アズビル 【東証プライム:6845】「電気機器」 へ投稿
企業概要
azbilグループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループの基幹事業であるオートメーション事業は、建物、工場、ライフラインといった領域の“空間の質”を向上させながら、資源・エネルギー使用量を適正に抑制することが可能であり、我々の事業を拡大することが地球環境負荷の低減に繋がります。持続可能な社会の実現のためには、資源・エネルギー使用量を適正に抑制する仕組みを構築する必要があり、昨今社会からその役割を一層強く期待されています。これは当社グループが事業を通じて、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献を実現することが可能であると同時に、持続可能な社会の実現への貢献が当社グループの持続的な成長に繋がることを意味します。
創業時の精神を引き継ぎ、以下のサステナビリティに関する方針を公表し、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献するよう引き続き取組みを行ってまいります。
azbilグループのサステナビリティの方針 創業時の精神である「人間の苦役からの解放」の考え方を、人間の幸福のために社会に貢献する価値観として受け継ぎ、グループ理念である「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、あらゆるステークホルダーと信頼関係を構築することにより継続的な企業価値の向上を図り「人々の安心、快適、達成感」 を実現するとともに、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献する |
(1)サステナビリティ経営の取組み
<ガバナンス>
azbilグループでは、サステナビリティ全般に関わる担当役員を据え、それぞれに設けた専門組織を事務局とし、「azbilグループCSR推進会議」及び「SDGs推進会議」を開催、これらの会議で確認された進捗状況・課題を取締役会・経営会議に報告しています。以下の図に示すとおり、グループ全体でサステナビリティの取組みを検討・推進する体制を整えております。
<戦略>
2030年度に向けた長期目標を掲げる当社グループは2022年8月に、脱炭素やコロナ禍等、社会の環境、ニーズが大きく変化する中、グループ理念を基に“機会”と“リスク”の両面から事業環境変化を勘案し、当社グループのマテリアリティとして、「長期にわたり取り組む重点課題」を特定しました。
今後は、特定した10の重点課題(以下、「マテリアリティ」とする)の更なる評価・優先度検証とそれぞれの目指す姿に向けて、サステナビリティ推進体制を通じて取組みを強化してまいります。
マテリアリティ | 達成を目指す姿 | |
環境 | 気候変動 | 脱炭素社会の実現に向けた環境課題への貢献 |
資源循環 | 地球環境に配慮した製品・サービスを通じた資源課題への貢献 | |
イノベーション | イノベーション | 安心・快適な社会に向けた新しいオートメーションの継続的な追求 |
社会 | サプライチェーン | サプライチェーンにおけるCSR価値(環境・人権等)の共有 |
地域社会への貢献 | 地域に根差した活動を通じ住み続けられる地域社会への貢献 | |
人材 | 人権・安全・健康 | 「人を中心」とした価値観に基づく企業活動、健幸経営の推進 |
学習と人材育成 | 「学習する企業体」の企業風土の醸成と教育基盤の強化 | |
ガバナンス | 商品安全・品質 | お客様の安全・安心を第一とする高品質な製品・サービスの提供 |
コーポレート・ガバナンス | 透明性の高い経営を通じた企業価値の継続的向上 | |
コンプライアンス | 高い企業倫理に基づく社会的責任の遂行 |
<リスク管理>
当社グループは、2022年8月、次の図表のようにマテリアリティを特定しました。グループ理念を基に、STEP1として各種ガイドライン等を踏まえ考慮すべき社会課題を網羅的に特定、STEP2では“機会”として長期目標・中期経営計画、“リスク”としてリスクマネジメントの見直しプロセスを通じて優先順位付けを実施、STEP3で投資家、ステークホルダーとの対話や取締役会での議論等を通じて妥当性を確認しています。
そのリスク管理においては、毎四半期、部門の責任者等をメンバーとして開催される「azbilグループCSR推進会議」において、リスクマネジメントの推進状況について確認・検討を行っています。また、半期に一度、リスク管理担当役員を統括責任者、経営層をメンバーとして開催する「総合リスク委員会」にて、一連のリスクマネジメント活動に対して経営層による状況確認と方針決定を行います。具体的には「3 事業等のリスク」に記載のとおり評価しております。
機会管理においては、原則毎月経営層が実施する「全社事業検討会」において、中期経営計画に基づきマテリアリティを含む幅広いテーマについての状況や課題を共有し、着実な実行に向けて議論等を行うことで、戦略的な事業展開に繋げています。
また、引き続きステークホルダーの皆様との対話の機会を随時設け、その意見を企業活動にフィードバックすることで、活動の実効性を高めています。
<指標及び目標>
当社グループでは、持続的な向上や改善を目指し続けるマテリアリティについて、次表のように特に4つに区分したSDGs(Sustainable Development Goals-持続可能な開発目標)の領域において、指標及び目標を「azbilグループSDGs目標」として具体的に定めております。事業として取り組む領域を「環境・エネルギー」、「新オートメーション」の2つ、また企業活動全体で取り組む領域では「サプライチェーン、社会的責任」、「健幸経営、学習する企業体」の2つに区分し、これらをazbilグループのサステナビリティの方針の重要な道標と位置付け、様々な活動を進めております。
他方、マテリアリティのうち、企業が社会に存立する上で果たさなければならない基本的責務である商品安全・品質、コンプライアンスについては、前掲の「azbilグループCSR推進会議」において、リスク管理に加え各部門で設定したCSR活動計画の策定・進捗確認を行うことで、その維持・向上に取り組んでおります。また、コーポレート・ガバナンスについては、昨年、指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役を過半数とする取締役会及び3つの法定委員会の体制のもと、適切な監督と実効性の向上を図っております。
「マテリアリティ」と「azbilグループSDGs目標」
マテリアリティ |
| azbilグループSDGs目標 | ||||
| 基本目標 | ターゲット | ||||
環境 | 気候変動 |
| Ⅰ | 協創による地球環境とエネルギー課題の解決への貢献 | 環境・エネルギー | エネルギー課題の解決(脱炭素社会に向けて) ◆ お客様の現場におけるCO2 削減効果340万トン/年 ◆ 事業活動に伴うGHG※1排出量を55%削減※2 ◆ サプライチェーン全体のGHG 排出量を20%削減※3 環境課題への貢献(環境統合型経営※4の実現) ◆ 地球環境に配慮した商品・サービスの創出・提供 - 全ての新製品をazbilグループ独自のサステナブルな設計※5とする ◆ 天然資源※6の有効活用と廃棄物発生量の削減 - 全ての新製品を100%リサイクル可能な設計※7とする |
資源循環 |
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イノベーション | イノベーション |
| Ⅱ | 新たなオートメーションによる持続可能な生産現場・職場環境、安心・快適な社会の実現 | 新オートメーション | お客様の持続可能な生産現場・職場環境、さらなる安心・快適・達成感の実現に向け、生産空間・居住空間(ビル建物)・生活空間における「計測の高度化」、「データ化」、「自律化」などにより、社会が求める時々の課題を解決、付加価値を創出 ◆ 2030年に延べ8,000事業所※8で事業環境変化に強い状態を実現 ◆ 2030年に延べ600万人※9にストレスフリー、多様な働き方につながる環境を提供 事業環境変化に強いオートメーションの実現 - 内的環境変化(設備不調、原材料品質など)による影響の予測・診断と自律的意思決定・制御 - 外的環境変化(自然災害、社会情勢など)による影響の予測・診断と自律的意思決定・制御 ストレスフリーな職場環境の実現 - データに基づく作業支援による作業ミス・計画外作業の低減など - 労働生産性向上となる「快適かつ省エネ」環境の構築 多様な働き方につながる環境の実現 - 時間や場所に合わせた最適な就労環境の構築 - 年齢や性別、スキルなどによらない就労環境の構築 |
社会 | サプライチェーン |
| Ⅲ | サプライチェーンにおける社会的責任の遂行と地域・社会への貢献 | サプライチェーン、 社会的責任 | お客様、お取引先様と共に社会的責任を果たす(価値共有を目指したアズビルCSR 活動の拡充) ◆ お取引先様と共に、SDGsを共通目的として連携し、サプライチェーンにおけるCSRの価値共有を実現 地域活性への貢献(事業拠点を軸とした社会貢献) ◆ 地域に根差した社会貢献活動をすべての事業所※10において実施し、社員一人ひとりが積極的に参加※11 |
地域社会への貢献 |
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人材 | 人権・安全・健康 |
| Ⅳ | 健幸経営と永続的な学習による社会課題解決の基盤強化 | 健幸経営、 学習する企業体 | 健幸経営(働きがい、健康、ダイバーシティ&インクルージョン)の実現(柔軟な働き方と総労働時間削減、社員の心身の健康の維持・増進、多様な人材が能力発揮できる場づくり) ◆ azbilグループで働くことに満足している社員65%以上 ◆ 2024年までに女性活躍ポイント※12を2倍にする(2017年比) 学習する企業体の発展・強化(グローバルに活躍する人材の継続的育成とステークホルダーと共に学ぶ機会の拡大) ◆ 一年間で仕事を通じて成長を実感する社員65%以上 ◆ 2024年までに研鑽機会ポイント※13を2倍にする(2012年比) |
学習と人材育成 |
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ガバナンス | 商品安全・品質 |
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(企業が社会に存立する上で果たさなければならない基本的責務) * 商品安全・品質、コンプライアンスについては、「azbilグループCSR推進会議」において、部門毎に業務に直結した指標及び目標をCSR活動計画として設定 * コーポレート・ガバナンスについては、昨年、指名委員会等設置会社へ移行し、社外取締役を過半数とする取締役会及び3つの法定委員会の体制のもと、適切な監督と実効性を確保 | |||
コーポレート・ガバナンス |
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コンプライアンス |
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※1 温室効果ガス(CO2 など) ※2 2017年基準 ※3 2017年基準
※4 脱炭素化・資源循環・生物多様性保全等の幅広い環境活動が統合的に事業に取り込まれた経営
※5 地球規模の環境課題(脱炭素化、資源循環、生物多様性保全)解決に貢献する製品の創出・提供を目指した設計
※6 天然に存在して、人間の生活や生産活動に利用しうる物資・エネルギーの総称
※7 BAT(Best Available Technology:経済的および技術的に実行可能な最も効果的な技術)の範囲
※8 2022年4月時点で530事業所で稼働。2030年には15倍の8,000事業所を目指す
※9 2022年4月時点で60万人に提供。2030年には10倍の600万人への提供を目指す
※10 国内・海外を含む全事業所 ※11 azbilグループ社員数規模の参加を目指す
※12 女性の役員、役職者、管理職など役割に応じたウエイトをつけて独自に集計したポイント
※13 社内外のステークホルダーとともに学ぶ機会(回数および参加人員数)を独自に集計したポイント
(2)重要なサステナビリティ項目
グループ理念である「人を中心としたオートメーション」の実践を通じて、地球環境に貢献し、持続可能な社会へ「直列」に貢献することを目指すazbilグループにおいて、前述のサステナビリティ経営の取組みにおけるガバナンス及びリスク管理を通して識別された、重要なサステナビリティ項目は、マテリアリティである、以下の「気候変動」であり、またその企業価値の創造の源泉となる「人材」を資本として捉える「人的資本」です。
「気候変動」に対しては、製品・サービス・ソリューションの提供を通じて、お客様の現場におけるCO2削減に取り組むことで、持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献と当社グループの持続的な成長を実現してまいります。また、「気候変動」に対応した3つの成長事業領域をはじめとし、当社グループの価値創造の原動力となる「人的資本」の投資についても強化してまいります。具体的には、事業の成長及びそれを支える全社機能に対して人員計画に基づく着実な採用、適材適所の配置、及び人材育成を積極的に実施することで、サステナビリティ経営の実現を長期的に支えてまいります。
①気候変動への対応(TCFD提言への取組み)
azbilグループは2019年11月、気候変動が事業活動に与える影響を正しく把握し、適切に開示するという気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言内容に賛同いたしました。賛同表明後、気温上昇のシナリオに基づいた各事業の機会とリスクの双方を検討した結果、CO2削減に貢献する事業活動の機会がリスクを大きく上回ると認識しております。今後も、TCFDの提言に沿った形で、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標について、継続的に開示を進めてまいります。
<ガバナンス>
気候変動は、グループ理念に基づいて経営を行ううえでの最重要課題の一つと認識し、担当役員を統括責任者としたグループ横断的なタスクフォースを組成、事業影響と財務的影響開示の視点から経営会議で審議し、その内容は取締役会で適切に監督しております。
<戦略>
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)、国際エネルギー機関(IEA)や各種機関からの情報を基に、2℃未満シナリオ(脱炭素社会に向けた規制強化や技術革新が促され、気温上昇が持続可能な範囲で収まるシナリオ)と4℃シナリオ(温室効果ガス排出を削減する有効な対策が打ち出されず、気温上昇が継続し、異常気象や自然災害が増大するシナリオ)の2つのシナリオで、2030年までの長期的な当社グループの事業上の機会やリスクを特定しています。
機会とリスクの開示
種類 | シナリオ | ビルディングオートメーション事業 | アドバンスオートメーション事業 | ライフオートメーション事業 |
機会 | 2℃未満 | 世の中のニーズにあわせた省エネルギー・省CO2ソリューションやサービスの需要拡大等 | 環境影響を軽減する新しい産業・プロセスに向けた、センサ・各種計測器、ソリューション等への需要が増加 | IoT技術を活用したガスメータ活用によるSMaaS事業の拡大等 |
4℃ | 気象災害に適応した建物に向けた製品・サービス・ソリューションの需要の増加等 | 異常予知機能を具備した製品・サービス・ソリューションへの需要の増加等 | 気象災害に適応した製品・サービス・ソリューションへの需要の増加等 |
種類 | シナリオ | 概要 |
移行 リスク | 2℃未満 | ・新たな規制にあわせた新製品やサービス開発のコスト増加 ・エネルギー価格上昇による製造・調達コストの増加 ・炭素税導入などコスト負担増に伴うお客様の従来型設備投資の減退 |
物理 リスク | 4℃ | ・異常気象による操業停止、製品・サービス・ソリューション提供の休止 ・異常気象による事業不安定化に伴う、お客様の投資の大幅な減少 |
気温上昇のシナリオに基づいた各事業の機会とリスクの双方を検討した結果、CO2削減に貢献する事業活動の機会がリスクを大きく上回ると認識しております。
リスクを抑制し、機会を拡大するため、当社グループでは、「自らの事業活動における環境負荷低減」を進めるとともに、それらの取組みを通じて得られる技術・ノウハウを活かし、計測と制御の技術を駆使してお客様の環境に関わる課題解決を支援することで「本業を通じた地球環境への貢献」を推進し、持続可能な社会の実現へと繋げてまいります。
(注)当社グループの財務計画等に及ぼす影響と対策の詳細については、ホームページにて掲載を行っている「TCFD ~ 気候変動の影響の把握と開示の取組み(https://www.azbil.com/jp/csr/basic/tcfd.html)」をご覧ください。
<リスク管理>
気候変動に関する主なリスクは、2(1)サステナビリティ経営の取組みに記載の<ガバナンス>のサステナビリティ推進体制のもと、経営に重大な影響を与える可能性のあるリスクについて、気候変動を含めて網羅的に管理しています。具体的には、①部門責任者等で構成される「総合リスク管理部会」でリスクを抽出・分析したのち、②リスク管理担当役員が統括責任者を務める「総合リスク委員会」で「azbilグループ重要リスク」を特定し、取締役会にて審議・決定しております。
<指標及び目標>
持続可能な社会へ「直列」に繋がる事業活動により、当社グループのお客様、及び当社グループとサプライチェーン全体を視野に入れた指標及び目標をazbilグループSDGs目標として掲げて、気候変動への取組みを推進しております。このazbilグループSDGs目標の達成に向けて、経営会議で年度毎の実行目標設定と進捗確認を行い、取締役会で報告を行っております。また、状況変化や課題に対しては経営会議等で対策を適宜検討・立案し、実効性を高めております。
・お客様の現場におけるCO2削減効果を2030年度に340万トンまで拡大することを目標としております。
・当社グループの事業活動に伴う温室効果ガス(GHG)※1の排出量(スコープ1+2※2)を2050 年に実質ゼロにすることを目指す「2050年 温室効果ガス排出削減長期ビジョン」を策定し、カーボンニュートラルの実現を目指しております。この達成に向けた中間目標として、「2030年 温室効果ガス(GHG)排出削減目標」を定め、サプライチェーン全体での排出量削減に取り組んでおります。
・2021年度の事業活動に伴うGHG排出量(スコープ1+2)は1.9万トン※3で2017年度比27%削減となりました。
なお、2022年度のGHG排出量(スコープ1+2)は、確定後、「azbil ESGデータブック2023(https://www.azbil.com/jp/ir/library/esg/index.html)」に公開します。
《2030年 温室効果ガス(GHG)排出削減目標》
事業活動に伴うGHG排出量(スコープ1+2) 55%削減(2017年基準)
サプライチェーン全体のGHG排出量(スコープ3※2)を20%削減(2017年基準)
※1 温室効果ガス(GHG=Greenhouse Gas):大気圏にあって、地表から放射された赤外線の一部を吸収することにより、温室効果をもたらす気体の総称
※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
スコープ3:事業者の活動に関連する他社の排出(スコープ1、スコープ2以外の間接排出)
※3 集計範囲:アズビル株式会社、国内連結子会社及び海外主要生産拠点(グループ全体のGHG排出量95%以上に該当)
②人的資本
azbilグループでは人材を「資本」として捉えており、「社員は重要な財産であり、新たな企業文化と企業価値の創造の源泉である」という普遍の考え方をベースに、当社グループが常に世の中に価値ある存在として継続的な成長を図り、持続可能な社会の実現に「直列」に貢献できるよう、人的資本を強化しております。今後の技術発展や社会情勢の新たな展開等に誘発される事業構造の変化に対応し、長期目標、中期経営計画の達成に向けて、様々なバックグラウンドに基づく多様な価値観を有する人材を採用し、社員が長期にわたって活躍できるよう人事制度を整えるとともに、「学習する企業体」として変化に柔軟に対応する人材を育成し、適材適所の配置を進めています。 10,000人を超える当社グループ社員が、これら人事戦略、人事施策のもとで能力を発揮し、イノベーションを起こし、生産性を一層高めることで、持続的な企業価値向上へと繋げています。
<ガバナンス>
当社グループの人事戦略及び人事施策は経営会議にて議論を行い、その実現に向け、人件費や人的資本強化に関する経費等の予算を含む人的資本への投資計画を取締役会で審議・承認しております。人事戦略及び人事施策並びに人的資本の投資計画に基づき実施される、人的資本強化の主要テーマである健幸経営の取組みや多様性の確保、及び人材育成に関わる進捗状況は毎年経営会議にて確認するとともに、その方向性を取締役会等の場でも活発に議論を行うことで、人的資本価値向上に関わる実行状況を適切に監督しております。
(人材育成の推進体制)
※アズビル・アカデミー:「学習する企業体」への変革を目指し2012年に設立された人材育成の専門機関
<戦略>
当社グループは、働き方改革とダイバーシティ推進を両輪とする、多様な社員が健康で活き活きと能力を発揮するための総合的な取組みを「健幸経営」と定義し、社員が働きやすい環境を整備するとともに、人材育成の専門機関であるアズビル・アカデミーを中心に「人材から人財(全ての社員が“財”をもつ人財)」へと育成するなど人的資本強化を進めるほか、長期目標・中期経営計画達成に向けて、3つの成長事業領域への人材投資を行っております。
a.3つの成長事業領域への人的資本投資
社会や産業等、様々な環境の変化から生まれた新たなニーズに対応し、社会・お客様とともに成長していくために、当社グループは、「オートメーション技術を共通基盤とした3つの成長事業領域」を柱にビジネスモデルの「変革」を推進していますが、それぞれの成長事業領域を手掛けることができるのは、1世紀余りにわたってオートメーション事業に従事し、社会・お客様の現場で、数多くのデータ、ノウハウを蓄積し、人を中心とした空間の最適化を構想から設計、施工、据付、エンジニアリング、メンテナンスまでを一貫して追求してきた当社グループならではの事業価値といえます。これら当社グループが強みをもつ3つの成長事業領域「新オートメーション事業」「環境・エネルギー事業」「ライフサイクル型事業」を推進するために、さらに必要なリソースとしての人材要件を整理し、事業戦略にあわせた人的資本投資を進めています。
新たな課題を新製品・サービスで解決する「新オートメーション事業」では国内外に通じた先端技術開発が必要であり、タレントマネジメントシステムを活用した技術者の育成と最適配置、専門人材の採用、大学や研究機関との共同研究・開発、及び共同研究先への派遣等による育成強化を図っています。
省エネルギー・再生可能エネルギー領域での実績に基づく強みを発揮していく「環境・エネルギー事業」ではカーボンニュートラルを実現するエンジニアの育成が必要であり、エンジニアリング力と再生可能エネルギーに関する知見を一層高めるため、提携企業との人材の相互交流を通じた育成を進めているほか、社内認定制度をクリアした技術プロフェッショナルやマイスターがエンジニアリング力強化をリードしてまいります。
顧客資産を長期にわたってサポートしていく「ライフサイクル型事業」においては、ネットワークを活用した高付加価値サービスを提供していくにあたってDXによるエンジニアリング・サービス力の強化、グローバル人材強化が必要であり、生産からサービスメンテナンス、エンジニアリング、それを支えるスタッフ部門など広範にわたり、LMS(Learning Management System)によるDX教育等を通じたリスキリングを進めています。
b.人材育成に関する考え方と取組み
当社グループの持続可能な社会へ「直列」に繋がる事業活動を継続していくために、人材育成の専門機関であるアズビル・アカデミーを中心に「人材育成の基本理念」にそって、「①仕事のプロとしてチームワークで協働」、「②一流を目指す強い意欲と挑戦」、「③高い志と倫理観、国際感覚」を求める人材像に掲げ、「学習する企業体」としての取り組みを進めています。
《人材育成の基本理念》
1.azbilグループ成長の源泉は人材であり、人材の成長なくしてazbilグループの成長はありえない
2.そのため、社員力と組織力の最大化を目指して、
①個人:自己の成長、能力開発に最大の責任を持つ
②上司:職場における部下の能力開発に責任を持つ
③会社:公平な機会提供を通じ個人と組織を支援する
お客様の現場で課題を把握し、最適なソリューションをお届けするには、高い技能・豊富な知識をもったエンジニアが要となります。例えば、IoT・AI時代を見据えた次世代のエンジニアを育成するために、最新の技術動向や実践例を含めた技術者育成プログラムを策定。付加価値の高いソフトウエアや高度なエンジニアリング・サービスの実現に必要な知識と技術力の強化を図っています。
アズビル・アカデミーを通じて他にも各種研修やLMSを整備するほか、多様な人材が活躍するための人材育成施策を推進しています。2017年度に立ち上げたダイバーシティ推進タスクにより、女性のほか外国人社員、中途採用者など様々なバックグラウンド・価値観を有する人材が活躍できるよう、リーダー育成、職場風土改革、多様な働き方の検討・導入等の取組みが進んでいます。
c.社内環境整備に関する取組み
「azbilグループ健幸宣言」において、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言しており、多様な人材が各々の社会的、身体的特徴、思想や価値観の違いを認め合い、活躍する機会を尊重しています。
《azbilグループ健幸宣言》
azbilグループは、社員ひとりひとりの健康が企業活動の重要な基盤であるととらえ、会社で働くすべての人々が安心・安全で、快適に、活き活きと、自分らしく健やかに働き、それぞれが持つ多様な能力を発揮し、公私ともに充実した人生を送ることが、生産性や業績の向上、イノベーション、社会への貢献につながると考えています。健幸な「働きの場と人」を創るために、会社とそこで働く社員が協働し、快適で働きやすい職場環境づくり、心身の健康づくりに積極的に取り組むことを宣言します。
社員が活き活きと自分らしく働くことができるようにするためには、快適で働きやすい職場環境が必要であり、社員一人ひとりの繋がりを高めるコミュニケーション施策を展開することで、エンゲージメント(会社への愛着や仕事のやりがい)向上にも繋がっています。社長自ら国内外のazbilグループ社員と対談を行う機会を設け、自由闊達な双方向でのコミュニケーションを行うとともに、その内容を社内ホームページ等で共有することで繋がりを高めているほか、若手社員を中心とするCoP(Community of Practice:特定のテーマについて問題意識、熱意ある社員が集まり、交流を通して自らの知識と専門性を深める活動)により、事業上の課題や業務の改善についての議論とその実践を図るなど、様々な取組みを行っています。
人事制度においても「永続的な人材の育成」「人材の能力発揮の最大化」「社員の生活の充実と人材の確保」をコンセプトとし、年齢、国籍、性別等に関わらず、能力発揮度合いに基づく公正な評価と処遇・登用を行うことで多様な人材の活躍を支えています。また、育児・介護をはじめとする様々なライフイベントがあっても仕事と両立できるよう、勤務地域限定制度、短時間・短日数勤務等の柔軟な勤務制度、配偶者の海外転勤に伴う帯同休職制度など、生涯を通じて長期にわたりアズビルで活躍できるよう、制度拡充を進めてきました。
ほかにも、社員一人ひとりが“企業価値向上”を意識して日々の“働き”を創造し、企業理念を実践することにより、会社とともに自己成長、発展していくことを期待し、退職後の生活の一助となることを目的とした社員向け「株式給付制度(J-ESOP)※4」や、同じく会社と社員が一体となって業績向上に努めることで、社員の長期的な資産形成の一助となることを目的とした「社員持株会」及び社員持株会を通じて中長期的な企業価値向上時のメリット付与を行う「信託型従業員持株インセンティブ・プラン(E-Ship®)※5」を導入するなど、福利厚生も含めた環境整備に努めています。
※4 J-ESOP:社員に対し個人の貢献度等を勘案して計算されるポイントを付与し、一定の条件により受給権の取得をしたときに当該付与ポイントに相当する当社株式を給付する制度。社員に対し給付する株式は、予め信託設定した金銭により将来分も含め取得(2017年5月に制度開始、信託期間(10年)中で、取得時の価額で約40億円の自社株式を付与予定)している。
※5 E-Ship:予め信託設定した期間(3年)にわたり持株会が取得すると見込まれる数の当社株式を信託が予め取得(2022年5月に制度開始、取得時の価額で約48億円の自社株式を取得)し、その後、信託から持株会に対して継続的に当社株式の売却が行われるとともに、信託終了時点で従持信託内に株式売却益相当額が累積した場合には、当該株式売却益相当額が残余財産として受益者適格要件を満たす者に分配される制度。
<リスク管理>
人的資本に関する機会の評価は、原則毎月開催される全社事業検討会及び年4回開催されるazbilグループ社長会等の場を通じて中長期の人員計画を検討するとともに健幸経営、働きの創造や人材育成など広範にわたる内容についてazbilグループCSR推進会議で社内外の状況確認と議論を行い、各部門、各社取り組みの好事例を横展開するなど人的資本強化の機会を捉えた活動へと繋げています。
また、人的資本に関するリスクは、「3事業等のリスク」に記載のとおり評価されております。リスク全般に関わる担当役員が議長を務める「azbilグループCSR推進会議」が四半期に1回開催され、対策に関する進捗状況・課題について確認・管理しているとともに、その内容は取締役会・経営会議に報告しています。
<指標及び目標>
人材育成及び社内環境整備については、2030年度に向けたazbilグループSDGs目標として「一年間で仕事を通じて成長を実感する社員の比率65%以上」「azbilグループで働くことに満足している社員の比率65%以上」を掲げております。
それぞれの状況は、毎年の社員満足度調査を通じて確認することとしており、2022年度に国内azbilグループ社員に実施した調査により、「一年間で仕事を通じて成長を実感する」社員は59%、「azbilグループで働くことに満足している」社員は58%であることを確認しています。
目標達成に向けて、全ての社員が活躍できるようダイバーシティ&インクルージョンの取組みを推進するとともに、働きの創造(働く環境の整備と学習する機会の提供)に取り組んでおり、それぞれazbilグループSDGs目標のターゲットの位置付けで、2024年度に女性活躍推進ポイント※6を2017年度比で2倍にすること、研鑽機会ポイント※7を2012年度比で2倍にすることを掲げております。2022年度時点でいずれも目標値に近い成果が得られていることを確認しており、2030年度に向け、azbilグループSDGs目標及びターゲットともに社員満足度調査結果を分析することで各部門、年代、職種毎の課題を把握し、取組み計画に反映するとともに改善を行うことで、更なる人材育成、社員の働きがい向上へと繋げております。
なお、女性管理職比率、男性育児休業取得率、男女間賃金格差等は、今後も多様な人材を確保していくうえで重要な指標であると認識しており、これらについての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況」に記載しております。
※6 女性活躍推進ポイント:女性の役員、役職者、管理職など役割に応じたウエイトをつけて独自に集計したポイント
※7 研鑽の機会ポイント:社内外のステークホルダーとともに学ぶ機会(回数及び参加人員数)を独自に集計したポイント
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