アイカ工業 【東証プライム:4206】「化学」 へ投稿
企業概要
本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針
当社グループは、「挑戦と創造」を社是とし、「共生の理念のもと、たえざる革新により新しい価値を創造し、社会に貢献していく」ことを経営理念に掲げ、その下に「経営方針」「サステナビリティ方針」「行動規範」「アイカ10年ビジョン」「中期経営計画」「単年度会社方針」を定めています。
「経営方針」は、以下の7項目で構成されており、様々な戦略の策定における基盤、指針となっています。
1. 化学とデザイン
化学とデザインの力で独創性のある商品をつくり、豊かな社会の実現に貢献します。
2. グループシナジー
技術・素材連携やチャネル活用を追求し、グループシナジーを創出します。
3. No.1
事業分野や地域におけるNo.1商品を拡充します。
4. グローバル
海外における生産・販売拠点と人材の充実を図り、グローバル市場で持続的な成長を目指します。
5. 人材と組織
人材を最も重要な経営資源と捉え、相互理解と成長を通じ、活力あふれる人材・組織を形成します。
6. コンプライアンス経営
法令や社会秩序を守り、公正で透明性の高いコンプライアンス経営を実践します。
7. 安心・安全への約束
ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、「信頼される品質の確保」や「環境に配慮した事業活動」を推進します。
(2)経営環境
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類感染症に移行し、経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。
国内建設市場においては、住宅着工戸数は、持家やマンションなどが減少し、前年を下回りました。非住宅関連においては、店舗、工場、倉庫などの着工面積が減少し、前年を下回りました。
アジア・オセアニア地域の経済につきましては、中国では景気の回復に減速感が見られましたが、その他の地域では好調に推移しました。しかしながら、原材料価格の高止まりに加え、円安の進行や世界的な金融引き締めによる景気への影響など、国内外ともに先行きは不透明な状況で推移しました。
翌連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、日本国内においては、賃金の上昇率が高水準となり消費者マインドが向上することにより、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方、不安定な国際情勢、原材料価格やエネルギーコストの高騰、金利・為替の変動による経済への影響等、引き続き、不透明な状況が続くと予想されます。
国内建設市場につきましては、住宅着工は前年と同水準で推移し、非住宅建設市場は堅調に推移する見通しですが、住宅取得マインドの低下や国内外の金利政策の変化による影響が懸念されます。
アジア・オセアニア地域の経済につきましては、各国政府の政策の下支えにより前年を上回る成長率が期待できますが、欧米の景気失速による影響、中国の不動産市場の回復動向などに留意してまいります。なお、利益面においては、原材料価格が上昇した場合や過度な為替変動が生じた場合には、収益を圧迫する懸念があります。
このような環境の中、当社グループでは引き続き中期経営計画「Value Creation 3000 & 300」の方針に基づき、収益性の改善、成長事業の創出・育成、および気候変動対応や人的資本をはじめとした健全な経営基盤の構築に取組み、当社グループの持続的な成長とより一層の企業価値向上に努めてまいります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①収益性・成長性の実績と将来像
化成品国内・化成品海外・建装建材国内・建装建材海外の4つのマーケットにおけるそれぞれの課題を認識した上で、メリハリの効いた投資配分を行うとともに、適時適切に事業ポートフォリオを見直し、中期経営計画およびアイカ10年ビジョンの財務目標の達成に向けてさらに収益性を高めつつ、成長スピードを加速させます。
化成品国内は、市場が成熟している上、近年の原材料価格の高騰により、収益性・成長性ともに低く、課題があることを確認しております。化成品海外は、償却が完了していない投資が多いため収益性・成長性ともに停滞感が見られますが、これまで行ってきた投資の効果がますます高まることによる改善を見込んでいます。建装建材国内は、高い収益性を保持しており、当社の収益性の柱となっています。建装建材海外は、M&Aの効果もあり高い成長性を維持しているものの、利益率は向上の余地があります。
②収益性の改善
当社グループの今中期経営計画期間の最大の課題は、収益性の改善です。持続的に成長するためには、環境変化に強い筋肉質な体制を構築する必要があると考えています。持続的な利益創出力を重視する企業風土の醸成にさらに注力していくと同時に、商品ミックスの改善、コストダウンの推進、適正な売価設定、生産の最適化・効率化などを実行することで競争力を高めます。
化成品国内は、汎用品の比率が高く競合企業が多いため、収益面で課題を抱えています。改善に向けて樹脂ごとの採算管理を強化して選択と集中による構造改革を進めるとともに、付加価値の高いAS商品※1の開発・拡販に経営資源を集中します。収益の柱である建装建材国内については、顧客のニーズを捉えたことで確立した高収益なビジネスモデルを維持しつつ、そのノウハウ・技術を周辺領域に展開し新たな商品分野を開拓することで差別化を図ります。また、利益率が高く、トップシェア商品であるメラミン化粧板やセラールのシェアをさらに拡大し、商品ミックスを改善します。海外については化成品・建装建材ともに今後も伸長が期待できる市場であり、製造能力を増強してシェア拡大を図ります。特に化成品海外においては、アイカの強みが発揮できるフェノール樹脂やホットメルトなどの高付加価値商品を拡大させるとともに、原材料調達のグループシナジーを向上させることで収益性を引き上げます。建装建材海外は、日本からの技術移植や日本・中国・タイ・インドネシア・ベトナム・インドにおける生産拠点の最適化を推進し、グループシナジーを最大化します。また、成長が見込まれるハイエンド市場での差別化戦略を遂行し、各国における化粧板のシェア拡大を図ります。
③成長事業の創出・育成
企業の持続的な成長のためには、常に成長事業を創出し、ポートフォリオを組み替えていく必要があります。社会課題の解決や未開拓市場への進出・育成に注力し、化成品・建装建材、国内・海外ともに、バランスよく成長事業を創出し、持続的な成長基盤を構築します。
化成品セグメントにおいては、国内木工・家具市場の縮小、国内建設市場への依存などの課題を克服するため、成長市場である非建設分野と海外事業に引き続き注力します。創業以来、木工・家具、建設・施工市場で培った接着・接合技術を応用し、成長が見込める自動車、電子材料市場などの非建設分野のさらなる開拓を推し進めます。また、海外においては、投資効果やグループシナジーの最大化を図るとともに、現地のニーズを捉えた新商品を投入することで、経済成長が期待できるアジアの需要を取り込み、飛躍的な成長を目指します。
建装建材セグメントにおいては、国内・海外双方においてそれぞれの課題に応じた成長戦略を遂行します。メラミン化粧板国内トップシェアメーカーであるからこそ保有している技術資本・製造資本を最大限活用して市場の変化に柔軟に対応し、ニーズに即してポートフォリオを組み替えながら成長していきます。
国内では、建設市場の縮小を見据えて、壁・床・天井など現場施工型商品の開発・拡販をさらに加速させます。木工・家具用のメラミン化粧板の技術を壁用のセラールに展開して市場の獲得に成功した経験を活かし、既存商品の用途をさらに広げることで、近年進出した床・天井市場でブランドを確立し、高収益ビジネスの拡大を図ります。海外では、経済発展に伴い高意匠化・高品質化が進むアジア市場に対して、日本のメラミン化粧板・セラール・加工品等の技術を展開することで、スピード感を持って事業拡大を図ります。積極的な投資を行い、生産拠点を最適な形へ整備することでアジア市場の需要を着実に取り込み、国内事業を上回る高い成長率で海外事業を拡大していきます。
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