企業兼大株主中国電力東証プライム:9504】「電気・ガス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 当社グループは、一連の不適切事案により、株主のみなさま、お客さまをはじめとするステークホルダーのみなさまからの信頼を損なったことを大変重く受け止め、「同様の事象を二度と発生させない」という決意のもと、信頼回復に向けた取り組みを進めているところである。

 当年度の連結経常利益は過去最大の黒字となったが、これは燃料費調整制度の期ずれ差益などの一過性の要因によるところが大きく、また、ここ数年で大きく毀損した財務基盤の回復は未だ道半ばにあると認識している。

 当社グループは、引き続き厳しい状況にあるが、経営理念である「信頼。創造。成長。」の実現に向けて、足元の最重要課題として「信頼回復」と「収益・財務基盤の回復」を掲げ、思考様式・行動様式や電気事業のビジネスモデルの「変革」に取り組むとともに、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上と持続的成長を図るべく、以下の諸課題に取り組んでいく。

(1) 信頼回復に向けた取り組み

 当社グループは、一連の不適切事案の発生を踏まえ、社外取締役による経営の監督強化、三線管理(注)の強化などにより、「経営の監督」と「業務の執行」の両面から再発防止に努めている。体制面では、「不適切事案再発防止対応本部」が再発防止策の策定等を担い、社外有識者を過半とする「内部統制強化委員会」において再発防止策を含む内部統制の実施内容等について評価・助言を受ける体制とすることで、内部統制の更なる強化を図っている。

(注)三線管理=業務執行部門(1線)、管理間接部門(2線)、内部監査部門(3線)のそれぞれにリスクマネジメントの役割を担わせる内部統制の仕組み。

 再発防止の徹底に向けては、一連の不適切事案発生の背景にある、企業文化を含む根本原因を分析のうえ、その分析結果を踏まえた対応方針を整理し、この対応方針のもとで、本年4月、「エネルギアグループ企業行動憲章」を見直した。

 また、当社は、経営理念の実現に向けた当社の取り組み姿勢や、地域に対する想いを改めてお伝えするため、新たなブランドメッセージ「一日も。百年も。」を策定した。


 役員・社員が一丸となって、新たな行動憲章やブランドメッセージのもとで、みなさまからの信頼回復に努めていく。

(2) グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」の実現に向けた取り組み

  当社グループは、収益・財務基盤の回復に向けて、競争力のある大型電源の稼働・安定運転、内外無差別(注)の徹底を前提とした電気事業収益の最大化、経営効率化などに取り組み、各事業の稼ぐ力と生産性の向上を図るとともに、カーボンニュートラル実現に向けた施策、多様な人材の活躍推進などにより持続的な成長を図り、グループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」(以下、「経営ビジョン」という。)の実現に向けて取り組んでいく。

(注)内外無差別=発電から得られる利潤を最大化するという考え方に基づき、社内外・グループ内外の取引条件を合理的に判断し、内外無差別に電力卸売を行うこと。

 ① 総合エネルギー事業における取り組み

 (イ)安全確保を大前提とした原子力発電の活用

  原子力発電は、安定供給、経済性、環境への適合の観点から重要な役割を担うベースロード電源であり、また、確立した脱炭素技術としても、一定の比率を維持していく必要があると考えている。

  島根原子力発電所においては、地震・津波対策などの設備面の安全対策の着実な実施のほか、原子力災害発生時に備えた訓練等の継続的な実施や関係自治体との連携強化など、原子力防災対策にも積極的に取り組み、更なる安全性を不断に追求していく。

 島根2号機については、2024年5月30日に原子力規制委員会から原子炉施設保安規定変更認可を受けた。この認可をもって、これまでに申請している島根2号機の新規制基準への適合性に係る審査は終了した。安全対策工事については、長期化する見通しとなったため、本年4月、再稼働及び営業運転再開の予定時期をそれぞれ本年12月、2025年1月に変更した。

    引き続き、島根2号機・3号機の早期の再稼働・運転開始に向けて、新規制基準への適合性審査や原子力規制委員会が行う使用前確認に適切に対応していくとともに、地域のみなさまからご理解を得られるよう、丁寧に説明を行っていく。

    加えて、上関地点においては、将来にわたる重要な電源として、上関原子力発電所の開発に取り組むとともに、島根原子力発電所の安定稼働に資する使用済燃料対策の一環として、使用済燃料中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討を進めていく。

 (ロ)電気事業の収益拡大に向けたプロジェクト組織の設置

 当社は、本年4月、内外無差別な卸取引に対応しつつ、電気事業の収益を拡大していくため、これらの分野に特化した、社長直属のプロジェクト(「収益力強化プロジェクト」・「需給最適化プロジェクト」)を期間限定で設置した。

 各プロジェクトにおいては、電力の小売・卸市場の急速な変化にスピード感をもって対応し、お客さまニーズ等の分析やお客さまから選ばれるためのメニューの設定、また、その実現に必要な電源・燃料調達の最適化や価格変動リスクへの対応等に向けた施策の策定などを検討していく。

 ② 送配電事業における取り組み

 設備保全の高度化・合理化とレジリエンス強化

 電気を安定的に低コストでお客さまにお届けするため、最新のデジタルトランスフォーメーション(DX)技術を積極的に活用し、設備保全の高度化・合理化に取り組んでいく。

 また、自然災害の高頻度化・激甚化を踏まえ、設備のレジリエンス(災害に対する強靭性及び回復能力)強化を図るとともに、迅速かつ円滑な災害対応に向けて、引き続き、社外関係機関や自治体等との連携強化に努めていく。

 ③ 情報通信事業・成長事業における取り組み

(イ)ICT(情報通信技術)による付加価値創出

 高品質・高信頼度の通信網の構築に加え、データセンター、クラウド、情報セキュリティやDXソリューションなどの豊富なサービスにより、お客さまの業務品質の向上や競争力強化を支援し、地域課題の解決や新たな付加価値の創出に取り組んでいく。

(ロ)海外事業の領域拡大

海外事業を利益の一角を担う事業にしていくため、これまで培ってきた電気事業の知見を活用し、海外事業への出資参画を進め、収益力の強化に取り組んでいる。

引き続き、再生可能エネルギーを中心に海外発電事業の発掘・獲得を進めるとともに、ネットワーク・小売事業や電力周辺事業に加え、脱炭素燃料関連事業・蓄電池活用などの新たなエネルギービジネスにも積極的に取り組み、事業領域を拡大していく。

(ハ)再生可能エネルギーの導入拡大

 再生可能エネルギーを地球環境問題への対応だけでなく成長領域の一つと位置づけ、経営ビジョンで掲げる新規導入量目標(2030年度:30~70万kW)の達成に向けて、積極的に取り組んでおり、2023年度までの新規導入量は約32万kWとなった。引き続き、最大限の導入に取り組んでいく。

 また、その導入が進むにつれ、調整力の重要性も増すことから、「再生可能エネルギーの導入拡大」と「調整力確保」を両輪として進めていく。

(ニ)ベンチャー企業との協創

 エネルギア創造ラボでは、カーボンニュートラル、DX、スマート社会をテーマに、ベンチャー企業への投資を進めるとともに、ベンチャー企業の先進的な製品・サービスを地域に展開することで、新たな利益の創出と地域の課題解決への貢献を目指していく。

 なお、本年3月末時点で21件(ファンドを含む。)の投資を行っている。

 ④ 持続的な企業価値向上に向けた取り組み

(イ)「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた取り組み

 当社グループは、「2050年カーボンニュートラル」に挑戦し、エネルギーの脱炭素化、お客さま・地域の脱炭素化支援やカーボンニュートラル実現に資する技術の開発を進めていくことで、持続可能な社会の実現と地域の発展に貢献していく。

「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けては、「中国電力グループカーボンニュートラル戦略基本方針」のもと、火力発電のトランジションをはじめとする重点施策を定め、取り組みを進めていく。

 具体的な取り組みとして、柳井発電所2号系列において、最新の高効率GTCC(ガスタービンコンバインドサイクル発電システム)を採用したリプレース(建て替え)を行うとともに、将来の水素混焼の実装に必要な設備の整備等の検討も進めていく。また、本年2月から、火力発電所におけるCCS(CO2回収・貯留技術)の導入に向けて、海外でのCO2貯留も視野に、国内外の事業者と共同で検討を開始している。

 (ロ)多様な人材の活躍推進

 グループ全体の包括的な方針である「多様な人材の活躍推進方針」及び「中国電力グループ人権方針」に基づき、共通テーマ(女性管理職の増加・男性育児休職取得の向上・人権啓発活動の実践継続)に沿った目標をグループ各社が設定し、そのすべてを達成することを中期経営計画における経営目標としている。

 また、当社においては、多様な働き方の実現に向けて、フレックスタイム勤務制度や在宅勤務制度、配偶者同行休職制度、自己都合退職者の再雇用制度などを導入しており、今後も働き方の選択肢の充実を図っていく。

 こうした取り組みにより、グループ一体となって多様な人材の活躍を推進していく。

 (ハ)ガバナンス体制の強化

 当社グループは、企業価値の向上と持続的成長の実現には、経営の透明性・公正性の維持・向上、経営環境の変化に対する迅速・果断な意思決定を行うことができる体制の構築が重要であると考え、「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を定め、その充実・強化に継続的に取り組んでいる。

 具体的な取り組みの一つとして、当社においては、役員報酬について、業績連動型株式報酬制度の導入を含む報酬構成の見直しにより、業績連動報酬の比率を高めるとともに、短期業績連動報酬である賞与にESGに関する項目(従業員エンゲージメントの向上・CO2排出量の削減・女性管理職比率の向上)の取り組み結果を一部反映することで、持続的な成長に向けたインセンティブとしての機能向上を図っていく。

〇 中国電力グループ企業理念


〇 中国電力グループ経営ビジョン


〇中国電力グループ カーボンニュートラル戦略基本方針


○火力発電のトランジション計画


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