企業兼大株主アース製薬東証プライム:4985】「化学 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月25日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を掲げ、人々の健康と快適な生活の実現に真摯に向き合い、高品質な商品を提供し続けることで、社会と共に着実な成長を遂げております。また、経営理念の実現に向け、以下の行動様式(アースポリシー)及び価値観(アースバリュー)を定めております。

(アースポリシー)

 ・ お客様目線による市場創造

 ・ 熱意・創意・誠意

 ・ すぐやる・必ずやる・最後までやる

(アースバリュ-)

 ・ 全員参画

 ・ コミュニケーション

 ・ 人がすべて

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境を以下のように認識しております。

[家庭用品事業]

 国内においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行による行動制限の緩和などにより、社会・経済活動の正常化が進む一方、急速な為替変動、地政学リスクの高まりに起因する資源価格の高騰等は、2023年度も当社グループの事業に大きな影響を与えました。一部の資源価格は落ち着きの様相を見せているものの、当社グループの製品への影響は依然として継続するものと考えています。また、急激な物価高騰に対して消費者の節約志向は高い状態が続いており、当社グループへの影響を注視する必要があります。

 海外においては、中国ではゼロコロナ政策解除後の経済回復に弱さが見られ、先行きは不透明な状況が続くものと考えています。一方、東南アジアでは域内各国によってバラつきはあるものの、底堅い内需を下支えに経済成長が続くものと考え、当社グループの取り組みがマッチし、高い成長が期待されると推察しています。

[総合環境衛生事業]

主要な顧客層である食品関連業界をはじめ、医薬品関連業界、包材関連業界において異物混入対策などの衛生管理対策ニーズは高水準であり、全体的な事業環境は好調を持続すると考えています。しかし、労働人口の低下や物流の「2024年問題」、ウクライナの情勢不安の長期化などに起因するコストの高騰に伴い、これまで締結している契約内容の縮小もしくは解約を要望する顧客側の動きなど、事業成長を一時的に抑圧する要因も抱えています。

(3) 優先的に対処すべき課題

当社グループは経営理念「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」のもと、社会課題の解決と事業収益拡大の両立を中核に据えた2021年~2023年(3ヵ年)の中期経営計画「Act For SMILE - COMPASS 2023 -」を2021年2月に公表しております。事業環境の変化に対応すべく、当社グループは一丸となって取り組んでまいりましたが、当初掲げた利益目標には届かず、依然として収益性に課題を残しております。

 こうした状況の中、「グループの総力、アースの明日へ」をスローガンに掲げ、2026年度までの中期経営計画「Act For SMILE - COMPASS 2026 -」を策定し、2024年度よりスタートいたします。この3ヵ年は、グループ再編を中心とした抜本的な構造改革を行う期間と位置付け、変化の激しい事業環境の中でも持続的な成長を続けていくための変革を確実に実行してまいります。

① 家庭用品事業の課題
[収益構造改革]

コロナ禍における巣ごもり需要を背景に、虫ケア用品や入浴剤などの市場が拡大し、2020年12月期の業績は営業利益・フリーキャッシュフローともに2019年に比べて大幅に増加しました。こうした財務面での追い風を背景に当社グループにおいては、消費者の行動変容に対応するため、住居関連(住居用洗剤、除菌関連製品など)、介護用品などのカテゴリ拡張を進めてまいりました。

 一方で、急激な円安と相次ぐ原材料の高騰を受け、2023年は当社グループにおいても製品の販売価格改定を余儀なくされました。虫ケア用品については高い市場シェアを背景に当初見込んだとおりの結果となった反面、日用品の主要カテゴリである入浴剤・洗口液では、市場規模の縮小に伴い競争環境が激しくなる中、当社の市場シェアが低下傾向となり、価格改定施策の効果が想定どおりにはならなかったため、方針を見直しました。今後、注力カテゴリの選択と集中を行い、入浴剤・洗口液などへマーケティングの資源配分を高めブランド力・WTP(Willingness to Pay:支払意思額)向上による収益力強化を図ります。

 また、これまでも課題となっていた虫ケア用品の返品について、廃棄ロスの低減を目的として、2028年には返品をゼロとする方針を打ち出し、営業部門・SCM(サプライチェーンマネジメント)部門を中心に積極的に推進します。こうした取り組みにより環境負荷の低減はもちろん、廃棄費用の削減による利益率の改善を見込んでおります。

 このような収益構造改革の背景には、前中期経営計画期間中に構築した基幹システムが大きく貢献することが期待されます。生産管理から販売管理までを一元的にデータ連携したシステムにより需給調整機能を進化させ、欠品の防止と在庫の抑制を行い、スループットを拡大させ、キャッシュ・フローの改善を目指してまいります。さらに、前中期経営計画期間に整備した管理会計システムにより、月次ベースでの収益性の可視化を実現しており、目標に対するモニタリング体制を整え、早期の課題発見と軌道修正を行ってまいります。

[海外の売上拡大]

 前中期経営計画においても、「アジア収益基盤の拡大」を掲げ、ASEANを中心に積極的に事業を展開してまいりました。2023年度末において当社管理会計ベースでの海外売上高は175億円となっており、全体の売上の約1割を占める割合となっております。売上規模拡大に伴い、全体最適の視点で製品の供給を整えていく体制の整備が急務となっております。そのために、エリアごとの販売戦略を定め、中長期の販売計画を立案するとともに、M&A等を通して生産体制の構築を行ってまいります。

 海外事業においては、現地法人による積極展開と輸出ビジネスの2軸で展開してまいります。現地法人による積極展開について、タイでは2025年の目標としている虫ケア用品の市場シェアNo.1奪取を起点に消臭芳香剤・洗口液の市場浸透を進めてまいります。ベトナムでは市場の成長を背景に、虫ケア用品の新商品の投入や家庭用洗剤を軸にした納入店舗の拡充、市場シェアの拡大を目指します。一方で、前中期経営計画期間中に新たに進出したフィリピン・マレーシアについては販売ルートの開拓と事業基盤の構築を進めています。加えて、中国では市場減速の影響を受け、事業戦略の見直しが必要になっています。

 輸出については、現在の主要展開国・エリアである中東や台湾向けに加えて、北米での展開拡大を進めてまいります。

 こうした海外事業を推進していくために、ガバナンス強化が急務であり、マネジメント機能の充実と収益管理体制を構築してまいります。このような積極的な事業拡大を支えるためにグローバル人財の育成・採用に積極的に投資してまいります。

[グループ再編・ガバナンス強化]

 当社は積極的なM&Aを進めて、事業及び製品領域を拡大させてまいりました。一方で、グループ、国内外を跨いだコスト改革、シナジーについてはこれまでも取り組んでまいりましたが、十分な成果を創出することができませんでした。こうした状況を打破するため、全社最適の観点で変革をリードする「経営戦略本部」を設置いたしました。この体制のもと、機能強化と効率化の観点から抜本的な組織体制の見直しを行い、グループ全体でのガバナンス強化、成長分野へのリソースの再配分、撤退を視野に入れた不採算事業・資産の見直しを行ってまいります。

② 総合環境衛生事業の課題

 食品や医薬品、医療についての安全基準に対する国際的な調和の流れや、国内における法改正などを背景に、自社における衛生管理が強く求められております。こうした中、主要なお客様である食品関連業界や医薬品関連業界、包材関連業界においては、当社グループが専門的な知識や技術、ノウハウを提供する高品質な衛生管理サービスへのニーズは依然として高い状況です。

 こうした状況のもと、より高品質なサービスを提供するための体制づくりを行うとともに、今後の業容拡大に向けて、教育訓練用細胞培養加工施設の活用など彩都総合研究所(大阪府茨木市)を拠点とした研究・開発や人財育成、およびIoT・AIなどのデジタル技術を活用したサービスなど、お客様へのサービス向上、業務効率改善を目的とした投資を進めてまいります。また、農業分野への参入など、新事業開発に向けたプロジェクトを立ち上げ、事業計画の立案、検討を行ってまいります。

 以上の取り組みを進めることにより、新中期経営計画の最終年度である2026年は構造改革の成果の一部が顕在化し始めるものの、あくまで通過点であると認識しています。2024年~2026年の3ヵ年は準備期間と捉え、2027年以降の飛躍的な成長を目指してまいります。

③ 2026年定量目標

2026年12月期の定量目標を以下のとおりに定めました。

 なお、当該定量目標の各数値については、有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

 

2023年実績

2026年計画

増減

収益力

連結売上高

1,583億円

1,700億円

+117億円

 

(海外売上高)注

売上比率

175億円

11.1%

250億円

14.7%

+75億円

+3.6pt

 

営業利益

63.7億円

70億円

+6.3億円

 

営業利益率

4.0%

4.1%

+0.1pt

 

当期純利益

41.0億円

43.0億円

+2.0億円

資本効率

ROE

6.3%

7.2%

+0.9pt

 

ROIC

5.6%

5.4%

△0.2pt

 

WACC

4.6%

4.1%

△0.5pt

財務健全性

D/Eレシオ

0.15倍

0.3~0.4倍

 

株主還元

DOE

4.0%

4%台維持

 

(注)海外売上高は、当社管理会計ベースの数値であり、内部相殺取引などの連結調整は含みません。

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