中国電力 【東証プライム:9504】「電気・ガス業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1)サステナビリティ共通
① ガバナンス・戦略
当社グループの経営理念「信頼。創造。成長。」は、それぞれESGの観点を包含しており、持続可能な経営のあり方を示すものである。また、経営ビジョンにおいて、「エネルギーの安定供給確保」「気候変動の緩和」「地域社会との協働・共創」「あらゆる人々の活躍の推進」を重点課題に設定するとともに、企業行動憲章において、持続的な社会実現に向けた当社グループの使命を明らかにし、これらの実践を通じて経営理念を体現するとともに、サステナビリティ経営を推進している。
サステナビリティを巡る課題への対応については、経営ビジョンや企業行動憲章に掲げる項目の実現に向け、中国電力グループ中期経営計画(以下、「中期経営計画」という。)において具体的施策を策定のうえ取り組んでおり、定期的に経営会議・取締役会に付議し、レビューを受けている。
② リスク管理
当社グループの使命は、社会からの信頼を基盤に、健全な事業活動を通じて社会に有用な価値を創造し、成長していくことで、持続可能な社会の実現に貢献することである。
リスク管理基本方針に基づき、リスク管理の専任組織が、サステナビリティに関するリスクも含めたグループ全体のリスク管理の推進・支援にあたっている。リスク管理の専任組織を中心とした体制のもと、リスクの洗い出し・評価に基づき、リスク対応策を中期経営計画に反映するとともに、リスク管理状況や対応策の進捗について、経営会議・取締役会に付議し、レビューを受けている。なお、気候変動や人材確保に係る具体的なリスクについては、「3 事業等のリスク」に記載している。
③ 指標及び目標
指標及び目標の具体的な進捗状況等については、「(2)気候変動への対応」「(3)人的資本」に記載している。
(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
当社は、気候変動問題への取り組みを重要な課題として認識し、安全確保(Safety)を大前提とした、安定供給(Energy Security)、経済性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)の「S+3E」を基本に、バランスのとれた電源構成の構築を目指しながら、持続可能な未来社会の実現に向け、「2050年カーボンニュートラル」に挑戦する。
なお、詳細については、「中国電力グループ統合報告書2022」に記載している。また、2022年度の取り組み実績は、「中国電力グループ統合報告書2023」で開示する予定である。
① ガバナンス
当社では、社長を環境管理の最高責任者とし、カーボンニュートラル推進本部長を全社環境管理推進者としている。全社環境管理推進者を委員長とする「全社環境委員会」において、気候変動問題をはじめとする環境問題に関する方針・計画や、取り組みに関する重要事項の審議を原則年2回開催しており、実施状況などを社長に報告している。
取締役会は、社長から「中国電力グループ環境行動計画」の実施状況などについて年2回報告を受け、環境管理の職務執行を監督している。
さらに、当社グループ事業のカーボンニュートラルに向けた取り組みを強力に推進するとともに、カーボンニュートラルに向けたお客さま・地域社会との連携のより一層の強化を図るため、社長直属の専任組織「カーボンニュートラル推進本部」を設置した。カーボンニュートラル推進本部長を議長とする「カーボンニュートラル推進会議」において、当社グループにおけるカーボンニュートラルに向けた取り組み状況を一元的に把握・評価するとともに、更なる取り組みの推進を図っている。
<環境マネジメント・カーボンニュートラル推進体制>
② 戦略
当社は、脱炭素化に向けた世界的な潮流を、当社グループの成長の機会と捉え、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、積極的かつ戦略的に取り組みを推進するため、当社グループが目指す方向性を明確化するとともに取り組みを具体化するものとして「中国電力グループカーボンニュートラル戦略基本方針」を策定している。
「中国電力グループカーボンニュートラル戦略基本方針」では、当社が提供するエネルギーの脱炭素化とお客さま・地域の脱炭素化に取り組むことを方針として定め、2030年度目標を設定し、その目標達成に向け、カーボンニュートラル電力の活用拡大、火力発電のトランジション、再生可能エネルギー電源の確保、エネルギーサービスの展開、新規ビジネスの検討、地域課題への対応及び次世代ネットワークの構築を重点施策として掲げている。
なお、当社は、気候変動に関するリスク・機会を評価するにあたって、国際エネルギー機関(IEA)・気象庁等の公表データを参照し、1.5℃シナリオと4℃シナリオを前提としてシナリオ分析を実施している。
<気候変動に関するリスク・機会>
<気候変動関連リスク・機会の主な財務影響>
③ リスク管理
全社リスク管理体制のもと、気候変動を含む主管業務に関するリスクの洗い出し・評価を行い、発生を予見できるリスクについては未然防止する活動に、発生を予見することが困難なリスクについては被害を最小限に抑える管理活動に重点を置き、対応策の検討を行い、経営計画に反映して継続的に管理している。なお、詳細については、「(1)サステナビリティ共通」に記載している。
また、業績等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、「3 事業等のリスク」にも記載している。
④ 指標及び目標
当社は、2050年カーボンニュートラルへの挑戦に向けた中間目標として、2030年度までに小売事業におけるCO2排出量の2013年度比半減を目指していく。
さらに、新たに発電事業においても、2030年度までにCO2排出量の2013年度比半減を目指すこととしたほか、「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」に基づく国全体の排出係数の実現に向けて挑戦することを表明した(注)。
(注)本目標は、電気事業低炭素社会協議会の策定した「カーボンニュートラル行動計画」における目標であり、国が掲げる▲46%目標に向け、需給両面における様々な課題の克服を想定した場合の電源構成比率や電力需要の見通しに基づくものである。この見通しが実現した場合の国全体での排出係数は、0.25kg-CO2/kWh程度(使用端)である。
<サプライチェーン温室効果ガス排出量>
項目 | 2021年度実績 |
スコープ1(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出) | 1,850(万t-CO2) |
スコープ2(他社から供給された電気の使用に伴う間接排出) | 0.003(万t-CO2) |
スコープ3(その他の間接排出) | 1,088(万t-CO2) |
(3)人的資本
① 戦略
<多様な人材の活躍推進>
当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関するグループ全体の包括的な方針として、「多様な人材の活躍推進方針」を策定している。
当社グループの経営理念「信頼。創造。成長。」のなかでも「創造。」、つまり、変化に対応し新たな価値を創造する担い手となるのは“人”である。こうした認識のもと、当社は、2016年の電力小売全面自由化を契機に、変化の時代に対応した人材・組織づくりとして、社員一人ひとりが資質を磨き「自ら考え行動」すること、多様な個性・知見を有する社員個々の力を結集し組織力を高めていくこと、いわば、「自律性」と「多様性」の推進に取り組んできた。この取り組みを更に推進するとともに、個人が組織のなかで臆することなく自身の強みを発揮できるよう、個人と組織の「関係性」向上にも取り組み、個人の成長と組織の成長のベクトルを合わせていくことが、経営ビジョンにおけるミッション「すべての人が持ち場で輝く」を実現する道筋である。
こうした考えで取りまとめた「多様な人材の活躍推進方針」のもと、グループ一体となって多様な人材が活躍できる更なる環境づくりに取り組んでいく。
当社及びグループ会社は、「多様な人材の活躍推進方針」を踏まえ、それぞれの経営事情や事業特性等に応じて自律的・主体的に必要な施策を実施していく。以下、当社における現在の主な取り組みを記載している。
a.自ら考え行動する人材の育成
変化の時代に求められる人材像を「人材ビジョン」として掲げて認識を共有したうえで、社員一人ひとりの自律的な自己研鑽の支援と研修の充実化を進めている。管理職は、社員自らが年度首に自律的・主体的に設定した成長目標を参考にして育成計画を策定し、社員本人の成長に資する業務付与を行うとともに、日常の仕事を通じて指導・育成している。
b.多様な人材の採用
中長期的な想定に基づく人員計画を策定し、計画人数の確保を図るとともに、事業状況や成長領域への事業展開を踏まえつつ、多様な価値観・経験を有する人材の採用に積極的に取り組んでおり、他企業経験者や高度な専門能力を有する人材などを2020年度10人、2021年度14人、2022年度8人採用している。
c.女性社員の活躍推進
女性社員の活躍に関する数値目標を設定のうえ、より一層の活躍を推進している。適性や育成計画に基づく幅広い業務付与により能力発揮を促すとともに、研修会などを通じて、管理職や女性社員の意識改革に取り組んでいる。女性社員の活躍に関する指標・目標及び実績については、「② 指標及び目標」に記載している。
d.多様な働き方の推進
多様な働き方の実現に向けて、フレックスタイム勤務制度や在宅勤務制度、配偶者同行休職制度の導入など、働き方の選択肢の充実を図っている。
また、育児・介護のための休職制度や短時間勤務制度、生活上の様々なニーズに対応するための当社独自の休務制度など、仕事と家庭の両立支援制度を整備するとともに、男性の育児参加を推進し、男女ともに仕事と家庭を両立できる職場風土の醸成に取り組んでいる。男性社員の育児休業取得率は、2020年度13.6%、2021年度23.0%、2022年度40.0%である。
e.個人と組織の「関係性」向上
多様な人材の活躍に向けて社員個々の力を最大限に引き出すため、組織運営の鍵を握る管理職のマネジメント力向上支援に取り組むとともに、個人と組織の「関係性」の高さを「心理的安全性」や「従業員エンゲージメント」など、組織文化の指標により可視化する取り組みに着手している。
<人権の尊重>
当社グループは、すべての人々の人権を尊重することを事業活動の根底におき、いかなる差別も行わず、人権が真に尊重される社会の実現に向けて取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。その具体的行動指針として、当社グループの全役員及び全従業員が人権尊重の考え方を共有し、実践していくため、「中国電力グループ人権方針」を策定している。
これまでも、同和問題やハラスメントなどの人権問題についての認識を深め、人権問題の解決に向けた行動につながるよう、当社においては、全社員対象の職場研修をはじめ、新入社員・新任ライン長など階層別の研修を毎年計画・実施するなど、人権啓発に取り組んでいる。
「中国電力グループ人権方針」のもと、事業活動の中で社会から求められている人権尊重の考え方を深く理解し、人権に関する課題に真摯に向き合い、人権の尊重に留意して業務に取り組むことで、人権が真に尊重される職場や社会の実現に努めていく。
<労働安全衛生の確保>
当社グループは、事業活動の基盤となる安全と心身の健康を確保することを最優先し、労働災害の防止、健康の保持増進に取り組むことを企業行動憲章に掲げる行動原則の一つとして明示している。
当社においては、安全管理や健康経営に関わる諸施策を推進していくための「安全健康推進業務運営方針」を定めている。この方針のもと、当社グループに関わる全ての人がお互いを尊重し、安全と健康を気づかいあう職場風土の醸成に取り組むとともに、ライン管理者による安全管理の徹底と職場自主活動の推進を両輪として、先取り安全と基本ルールの遵守並びにコミュニケーションの促進を柱に、職場で働く一人ひとりの安全の確保と心身の健康保持増進に向けて継続的に活動を展開している。
具体的には、安全健康意識の高揚を目的とした全社安全健康推進強調旬間の実施、元請・協力会社及び委託員の災害防止に向けた指導・支援、健康診断結果等に基づく健康指導や運動・禁煙支援等を通じた社員の自主健康づくりの継続的支援等に取り組んでいる。
<人材マネジメントの継続的改善の取り組み>
当社グループは、「多様な人材の活躍推進方針」を踏まえた人材マネジメントを実行し、その進捗を定量的に把握のうえ、内部の議論及び外部との対話を通じて人材マネジメントの課題を特定し、改善する一連のサイクルとして「人材マネジメントサイクル」の確立を目指している。
同方針と整合的な指標について検討を進め、できるところから開示していく考えであり、外部からのフィードバックも受け止めながら人材マネジメントの継続的改善に取り組んでいく。
(人材マネジメントサイクルの全体イメージ)
② 指標及び目標
上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成及び社内環境整備に関する「多様な人材の活躍推進方針」に関し、「自律性」と「多様性」を更に推進していくための重要な取り組みの一つである女性社員の活躍に係る指標について、当社グループにおける主要な事業を営む当社及び中国電力ネットワーク株式会社の目標及び実績を以下に記載している。今後、その他の指標についても検討を進め、できるところから開示していく。
〔女性社員の活躍に関する指標〕
| 指標 | 目標 | 実績(注)1 | ||
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |||
中国電力㈱ | 課長以上ポストに就く者に占める女性社員の割合(注)2 | 2024年度末までに2019年度期首の2倍以上 (3.7%以上) | 1.8% | 2.3% | 3.4% |
管理職以上に占める 女性社員の割合 (注)3 | 2024年度末までに2019年度期首の1.2倍以上 (8.7%以上) | 8.1% | 8.9% | 10.0% | |
技術系女性社員の 人数 | 2024年度末までに2019年度期首の1.2倍以上 (59人以上) | 49人 | 51人 | 55人 | |
中国電力ネットワーク㈱ | 管理職以上の 女性社員の人数 (注)3 | 2024年度末までに2019年度期首の1.2倍以上 (3人以上) | 3人 | 3人 | 3人 |
技術系女性社員の 人数 | 2024年度末までに2019年度期首の1.2倍以上 (30人以上) | 30人 | 33人 | 36人 |
(注)1 各年度3月31日時点。
2 「5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の 男女の賃金の差異」に記載の「① 管理職に占める女性労働者の割合」と同じ。
3 「管理職以上」とは、係長級以上ポストに就くことができる者を指す。
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