企業兼大株主エーザイ東証プライム:4523】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループは、患者様とそのご家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としております。この理念のもとすべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足することを通して、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしております。この基本的な考え方を定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっております。

 この理念の実現にあたっては、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築につとめるとともに、法令と倫理の遵守を目的としたコンプライアンス活動を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでおります。

 医薬品産業は、革新的な治療薬の創出と質の高い情報・サービス・製品の提供が期待されております。近年、先進国を中心とした医療費抑制策の推進、新薬開発コストの増大、企業の買収による再編の活発化、副作用や知的財産等に関するリスクの多様化など、医薬品産業は大きな環境変化を迎えております。一方、新興国や開発途上国において、薬剤を入手することのできない人々への医薬品提供もグローバルな課題として挙げられており、まさに医薬品市場が大きく変貌を遂げる大グローバリゼーションの時代に適応した企業経営が求められております。

 当社グループは、この大グローバリゼーション時代においてより多くの患者様に貢献するためには、さらなるイノベーションの推進と医薬品アクセスの向上が重要であると考えております。

(1) さらなるイノベーションの推進

 当社グループは、研究開発活動をプロダクトクリエーション(製品創出)活動であるととらえ、創薬の現場において、アンメット・メディカル・ニーズを充足する医薬品を一日でも早く患者様にお届けするというミッションを明確にし、研究領域ごとに自律性と意思決定のスピードを重視したマネジメントを行っております。

 また、さらなるイノベーションを創出するプロダクトクリエーション活動の本質は、ヒューマン・バイオロジーにもとづく治療仮説を作り出す力と、その治療仮説を化合物創出に繋げるためのモダンケミストリー力にあると考えております。

 卓越した治療仮説を創り出すためには、世界最先端の科学技術やその将来動向を鑑み、社内外の知、発明・発見に対して感度を高めることが大切です。当社グループは、世界最先端の科学者とのネットワークを強化し、基礎科学の世界で生まれた膨大なヒューマン・バイオロジーに関する情報の中から最適なターゲットを見い出し、優れた治療仮説を生み出してまいります。

 また、当社グループの強みは、低分子化合物ならびにバイオロジクス(生物学的製剤)からアプローチできる世界レベルのケミストリー力にあります。多様性に富む化合物ライブラリーを作成・整備し、合成技術を生かして革新的な低分子化合物の創出を行うとともに、がん領域や免疫領域ではモノクローナル抗体、さらにはペプチドや抗体と薬物の複合体等を含めた優れたバイオロジクスを創出してまいります。

 これらの当社の強みを活かし、産官学の連携によるオープンイノベーションを推進することにより、さらなるイノベーションとグローバルな患者様ベネフィットの最大化に貢献してまいります。

(2) 医薬品アクセスの向上

 新興国・開発途上国における事業展開として、当社グループでは、中期戦略計画「はやぶさ」(以下、計画「はやぶさ」)期間中に当社製品が入手可能な国数を114カ国に拡大することをめざしております。多くの新興国や開発途上国においては、貧困や医療システムの不備などから、必要な医薬品が必要とされる患者様のもとに届かないという問題があり、「医薬品アクセス問題」と言われております。当社グループは、これらの国々における健康福祉や医薬品アクセスを向上させることは、今後のこれらの国々の経済成長や中間所得者層の拡大につながり、将来の市場形成への長期的な投資であると考えております。医薬品アクセスを向上させるためには、医薬品アクセス改善に向けた基盤戦略および体制をベースとして、医薬品の「アフォーダビリティー(購入し易さ)」、「アベイラビリティー(入手の機会)」、「アドプション(服用の意向)」の向上をはかることが必要不可欠であり、当社グループはこれらの向上をめざした施策に積極的に取り組んでまいります。

(3) 中期戦略計画「はやぶさ」

① 中期戦略計画「はやぶさ」のめざす姿

 当社グループでは、大グローバリゼーション時代において、さらなるイノベーションの推進と医薬品アクセスの向上により、より多くの国々の患者様に貢献し、グローバルトップティアのハイパフォーマンス企業へと転換を遂げるため、平成27年度を最終年度とする計画「はやぶさ」を平成23年度からスタートしております。

 計画「はやぶさ」では、その実現に向けた具体的な戦略として、グローバルエーザイの成長の牽引役となるイースト・アジア・リージョンへの取り組みを強化するとともに、世界トップ20の市場すべての国への参入と、ウィメンズオンコロジー(女性特有のがん)への集中的な取り組みによるがん領域における世界のトップ10企業入りをめざしております。また、フォーカスメディシンの展開により新薬開発期間の短縮を実現し、患者様ベネフィットの最大化をはかってまいります。あわせて、効率的な事業体制を構築し、患者様価値を創出してまいります。

② 計画「はやぶさ」における主な取り組み

a) イースト・アジア・リージョンによる成長の牽引

 計画「はやぶさ」では、これまで成長の中心的役割を果たしてきた米国から、イースト・アジア(日本、中国、韓国、台湾、香港)、新興市場へ経営資源をシフトさせ、リージョンバランスの転換をはかってまいります。平成23年度に始動したイースト・アジア・リージョン体制のもと、各国のローカル人財による知の共有が生み出すシナジーにより、競争力を高めてまいります。また、中枢神経、がん、リウマチ、消化器・肝臓疾患などの各領域における主要なオピニオンリーダーとの交流やマーケティング戦略の共有化をはかってまいります。これらの取り組みにより、日本と中国を今後のグローバルエーザイの牽引役として大きく成長を果たしてまいります。

*当社では、「人は社にとって一番大切な財産である」との考え方に基づき、「人材」を「人財」と表現しております。

b) 大グローバリゼーション時代におけるより多くの患者様への貢献

 大グローバリゼーション時代が幕開けする中で、当社グループは、計画「はやぶさ」期間中に、新たにロシア、ブラジル、メキシコ、トルコなどを含めて世界トップ20の市場すべてに進出し、さらなる患者様貢献を果たしてまいります。あわせて、当社製品が入手可能な国数を114カ国、貢献する患者様数を5億人まで増加させることをめざしております。

ⅰ) 新規市場への展開を加速する新たなリージョン体制の始動

 当社グループは、平成23年度に始動したイースト・アジア、米国、欧州、新興市場(ニューマーケット・アセアン)の4リージョン体制のもと、計画「はやぶさ」の眼目の一つである、「世界トップ20の市場への進出」に向けて、カナダでの製品上市、メキシコとブラジルでの販売子会社の設立、ロシアでの承認申請など、新規市場への展開は着実な進捗を果たしてまいりました。平成24年度より、それら新規市場での事業を、地域を同一とする各リージョンのオペレーションに統合させるという新たなフェーズに移行し、大グローバリゼーション時代におけるさらなる飛躍をめざします。新たな4つのリージョンは、イースト・アジア(日本、中国、韓国、台湾、香港)、アメリカス(北米、中南米)、EMEA(Europe/Middle East/Africa:欧州・中東・アフリカ)、インド・パシフィック(Indo-Pacific:南アジア、アセアン、オセアニア)で構成されています。リージョン内での共通性や深い関係性をもつレギュラトリーサイエンス、メディカルナレッジ、価格・償還の戦略、マーケティングインフォマティクス(ITを活用したマーケティング)、人財開発などの知を共有できる体制を構築し、各リージョンの戦略機能ならびに営業力をさらに強化してまいります。

ⅱ) 新興国・開発途上国における医薬品アクセス向上への取り組み

 当社グループは、新興国・開発途上国における事業展開においては、インドのバイザッグ工場を戦略的に活用し、各国の社会・経済・医療環境にあわせたアフォーダブル・プライシング(患者様が購入し易い価格設定)による持続的な医薬品提供を実現するとともに、官民パートナーシップによる疾患啓発や地元のパートナー企業との連携などにより、ビジネス基盤を構築してまいります。また、政府、国際機関、他の民間企業、非政府組織(NGO)や非営利団体(NPO)などとのパートナーシップを通して、リンパ系フィラリア症やシャーガス病などの顧みられない熱帯病の制圧にも積極的に取り組み、これらの国々の健康福祉と経済発展に貢献してまいります。

c) ウィメンズオンコロジーへ集中し、がん領域で世界トップ10入り

 当社グループは、自社創製の新規抗がん剤「ハラヴェン」をはじめとして「MORAb-003」、「E7080」など、がん領域の豊富なパイプラインと技術的な強みを活かし、乳がん、卵巣がん、甲状腺がん、子宮内膜がんなどのウィメンズオンコロジー分野における製品群の充実化に集中して取り組んでまいります。また、日本においては、「ハラヴェン」の新発売を機にウィメンズオンコロジーに対する「まちづくり」推進の専任組織を設置し、患者様やそのご家族の様々なニーズに応える取り組みを行ってまいります。これらにより、平成27年度には、ウィメンズオンコロジー分野で世界トップ3、がん領域では世界トップ10入りを果たしてまいります。

d) フォーカスメディシンの展開とさらなるイノベーションの推進

 当社グループのプロダクトクリエーション活動は、ヒューマン・バイオロジーに基づく卓越した治療仮説とモダンケミストリー力を両輪としています。

 個別化医療に向けたイノベーションを実現するために、新たにエイチスリー・バイオメディシン・インクを本格稼動させました。遺伝学的アプローチを基軸とした最先端技術の融合により疾患固有のターゲットを同定し、多様性志向型化合物ライブラリーによるスクリーニングでターゲットに照準を合わせたリード化合物創出の効率化を推進してまいります。

 病態を反映したバイオマーカーを積極的に活用し、治療薬とともにコンパニオン診断薬の開発を進めることにより、臨床試験の成功確率の向上と開発期間の短縮をはかり、グローバルに患者様のベネフィットを最大化してまいります。

e) 効率的かつリーンな事業体制の構築

 当社グループは、グローバルトップティアのハイパフォーマンス企業へと転換をめざし、リージョンごとに効率的かつリーンな事業体制への転換をはかってまいります。具体的に、米国では、大型品の共同販促モデルから当社単独によるビジネスユニットモデルへ、欧州では、各国ごとのビジネスモデルから、欧州をひとつの市場として捉えた「ONE EUROPE」ビジネスモデルへと転換し、資源のさらなる最適化をはかってまいります。

(4) 株主価値の創造

 当社グループは、株主価値創造のためには積極的な成長投資が必要と考えております。具体的にはイースト・アジアや新興市場での成長や新ビジネスモデルの構築、中枢神経領域やウィメンズオンコロジー領域での製品群の充実、フォーカスメディシンにおける技術基盤の構築、グローバル生産体制の強化などに投資してまいります。

 なお、財務戦略面では、株主価値を最大化するために、「IR戦略」「ROE経営」「株主還元」の3つの施策が重要と考えております。

「IR戦略」として、株主、投資家の皆様への説明責任を果たしながら、中長期的に適正株価の形成をめざしてまいります。「ROE経営」では、売上高利益率(マージン)、財務レバレッジ、総資産回転率(ターンオーバー)を改善することにより、グローバルトップティア水準の自己資本当期純利益率をめざしてまいります。さらに、「株主還元」では、継続的・安定的な配当を実施することで、株主資本コストを上回る純資産配当率(連結)を維持してまいります。

*自己資本当期純利益率

(5) コーポレートガバナンス

 当社は、企業理念を定款に定め、株主様と共有化をはかっております。この企業理念を実現していくためには、長期的な視野のもと様々な施策を実行していかねばなりません。そのような企業施策の実行は、株主様の信頼があって初めて可能となります。当社は、コーポレートガバナンスを充実させ、株主様の信頼を獲得し、当社の株式を安心して長期に所有していただくことをめざしております。

 コーポレートガバナンス充実のための要諦は、経営の活力が増大し、かつ経営の公正性が確保されるとともに経営の透明性が向上するシステムを整備していくことにあります。当社では、平成16年6月に委員会設置会社へ移行するなど、コーポレートガバナンスの充実をはかってまいりました。平成24年2月には、コーポレートガバナンスに対する法規制や社会環境の変化を認識し、従来より運用しているコーポレートガバナンスガイドラインを改正いたしました。今回の改正では、定款に定める企業理念の実現を目的として掲げ、株主様の基本的権利の尊重と平等性の確保や、会社情報の適切な開示と透明性の確保等を明記しております。

 当社のコーポレートガバナンスの機軸は、委員会設置会社であることを最大限に活用した経営の監督機能と業務執行機能の明確な分離であり、それを徹底するための独立性・中立性のある社外取締役の選任にあります。すなわち、取締役会から執行役への大幅な意思決定の委任をすることにより、業務執行の機動性と柔軟性を高めつつ、同時に執行役による内部統制の構築による自律性を確保して、経営の活力を増大させるとともに、執行役による業務執行全般を株主の皆様の信任を得た取締役会(社外取締役が過半数)が監督し、最善の意思決定を行うことにより経営の公正性を確保しております。

(6) 内部統制

 当社グループでは、内部統制を「事業活動を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用される体制、およびプロセス」ととらえ、内部統制担当執行役のもとに内部統制システムの整備・運用をグローバルに推進する「内部統制推進部」を設置して、グループ全体の内部統制の整備・運用の支援を行っております。

 具体的には、「内部統制基本方針」および「内部統制行動指針」を定め、日本、米州、欧州、アジア他の地域ごとに内部統制を推進する組織もしくは担当者を設置し、それらの組織もしくは担当者間での連携を深めるとともに、内部統制に関わるグローバル委員会等を通して、内部統制の整備・運用を推進することに重点を置いております。

 当社グループでは、内部統制の目的である①財務報告の信頼性、②業務の有効性・効率性、③コンプライアンス、④資産の保全の4つに関して、継続的に内部統制状況の改善をはかるために、日常的な業務リスクについて全ENWを対象にCSA(Control Self Assessment:統制自己評価)を毎年実施しております。これにより、リスクマネジメントサイクル(リスクの識別、評価、対応、モニタリング)の活性化をはかり、統制活動の改善を行っております。

 財務報告の信頼性は、金融商品取引法の「内部統制報告制度」に適切に対応することにより確保しております。このため、内部統制推進部は会計監査人との連携のもと、「財務報告に係る内部統制」の整備・支援を継続的に行っております。「財務報告に係る内部統制」には、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制である「全社的な内部統制」と、業務プロセスに組み込まれ一体となって遂行される内部統制である「業務プロセスに係る内部統制」があり、「全社的な内部統制」の整備については全ENW企業(影響が僅少である一部ENWは除く)を対象に実施しております。「業務プロセスに係る内部統制」については、当社、エーザイ・インク(米国)、およびリスクが高い業務プロセスを有しているENWで整備が実施されております。また、年度末には連結対象会社の責任者および当社各部門長から内部統制に係る内部宣誓書の提出を受けております。

「全社的な内部統制」と「業務プロセスに係る内部統制」の整備・運用の評価については、内部監査部がENW企業の内部監査部門と連携し、実施しております。なお、評価の過程で発見された整備あるいは運用上の「不備事項」については、対応策を設定し、改善をはかっております。

*ENW(Eisai Network Companies)とは、エーザイ㈱およびその関係会社で構成されている企業グループのことであります。

(7) コンプライアンス

 当社グループでは、コンプライアンスが社の活動の中で最優先されるべきものであり、企業存続の基盤であるという認識にたち、当社の企業理念にコンプライアンスを盛り込み、定款に記載しております。

 当社グループでは、コンプライアンス推進を統轄する執行役であるチーフコンプライアンスオフィサーのもと、内部統制担当執行役が、企業倫理推進専任部署を指揮し、日本、米州および欧州に推進担当部署を設置した体制により、グローバルにコンプライアンス活動を推進しております。また、当社グループのコンプライアンス活動は、コンプライアンス委員会により、定期的にレビューを受けております。コンプライアンス委員会は、日本、米州、欧州の各エリアの弁護士やコンサルタント等社外専門家からなる諮問委員会であり、客観的なレビューを行うとともに、チーフコンプライアンスオフィサーに適切に助言および勧告を行っております。

 当社グループでは、すべての役員および従業員が同じ基準で活動できるよう、ビジネスの基本となる「ENW企業行動憲章」や具体的な行動の考え方を示した「ENW行動指針」を定めております。これらをとりまとめた「コンプライアンス・ハンドブック」を日本語のほか英語、中国語など17カ国語で作成、配付し、すべての役員および従業員へのコンプライアンス・マインドの浸透に役立てております。あわせて、コンプライアンスに関して部下を指導、監督する役割を担うマネジャーが組織でのコンプライアンス活動を実践するにあたって役に立つ知識やツールについて記載した「マネジャーのためのコンプライアンス・ガイドブック」を全組織長に配付しております。

 コンプライアンス研修に関しては、役員研修をはじめ、部門別、新任組織長、新入社員など対象者を絞った研修や受講者の時間に合わせて受講できるコンプライアンス・e-ラーニング(インターネットを用いた研修)などを実施しております。また、平成23年には日本のすべての役員および従業員に対して、週1回、コンプライアンスに関するメールマガジンの発行を始めました。

 コンプライアンス・カウンターは、法律の解釈などコンプライアンスに関して判断に迷った場合や、自分自身の行動や上司、同僚の行動がコンプライアンスに則っているか疑問を感じた場合など、社員の身近な社内相談窓口として、平成12年4月に開設されました。個人情報保護、著作権、公務員倫理規程など様々な分野の問い合わせに活用されております。また、弁護士による社外カウンターや社外相談員が運営する社外相談窓口を設置し、コンプライアンスを充実するための環境を整備しております。

(8) 環境保全

 当社グループでは、「ENW環境方針」にもとづく環境マネジメント体制のもと、すべての役員および従業員が環境基本理念を共有し、日本の主要生産拠点、蘇州工場(中国)およびバイザッグ工場(インド)にてISO14001認証を取得するなど、グループ全体で環境保全活動を展開しております。

 そして、資源の投入と環境への負荷を定量的に把握するとともに、廃棄物削減とリサイクルの推進、化学物質の適正な管理と使用量削減、リサイクルの促進および環境教育に取り組んでおります。また、「環境・社会報告書」を毎年発行して、環境保全に関するマネジメント体制や具体的な管理活動実績等について公表しております。

(9) 社会貢献

 当社グループでは、医学・薬学の歴史、健康科学に関する知識の普及などを目的とした日本初のくすりに関する総合的な資料館「内藤記念くすり博物館」(岐阜県)を無料で公開しております。あわせて、人類の疾病の予防と治療に関する自然科学の研究を奨励し、学術の振興や人々の福祉に寄与することを目的とした「公益財団法人内藤記念科学振興財団」(東京都)、医療および医薬品に関する経済学的調査・研究、医薬品等に関する研究開発・生産・流通などについての調査・研究を行い医療とその関連諸科学の学際的研究・調査を推進することでわが国の医療と福祉の発展をはかることを目的とした「公益財団法人医療科学研究所」(東京都)に対する運営の支援を行っております。さらに、日本・海外の困難な医療環境のもとで長年に亘り医療従事し、顕著な功績をあげた方々を顕彰する「医療功労賞」事業への協賛をしております。

(10) 危機管理に対する取り組み

 当社グループは、hhc理念の実現に向けた事業活動をグローバルに展開しており、有事の際でもその活動を途絶えさせてはならないと考えております。hhc理念実現の担い手である従業員の安全を確保した上で、医薬品の安定供給、医薬品情報の収集伝達活動、およびプロダクトクリエーション活動などの重要業務を継続し、企業価値の維持・向上につとめてまいります。東日本大震災の教訓をもとに有事に備えた危機管理に関して様々な検討を行い、以下のような取り組みを行いました。

① 「ENW危機管理方針」の策定

 従来の危機管理規程について、危機の種類やフェーズについて全面的に見直し、危機管理に関するグローバルスタンダードとして最上位規程となる「ENW危機管理方針」を新たに策定いたしました。危機事象については、地震・津波、台風、洪水、パンデミック、火災、停電、テロ等、当社の事業活動や資産に多大な影響をおよぼす可能性のあるものを対象にしております。

② 「ENW事業継続計画」の策定

ENW危機管理方針をふまえ、グローバルな観点から、有事の際の事業活動継続に必要となる重要業務を抽出し、重要業務の早期復旧・再開に向けた対応策・代替手段を定めた「ENW事業継続計画(BCP)」を新たに策定いたしました。これもENW危機管理方針同様、グローバルスタンダードとして日本国内だけでなく海外のグループ企業にも適用いたします。

③ 防災関連の設備投資

 すべての事業所において、外部専門機関による地震・津波および火災に対するリスク診断を行いました。その結果、大型投資として筑波研究所(茨城県)における耐震補強ならびに免震工事、川島工園および内藤記念くすり博物館(岐阜県)における耐震補強工事等、安全確保に向けたハード面での対策を進めております。

④ 防災訓練の実施

 当社の全国各地の事業所(本社を含め)で、大規模地震を想定した防災避難訓練を震災後2回実施し、今後も継続して年2回実施してまいります。外勤者(医薬情報担当者等)についても、外勤先での避難ルートの確認や安否確認を中心とする避難訓練により危機管理意識を高めております。

⑤ 災害に備えた備蓄

 防災備蓄に関するガイドラインを新たに策定し、帰宅困難者の事業所内滞在や徒歩帰宅を支援するための備蓄品(水、食料等)を各事業所内に確保いたしました。

*BCP(Business Continuity Plan)とは、事業活動に重大な影響をおよぼす危機・災害が発生した場合に、事業継続または早期復旧・再開をはかるための計画およびプロセスのことであります。

(11) 株式会社の支配に関する基本方針

<基本方針の内容等>

 当社における「株式会社の支配に関する基本方針の内容」、「基本方針の実現に資する特別な取組み」および「基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み」は、以下の「当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針」(以下、本対応方針)に記載しております。また、「当社の取組みが基本方針に沿うものであること、株主の共同の利益を損なうものではないことおよび当社の役員の地位の維持を目的とするものではないことについての当社の取締役会の判断およびその判断の理由」についても本対応方針に記載しております。

 本対応方針は、平成18年2月28日開催の取締役会において社外取締役独立委員会より提案され、導入されたものであります。本対応方針については、毎年、定時株主総会後に、新たに選任された社外取締役全員で構成される社外取締役独立委員会で維持・見直し・廃止の審議を行うことになっております。

 平成23年度は、6月21日に開催された第99回定時株主総会終了後に、新任2名を含む社外取締役7名全員で構成される社外取締役独立委員会(委員長:矢吹公敏)を開催し、本対応方針が以下の仕組みを有しており、新しい中期戦略計画の開始に伴い一部記載事項の追加や文言の変更等を行うものの、内容としては現行で継続することを当社取締役会に提案する旨、決議いたしました。

① 経営陣の恣意性が排除されている。
② 同方針は、毎年、継続・見直し・廃止が検討される。
③ 取締役選任議案をもって、同方針に対する株主の皆様のご意向を反映できる。

 なお、平成23年8月2日開催の取締役会において、社外取締役独立委員会より提案された本対応方針の継続が審議され、承認されております。

 平成24年3月開催の委員会においては、当該対応方針に対する賛否を全委員に問い、全員賛成の意思表示が確認されました。

[当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針](平成18年2月28日公表、平成23年8月2日改正)

1.導入の理由

 当社は、ヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業として、企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを最優先の課題としておりますが、かかる企業価値・株主共同の利益の向上は、患者価値を創出することにより実現できるものと考えております。この患者価値を創出するためには、新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等が必要です。これらを実現するためには、長期的な視野のもとに大胆に企業施策を行わなければならず、また、株主価値を創出するためには、企業として安定的かつ継続的に成長していくことが不可欠の前提となります。さらに、当社は、企業としての社会的責任を全うしつつ、これらの課題を達成するため、2004年に委員会等設置会社に移行し、透明性の高いガバナンス体制を志向しております。

 また、当社は長期的視点に立って策定された中期戦略計画をはじめとする諸施策を遂行・実施することにより、企業価値を高め、株主の皆様の価値を向上する所存であります。しかし、当社事業を取り巻く競争関係の激化、企業買収に対するわが国における法制度・企業文化の変化・変容等を踏まえると、当社の経営方針に重大な影響を与える買付が行われることも予想されます。特に、当社の発行済株式総数の15%以上に相当する株式の買付が行われると、当社経営に重大な影響が生じ、上記施策を遂行・達成することができなくなるおそれがあります。この15%以上に相当する株式の買付による影響については、次の事項からもその重大さは明らかであると考えられます。まず、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則による関連会社の基準に、議決権の15%以上、20%未満を所有し重要な影響を与え得ることが推測される事実の存在がある場合が含まれていることがあげられます。また、15%という株式の買付は、株主総会の特別決議の否決に関して、その定足数も考慮に入れた場合、非常に大きな割合を占めることになります。

 もとより当社は、当社の株式を大量に取得したり、当社の経営に関与しようとする買付については、それが当社の企業価値を大きく向上させるものであれば、これを一概に否定するものではありません。しかし、株式を大量に取得する買付の中には、買付目的や買付後の経営方針等に鑑み、株主共同の利益を損なうことが明白であるもの、買付に応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、会社や株主に対して買付に係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付条件が当社企業価値・株主共同の利益の確保の観点から不十分又は不適切であるもの等の不適切な買付も少なくないと考えられます。更に、当社が患者価値の創出を実現し、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるためには、上述のとおり新薬の研究・開発体制、高品質製品の安定供給、薬剤の安全性と有効性の情報の管理・提供の確保が必要不可欠であり、これらが確保されなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益が毀損されることになります。

 そこで、当社は、上記に記載した買付類型を含む当社企業価値・株主共同の利益に反する買付を防止するためには、当社企業価値・株主共同の利益の確保に関する対応方針(以下「本対応方針」といいます。)を導入することが必要不可欠であると判断し、その導入を決定致しました。

 本対応方針は、当社に対するかかる買付が行われる場合には、買付者又は買付提案者(以下、公開買付者又はその提案者も含め、併せて「買付者等」といいます。)に対し、事前に当該買付内容に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、必要に応じて、株主の皆様に事業計画等を説明したり、代替案を提示するとともに、買付者等と交渉を並行して行っていくことを可能とすることを狙うものです。これに対し、買付者等がこうした事前の情報提供なく買付を行う場合や、当該買付が当社の企業価値・株主共同の利益を毀損しないものとは認められない場合には、後述のとおり、当該買付者等及びその一定の関係者による権利行使は認められないとの行使条件が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)を、その時点の全ての株主に対して株主割当ての方法により発行します。本対応方針は、本新株予約権の発行により、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合を相当低下させ、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付行為の阻止を図るものです。

 もっとも、こうした対応方針の導入、実際に買付がなされた場合の当該買付の検討、必要に応じた買付者等との協議・交渉、その結果等を踏まえた本新株予約権の発行の必要性の有無の判断については、経営陣の自己保身に利用されることがないように特に客観性・合理性が要求されるところです。この点、当社の取締役会は、過半数が社外取締役によって構成されています。当社社外取締役7名は、いずれも、会社経営陣から独立した、経験と実績に富む会社経営者、経営学者、公認会計士、法律家であり、これらの者を過半数とし、かつ、社外取締役ではない4名も、業務執行に当たる取締役は1名のみであり、当社取締役会は、株主の皆様の利益を代表して上記の判断を客観的かつ合理的に行うことができるものと考えます。

 本対応方針の導入に際しては、社外取締役のうち3名を構成員とする「特別委員会」を設置し、まず当該特別委員会にて、複数の外部専門家からもアドバイスを受け、検討致しました。その結果、特別委員会は、本対応方針が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買付を防止するためには必要不可欠と判断しました。次に、本対応方針は社外取締役7名全員を構成員として設置された「社外取締役独立委員会」(その決議要件・決議事項等については(別紙1)「社外取締役独立委員会の概要」をご確認ください。)に対し提案され、社外取締役独立委員会は、本対応方針導入の可否を検討し、その結果本対応方針が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する買付を防止するためには必要不可欠と判断し、その導入を当社取締役会に提案致しました。取締役会は、審議の結果、本対応方針の導入を決定致しました。このように、本対応方針は当社の企業価値ひいては株主共同の利益のために、会社経営陣から独立した両委員会のイニシアティブにより採用されるに至ったものです。

 加えて、本対応方針導入後においても、本対応方針の運用に際しての判断についてはその客観性・合理性が確保されるようにしております。実際に当社に対して買付がなされた場合には、社外取締役独立委員会が主体的に、下記4.に記載の各要件を満たすものであるか否かの判断を行います。

 そして、社外取締役独立委員会は、当該買付が下記4.に記載のすべての要件を満たすと判断する場合を除き、原則として本新株予約権の発行を取締役会に提案いたします。取締役会は、これを受け本新株予約権の発行が必要であるかどうかを決議します。また、社外取締役独立委員会において、当該買付に対して本新株予約権を発行しない旨の決議をした場合には、取締役会では本新株予約権の発行に関する審議・決議は行いません。このように、本新株予約権を発行すべきか否かの判断に関しまして、経営陣の恣意的な判断を排除するとともに、本新株予約権の発行が容易にできない仕組みをとっております。

2.本対応方針の対象となる買付

 本対応方針においては、本新株予約権は、以下1)又は2)に該当する買付又はその提案(以下併せて「買付等」といいます。)がなされたときに、本対応方針に定められる手続に従い発行されることとなります。

1) 当社が発行者である株券等(1)について、保有者(2)の株券等保有割合(3)が15%以上となる買付その他
取得

2) 当社が発行する株券等(4)について、公開買付け(5)に係る株券等(6)の株券等所有割合(7)及びその特別関係者(8)の株券等所有割合の合計が15%以上となる公開買付け

(1) 金融商品取引法第27条の23第1項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。

(2) 金融商品取引法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。

(3) 金融商品取引法第27条の23第4項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。

(4) 金融商品取引法第27条の2第1項に定義されます。

(5) 金融商品取引法第27条の2第6項に定義されます。

(6) 金融商品取引法第27条の2第1項に定義されます。

(7) 金融商品取引法第27条の2第8項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。

(8) 金融商品取引法第27条の2第7項に定義されます。但し、同項第1号に掲げる者については、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令第3条第2項で定める者を除きます。

3.本新株予約権の発行のプロセス

1) 買付者等から社外取締役独立委員会に対する事前の情報提供

 上記2.に定める買付等を行う買付者等には、買付等の実行に先立ち、当社社外取締役独立委員会宛に、(別紙2)に定める当該買付者等の買付等の内容の検討に必要な情報(以下「本必要情報」といいます。)及び買付者等が買付等に際して本対応方針に定める手続を遵守する旨を記載した書面(以下併せて「買付説明書」といいます。)を提出していただきます。    

 当社社外取締役独立委員会が、当該買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、当社社外取締役独立委員会は買付者等に対し、適宜回答期限を定めた上で、本必要情報を追加的に提出するよう求めることがあります。この場合には、当該期限までに、買付者等より追加の本必要情報の提供をしていただくこととします。

 なお、当社社外取締役独立委員会は、引き続き買付説明書(本必要情報を含みます)の提出を求めて買付者等と協議・交渉等を行うべき特段の事情がある場合を除き、買付者等が本対応方針に定められた手続に従うことなく買付等を開始したものと認められる場合には、原則として、下記3.3) (1)記載のとおり、当社取締役会に対して、本新株予約権を発行することを提案します。 

2) 社外取締役独立委員会による当該買付者等の買付等の内容の検討・買付者等との交渉・株主の皆様への代替案の提示

 当社社外取締役独立委員会は、買付者等から本必要情報が十分に記載された買付説明書及び社外取締役独立委員会から追加提出を求められた本必要情報が提出された場合、必要に応じ、当社の代表執行役社長に対しても、社外取締役独立委員会が定める期間内に買付者等の買付等の内容に対する意見及びその根拠資料、代替案その他社外取締役独立委員会が適宜必要と認める情報・資料等を30日以内に提出することを求めます。

 社外取締役独立委員会は、買付者等及び代表執行役社長からの必要な情報・資料を受領後、原則として60日間(但し、下記3.3) (3)に記載するところに従い、社外取締役独立委員会は当該期間について90日を限度として延長することができるものとします。)(以下「社外取締役独立委員会検討期間」といいます。)、買付者等の買付等の内容の精査・検討、当社代表執行役社長が提出した代替案の精査・検討、買付者等と当社代表執行役社長の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行います。また、社外取締役独立委員会は、必要があれば、直接又は間接に、当該買付者等と交渉を行い、また、株主の皆様に当社代表執行役社長が提出した代替案の提示を行うものとします。

 社外取締役独立委員会は、社外取締役独立委員会の判断が適切になされることを確保するために、自らの裁量により、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を得ることができるものとします。

 なお、買付者等は、社外取締役独立委員会検討期間が終了するまでは、上記2.に規定する買付等を実行することはできないものとします。

3) 社外取締役独立委員会の決議
社外取締役独立委員会は、買付者等が出現した場合において、以下の手続を行うものとします。

(1) 社外取締役独立委員会は、買付者等が上記3.1)及び2)に規定する手続を遵守しなかった場合を含め、下記3.3) (2)又は(3)のいずれにも該当しない限り、原則として、社外取締役独立委員会検討期間の開始又は終了の有無を問わず、当社取締役会に対して、本新株予約権を発行することを提案します。

 但し、社外取締役独立委員会は、かかる提案の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、本新株予約権の発行の中止を含む別個の判断を行うことができるものとします。

(2) 社外取締役独立委員会は、買付者等の買付等の内容の検討、買付者等との交渉の結果、当該買付者等による買付等が下記4.1)から9)のいずれの要件も満たすと判断した場合には、社外取締役独立委員会検討期間の終了の有無を問わず、本新株予約権を発行しないことを決議いたします。この不発行の決議に関して、当社取締役会で本新株予約権の発行の有無について改めて審議等をすることはありません。

 但し、社外取締役独立委員会は、かかる決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、本新株予約権の発行の提案を含む別個の判断を行い、これを当社取締役会に提案することができるものとします。

(3) 社外取締役独立委員会が、当初の社外取締役独立委員会検討期間終了時までに、本新株予約権の発行又は不発行の決議を行うに至らない場合には、社外取締役独立委員会は、当該買付者等の買付等の内容の検討・当該買付者等との交渉・代替案の提出要求及び検討等に必要な範囲内で、社外取締役独立委員会検討期間を延長する旨の決議を行います(なお、当該期間延長後、更なる期間の延長を行う場合においても同様の手続によるものとします。)。

 上記決議により社外取締役独立委員会検討期間を延長した場合、社外取締役独立委員会は、引き続き、買付者等の買付等の内容の検討・必要な場合には買付者等との交渉・代替案の提出要求及び検討等を行うものとし、延長期間内に本新株予約権の発行の提案又は不発行の決定や当社の株主の皆様に代替案の提示等を行うよう努めるものとします。

4) 取締役会の決議

 当社取締役会は、社外取締役独立委員会から上記本新株予約権発行の提案を受けた場合、速やかに決議を行うものとします。

 但し、取締役会は、かかる決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じた場合には、別個の判断を行うことができるものとします。

 なお、当社社外取締役独立委員会が本新株予約権の不発行の決議をした場合には、上記3.3) (2)に記載のとおり、社外取締役独立委員会の決議によるものとし、当社取締役会で本新株予約権の発行の有無について審議等をすることはありません。

5)情報開示

 当社は、本対応方針の運用に際しては、法令又は金融商品取引所の規程・規則等に従い、以下に掲げる本対応方針の各手続きの進捗状況並びに当社社外取締役独立委員会及び当社取締役会が適切と考える事項について、適時に情報開示を行います。

(1) 上記2.の1)又は2)に該当する買付がなされた事実

(2) 買付者等から買付説明書が提出された事実及び本必要情報その他の情報のうち社外取締役独立委員会が適切と判断する事項

(3) 社外取締役独立委員会が検討を開始した事実及び検討期間の延長が行なわれた事実(その期間と理由を含む)

(4) 社外取締役独立委員会が、本新株予約権の発行を提案した事実及びその概要並びに本新株予約権を発行すべきと判断した理由その他社外取締役独立委員会が適切と判断する事項

(5) 取締役会が、本新株予約権の発行の決議を行った事実及びその概要並びに当該決定の判断理由その他取締役会が適切と判断する事項

(6) 社外取締役独立委員会が、本新株予約権の不発行を決議した事実及びその概要並びに本新株予約権を不発行とすべきと判断した理由その他社外取締役独立委員会が適切と判断する事項

(7) 上記(4)又は(6)の決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じ、社外取締役独立委員会が本新株予約権の発行の中止又は本新株予約権の発行の提案を含む別個の判断を下した場合に社外取締役独立委員会が必要と認める事項

(8) 上記(5)の決議の判断の前提となった事実関係等に変動が生じ、取締役会が別個の判断を下した場合に取締役会が必要と認める事項

4.本新株予約権を発行する基準

 社外取締役独立委員会は、本対応方針の対象となる買付等が、以下の全ての要件を満たすと判断する場合を除き、原則として本新株予約権を発行することを取締役会に提案する予定としております。

1) 本対応方針に定める手続を遵守した買付等である場合

2) 下記に掲げる行為等により当社企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらす虞のある買付等ではない場合

(1) 株式を買い占め、その株式について当社に対して高値で買取りを要求する行為

(2) 当社の経営を一時的に支配して、当社の重要な資産等を廉価に取得する等当社の犠牲の下に買付者等の利益を実現する経営を行うような行為

(3) 当社の資産を買付者等やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する行為

(4) 当社の経営を一時的に支配して当社の事業に当面関係していない高額資産等を処分させ、その処分利益をもって、一時的な高配当をさせるか、一時的高配当による株価の急上昇の機会をねらって高値で売り抜ける行為

3) 強圧的二段階買付(最初の買付で全株式の買付を勧誘することなく、二段階目以降の買付条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付け等の株式買付を行うことをいいます。)等株主に株式の売却を事実上強要する虞のある買付等ではない場合

4) 当社に、当該買付等に対する代替案を提示するために合理的に必要な期間を与えない買付等ではない場合

5) 当社株主に対して、買付者等の概要(別紙2本必要情報1.の例示を含みます。)、買付等の価格の算定根拠(別紙2本必要情報3.の例示を含みます。)及び買付等の資金の裏付け(別紙2本必要情報4.の例示を含みます。)、買付等の後の経営方針、事業計画、資本政策及び配当政策等(別紙2本必要情報5.の例示を含みます。)の買付等の内容を判断するための情報が提供されない、又は提供された場合であっても当該買付者等の現在又は将来の株券等保有割合等に照らして提供された情報が不十分である買付等ではない場合

6) 買付等の条件(別紙2本必要情報2.及び6.の例示を含みます。)が当社の本源的価値に鑑み不十分又は不適当である買付等ではない場合

7) 法令又は定款に違反する買付等ではない場合

8) 株主としての買付者等の行動が当社の経営に悪影響を及ぼし、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に重大な損害をもたらす虞のある買付等ではない場合

9) 買付等が行われる時点の法令、行政指導、裁判結果、証券取引所の規則により、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に重大な損害をもたらす虞のある買付等であると明らかに認められている買付等ではない場合

5.本対応方針の有効期間

 本対応方針の有効期間は、2016年6月30日までとします。

 社外取締役独立委員会は、本対応方針導入後、毎年、定時株主総会開催後に、本対応方針の継続、見直し又は廃止について検討するものとします。その結果は、取締役会に提案され、取締役会で審議の上、本対応方針は継続、見直し又は廃止されるものとします。当社では、全取締役の任期を1年としており、取締役は、毎年6月の定時株主総会で選任されております。取締役の任期の期差別や解任制限等は存在しないことから、1回の株主総会により全取締役の選解任が可能であり、当該総会で選任された取締役により構成された取締役会において、社外取締役独立委員会の提案を受け、本対応方針を廃止する決議を行うことが可能であり、また社外取締役独立委員会において本新株予約権の発行を行わない旨の決議を行うことも可能であります。以上の点からしまして、本対応方針の継続、見直し又は廃止に関して当社の株主の皆様のご意向を十分に反映させることができるものと考えております。

 なお、当社は、本対応方針の有効期間中であっても、社外取締役独立委員会の検討に基づき、必要に応じて、本対応方針を見直しもしくは変更し、又は別の買収防衛策を導入する場合があります。

6.本新株予約権の主要な条件

 本対応方針に基づき発行する予定の本新株予約権の主要な条件等は以下のとおりです。また、当社は、機動的な発行を目的として、本新株予約権について予め発行登録を行う予定でおります。

1) 割当対象株主

 本新株予約権の発行決議(以下「本発行決議」といいます。)において、当社取締役会が割当期日と定める日(以下「割当期日」といいます。)の最終の株主名簿に記載又は記録された株主に対し、その所有株式(但し、当社の保有する当社株式を除きます。)1株につき本新株予約権1個の割合で割り当てます。

2) 本新株予約権の目的とする株式の種類及び数

 本新株予約権の目的となる株式の種類は当社普通株式とし、本新株予約権1個当たりの目的となる株式の数は1株又は本発行決議において当社取締役会が定める株数とします。

3) 本新株予約権の総数

 割当期日における最終の発行済株式総数(但し、当社の保有する当社普通株式を除きます。)を上限とします。

4) 本新株予約権の発行価額

 無償とします。

5) 本新株予約権の行使に際して払込をなすべき額

 新株予約権1個当たり1円とします。

6) 本新株予約権の行使期間

 本発行決議において当社取締役会が定める本新株予約権の発行日から、最短1カ月最長2カ月の間で、本発行決議において当社取締役会が定める期間とします。

7) 本新株予約権の行使条件

(1) ①割当期日又は本新株予約権の行使日において特定大量保有者(下記(ア)ないし(エ)の各号に記載される者を除き、(i)当社が発行者である株券等(金融商品取引法第27条の23第1項に定義されます。以下別段の定めがない限り同じとします。)の保有者(同法第27条の23第3項に基づき保有者に含まれる者を含みます。)で、当該株券等に係る株券等保有割合(同法第27条の23第4項に定義されます。)が15%以上となる者もしくは15%以上となると当社取締役会が認めた者、又は(ii)公開買付け(同法第27条の2第6項に定義されます。)によって当社が発行者である株券等(同法第27条の2第1項に定義されます。)の買付け等(同法第27条の2第1項に定義されます。以下同じとします。)を行う者で、当該買付け等の後におけるその者の所有(これに準ずるものとして金融商品取引法施行令第7条第1項に定める場合を含みます。)に係る株券等所有割合(同法第27条の2第8項に定義されます。以下同じとします。)及びその者の特別関係者(同法第27条の2第7項に定義されます。但し、同項第1号に掲げる者については、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令第3条第2項で定める者を除きます。以下同じとします。)の株券等所有割合と合計して15%以上となる者)、② その共同保有者(同法第27条の23第5項に定義される者をいい、同条第6項に基づき共同保有者とみなされる者を含みます。)(上記(i)に定めるとき)、③その特別関係者(上記(ii)に定めるとき)、④上記①ないし③記載の者から本新株予約権を当社取締役会の承認を得ることなく譲受もしくは承継した者、又は、⑤実質的に、上記の①ないし④記載の者が支配し、当該者に支配されもしくは当該者と共同の支配下にある者として当社取締役会が認めた者、もしくは当該者と協調して行動する者として当社取締役会が認めた者(以下、上記①ないし⑤を総称して「特定大量保有者等」といいます。)は、本新株予約権を行使することができません。

(ア)当社、当社の子会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第3項に定義される。)又は当社の関連会社(財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則第8条第5項に定義されます。)

(イ)当社を支配する意図がなく上記(i)又は(ii)に該当することになった者である旨当社取締役会が認めた者であって、かつ、上記(i)又は(ii)に該当することになった後10日間(但し、当社取締役会はかかる期間を延長することができます。)以内にその保有する当社の株券等を処分することにより上記(i)及び(ii)に該当しなくなった者

(ウ)当社による自己株式の取得その他の理由により、自己の意思によることなく、上記(i)又は(ii)に該当することになった者である旨当社取締役会が認めた者(但し、その後、自己の意思により当社の株券等を新たに取得した場合を除きます。)

(エ)その者が当社の株券等を取得又は保有することが当社の利益に反しないと当社取締役会が認めた者(一定の条件の下に当社の利益に反しないと当社取締役会が認めた場合には、当該条件が満たされている場合に限ります。)

(2) 上記(1)の規定のほか、自己が特定大量保有者等ではないことを表明していない者、その他本発行決議において当社取締役会が定める事項を誓約する書面を提出していない者は、本新株予約権を行使することはできません。

8) 本新株予約権の消却

 本新株予約権については、消却事由及び消却の条件は定めません。

9) 本新株予約権の譲渡

 本新株予約権を譲渡するには当社取締役会の承認を要します。

 上記6.7)に基づき、特定大量保有者等は本新株予約権を行使することができないにも関わらず、特定大量保有者等において本新株予約権を自由に第三者に譲渡することができれば、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付行為の阻止を図るという目的が達成し得なくなります。従って、本新株予約権には譲渡制限が付されることになりますが、特定大量保有者等は、当社取締役会の承認する第三者には、本新株予約権を譲渡することができます。

7.株主の皆様への影響

1) 本対応方針の導入時に株主の皆様に与える影響

 本対応方針の導入時点においては、本新株予約権の発行自体は行われませんので、株主の皆様の権利・利益に直接具体的な影響が生じることはございません。

2) 本新株予約権の発行時に株主の皆様に与える影響

 本新株予約権が発行される場合においては、取締役会の当該発行決議において別途設定する割当期日における株主の皆様に対し、その保有する株

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