イーレックス 【東証プライム:9517】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
有価証券報告書に記載した事業の状況、経営成績並びに現在及び将来の事業等に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2024年6月26日)において当社が入手可能な情報等に基づいて判断したものです。また、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、当社が必ずしも重要なリスクとは考えていない事項であっても、事業等のリスクを理解する上で投資家にとって参考となる情報は記載しております。また、以下の記述は、別段の意味に解される場合を除き、連結ベースでなされており、「当社グループ」には当社並びに当社の連結子会社及び持分法適用会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和51年大蔵省令第28号)の定義に従います。)が含まれております。
(1)電気事業制度改正による当社グループの影響に関するリスク
当社グループは「電気事業法」に基づいた事業を行っております。電気事業法については、電力システムに関する詳細制度設計、制度見直しの議論が継続的に行われており、その内容によっては、競争状況等への影響がでる可能性があります。また、エネルギー基本計画の改定により、電源構成の大幅な変化が生じる可能性もあり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法令等の改正による当社グループへの影響に関するリスク
当社グループが運営する発電所は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT制度 再生可能エネルギー固定価格買取制度)の設備認定を受けた発電設備による発電事業を行っております。現行制度では、一度適用された買取価格は上記法で定める調達期間内において変更されることはありません。経済産業省・資源エネルギー庁による再生可能エネルギー固定価格買取制度の検討によっては、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に何らかの影響を及ぼす可能性があります。また、エネルギー政策及びその他当社グループの事業に関連する各種法令等が変更された場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす場合があります。
(3)気候変動問題へのリスク
当社グループは、バイオマス発電を中心にCO2フリー電源である再生可能エネルギーの拡大、バイオマス燃料の開発などにも取り組んでおります。2050年のカーボンニュートラル実現を目指すという政府目標が示され、電力部門においては、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めるとされているなか、当社の主軸事業を担うバイオマス発電事業を中心に、長期かつ不確実性の高い未来に対し事業のレジリエンスを高められるよう、世界の平均気温上昇を仮定したシナリオ分析を行い、2050年を想定した自社への影響についてリスク評価を行いました。例えば気候変動問題への対応のために新たな法的規制等が導入された場合、その内容によっては、事業計画・事業運営に大幅な変更や制約等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、「第2事業の状況2 サステナビリティに関する考え方及び取組」にて具体的に世界の気温上昇に関し仮定した上で、リスク等を想定しています。
(4)競争激化に伴うリスク
当社グループの総販売電力量は、気温・気候の変化、経済・景気動向などの避けがたい外部環境の影響を受け
るほか、2016年4月に開始された電力小売全面自由化に伴う競合他社の新規参入などによる競争環境の変化、電力取引市場における卸電力取引の動向、相対取引の価格の動向などにより、影響を受ける可能性があります。新規参入者の急増は、電力購入価格の上昇と、電力販売価格の下落を招く可能性があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5)卸電力取引市場の取引価格の変動リスク
当社グループが行う電力卸売事業は、主として一般社団法人日本卸電力取引所への電力販売によるものです。また、同時に一般社団法人日本卸電力取引所から電力の調達も行っております。日本卸電力取引所における取引価格は、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・ハマス衝突等国際エネルギー情勢を反映した原油、天然ガス等の資源価格の動向、季節や時間帯の電気の需要動向、太陽光発電の稼働状況、原子力発電所の稼働状況等、様々な要因によって変動します。当社は、変動リスクの軽減のためのヘッジ取引も行っておりますが、同取引所の取引価格が大きく変動した場合、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)需給バランス調整リスク
当社グループを含む小売電気事業者は一般送配電事業者の送電ネットワークを介して電力を供給するにあたり、一般送配電事業者の定める託送供給約款等に基づき、発電計画と実際の発電量、需要想定と実際の需要量を、それぞれ30分毎に一致させる義務(計画値同時同量制度)を負っており、事前に計画した需給量と実際の需給量の差分は、インバランス(料金)として一般送配電事業者との間で精算されることになります。当社グループでは、需給管理システムを用い、時間毎の需給バランスの最適化を図っておりますが、同時同量を達成できない場合において精算するインバランス料金が多額に生じる場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7)電力調達先が当社グループ収益に与えるリスク
当社グループでは旧一般電気事業者及び発電設備を有する事業会社等からも電力の購入を行っております。当社が電力の購入を行っている発電所の多くは、化石燃料を用いた火力発電を行っており、燃料調整条項が付されているケースでは、輸入化石燃料の価格の変動により調達先発電所からの電力購入価格が変動する場合があり、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、調達先電力会社等からの契約解除や契約更新の見送り、契約条件の変更等が行われた場合、並びに電力調達先の発電所のトラブル等により発電量が低下した場合も、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)燃料輸入元に関するリスク
当社グループが運営する発電所で使用するバイオマス燃料であるPKSや木質ペレットは、主に海外の国々を産地としています。これらの国において、法令の変更や政情不安、その他の理由から禁輸措置が執られた場合、または自然災害等により輸出が不可能になった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9)バイオマス燃料の価格上昇リスク
当社グループが運営する発電所で使用するバイオマス燃料であるPKSや木質ペレットが、今後、産業構造改革や技術伸展、生産国による法令、税制変更、不可抗力事由の発生及び需要増加による価格上昇が生じた場合、原材料費が増加し、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、バイオマス燃料の価格変動リスクに備えて、調達するバイオマス燃料の一部について外貨建て固定価格での長期バイオマス燃料調達契約を締結しております。
(10)為替相場の変動リスク
当社グループが運営する発電所では、海外からの輸入によるバイオマス燃料を用いた発電事業を行っており、為替相場の影響を受けます。また、今後もアジアでの発電事業、燃料事業の拡大も計画しており、為替レートの急激な変動は、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、一部の外貨建て営業債務について為替相場の変動リスクに対するヘッジを目的とした為替予約取引を行っております。
(11)当社グループが運営する発電所の操業リスク
当社グループが運営する発電所においては、安全操業及び設備の安定運転を心がけております。保守・保安作業については当社グループ従業員のみならず、発電設備メーカー及びメンテナンス会社と協議を重ねた上で実施しております。定期点検において、数週間の稼働停止期間が見込まれ、同点検において想定外の設備故障等により、計画通りの操業ができなくなった場合、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)当社グループの所有する発電所の出力制御のリスク
太陽光発電や風力発電といった発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源においては、電力需給バランスを保ち電力供給の安定化を図ることを目的とし、運転開始後における無制限・無補償の出力制御を受け入れることが系統への接続要件となる出力抑制ルールを拡充する制度改定が2015年1月に行われました。
バイオマス発電については電力広域的運営推進機関の定める送配電等業務指針に基づき、原則として火力発電に準じた電源として出力制御を受けることになります。今後、想定を上回る出力制御が実施された場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)多額の設備投資に関するリスク
当社グループは、小売電気事業者として電力の小売を行うとともに、安価で再生可能なベース電源を確保するため、バイオマス発電所に積極的な設備投資を実施してまいりました。今後も国内外での再生可能エネルギーの発電所建設を推進、計画してまいります。
当社グループでは、設備投資の決定は市場動向、競合他社の動向等も検討しつつ、事業戦略及び当該投資の収益性等を総合的に勘案し、慎重に実施していくことにしています。しかしながら、経済動向や市場動向を正確に予測することは困難であり、当社の想定どおりに需要が拡大しなかった等の場合には、使用設備の除却や減損が生じるなど、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において多額の経常損失及び当期純損失を計上したことにより純資産が減少した結果、当連結会計年度末において、一部の借入契約等に付されている財務制限条項に抵触しました。
しかしながら、財務制限条項に抵触した当該契約につきましては、該当する全ての取引金融機関より期限の利益喪失の権利行使を行わないことについて承諾を得ており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当該財務制限条項は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結貸借対照表関係 7 財務制限条項」に記載しております。
(15)エネルギー情勢の変動に伴うリスク
ロシアのウクライナ侵攻やイスラエル・ハマス衝突等の、国外、及び国内の政治、経済、社会情勢や政策の変化などにより、国際的なエネルギー情勢は大きく影響を受ける可能性があります。前述(5)、(7)の通りエネルギー価格の変動は、当社グループの電源調達に大きな影響を与える他、物流などの問題から燃料調達への支障が生ずる可能性もあります。当社グループの事業運営に影響が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16)情報管理・セキュリティ
当社グループは、大量のお客様情報をはじめ、業務上の重要な情報を保有しています。社内規程の整備、社員教育等を通じて、情報の厳正な管理に留意しておりますが、サイバー事案などにより、これらの情報が流出した場合には、社会的信用が低下し、事業運営に影響が生じる可能性があります。
(17)海外バイオマス事業をはじめとする国内外での新たな事業への取組みについて
当社グループは、収益基盤の強化を目指して、ベトナムを中心とした東南アジアにおけるバイオマス燃料事業、ベトナムを始めとするバイオマス発電事業、石炭火力をバイオマスに転換するトランジション事業など国内外での新たな取組みを進めております。また、国内電気事業については、フューエルコンバージョンによる再生可能エネルギーを利用した発電事業に加えて、カーボンニュートラルの推進、DRへの注力等にも取り組んでおります。
しかしながら、これらの事業は、状況の大幅な変化、需要や市場環境の変化、規制の変更等の予期せぬ事態の
発生等により、当社グループが期待したほどの収益を生まない可能性があり、これらの事情により事業計画の変更、事業・建設の取り止め等があれば、これに伴う関連費用の発生、追加資金拠出等により、当社の財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性もあります。さらに、海外での事業については、為替リスクに加え当該国の政情不安等によるリスク(カントリーリスク)が存在します。
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