みずほフィナンシャルグループ 【東証プライム:8411】「銀行業」 へ投稿
企業概要
〈みずほ〉は、サステナビリティを「環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄、ならびに〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長」と定義しています。 サステナビリティへの取り組みを進めることで、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を実現し、SDGs達成に貢献していくことをめざしています。
本項では、初めにサステナビリティ全般に関し、「ガバナンス」「リスク管理」として経営管理の枠組み、「戦略」としてマテリアリティへの取り組み概要を説明した後、個別テーマである気候変動と人的資本に関する具体的な「戦略」「指標・目標」を概説いたします。
なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
1.サステナビリティ全般に関するガバナンス、リスク管理、戦略
(1)ガバナンス
当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は、有価証券報告書「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りです。マテリアリティへの対応をはじめとしたサステナビリティへの取り組みについても、この体制のもとで運営しております。
取締役会においては、サステナビリティへの取り組みに関する基本方針等の決定ならびに取締役及び執行役の職務の執行の監督を行っています。
執行においては、経営会議で、サステナビリティに関連する業務執行に関する重要な事項を審議しております。また、経営政策委員会等にて、サステナビリティに関連する全社的な諸課題やグループのビジネス戦略上重要な事項について、総合的に審議・調整を行っております。加えて、執行役社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会では、特に気候変動への対応や人権尊重等の環境・社会課題に関する取り組み等に関して、審議・調整を行っております。また、人材戦略会議やダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進委員会において、人的資本経営に必要な人材育成方針や社内環境整備方針等の協議、周知徹底、推進を行っております。
(2)リスク管理
当社グループは、事業戦略・財務戦略とリスク管理の一体運営を通じて企業価値の向上を実現する観点から、リスクアペタイト・フレームワーク(RAF)を導入しています。また、リスクの要因別に「信用リスク」「市場リスク」「オペレーショナルリスク」等のリスクカテゴリーに分類し、各リスク特性に応じた管理を行った上で、リスクを全体として把握・評価しリスクを制御していく、総合的なリスク管理態勢を構築しています。当社グループは、こうしたリスク管理フレームワークの中でサステナビリティに関連するリスクを認識し、業務計画遂行上重要なリスクを特定した上で、各リスクカテゴリーの特性や事業戦略を踏まえてリスクをコントロールしています。
また、当社は、当社グループに重大な影響を及ぼすリスク認識を選定する「トップリスク運営」を導入しています。2023年5月現在のトップリスクには、「気候変動影響の深刻化」 や「人材不足等による持続的成長の停滞」等が含まれます。選定したトップリスクについては、未然防止策や事後対応等の追加的なリスクコントロール強化策の検討、業務計画への反映等を通じ、リスクコントロールやガバナンスの強化に活用しています。当社のトップリスク運営等の詳細については、有価証券報告書「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご覧ください 。
気候関連リスクについては、発現の蓋然性、時間軸、影響の不確実性や複数のリスク区分に波及すること等の特性を踏まえ「気候関連リスク管理の基本方針」を制定し、管理を強化しています。また、投融資等を通じた環境・社会に対する負の影響を防止・軽減するため、負の影響を助長する可能性が高い事業やセクターを特定し、「環境・社会に配慮した投融資の取組方針」を制定しています。また人的リスクについては、オペレーショナルリスクの一つとして、「人的リスク管理の基本方針」を制定し、多面的な角度から人材の管理を行うとともに、適切な就労状況・職場・安全環境を維持することにより、損失の極小化と業務効率の向上を図っています。
(3)戦略
サステナビリティについての基本的考え方や推進方法等を定めた「サステナビリティへの取り組みに関する基本方針」のもと、グループ全体で戦略と一体的にサステナビリティへの取り組みを推進してまいります。また、社会の期待*1 と、当社グループにとっての重要性*2 を踏まえて「マテリアリティ」(〈みずほ〉と、お客さま、社員、経済・社会をはじめとするステークホルダーの持続的な成長・発展にとっての中長期にわたる優先課題) を特定するとともに、〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および具体的取り組みを明確化しています。サステナビリティへの取り組みにあたっては、長期的な視点に立ち、「マテリアリティ」に取り組むことで、環境の保全および内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献し、様々なステークホルダーの価値創造に配慮した経営と当社グループの持続的かつ安定的な成長による企業価値の向上を目指していきます。
*1:当社グループが社会に与えるインパクトに対するステークホルダーの期待 *2:中長期的な企業価値への影響、当社グループの戦略・事業領域との親和性
[〈みずほ〉のマテリアリティ]
マテリアリティ | 主な取り組み | 有価証券報告書に |
少子高齢化と健康・長寿 人生100年時代の一人ひとりに応じた安心・安全・ | ・個人資産形成・運用・承継に対する総合資産コンサルティング ・デジタルチャネル・対面双方の顧客接点の質と利便性の向上 |
第2 事業の状況
気候変動への取り組みについては、後述の2. |
産業発展とイノベーション 産業・事業の発展を支え、グローバルに新たな価値を創造 | ・気候変動対応を始めとした事業・産業構造転換支援等の産業全体を捉えた仕掛け ・イノベーション企業の成長支援・共創による社会インパクト創出 ・技術力ある日本企業の事業承継支援 | |
健全な経済成長 内外環境変化に対応する | ・中堅上場企業等の企業価値向上に貢献、日本経済を ・運用力強化による資産運用ニーズ対応とO&D活性化 ・グローバルな金融資本市場でのCIBビジネスの展開 | |
環境・社会 お客さまと共に環境の保全をはじめとする社会の持続的な発展を実現 | ・サステナビリティを契機としたソリューション提供や事業構造転換支援、それらの各法人セグメントへの ・環境・気候変動への対応、社会・人権への取り組み | |
人材 自律的な企業文化のもと | ・グループ横断的な企業風土変革の取り組み推進 ・戦略的ローテーションや人材投資を通じた社会課題に対応可能な人材の育成 ・多様な人材の活躍を支える働きやすい職場と、インクルーシブな組織づくり | 後述の3. |
ガバナンス お客さま・社会に貢献するための強固な企業統治と | ・オペレーショナル・レジリエンス(平時の危機対応)の強化 ・サイバーセキュリティ対策、AML/CFT態勢の更なる ・グローバルガバナンスの強化 | 第2 事業の状況 |
マテリアリティに関連する〈みずほ〉にとってのリスクと機会、および主な取り組み等については、2023年7月開示予定の統合報告書をご参照ください。
以下、当社のマテリアリティのうち、「環境・社会」に該当する気候変動への取り組み、および「人材」に該当する人的資本への取り組みについて概説します。なお、その他のマテリアリティへの取り組みについては、上述の「有価証券報告書における関連記載箇所」をご参照ください。
2.気候変動
(1)戦略
「環境方針」や 「2050年ネットゼロに向けた〈みずほ〉のアプローチ」 において、脱炭素社会の実現に向けた〈みずほ〉の気候変動への取り組み姿勢や、目指す姿・行動(アクション)を明確化し、グループ一体で取り組みを進めています。2023年4月には、実体経済の移行促進・ビジネス機会獲得・リスク管理の観点から、当社グループの気候変動対応をより統合的に推進するため、2022年に策定した「ネットゼロ移行計画」を具体化し改定しました。この移行計画に基づき、より統合的かつ実効的に気候変動への対応を進め、2050年脱炭素社会の実現や気候変動に対して強靭な社会の構築に貢献してまいります。
[ネットゼロ移行計画(概要)]
[気候変動に関する機会・リスクの認識]
・お客さまによる脱炭素に向けた技術開発・ビジネスモデル構築のための投資をビジネス機会と認識し、お客さまと のエンゲージメント(建設的な対話)を起点に、脱炭素化(トランジション)や気候変動対応の支援に注力します。
・気候関連リスクとして、気候変動に起因する移行リスクと物理的リスクを認識し、リスク区分毎に想定される影響を整理しています。
- 移行リスク: 炭素税や燃費規制といった政策強化や脱炭素等の技術への転換の遅れにより影響を受ける投融資先に対する信用リスクや、化石燃料等へのファイナンスに伴うレピュテーション悪化によるオペレーショナルリスク等を想定
- 物理的リスク: 急性リスクとして異常気象での風水災等の増加に起因する当社資産(電算センター等)の損傷および顧客資産(不動産担保等)の毀損、慢性リスクとして感染症、熱中症の増加等に起因するマクロ経済の悪化による信用リスク等を想定
[シナリオ分析]
・気候変動が将来にわたって当社グループのポートフォリオに与える影響を把握するため、 移行リスクおよび物理的リスク(急性リスク・慢性リスク) を対象に シナリオ分析を実施しています。 気候変動に関するさまざまな将来の状態に対する計画の柔軟性や戦略のレジリエンスを高めるべく、1.5℃のシナリオを含む複数のシナリオを用いて分析しています。
(2)主要な指標・目標
指標 | 目標 | 直近実績 |
サステナブルファイナンス/ 環境・気候変動対応ファイナンス額 | 2019年度~2030年度累計:100兆円(うち環境・気候変動対応:50兆円)[2023年4月改定(引き上げ)] | 2019年度~2022年度累計 21.2兆円(うち環境・気候変動対応 8.1兆円) |
Scope1,2(グループ7社の温室効果ガス排出量) | 2030年度カーボンニュートラル | 2021年度 150,987 tCO2e (調整後排出係数/マーケット基準) |
Scope3(投融資を通じた排出) | 2050年ネットゼロ | (セクター別に実績を開示) |
- 電力 セクター | 2030年度 138-232 kgCO2e/MWh | 2021年度 353 kgCO2e/MWh |
- 石油・ガス セクター | 2030年度 (Scope1,2) 4.2 gCO2e/MJ (Scope3) 2019年度比▲12~▲29% | 2021年度 (Scope1,2) 6.5 gCO2e/MJ (Scope3) 43.2 MtCO2e (2019年度比 ▲29%) |
- 石炭採掘(一般炭) セクター | 絶対排出量 2030年度 OECD諸国ゼロ、 | 2021年度 1.7 MtCO2e |
「環境・社会に配慮した投融資の取組方針」に基づく石炭火力発電所向け与信残高 | 2030年度までに2019年度比50%に削減 2040年度までに残高ゼロ | 2023/3末 2,355億円 (2019年度比 ▲21.4%) |
移行リスクセクターにおける | 中長期的に削減 | 2023/3末 1.6兆円 |
気候変動に関する戦略および指標・目標の詳細については、2023年6月に発行したTCFDレポート2023をご参照ください。
3.人的資本
(1)戦略
最大かつ最強の経営資源である〈みずほ〉の人材に対し、戦略人事を徹底すること、社員ナラティブを重視した人事運営を行うことで、ビジネス戦略に応じた機動的な人事運営の両立を実現させるとともに、社員一人ひとりが自分らしく輝き、会社とともに成長していくことを目指していきます。具体的には、①企業風土変革の取り組み推進、②事業領域別の戦略的ローテーション、経営リーダーのサクセッションプランニング、③働きやすい職場、インクルーシブな組織づくりに取り組んでまいります。
取り組み詳細につきましては、2023年7月開示予定の統合報告書をご参照ください。
[人事運営における取り組み内容]
①グループ横断的な | 全ての基盤であるカルチャー・人材は、戦略遂行の継続性を確実に担保し持続的な成長をするために不可欠であり、誰もが自律的に行動し建設的に議論できる組織を目指して、インターナルコミュニケーション(企業風土変革)とブランドコミュニケーション(ブランド強化)に取り組み ・企業理念の見直しを踏まえた社員一人ひとりへの浸透策を推進 ・インターナルな取り組みだけでなく外から見える〈みずほ〉を再認識し、ブランドを再構築 |
②戦略的ローテー [人材育成方針] | 社員一人ひとりのキャリア志向と、各事業分野における戦略実現を支える人材ニーズが両立した人材ポートフォリオの構築を目指して、社員のキャリア発展段階に応じた事業領域別の計画的な人材育成をグループベースで展開するとともに、事業領域横断的な経営リーダーの育成、サクセッションプランニングに取り組み ・キャリア形成に必要な学びやリスキリング・アップスキリングに必要な人材投資の拡大をすることで人材力を強化 ・中長期的な事業戦略にアラインした戦略的ローテーションを推進するとともに、ピープルアナリティクスを高度化 ・グループCEOの下、アサインメントや本人の自走を通じた中長期視点での経営リーダー育成プログラムを推進 |
③多様な人材の活躍を [社内環境整備方針] | すべての社員が、「働きやすさ」を感じながら長く〈みずほ〉で活躍し、会社への貢献意欲や仕事のモチベーションを高めていくことができる職場の実現を目指して、多様な視点や価値観を尊重し、一人ひとりが自分らしさと能力を最大限に発揮できる組織を構築 ・社員の挑戦を支え、貢献に報い、働きやすさを感じられるグループ5社共通の人事の枠組みの構築・移行や人事システムの一元化を実施 ・「人と人の関係性」に働きかけ、組織全体のモチベーションとパフォーマンスを高める職場主体での組織開発支援 ・社員が財産形成を支援する枠組みや、金融教育機会の提供等、ファイナンシャルウェルネスを支える取り組みを実施 |
(2)主要な指標・目標
指標 | 目標 | 直近実績 |
エンゲージメントスコア *1 | 2025年度:65% | 2022年度:51% |
インクルージョンスコア *1 | 2025年度:65% | 2022年度:55% |
女性管理職比率 *2 | 2025年度:部長相当職(部長及び部長に 2025年度:課長相当職以上21% 2030年代の早期に30% | 2022年度*5: 部長相当職9% 課長相当職以上19% |
女性新卒採用者比率 *2 | 30%維持 | 2022年度*3:31% |
男性育児休業取得率 *2 | 100%維持 | 2022年度*5:104% |
海外ナショナルスタッフ管理職比率 *4 | 83%維持 | 2022年4月:83% |
有給休暇取得率 *2 | 70%維持 | 2022年度:78% |
*1 社員意識調査におけるエンゲージメントおよびインクルージョンに関する各4設問に対する回答の、肯定的回答率(1~5の5段階で4,5を回答)
*2 国内 (FG・BK・TB・SC・RT) 合算
*3 2023年4月入社
*4 海外 (BK・TB・SC) 合算
*5 5[従業員の状況]にも掲載
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