インフロニア・ホールディングス 【東証プライム:5076】「建設業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、「どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。」の実現をビジョンに掲げ、「インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。」を果たすべき使命と定め、企業活動を通じて、環境・社会課題の解決にとどまらず、社会そして地球の持続可能な発展に貢献する「総合インフラサービス企業」を目指しています。
「社会・地域の安全安心とサステナビリティ」をバリューとし、当社グループ共通の価値観を醸成するとともに、企業が果たすべき社会的責任についての理解を共有し企業施策を実行していくことで、ステークホルダーの皆様の理解と共感が得られる開かれた経営に努めます。
また、当社は、ステークホルダーの皆様の権利を尊重し、経営の監督機能と業務執行機能を明確に分離することにより経営の公正性・透明性を確保するとともに、適切な情報開示とステークホルダーの皆様との対話を通じ、良好かつ円滑な関係を維持しながら信頼関係を構築していくことで、共同の利益や長期的な価値を協創し、社会価値の創造に貢献します。
(2) 目標とする経営指標と中長期的な会社の経営戦略
当社は、2021年10月1日に、前田建設工業(株)、前田道路(株)及び(株)前田製作所(以下、総称して事業会社3社といいます。)の完全親会社として設立されました。当社グループ全体として永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を「総合インフラサービス企業」と定め、事業会社3社の従来の事業における強みを活かしつつ、事業領域を拡大し安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することや、生産性改革に向けたデジタル化戦略、技術開発及び人材育成等の協働推進による経営基盤強化に取り組んでいます。また、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指しています。今後も、社会・地域・お客様とともにインフラの可能性を広げ、最適なサービスを提供していきます。
これらの実現のため、『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』及び『INFRONEER Vision 2030 中長期経営計画』を策定しました。当社及び事業会社3社の「目指す姿」、それを実現するための中長期経営ビジョンの内容は以下のとおりです。
中期経営計画『INFRONEER Medium-term Vision 2024』の概要
Ⅰ.会社概要
商号 | インフロニア・ホールディングス株式会社 (英文名 INFRONEER Holdings Inc.) |
設立 | 2021年10月1日 |
資本金 | 200億円 |
機関設計 | 指名委員会等設置会社 |
証券コード | 5076(東京証券取引所プライム市場) |
Vision | どこまでも、インフラサービスの自由が広がる世界。 |
Mission | インフラストラクチャー・ビジネスの既成概念に挑み、イノベーティブなアイデアで世界中に最適なサービスを提供する。 |
Value | 社会・地域の安全安心とサステナビリティ |
Ⅱ.経営環境認識
当社グループを取り巻く現状の経営環境については、以下のとおりと認識しています。
・今後、国内の新規建設の請負市場は、財政上の制約から縮小していくと予測
・その解決策として、官民連携によるインフラの維持管理・更新や新規建設の新たな市場が拡大すると予測
・さらにカーボンニュートラルに向けた政策推進により、再生可能エネルギー市場も急速に拡大すると予測
・担い手不足に対して、働き方改革、抜本的な生産性改革の推進が必須
・長期的な企業成長のためには、ESG経営の更なる推進、より高い水準のガバナンス体制が必須
・デジタル技術の急激な進展による社会変化の加速に対し、迅速かつ機動的な経営体制の確立が急務
Ⅲ.我々が目指す姿
当社グループが「目指す姿」は、以下のとおりです。
・外的要因に左右されずに持続的成長を実現するビジネスモデルの確立を目指し、インフラ運営の上流から下流までをワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」をグループ全体戦略として強力に推進する
・グループ各社のエンジニアリング力の集結と、積極的なM&Aによる事業領域の拡大により、競争力を早期に最大化し、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な新たな収益基盤」を確立する
・さらに、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により、迅速かつ適正な経営を実現し、「社会変化への対応力」を強化することで、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」を目指す
Ⅳ.戦略三本柱と重点施策
当社グループが「目指す姿」の実現のために戦略三本柱とそれぞれの主な重点施策の内容は、以下のとおりです。
・「生産性改革」:付加価値の最大化、固定費・管理コストの適正化、グループ金融戦略の推進
・「新たな収益基盤の確立」:インフラサービスにおける国内外での地位確立、事業領域のさらなる拡大
・「体質強化・改善」:グループ人材戦略の推進、ガバナンス強化
Ⅴ:経営目標数値
2024年度の目標数値は以下のとおりです。
| 2024年度目標 |
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| 2024年度までに |
売上高 | 8,750億円 |
| 自己株式の取得 | 400億円以上 |
事業利益 | 590億円 |
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当期利益 | 400億円 |
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(注)1.上記数値は、IFRSに基づいています。
2.自己株式の取得については、2021年度に200億円を上限とする取得、2022年度に100億円を上限とする取得が完了しています。また、当期においても100億円を上限とする自己株式の取得を行った結果、当期末までに中期経営計画で掲げた取得計画を前倒しで達成いたしました。
また、中長期経営計画『INFRONEER Vision 2030』において、マルチステークホルダーに対する付加価値分配方針を以下のとおり定めています。
マルチステークホルダーに対する付加価値分配
当社が生み出す付加価値を、社会からの要請に応えつつあらゆるステークホルダーへバランスよく配分することで、付加価値を最大化するサイクルを構築し、持続的な成長を実現していきます。
・人財投資:モチベーション向上や人財の成長や豊かさに繋がる従業員への還元策の推進
・成長投資・恒常的投資:安全で質の高いインフラサービス、M&A、IT・DX投資等への「攻めの投資」と、生産設備投資の最適化や重複資産の統廃合等の「守りの投資」の両輪により、付加価値を最大化
・事業パートナー(連携企業、協力会社など):パートナーのニーズに合わせて付加価値を分配し、競争力の強化、事業領域の拡大、経営の安定化、生産性向上をともに目指し、質の良い供給力・体制を確立
・株主・市場:タイムリーな情報開示や対話といった「定性的な還元」と、配当や資本政策に応じた戦略的自社株買い等の「定量的な還元」により、市場からの信頼を獲得し当社株価の継続的な上昇を目指す
2030年度の目標数値及び2021年度からの配当性向を以下のように定めています。
| 2030年度目標 |
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| 2021年度以降 |
事業利益 | 1,000億円以上 |
| 配当性向 | 30%以上 |
当期利益 | 700億円以上 |
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ROE | 12%以上 |
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(注)上記数値は、IFRSに基づいています。
(3) 会社の経営環境と対処すべき課題
今後の景気の見通しにつきましては、一部に足踏みがみられるものの、新型コロナウイルス感染症の5類移行により抑制されていた需要が顕在化したこと等に支えられ、総じて緩やかに回復していくことが期待されます。
しかしながら、ウクライナや中東地域をめぐる不安定な国際情勢の中、世界的な金融引き締めや為替相場の変動、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇等が当社グループの事業活動に及ぼす影響には今後も十分注意する必要があります。
当社グループを取り巻く経営環境においては、人口減少による税収減、高齢化の進展による社会保障費の増大により、国や地方公共団体の財政が今後ますます厳しくなる一方で、高度経済成長期に整備された膨大な数の社会インフラが一斉に老朽化していくため、新規建設はおろか、既存インフラの維持管理・更新への投資もままならない状況になると予想されます。また、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少の影響による担い手不足のさらなる深刻化や、デジタル化への変革、地球環境問題への対応等が不可避であることも考えると、建設産業においても従来の価値観が変わり、産業構造そのものが変化していくと考えられます。
このような状況の中、当社は、これらの社会課題の解決とグループ全体が永続的成長を遂げることを目的とし、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。
これまで以上に当社グループ間でのシナジーを向上させ、人材開発への積極的投資やIT・DX等のデジタルツールの活用拡大の推進、生産性の向上や新たな収益基盤の確立と収益力の向上、ガバナンスの強化・改善により経営のさらなる強化をグループ全体として推し進めていく所存です。
また、2024年1月31日に当社が子会社化した日本風力開発(株)については、同社が保有している風力発電事業に関するノウハウ、技術、ネットワークを含むケイパビリティや強みが十分に発揮され、当社グループのインフラ運営事業において当初期待したシナジーが生まれるよう、適切なPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)の実施、ガバナンス体制の構築に努めてまいります。
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