高精密部品では、EV向けに差別化技術開発を進め、高精度高信頼な新製品を既存・新規顧客に提供 | ||
顧客企業の環境負荷低減に貢献できる低炭素対応製品/サービスの売上増加 | 大 | 大 | ・プリンティングデバイス(サーマル/インクジェット)では、顧客企業の低炭素対応に貢献する製品のラインナップ拡充や、成長市場向けに生産体制を拡充 ・センサ関連は、効率駆動による低消費電力の新製品を開発、製品ラインナップを拡充 | ||
消費者の環境意識への高まりに対応した製品の売上増加 | 小 | 小 | ・小売部門では、リペアコーナーの拡充や、さらなる環境負荷低減商品の積極的な選定・販売を推進 ・ソーラークロックなど長寿命・環境配慮製品のPR・拡販活動を推進 | ||
市場 | 省エネ推進に伴うIoTや生産・流通関連の新規製品/サービスの創出 | 中 | 中 | ・IoT用半導体需要の拡大を受け、ICに係る省エネルギー化を推進し、新規ビジネス市場を創出 ・生産・流通デジタル化の流れを受け、顧客の課題解決のための提案を行い、新規ビジネス市場を獲得 | |
脱炭素経営によるブランド価値向上に伴う売上拡大 | 中 | 小 | ・脱炭素社会に向けた取り組みを強化し、当社グループの脱炭素に対する経営姿勢を積極的に開示する ・気候変動に相互に影響を与え合う、生物多様性への取り組みについてもタイムリーに開示し、ブランド価値向上を図る |
※1 事業インパクト大:利益影響10億円以上、あるいは、事業の撤退、または数ヶ月以上の事業中断等、事業に対し極めて重大な影響をもたらす。
事業インパクト中:利益影響1億円以上10億円未満、あるいは、事業計画への影響、事業の縮小、または1週間~1ヶ月程度の事業中断等、事業に対し重大な影響をもたらす。
事業インパクト小:利益影響1億円未満、あるいは、事業計画への影響・事業中断はほとんどなく、事業に対し影響をもたらすが軽微である。
※2 2030年GHG排出量(Scope1, 2)を成長予測及び削減計画に基づき算出し、2℃未満・4℃シナリオ毎のIEA予測炭素価格を掛けて算出。為替レート1$=135JPY
4) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針と取り組みは、次のとおりであります。
<人材の育成に関する方針>
DX人材、事業家人材の育成をコア戦略とし、変革・改革の精神を持ち、挑戦し続けることができる人材を育成していきます。
<社内環境整備に関する方針>
多様な社員が働きがいをもって活き活きと働くための環境整備や制度設計を推進していきます。
<人材の育成及び社内環境整備に関する取り組み>
人的資本に関しては、「人材の育成」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」「エンゲージメント向上」の3点において、各施策を実施します。
2026年のありたい姿であるソリューションカンパニーになるためには「人材の育成」が必要であり、パーパスにある「革新へのあくなき挑戦」を実現し、その意識を従業員に浸透させるためには「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」、「エンゲージメント向上」が必要であると考えております。
各施策の対象範囲は、当社及び国内直接子会社8社(セイコーウオッチ(株)、セイコーインスツル(株)、セイコーソリューションズ(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、セイコーNPC(株)、セイコーフューチャークリエーション(株)、ヒューマンキャピタル(株))になります。
① 人材の育成
当社の「グループコア戦略」には「DX戦略」が掲げられており、DX人材の育成は喫緊の課題であると捉えております。
また、第7次中期経営計画の振り返りを踏まえた課題として「DXによるビジネスモデルの変革」「新規事業の創出」が挙げられ、それらに対応できる経営者視点を持った人材の育成についても課題であると捉えております。
以上から当社の第8次中期経営計画における人材戦略においてはDX人材と事業家人材を重点人材領域として定め、各施策を推進してまいります。
以下5点の施策を実施することで、経営戦略上の課題に対応できる人材を育成します。
1.DX人材の育成
DXビジネスの素養をもった人材をコア人材とし、自社ビジネスに活用可能な企画の立案、施策の実行ができる人材を育成します。
2022年に全社員義務教育と位置づけた社内研修制度を立ち上げ、国内のグループ会社の全従業員を対象にDX基礎研修を実施しました。自分たちの業務・ビジネスに対してDXをいかに実践するかを考え、事業の競争力・付加価値向上に結びつけることができる人材の育成を目指し、今後もより実践的な研修を実施していく予定です。
2.事業家人材の育成
「新たな事業機会の発掘」と「既存の事業の深掘り」を牽引する経営者視点をもったリーダーを育成します。
3.キャリア自律支援
キャリア面談の充実とキャリア相談窓口の開設により、キャリアの自律を支援します。
4.部下育成研修の強化
マネジメント力向上、コミュニケーション強化などの部下育成研修を強化します。
5.人材と組織が自ら成長するための環境整備と施策の実行
個人目標と組織目標の連動、若年層の早期昇格の仕組づくり、語学・階層別研修等、人材と組織が成長するための環境整備と施策を実行します。
※上記3~5の施策は、当社および国内直接子会社8社ごとに実施している項目が異なります。
② ダイバーシティ&インクルージョンの推進
当社のパーパスにある「革新へのあくなき挑戦」を実現するためには組織の多様性が不可欠です。組織の多様性を実現することで当社グループの価値観に柔軟性を与え、様々なイノベーションを創出します。
以下6点の施策を実施することで、組織の多様性を推進します。
1.男性の育児休業取得の促進
2022年10月1日付の育児介護休業法改正に伴い、男性従業員(正社員)の出生時育児休業(子どもの生後8週間のうち最大4週間)を導入し、法定を上回る100%有給としました。
また、女性と比較して低い水準となっている男性の育児休業取得を後押しするため、グループ社員に向けたトップからのメッセージ発信、男性の育休取得促進をテーマにしたセミナーの開催など、制度取得者だけではなく、職場の上司や同僚の理解を促進するための施策にもグループ全体で積極的に取り組んでいます。
2.女性従業員の産前・産後休暇制度の充実化
従前より当社および一部の子会社では100%有給化されていた女性従業員(正社員)の産前・産後休暇について、適用範囲を国内直接子会社8社に拡大し、制度の充実化を図りました。
3.女性活躍推進
女性の活躍推進に関しては、2013年度から継続して研修・講演会の開催やグループ内専用サイトを通じた情報発信、各種制度の導入などの環境整備に取り組んできました。
当社グループの管理職数※に占める女性の割合を20.0%(2027年4月)に高めることを目標に掲げ、引き続き女性の活躍推進に努めてまいります。
※当社及び国内直接子会社8社に加え、セイコーウオッチ(株)の国内子会社4社、セイコーインスツル(株)の国内子会社1社、セイコーソリューションズ(株)の国内子会社6社の管理職数の合計
4.キャリア採用
世代・職種・役職の偏りを補充し、組織を活性化させるため、当社グループの社員に占めるキャリア採用者の割合を高めることを目標に掲げ、外部からのキャリア採用を積極的に推進してまいります。
外部からの人材が活躍し、新しいことにチャレンジできるよう、組織文化の変革や、人材が定着するための環境整備にも努めてまいります。
5.障がい者雇用の促進
ダイバーシティへの対応の一環として、障がい者雇用も積極的に進めています。当社グループは、特例子会社制度によるグループ適用の認定を受け、2023年6月1日現在の障がい者雇用率※は2.43%と、法定雇用率(2.3%)を上回っております。
※特例子会社制度によるグループ適用の認定を受けた、当社及びセイコーウオッチ(株)とその国内子会社2社、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光、ヒューマンキャピタル(株)、(株)あおばウオッチサービス(特例子会社)
6.シニア人材の活性化
定年年齢延長や高齢者雇用の処遇改善※により、シニア人材が後進の育成や業務の改善になど、貢献できる活き活きと働くことができる環境を整備しています。
※セイコーソリューションズ(株)を除きます
③ エンゲージメント向上
当社のパーパスを実現するためには、自由な発想、迅速な意思決定、スピーディーな行動を後押しする組織、文化を作らなければなりません。
上記のような組織、文化の実現に向け、社員の働きがいや満足度向上のための環境整備を行います。また、社員一人ひとりがパーパスと業務とのつながりを再認識できる施策の実行に取り組み、個人の成長を促します。
パーパスの浸透及びエンゲージメントの向上を目的とし、以下3点の施策を行っております。
1.パーパス浸透への取り組み(表彰制度)
社員一人ひとりがパーパスと業務とのつながりを再認識し、パーパスへの共感を深め、グループ全体でパーパスを実現するために様々な活動を推進します。
2021年からグループパーパスのキーワードである「信頼・感動・笑顔」や「革新・挑戦」の観点からグループの価値創出に特に大きく貢献した活動を表彰する制度「パーパス賞※」を導入しています。
2022年度下期からは、チャレンジを後押しし失敗を価値に変える企業文化の醸成に向けて、高い目標に挑戦し将来の成長につながる学びを得た活動を表彰する賞として「ビッグチャレンジ賞※」を新たに設けました。
※「パーパス賞」および「ビッグチャレンジ賞」は、ヒューマンキャピタル(株)を除きます
2.エンゲージメント向上に向けた取り組みの強化
2022年度よりエンゲージメント調査を実施しています。調査結果に基づく課題の優先順位を明確化し、アクションプランを実行する体制を構築しています。
3.健康経営の推進
全員活躍推進の取組みに健康経営の視点も加えた「健康経営宣言」を発信するとともに、グループ横断の「健康経営推進体制」を構築し、社員の健康維持・増進への取組みを進めています。また、2020年より3年連続で当社は健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を受けています。その他当社グループの3社(セイコーウオッチ(株)、セイコータイムクリエーション(株)、(株)和光)が大規模法人部門、2社(セイコーNPC(株)、ヒューマンキャピタル(株))は中小規模法人部門の認定を受けています。
(4) 指標及び目標
1) 気候変動・脱炭素に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループは、2021年12月、温室効果ガス排出量削減の長期目標を設定しました。今後は、SBT(Science Based Targets)を踏まえた下記目標に則り、さらなる温室効果ガスの排出量削減に努めていきます。
① 温室効果ガス排出量削減の長期目標
温室効果ガス排出量削減目標 *1
2030年 Scope1、2 2020年比で42%削減
Scope3 2020年比で25%削減
2050年にカーボンニュートラル実現を目指す。
主な方策
・製造プロセスの見直し/改善
・高効率設備の導入/更新
・再生可能エネルギー導入の拡大
・環境配慮型(エネルギー効率の向上等)の製品・サービス・ソリューションの提供
・エネルギー関連の技術開発
・サプライヤー及び顧客との協働
*1:SBTi (Science Based Targets initiative) が運営・推進する、科学的根拠に基づく温室効果ガス排出量の削減目標である SBT (Science Based Targets) の「1.5℃水準」を踏まえています
② 脱炭素移行計画(Scope1,2)
当社グループは、2023年3月、温室効果ガス排出量削減の長期目標に沿って2050年にカーボンニュートラル実現を目指す、脱炭素に向けたロードマップを策定しました。既存設備の省エネ設備への更新、生産性向上、革新的な製造方法や装置の調査・要素開発・導入による省エネを継続してすすめ、再エネ導入については、設備導入から優先して行い、国内拠点の再エネ電力への切り替え、海外拠点の再エネ電力への切り替えを順次行ってまいります。使用する燃料も化石燃料から脱炭素・低炭素なものに切り替えを図り、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指します。
③ Scope1,2 CO2排出量(t-CO2)実績 2018年度~2022年度
温室効果ガス削減の取り組みは、2022年度も設備の効率的な運用などの継続的な取り組みの他、より省エネとなる設備への更新や照明器具のLED化などに努めました。また、国内外の複数の事業会社、拠点にて再生可能エネルギーの導入を進めた結果、全使用電力における再生可能エネルギー比率は約15%となりました。
長期目標達成のためには、2020年比で毎年4.2%の削減が必要ですが、2022年度の温室効果ガス排出量(Scope1,2)は約9.7万トンとなり、2020年比11.6%の削減を実現しました。
スコープ1:事業者自らによる直接排出(燃料の燃焼など)
スコープ2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出
※端数処理の関係でCO2排出量と内訳の合計値はあわない場合があります。
注1:排出係数について
電気:日本国内は、地球温暖化対策の推進に関する法律で定める電気事業者別排出係数の調整後排出係数を使用。
海外はIEA (International Energy Agency) の各国の排出係数を使用。
燃料:日本国内、海外ともに地球温暖化対策の推進に関する法律で定める燃料種別の発熱量、燃料の使用に関する排出係数を使用。ただし、供給事業所からの発熱量等の情報提供がある場合は、それを使用。
冷温水:供給事業者提供の排出係数を使用。
注2:2020年度から、テナント、店舗、倉庫などを集計対象に追加。社用車も含むが、委託によるエネルギー使用は含まない。
注3:使用量が特定できない店舗、倉庫などは床面積から電力量を推定。
④ Scope3 CO2排出量(t-CO2)実績 2021年度
カテゴリ | 項目 | CO2排出量 (t-CO2) | % |
カテゴリ1 | 購入した製品・サービス | 302,783 | 56.8% |
カテゴリ2 | 資本財 | 25,809 | 4.8% |
カテゴリ3 | Scope1,2に含まれない 燃料及びエネルギー関連活動 | 16,565 | 3.1% |
カテゴリ4 | 輸送、配送(上流) | 37,851 | 7.1% |
カテゴリ5 | 事業活動から出る廃棄物 | 2,678 | 0.5% |
カテゴリ6 | 出張 | 1,936 | 0.4% |
カテゴリ7 | 雇用者の通勤 | 5,974 | 1.1% |
カテゴリ8 | リース資産(上流) | 122 | 0.0% |
カテゴリ9 | 輸送、配送(下流) | 3,880 | 0.7% |
カテゴリ10 | 販売した製品の加工 | 14,391 | 2.7% |
カテゴリ11 | 販売した製品の使用 | 114,259 | 21.4% |
カテゴリ12 | 販売した製品の廃棄 | 5,930 | 1.1% |
カテゴリ13 | リース資産(下流) | 586 | 0.1% |
カテゴリ14 | フランチャイズ | - | - |
カテゴリ15 | 投資 | - | - |
合計 |
| 532,764 | 100.0% |
2) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループでは、人材戦略に関する指標を設定しております。当該指標に関する内容、並びに目標及び実績は、次のとおりであります。
指標 | 目標 | 実績 |
エンゲージメントスコアの向上※ | ※2022年度よりエンゲージメント調査を開始 | |
女性管理職比率 | 2027年4月に20.0% | 13.3%(2023年4月時点) |
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