大垣共立銀行 【東証プライム:8361】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」を経営の基本理念に掲げ、地域社会の発展に貢献していくことを何にもまして重要な社会的使命としてまいりました。
今後も、今日まで積み上げてきた地域社会との密接な繋がりを礎として、お客さまのニーズに的確かつ迅速にお応えできるようサービスの提供に努めてまいります。また、地域と共に歩む銀行として地域社会の発展に貢献していくとともに、株主ならびに投資家の皆さまにとって魅力ある企業集団を目指してまいります。
(2)経営環境及び対処すべき課題
当連結会計年度の日本経済は、円安によるエネルギー価格の高騰等に起因した物価高、人手不足の深刻化に伴う供給制限、能登半島地震による被害等の懸念材料もありながら、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に変更され、社会・経済活動の正常化が進展したほか、賃金上昇に伴う消費意欲の高まりや堅調な収益に支えられた企業の設備投資意欲の高まり等から緩やかな回復の動きが続きました。
個人消費については、急激な物価上昇に伴う消費マインドの冷え込みが懸念されましたが、賃金の上昇を背景とした消費意欲の高まり等により、緩やかに回復しました。
企業部門では、資源高や人件費をはじめとしたコスト増、欧米を中心とした海外経済の減速懸念といった下押し要因があったものの、堅調な業績に支えられて企業の設備投資は持ち直しの動きを強め、重要性が高まっているデジタル化や脱炭素化等の分野への投資意欲が高まりました。
東海地方の経済においては、主要産業である自動車産業が、半導体等の部品不足の底打ち等から生産制約が解消されて増産に転じたほか、欧米向けを中心とした底堅い輸出を背景とした生産が総じて堅調に推移したことから持ち直しの動きが続きました。
金融市場を振り返りますと、長期金利は昨年7月の日銀金融政策決定会合で上限が1%に容認されたことから11月には一時1%目前に迫りました。また、本年3月の会合では今年の春闘で高い水準での賃上げが相次いだことで、賃金と物価の好循環が見通せるようになったとの判断から「マイナス金利政策」を解除し、17年ぶりとなる利上げの実施を決定しました。ドル円相場では、日米の将来の物価見通しに基づく金利差に大きな変化が生じないとの見方等から、昨年10月に約1年ぶりとなる1ドル151円台をつけた後も円安圧力の強い相場は継続し、本年3月には一時1ドル152円台に迫る34年ぶりの円安水準まで下落する局面もありました。日経平均株価は好調な企業業績を背景に、史上初めて40,000円の大台に乗せました。
当社を取り巻く環境は、異業種からの金融業への参入といった事業環境の変化に加え、人口減少や急速なデジタル技術の進展による社会環境の変化により、過去の延長線上に未来を描くことが難しくなっております。
こうした環境のもとでは、より高い先見性を持ち、不確実性に対応していくことが求められます。これまで以上に地域社会を理解し、多様で複雑なニーズに応え続けることが当社グループの役割であると考えております。
(3)経営戦略及び目標とする経営指標と達成度
このような金融経済環境のもと、2023年度は中期経営計画「『Let's Do It!』~社員輝き 地域伸びゆく~」(2021年度~2023年度)の最終年度として、3つの基本戦略「コンサルティング型ビジネスモデルの強化」「お客さまとの接点強化」「業務プロセス改革」を積極的に推進することで、目指す姿である「お客さまの共感と感動を呼び、地域に必要とされる企業グループ」を実現するべく、当社グループが一体となって業務を展開してまいりました。主な施策は次のとおりであります。
①コンサルティング型ビジネスモデルの強化
全社統一の営業手法・管理手法を導入し、営業のムリ・ムラ・ムダをなくすことで行動量の底上げと効率化を図るとともに、OJTの活用を通じて営業力を強化し、お客さまのニーズを踏まえたコンサルティング営業を行う体制を構築してまいりました。
法人営業に関しては、店舗ネットワークの再構築に併せて各店舗に分散していた営業人員を集約することで効率的な営業体制を構築するとともに、相互研鑽によるスキルアップとモチベーション向上を図り、個々の営業人員の営業力強化につなげてまいりました。また、本部営業体制の強化を図り、高度化・多様化するお客さまのニーズに応えられる専門人員の育成、本部と営業店が連携した一体営業を推進してまいりました。
個人営業に関しては、預り資産販売において営業人員の増員及び個々のスキルアップを図ることで提案力を強化いたしました。また、証券子会社であるOKB証券との連携による取り扱い商品の拡充・多様化も合わせ、ライフコンサルティングの推進により、お客さまの志向とニーズにお応えする体制の強化を図ってまいりました。
②お客さまとの接点強化
キャッシュレス化の進展や非対面チャネルの浸透により、銀行店舗に求められる役割が大きく変化する中、拠点の効率化による経営資源の最適な配分を行うため、複数の店舗が同じ建物内で営業する「店舗内店舗」化を進め、千手堂支店・神田町出張所の2店舗を近隣店舗内へ移転いたしました。
また、中核店舗に機能と人員を集約して営業力強化を図る「エリア制」の拡大、店頭態勢が手薄となる時間帯をなくすことで営業面・防犯面の改善・強化を図る「昼休業導入店舗」の拡大、営業時間延長店舗の営業時間短縮により生産性向上を図る「営業時間の見直し」等、様々な取り組みを実施してまいりました。
2023年4月には、地域コミュニティを形成する場として岐阜市柳ケ瀬エリアの再開発ビル内に新たな拠点「OKB岐阜中央プラザ わくわくベースG」を設置するとともに施設の企画・運営担当者として専属のコミュニティマネージャーを2名配置する等、お客さまとの接点強化に努めてまいりました。
非対面チャネルについては、口座開設等の各種手続きを非対面で完結させる「オンライン窓口」の試行、「証券口座の新規開設」のWEB化、WEBを通じて開設できる総合口座「Webスタイル」の機能拡充、ポータルアプリ「OKBアプリ」へのAIチャットボット機能(人工知能が質問に自動で回答する機能)の追加等による充実化を図り、対面・非対面のどちらでもお客さまとつながることができるよう、環境整備を進めてまいりました。
③業務プロセス改革
銀行店舗においては、お客さまの利便性向上と効率的な店舗運営を目的として、窓口カウンターラインのレイアウトを見直し、「総合受付」「クイックカウンター」「サービスカウンター」を設置してまいりました。
また、営業店での後方業務を本部に集約し、営業店の事務負担を削減する取り組みも継続して実施してまいりました。
これらにより、「営業」と「事務」が混在していた営業店業務を「営業」中心にシフトするとともに、少人数であってもこれまで以上にお客さまからのご相談・ご要望等にお応えできる店内体制を構築してまいりました。
④持続可能な社会の実現に向けた取り組み
2021年12月の「サステナビリティ基本方針」策定以来、サステナビリティ経営を本格化させ、“OKBサステナブルビジネスサポートデスク”や“OKB「SDGs評価」サービス”“サステナブルファイナンス”等を積極的に活用することで、お客さまのサステナビリティに関するニーズや社会的要請にお応えしてまいりました。
昨年6月にはお客さまの脱炭素経営の取り組みをサポートするため、温室効果ガス排出量の現状認識や分析をはじめ、各種認定の取得、削減目標設定、目標達成に向けた削減行動の策定等を行う“脱炭素サポート”の取り扱いを開始し、脱炭素経営における各ステップに応じたきめ細やかなソリューションを提供し、地域循環型社会の担い手として持続可能な地域づくりに取り組んでまいりました。
計数目標:基本戦略の実行度合いを評価する指標として、次の経営指標を計数目標に掲げており、当目標に対する達成度は次の通りであります。
目標とする経営指標
項 目 | 計数目標 (2024年3月期) | 実績 (2024年3月期) |
[単体]顧客向けサービス利益(※1) | 黒字化 | 67億円 |
[連結]自己資本比率 | 8.3%以上 | 8.87% |
[連結]コアOHR(※2) | 75%台 | 79.6% |
[連結]当期純利益(※3) | 95億円以上 | 94億円 |
[単体]役務取引等利益比率(※4) | 13%以上 | 20.1% |
[単体]事業先に対するコンサルティング提案件数(※5) | 3,300件以上 | 5,270件 |
[単体]個人に対するコンサルティング提案件数(※6) | 33,000件以上 | 71,301件 |
(※1)預貸金利息+役務取引等利益-経費
(※2)経費÷コア業務粗利益
(※3)親会社株主に帰属する当期純利益
(※4)役務取引等利益÷コア業務粗利益
(※5)事業計画策定支援件数、事業承継相談件数、ビジネスマッチング商談設定件数、
医療・介護・教育事業者にかかる有益情報取得件数 など
(※6)預り資産提案件数・信託提案件数 など
(中期経営計画)
「地域に愛され、親しまれ、信頼されるOKBグループ」として、 お客さまのために という想いは変えることなく、明日を変えていくとの想いを込め、2024年4月~2027年3月の3か年を計画期間とする中期経営計画「Always ~変わらぬ想いで、明日を変える~」を策定いたしました。
当社グループの目指す姿「地域と社員を幸せにするOKBグループ」の実現に向けて、「選択と集中」「人的資本価値の最大化」に取り組んでまいります。
今後の地域経済を展望しますと、人口減少や少子高齢化社会を迎え、先行きについては経済の縮小も懸念されております。地域金融機関において経営の安定・持続には地域経済の発展が不可欠であり、地域経済が活性化し、豊かで幸せな地域になっていただくためには、地域金融機関は地域における産業の成長及び新陳代謝を促すために積極的な役割を発揮していく必要があります。
その役割を果たすためには、限られたリソースを効果的に配置し価値を創造していくことが必要であると考え、「選択と集中」を施策の一つに掲げました。
また、その価値を生み出す最大の源泉は社員であり、もう一つの施策として「人的資本価値の最大化」を掲げました。
今回の中期経営計画策定にあたっては、初の試みとして当社グループ社員の中から選出した30名のメンバーが計画策定の一部を担いました。また、メンバーはこの計画を全社員に浸透させ、社員一人ひとりが自分事として捉えられるよう、今後もエバンジェリスト(伝道師)としての活動を実施していく予定です。
「社員一人ひとりが、時代の変化の先端に立ち、自ら考え、変化に挑む。」そんなOKBグループを創ってまいります。
基本戦略
2021年12月に策定した「サステナビリティ基本方針」において、当社グループが事業を通じ解決していく重要な課題を「マテリアリティ」として定義し、当社グループ共通の取り組み指針といたしました。
中期経営計画では、6つのマテリアリティを土台に、成長戦略・人財戦略・経営基盤強化の3本柱を基本戦略に据え、加えて、DX戦略により地域のイノベーションをサポートすることで豊かな地域経済の発展に貢献してまいります。
①成長戦略 まち・ひと・しごとをつなぎ、新たな価値を創造
◆リソースの最適化による収益性向上 ◆グループ総合力の発揮
②人財戦略 人のつながりにより、社員の幸せと活力ある組織へ
◆自律人財の育成と多様な人財の活躍
③経営基盤強化 強固な経営基盤で未来へつなぐ
◆生産性向上 ◆市場運用力の再構築
④DX戦略 デジタルイノベーションにより地域の成長につなげる
◆地域のイノベーション支援 ◆デジタル基盤整備
計数目標
[財務目標]
基本戦略の実行度合いを評価する指標として以下のとおり設定いたしました。
項目 | 計数目標 (2027年3月期) |
[連結] ROE | 3.5%以上 |
[連結] 当期純利益 | 120億円以上 |
[連結] コアOHR | 75%以下 |
[連結] 自己資本比率 | 9.0%以上(※1) |
(※1)バーゼルⅢ最終化経過措置ベース
[非財務目標]
地域課題の解決を通じ生み出される社会的価値の創出が将来の経済的価値につながるよう、重点的に取り組む指標として以下のとおり設定いたしました。
テーマ | 項目 | 計数目標 | 達成年度 |
Environment 環境 | CO₂排出量削減(2013年度比) ・当社グループ目標(Scope1、2) | 50%減 | 2030年度 |
Social 社会 | サステナブルファイナンスの実行金額 ・当社グループ目標 (2022年度~2030年度実行累計額) | 1兆2,000億円 | 2030年度 |
M&A支援先数(年間) 事業承継支援先数(年間) | 600件 1,300件 | 2026年度 | |
Governance ガバナンス | エンゲージメントスコア | 68以上 | 2026年度 |
多様性向上 女性リーダー職(主任以上)比率 | 30%以上 | 2030年度 | |
投資家等との深度ある対話(年間) | 20回以上 | 2030年度 |
当社は「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」という基本理念のもと、地域とともに歩んでまいりました。目まぐるしく変化する経営環境の中で、銀行業務における収益環境は厳しさを増し、金融そのものに対する変革への要請は以前にも増して強くなっております。当社はこれらの変革をチャンスとして捉え、今後も地域のお客さまに寄り添い、ともに成長することで、地域のさらなる活性化のお役に立てるよう、役職員が一体となって努力してまいります。
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