ネットワンシステムズ 【東証プライム:7518】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)企業理念
当社グループは、ICTの利活用を通じ、社会課題の解決に取り組むために、新しく理念体系を再定義しました。
Purpose(志、大義) | 人とネットワークの持つ可能性を解き放ち、伝統と革新で豊かな未来を創る |
Mission(使命) | 我々は、一人一人が卓越した専門性と高い倫理観を持つプロフェッショナルであり、社会とお客様の課題解決に貢献する |
Vision(目標、Goals) | ネットワークのリーディングカンパニーとしての高い誇りを持つ ネットワンならではの付加価値を創出し、継続した成長を実現する 絶え間ない自己研鑽で心と技術を鍛える精鋭集団であり続ける 幅広いステークホルダーへの責任を果たすため、適切な収益構造を維持する |
Values(価値観) | People:私たちは大切な人に誇れる仕事をします Governance:私は社会に評価される行動を取り続けます Social:私はお客様と一緒に、価値を創造し展開します Environment:私は未来を想い、未来の仕組みをつくります |
WAY | netone、一歩先へ。不祥事を忘れない、誠実に丁寧に、心と体を大切に、お互いに半歩踏み込む、失敗も成功も次への糧に、進化し続ける「匠」、ワクワクを広げる、期待値を超えていく。 |
(2)経営方針
当社グループは、中期経営計画の達成を目指し、再定義した新理念体系(Purpose、Mission、Vision、Values)に基づき「成長戦略の遂行」、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に注力しております。
(3)経営環境
サステナビリティを強く意識した経営が求められるなか、デジタル技術を活用した生産性の改善や付加価値の創出からデジタル化の重要性は一層高まっております。デジタル化の広がりとテクノロジーの進化に対応するためには、安全かつ高品質なネットワークインフラが必要不可欠です。
当社グループは、「世界最高水準のネットワーク技術」と、市場環境・最先端技術・お客様の実課題から中立的な立場で最適解を導く「目利き力」、そして、複数の製品とサービスを組み合わせる「インテグレーション力」を併せ持つことにより、お客様に最適なシステムの設計・構築と導入後の利活用を考慮したサービスの提供を実現しています。
(4)目標とする経営指標
当社グループは、社会課題解決型のアプローチから価値提供領域を拡大し、収益性・効率性の更なる向上によって企業価値を向上してまいります。中期経営計画の最終年度となる2025年3月期の連結業績につきましては次のとおりです。
| 2024年3月期(実績) | [修正後]2025年3月期(目標) |
売上高 | 2,051億円 | 2,200億円 |
営業利益率 | 9.5% | 9.5% |
サービス比率 | 49.1% | 50.0% |
ROE | 18.0% | 20.0% |
* 中期経営計画(2022-2024年度)の詳細につきましては、当社のウェブサイトに掲載しています。
https://www.netone.co.jp/ir/policy/plan/
(5)対処すべき課題及び事業戦略
不正事案の再発防止:2024年3月期の総括
2024年3月期では、二度と不正を起こさない企業文化醸成の基盤運営を引き続き推進しております。ガバナンス・内部統制システムの更なる強化、企業文化改革の推進を継続し、健全かつ継続的な事業成長を図り、企業価値の向上に向け取り組んでまいります。
1.2024年3月期に達成した事項
・企業理念及び行動指針の更なる浸透
企業理念及び行動指針を定着させる体制及び取組みを拡充しました。また、企業文化モニタリング調査の継続実施と企業文化改革を実行しました。
・過去不祥事からの学びと社員の意見収集の仕組みの強化
全社員の学びの場として「企業文化未来センター」を創設し、運営を開始しました。また、第三者を窓口とする目安箱について、建設的かつ具体的な社員の意見を集めることを目的とした運用を開始しました。
・新人事制度への移行と確実な運用
経営戦略の実現を見据え、プロフェッショナル人財の育成につなげる評価制度の導入と、公平・公正な運用の定着に向けた取り組みを開始しました。
・全社最適化にむけた業務改革
新事業基盤整備の推進とシステム統制の強化を図りました。
・リスク管理体制の強化
リスク主管部門による自律的なリスク管理活動を実現しました。役職員一人ひとりのリスク管理意識の更なる向上のための情報提供及び教育を実施しました。
・グループ会社ガバナンスの強化
グループ会社共通の内部通報窓口の運用を継続しました。
2.2025年3月期以降の更なる飛躍に向けた活動方針
・企業理念及び行動指針の更なる浸透
企業文化モニタリング調査を踏まえた改善取組みを継続的に実行します。
・ガバナンス・内部統制システムの更なる強化
当社3ラインモデルを進化させ、事業成長を加速させる組織運営を強化し、メリハリの利いた運営による実効性強化を図ります。
・新人事制度の確実な運用と人財の育成
お客様視点・接点を持ってお客様に役立つ高い専門性を持つ人財集団の形成を引き続き推進します。また、二度と不正を起こさないための人的基盤の更なる強化を図ります。
・全社最適化にむけた業務改革
新事業基盤整備を推進し、システム統制の強化を引き続き推進します。
・統合リスク管理へ向けた体制の強化
リスク主管部門が改善サイクルを回すことによるリスク管理活動の高度化を進め、リスク主管部門のリスク管理意識・スキルの更なる向上のための情報提供及び教育を実施します。
・グループ会社ガバナンスの強化
グループ全体で企業理念及び行動指針の更なる浸透を図ることによる共通認識の醸成と各社の実務に即した改善活動を推進します。また、グループ会社共通の内部通報窓口の運用を継続します。
長期ビジョン
当社グループは、2023年3月期から2025年3月期を対象期間とする中期経営計画を策定しております。中期経営計画の最終年度となる2025年3月期は、引き続き経営基本方針に掲げた「成長戦略の遂行」と、それを支える「経営基盤の強化」、社会的責任として「サステナビリティ」に取り組んでまいります。
■中期経営計画
<経営基本方針>
[成長戦略の遂行]
事業、サービス、財務の3つの戦略を融合させることで、デジタル化による社会課題の余地の大きい分野への進出による事業領域の拡大、収益性の高いサービスの拡充、最適な資本構成を追求してまいります。
1.事業戦略
市場環境として、より一層の事業回帰や拡大するICTインフラに対するセキュリティ需要等は、各産業、市場問わず一層の拡大が見込まれる中、3つの注力領域「スマートマニュファクチャリング」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「デジタルガバメント」で売上高合計300億円の伸長(2022年3月期比)に向けて、お客様の課題解決への提案活動を加速します。
項目 | 名称 | お客様の課題 |
注力領域 | スマートマニュファクチャリング | ・EV関連の投資 ・セキュリティ対策投資 ・グループ再編に合わせたコンサルティングや運用 |
| Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化 | ・MEC拠点の構築 ・グループ会社全体のICTサービスの統合化 ・医療DXのためのマルチアクセス、マルチクラウド ・サーキュラーエコノミービジネス ・スマートシティ、スマートビルディング |
| デジタルガバメント | ・自治体のDX化 ・ガバメントクラウド接続に向けたインフラ見直し ・教育等の準公共分野のデジタル化 |
2.サービス戦略
当社の強みであるネットワーク技術、目利き力、インテグレーション力を生かしたサービスの確立と実践に向け、競争力のある自社クラウドサービスの創出とDXコンサルティング領域の拡大を目指します。
また、効果的な戦略遂行のために、市場ごとに注力サービスを明確化してアプローチします。お客様がご要望される分野を見きわめ、投入リソースを最適化し、カスタマーフェーシングを改善することで、成長の最大化を目指します。
3.財務戦略
企業価値の更なる向上に向けて「戦略的な投資による収益力の強化」「最適な資本構成の追求」「積極的な株主還元」に継続して取り組んでまいります。
あわせて、策定した「キャピタルアロケーションポリシー」のもと、「戦略的な投資」、「財務基盤の強化」、「株主還元」への最適配分を実行し、資本効率を重視した経営を推進してまいります。キャピタルアロケーションの原資となる営業キャッシュ・フローは、事業活動による継続的創出に加え、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善を通じ拡大を図ります。また、資本コストを基準とした投資判断とモニタリングプロセスにより資本効率の高い投資を推進し、収益力の強化を図ってまいります。
[経営基盤の強化]
企業文化改革、徹底した見える化、人財戦略を軸に、盤石な経営体制の構築に向けて全社一丸となって取り組みます。
1.企業文化改革
継続した事業成長とガバナンス強化による企業価値の向上を目指し、過去の不祥事を二度と繰り返さない企業文化を根付かせるための企業文化改革活動を、経営陣・社員全員が一丸となって加速させてまいります。3年目となる企業理念体系の浸透については、全社員を対象とした「面」の施策から、組織別や階層別など「個」に対する施策にシフトさせ、継続して浸透を図ります。
これらの取り組みについては企業文化モニタリング調査及び「ガバナンス・企業文化諮問委員会」にてモニタリングを継続し、企業文化改革と再発防止策の履行・浸透のさらなる推進を図ります。
2.徹底した見える化
全社共通の情報に基づくコミュニケーションを活性化し、組織のパフォーマンスを最大限に引き出すとともに、意思決定に資する経営基盤を支えることにより、企業価値の向上、再発防止、企業文化改革の促進につなげてまいります。具体的には、経営層をはじめとした社員のデータ利活用促進に向けて、データ民主化による全社での利用環境の整備とデータ分析の高度化を進め、サービスシフトなど戦略の進捗状況のモニタリングを推進してまいります。主管部門と連携のうえで利益の最大化に貢献し、経営・事業戦略達成に資するアウトプットの創出を進めてまいります。
3.人財戦略
多様な人財の成長と活躍で経営を支えることを目指し、「プロフェッショナル人財の育成」「人財が活躍するための環境の提供」に継続して取り組んでまいります。
2030年ビジョン実現に向けて人財ポートフォリオを構築し、持続可能な成長と競争力向上を目指しています。社員が専門性を軸に成長し続け、生き生きと働ける環境を整備することで、さまざまな“個”の力を“チーム”の力として最大化し、風通しのよい企業風土の醸成と生産性向上による持続的な成長を目指します。具体的には、専門性人財の定義に基づき、あるべき姿と現在のギャップを明確化し、あるべき姿の実現に向けた戦略策定を行います。社員の成長を支援する基盤づくりとして、評価者トレーニングの実施により適切な成長に役立つフィードバックの徹底や、役割に応じた処遇と適切な人財の見極め、チームでの活動を評価する仕組みの運用などを行ってまいります。また、ダイバーシティ&インクルージョンに関する施策においては、女性管理職の輩出に向けた育成プログラム等の方策や障がい者雇用の促進に向けた施策、シニア人財の活躍促進策の検討を進めてまいります。
[サステナビリティ]
サステナビリティ方針のもと、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的成長の両立に向けて特定した4つのマテリアリティ(重要な経営課題)について、以下のKPIに取り組みます。
1.安心・安全な高度情報社会の実現
・課題・領域別ソリューション・サービスの提供
新中期経営計画の注力3領域「デジタルガバメント」、「Society5.0を実現する社会基盤のデジタル化」、「スマートマニュファクチャリング」を中心とした社会課題解決型のソリューション・サービスを提供することで、当社の事業成長と持続可能な社会の実現から、売上高として2025年3月期に300億円の伸長(2022年3月期比)を目指します。
・サービスビジネスの拡大と推進
ICT市場が大きな転換期を迎えている中で、当社が中長期的に、持続的に成長していくため、サービスビジネスを中核としたビジネスモデルへのシフトを加速することで、2025年3月期のサービス比率50%(従来目標の55%から修正)を目標にサービスビジネスを拡大します。
2.プロフェッショナル人財の活躍
・次世代を担うIT人財の育成
事業成長に向けてソリューション・サービスにおける競争力を高めるために、セキュリティ人財・クラウド人財の育成を強化するとともに、コーポレート部門の機能強化を目的として、DXスキルの獲得に注力していきます。セキュリティ人財として、CISSP取得者を2031年3月期に80名、安全確保支援士を2031年3月期に100名、クラウド人財を2031年3月期に50%増(2022年3月期比)を目指します。また、デジタル化人財として、コーポレート部門では2031年3月期までに150名増加させ、業務改善提案を2023年3月期から2031年3月期の累計件数で100件の創出を目指します。また、産学連携などを通じた次世代IT人財育成プログラムを拡充します。
・ダイバーシティ&インクルージョンの推進
多様な人財が相互に認め合い、個性を生かして活躍するための環境・制度を整備することで、生産性の向上やイノベーション創出の促進を図り、女性役職者比率を2031年3月期に15%、新卒採用女性比率を2031年3月期に50%、男性の育休及び出産時の特別休暇取得率を2031年3月期に90%を目指します。
3.脱炭素社会への貢献
・ビジネスを通じた温室効果ガス排出量削減
お客様や社会における温室効果ガスの排出削減に貢献する「グリーンソリューション」の開発・提供によって、脱炭素社会の実現への貢献と当社の成長を両立します。
・自社の事業プロセスにおける排出量削減
自社の事業プロセス及びサプライチェーンにおけるCO2排出量を削減し、気候変動によるリスクの低減に努めます。低消費電力製品及びサービス販売を拡大することで、CO2排出量の大部分を占める、「製品及びサービスの購入と販売」を主な削減対象とし、購入・販売価格あたりのCO2排出量削減に取り組みます。
4.持続可能な成長を実現するガバナンス体制の維持強化
・企業文化の醸成と内部統制強化
新生netoneを具現化する企業文化を醸成するとともに、不祥事の再発防止をはじめとする内部統制を強化します。企業文化の醸成に向けた取り組みとして社員意識調査を毎年実施(※将来的には調査結果を開示する予定)し、再発防止策の運用状況を半期に1回当社ウェブサイト上に掲載します。
・健康経営®の実現
事業の成長・継続において不可欠となる社員の心身の健康を維持するため、継続して健康経営に取り組みます。
<業績目標>
[中期経営計画]
当社グループは、社会課題解決型のアプローチから価値提供領域を拡大し、収益性・効率性の更なる向上によって企業価値を向上してまいります。
経営基本方針で掲げた経営基盤強化につきましては、ガバナンス強化・企業文化改革において、一定程度の進捗・定着が図られました。当社グループの成長の土台として、継続して改善の取組みを進めてまいります。一方で、成長戦略につきましては、注力領域は着実に伸長したものの、受注高とサービスの収益性に課題が生じました。これに対して、以下の改善策に着手しております。
・受注高の伸長
拡大する需要を獲得するために、市場・サービスを明確化してアプローチする効果的な戦略遂行、再発防止策の一定の定着を踏まえた事業部門のリソース及び効率の拡大、そして、新業務システム(2025年4月に稼働開始予定)による事業部門の業務効率化によって、受注キャパシティ及びカスタマーフェーシングを改善します。
・サービスの収益性の改善
各種コスト上昇を反映することによる提供価格の適正化、エンジニアの生産性向上に寄与する中核ソリューション及び運用サービス等の標準化・自動化、そして、これら収益性のモニタリングによって、適切な収益性の確保及び原価率の低減を図ります。
これらを踏まえ、中期経営計画の最終年度となる2025年3月期の連結業績の数値目標を以下のとおり修正することといたしました。
| 2025年3月期 | |
修正前 | 修正後 | |
売上高 | 2,260億円 | 2,200億円 |
営業利益率 | 12.0% | 9.5% |
サービス比率 | 55.0% | 50.0% |
ROE | 20.0% | 20.0% |
[次期見通し]
2025年3月期の連結業績につきましては、以下を見込んでおります。
| 2024年3月期 (実績) | 2025年3月期 (見通し) | 前年度比 | |
増減額 | 増減率 | |||
売上高 | 2,051億円 | 2,200億円 | 148億円 | 7.3% |
営業利益 | 195億円 | 210億円 | 14億円 | 7.5% |
経常利益 | 191億円 | 208億円 | 16億円 | 8.6% |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 137億円 | 144億円 | 6億円 | 5.0% |
(注)上記の業績見通しは、当社が現時点で合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績と大きく異なることがあります。
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