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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「“はたらく”にテクノロジーを実装し、個の力から社会の仕様を変える」というパーパスのもと、テクノロジーによって一人ひとりの個性や才能を理解することで、個人のキャリア形成や働き方が多様化される社会の実現を目指しております。また、「人材情報を一元化したデータプラットフォームを築く」というビジョンに基づき、人材データベースを軸にさまざまなサービスと連携することで、より高い顧客体験価値を提供する人材データプラットフォームの構築を目指しております。

 人事・人材関連サービスの領域には、「人事評価」「労務管理」「採用管理」「人材教育」など、いくつかの分野が存在しており、それぞれに特化したサービスが数多くありますが、業務の効率化や生産性向上に対して一定の効果は見られるものの、分野ごとの課題を解決するサービスに留まっております。一方、人材データプラットフォームを築くことで、人材データベースを軸に多数のサービスが連携して運用され、これまで以上に効率化が進み、生産性が高まり、人材データが有効活用されると考えております。人材データプラットフォームを構築し、ひとの可能性を正しく理解できる世界をつくり、個人のエンパワーメントを通じて個人のキャリアや働き方の多様化を支援してまいりたいと考えております。

(2)経営戦略及び経営指標

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指して、中期経営方針を策定しております。

① 継続的なARRの成長

 当社グループは、売上高の成長を重視しておりますが、サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、ARR(注1)を重要なKPI(Key Performance Indicators)の一つとして設定しております。中期財務目標として、継続的にARRを20~30%成長させることを掲げており、その継続的な成長を目指して以下の施策を推進してまいります。

<利用企業数の拡大に向けた施策>

・組織体制の強化

・認知度の向上

・パートナーの活用

<ARPU(注2)の向上に向けた施策>

・エンタープライズ企業の増加

・アップセルの促進

・人材データプラットフォームの拡大

② 収益性の向上

 当社グループは、適切な投資配分の実施により持続的成長を実現し、中長期的な利益拡大を図ってまいります。その中で、経営指標として売上総利益率と調整後営業利益率(注3)を特に重視しており、中期財務目標として、2028年3月期までに調整後営業利益率で20%以上を目指してまいります。

 なお、当社グループは、企業価値の最大化に向けて機動的な成長投資を実施するため、内部留保の充実を優先する方針です。短期的な配当実施は未定ですが、将来的には経営環境や内部留保の状況を勘案し、株主の皆さまへの利益還元を検討してまいります。

③ 非財務的活動の推進

 当社グループは、「ステークホルダーの期待」と「パーパスとの関連度」の観点から、当社グループが対応すべき社会課題を抽出し、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しました。さらに、これらの重要課題を「個を尊重する社会の実現」「脱炭素社会の実現」「安全で使いやすいデータプラットフォーム」「透明・公正なビジネス」の4つの分野に分類しました。当社グループは今後、持続可能な社会の実現に向けて、各分野でさまざまな取り組みを行ってまいります。

「個を尊重する社会の実現」の一環として、人的資本経営に取り組みます。経営目標を達成するために必要となる人材の要件を定義し、人材の採用・育成・配置を戦略的に進めることで企業価値の向上を目指してまいります。また、具体的な人事施策として、多様性の確保、自律的なキャリア形成の支援、Well-being(ウェルビーイング)(注4)の向上を進めることで、従業員一人ひとりが個性や才能を発揮できる環境づくりや育成に取り組んでまいります。

「脱炭素社会の実現」の一環として、カーボンニュートラルへの取り組みを推進します。オフィスや設備機器の省エネ化や再生可能エネルギーの活用などを通じて、2035年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指してまいります。

(3)経営環境

 公益財団法人日本生産性本部が2021年12月に発表した調査によると、我が国の就業者1人当たりの労働生産性は、OECD加盟諸国の中で28位と上位諸国とはかけ離れた実態が明らかになっております。また、就業者1人当たりの労働生産性が低い中、内閣府が公表した令和5年版高齢社会白書によると、2040年までに生産年齢人口は7,000万人を割り込み、その先の2070年までに5,000万人を下回ると推計されております。このような状況を踏まえ、今後の日本社会では、労働人口は減少するという前提のもと、いかに労働生産性を高めていくかが重要な命題になると考えております。

 近年の技術進歩により、テクノロジーの活用が労働生産性の向上に繋がると期待されております。さらに、これまで企業の中でも裏方的な存在であった人事・総務といった“人材に関わる業務”は、企業の売上や利益に直結する業務ではないこともあり、テクノロジーの導入や効率化が遅れている分野でもありましたが、HRテクノロジーの普及に伴い、この分野にITを積極的に導入する企業が増えております。

 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会が発表した「企業IT動向調査報告書 2023」(2022年度調査)によると、雇用の流動化を背景に適材適所の人材配置・活用が求められており、2021年度調査と比較してタレントマネジメントを導入・検討する動きがさらに広がっております。また、当社がターゲットとする従業員100人以上の企業は日本に約63,000社(注5)存在しており、当社の利用企業数を鑑みれば市場の開拓余地は広大です。

 このように、タレントマネジメントに対するニーズの高まりと市場の開拓余地を踏まえると、さらなる市場成長が見込めると考えております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 上記の経営戦略等を推進する上で、当社グループとして捉えている対処すべき主要な課題は以下のとおりです。

① サービスの普及拡大

 先述のとおり、タレントマネジメントシステムの導入ニーズは高まっており、その市場は今後さらなる拡大が見込まれております。

 当社グループは、今後も新規顧客の獲得に向けて、費用対効果を検討した上での積極的な広告宣伝などを通じたサービスの認知度向上を図るとともに、営業人員の拡充や顧客獲得プロセスの継続的な改善、紹介パートナー及びOEMを含む販売パートナーの拡大など営業機能の強化に努めてまいります。

② 顧客エンゲージメントの強化

 当社のサービスを普及させていくには、既存顧客との関係性を強化し、継続的に『カオナビ』を利用していただくことも重要な課題であると認識しております。当社は、これまでも『カオナビ』の導入や定着の支援、カオナビキャンパスを通じたセミナーやコミュニティなど顧客エンゲージメント強化のための取り組みに注力してまいりました。「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)『カオナビ』が選ばれる理由」にも記載のとおり、カスタマーサクセスの取り組みとしてさまざまな施策を実施しております。

 今後、これらの活動をより一層強化・推進して、顧客に『カオナビ』の導入効果を最大限享受していただくことに努めてまいります。

③ サービスの改善と機能拡充

 インターネット業界においては常に技術革新が起こっており、競争優位性を維持していくことは容易ではありません。

 当社グループは、新規顧客の獲得及び既存顧客の継続的なサービス利用のため、このような技術トレンドを捉えた製品開発を継続してまいります。当連結会計年度におきまして、当社グループは開発ロードマップを開示し、既存機能のアップデートや新機能のリリースを複数実行いたしました。今後も、細やかな改善を積み重ねることでユーザビリティを徹底的に追求するとともに、多様化する顧客ニーズや潜在的な要望を的確に捉えた機能開発を行い、顧客体験価値の向上を目指した継続的なサービスの改善、機能の拡充に努めてまいります。

④ 情報管理体制の継続的な強化

 当社グループは、顧客の従業員に関する個人情報を預かっており、その情報管理を強化していくことが重要な課題であると認識しております。当社はプライバシーマークを取得し、個人情報保護方針及び社内規程に基づき管理を徹底しておりますが、今後も継続して社内教育・研修の実施やシステムの整備などを行ってまいります。

 また、2024年3月29日付で公表しました子会社であるワークスタイルテック株式会社の個人情報漏えいに関して、再発防止策を講じるとともに、グループ企業においても情報管理体制の継続的な強化を図ってまいります。

⑤ セキュリティの継続的な向上

 当社グループサービスの継続利用の前提として、セキュリティの確保は必要不可欠であると考えております。当社では、ISO27001(ISMS認証)、ISO27017(ISMSクラウドセキュリティ認証)を取得して継続的なセキュリティマネジメント体制を構築しており、「政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)」のクラウドサービスリストにも登録されております。また、外部業者による脆弱性診断を継続的に実施し必要な対策を取るとともに、全社員に対しても年次のセキュリティ研修を実施することで、セキュリティの向上に努めております。当該対策に終わりはないと認識しており、グループ全体でセキュリティ向上に向けた対策を行ってまいります。

⑥ 組織体制の強化

 当社グループの持続的な事業成長には、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を採用・育成し、組織体制を整備していくことが重要であると考えております。当社は、働く場所や時間に縛られず自分に合った働き方を選択できるMy Work Style制度を導入し、従業員の働きがいや生産性の向上を図る取り組みを行っております。今後も、当社グループのパーパスに共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用していくため、積極的な採用活動を行っていくとともに、従業員が働きやすい環境の整備や人事制度の構築、教育・研修体制の充実化に努めてまいります。

⑦ サステナビリティへの取組

 気候変動問題への対応を含めた持続可能な社会の実現は、当社グループの持続的な成長の前提であり、これに貢献していくことが重要であると考えております。当社グループは、「ステークホルダーの期待」と「パーパスとの関連度」の観点から、当社グループが対応すべき社会課題を抽出し、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として特定、開示しております。これらの重要課題に取り組むことで、持続可能な社会の実現に貢献し、パーパスの実現を目指してまいります。詳細は「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。

(注)1.ARR

Annual Recurring Revenueの略で、四半期末のMRR(Monthly Recurring Revenueの略で月額利用料の合計)を12倍して算出しています。なお、MRRは管理会計上の数値です。

2.ARPU

Average Revenue Per Userの略語で、利用企業1社当たりの月額利用料金の平均値を示しています。四半期末のMRRを利用企業数で除して計算しています。

3.調整後営業利益

 営業利益+株式報酬費用+M&Aによるのれん償却費+その他一時費用

4.Well-being(ウェルビーイング)

 身体的・精神的・社会的、3つの側面において良好な状態にあることをいいます。

5.日本の従業員100人以上の企業数は、総務省・経済産業省が公表している「平成28年経済センサス-活動調査」に基づき当社が算出しております。

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