第四北越フィナンシャルグループ 【東証プライム:7327】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ基本方針
国内外において気候変動への対応をはじめとしたサステナビリティに関する動きが一層加速するなか、当社グループの姿勢・取り組みを明確化するため、「第四北越フィナンシャルグループ サステナビリティ基本方針」(以下、「サステナビリティ基本方針」)を制定し、グループ一体となって地域を取り巻く環境課題や社会課題の解決に向けたサステナビリティへの取り組みを推進しております。
(2)サステナビリティへの取り組み
近年、世界各国で異常気象や大規模な自然災害による被害が甚大化しており、日本においても豪雨や台風等により大きな被害が発生するなど、気候変動が企業の事業活動に及ぼす影響が大きくなっています。
また、近年ではロシアによるウクライナ侵攻や新型ウイルスのパンデミックなど、経済安全保障の重要性が高まっており、当社グループの事業継続だけでなく、取引先のサプライチェーンに影響を与えるリスクへの対応も必要となっています。
当社では、このような問題を背景として、環境・社会を維持、向上させながら、経済と企業の成長を実現するサステナビリティ経営の実践にグループ一体となって取り組んでおります。また、2022年3月期より、TCFD※(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言のフレームワークに基づき、気候変動を中心としたサステナビリティへの取り組みに関する情報を開示するなど、情報開示の充実に取り組んでおります。
※TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):2015年12月に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候関連情報開示を企業へ促す民間主導のタスクフォース
①ガバナンス
社長を委員長とし、担当役員、グループ会社社長、第四北越銀行の部長などの主要メンバーに加え、オブザーバーとして当社および第四北越銀行の社内監査等委員が参加するサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティに関するリスクと機会の分析と分析結果に基づいた戦略等についての審議を行っております。
2022年5月より、同委員会の開催頻度を四半期に1度から毎月開催へ変更し(2022年度は11回開催)、サステナビリティに関する取り組みへのPDCAを強化したほか、それらの内容を取締役会で審議する体制を構築するなど、取締役会がサステナビリティにかかる意思決定や監督に関与する仕組みとしております。
<サステナビリティ推進委員会の役割>
当社グループでは、気候変動への対応を最重要課題と認識し、TCFD提言に賛同のうえ、サステナビリティ推進委員会において気候変動に関する分析や対応策を検討しており、検討した施策の実施や積極的な情報開示に取り組んでおります。
また、分析結果の有効活用や、当社グループの事業継続に向けたリスクマネジメント、人財育成など、当社グループの持続的発展に向けて、サステナビリティ推進委員会において、「ビジネスへの活用」、「リスクマネジメント」、「人的資本価値の向上」、「情報開示」の4つのカテゴリー毎に部会やWG(ワーキンググループ)を設置し、各部会・WGで企画、実施した活動に対するPDCAを実践しております。
加えて、増大する地政学的リスクへの対応についても重要課題と位置づけ、サステナビリティ推進委員会で検討しております。
※1.CDP:CARBON DISCLOSURE PROJECT 英国の非政府組織(NGO)
※2.BCM:Business Continuity Management 事業継続マネジメント
<サステナビリティ推進委員会における各部会・WGの役割>
②戦略
<気候変動に伴うリスクに対する認識>
気候変動リスクについて、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸で物理的リスク・移行リスクと機会を認識し、当社グループへの影響を定性的・定量的に分析しており、それらの分析結果に基づいた当社グループのリスク管理態勢の強化ならびにお客さまへの情報提供やコンサルティングサービス、ソリューション提供の充実に取り組んでおります。
<気候変動に関するシナリオ分析>
2021年度に第四北越銀行が参加した「TCFD提言に沿った気候変動リスク・機会のシナリオ分析パイロットプログラム支援事業(環境省)」で得た分析ノウハウを活用し、物理的リスクと移行リスクの分析を行いました。分析の結果は以下のとおりであります。
〇物理的リスク
気候変動に起因する大規模水害が発生した場合の担保毀損およびお客さまの事業停滞による業績悪化の影響を分析しております。担保毀損額につきましては、2021年度に分析対象とした第四北越銀行が受け入れている「新潟県内の担保物件」から県外を含む「全担保物件」に対象を拡大し分析しております。また、売上減少額につきましては、「新潟県全域を所在地とする第四北越銀行の融資先(大企業・公金を除く)」から「全国を所在地とする第四北越銀行の全融資先(大企業・公金を除く)」に対象を拡大しております。
〇移行リスク
移行リスクは、第四北越銀行の融資ポートフォリオにおいて気候変動リスクの影響度が高い電力セクター、食品セクターに加え、不動産管理・開発セクターを対象に追加し分析しております。
<気候変動に伴う機会に対する認識>
気候変動における金融機関の主な役割は、お客さまの脱炭素社会への移行に向けた気候変動対策にかかるファイナンスをはじめとしたさまざまなソリューションの提供であると認識しております。
脱炭素社会への移行に際しては、環境や社会を維持・向上させながら、経済と企業の成長を実現することが求められることから、当社グループではお客さまとのエンゲージメントを起点に、お客さまの気候変動対策を支援するとともに、積極的に情報発信することで地域のサステナビリティへの意識向上に貢献してまいります。
③リスク管理
当社グループでは「環境・社会に配慮した投融資方針」を制定し、投融資を通じて持続可能な地域社会の実現に貢献していく取り組み姿勢を明確にしています。地域の環境・社会の課題解決に取り組むお客さまを積極的に支援する一方で、環境・社会に負の影響を与えると考えられる事業等を特定し、地域および当社グループのリスクと認識して慎重に投融資判断を行っております。
リスク管理の枠組みにおいては、気候変動リスクが、地球環境ひいては地域経済に重大な影響をもたらすリスクであると認識し、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナル・リスクの管理において、気候変動リスクを考慮に入れたリスク管理態勢の構築を進めております。
<与信残高に占める炭素関連資産の割合>
2023年3月末の第四北越銀行の貸出金等(含む私募債)に占める炭素関連資産※の割合は18.5%となっております。
※炭素関連資産は、「電力・エネルギー(水道事業、再生可能エネルギー発電事業を除く)」、「運輸」、「素材・建築物」、「農業・食糧・林産物」の4セクターと定義されており、主たる事業が当該4セクターに該当するお客さまへの与信残高を集計しております。
④指標及び目標
<サステナブルファイナンス目標>
当社グループでは、2030年度までに合計1.5兆円(うち環境分野1兆円)のサステナブルファイナンスを実行することを目標として掲げております。
<CO2排出量削減目標>
当社グループは、2023年3月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を公表し、2050年度までに当社グループのCO2排出量(Scope1、Scope2が対象)を実質ゼロにする目標を掲げました。今後は、Scope3を含めた新たなCO2排出量削減目標の設定を検討してまいります。
<Scope3カテゴリー15の試算>
投融資先が排出する温室効果ガスの排出量であるScope3カテゴリー15は、金融機関におけるScope3のなかでも大きなウェイトを占めることから、PCAF※1スタンダードの計測手法を参考に、第四北越銀行の国内法人向け融資(プロジェクトファイナンスを除く)を対象として試算しております。今後も引き続き計測の高度化を進めてまいります。
(3)「人的資本経営の実践」(人財戦略)への取り組み
当社グループでは、従来より従業員は重要な財産であるとの認識から人材については「人財」と表記し、「人財」を重視した経営を進めてまいりました。2018年の当FG設立による経営統合、2021年の子銀行合併に際しては、経営理念の浸透を軸とした従業員の意識統合と積極的な交流人事などによる組織融和に注力してまいりました。また、合併前子銀行の取り組みを土台としてダイバーシティや健康経営を更に推し進め、「健康経営優良法人(ホワイト500)」「プラチナえるぼし」「プラチナくるみんプラス」の各認定を取得しております。
従来からのこうした取り組みを土台として、持続可能な成長を追求するサステナビリティ経営を人的資本の視点から捉え戦略的に実践するため、2023年度より中期経営計画の戦略Ⅲ「人財力の育成・強化」を「人的資本経営の実践」に変更し、人財(人的資本)に対する取り組みを強化してまいります。
中期経営計画の戦略Ⅲ「人的資本経営の実践」は、当社グループの人財(=人的資本)を「経営理念の実現とサステナビリティ経営の実践に向けての基盤、かつ価値創造の源泉」と捉えたうえで、環境変化への適応力と強靭力(レジリエンス)を備えた組織を作り上げることができる人財に育成していくための戦略であります。この人財戦略の実践により、当社グループの人財一人ひとりの知識とスキルを向上させ、お客さまや地域社会に「新たな価値を提供し、地域社会の発展に貢献し続ける」当FGの経営理念の実現に繋げてまいります。
①ガバナンス
人財戦略は「サステナビリティ経営の実践」を主とした経営戦略を人的資本の視点から捉え、実践するための実行戦略と言えます。こうした位置付けから人財戦略のガバナンスは「サステナビリティへの取り組み」の枠組の中で実施しております(詳細は「(2)サステナビリティへの取り組み ①ガバナンス」を参照願います)。
②戦略
人的資本経営の実践に当たって、当FGは人的資本に関して「組織総合力」「人財力」「職場環境」の3つの視点から目指す姿を設定し、これを実現するための人財育成と社内環境整備に関する方針を策定の上、実現に向けて強化する5つの取り組み(下図A~E)を重点的に進めてまいります。
当FGの「人財育成方針」「社内環境整備方針」 及び方針を実現するために強化する取り組みについては以下のとおりであります。
人財育成方針 |
第四北越FGは、以下の2つのポリシーと社内環境整備を通じて、自律的に学び成長し、多様化・複雑化した環境・社会課題の解決に当事者意識を持って主体的に取り組む多様な人財を育成し、高い実践力・専門力を備えたコンサルティングにより、ステークホルダーに新たな価値を提供します。 ◆人財における多様性の確保と活躍推進(D&I) ジェンダー・国際性・職歴・年齢等の属性によらず従業員一人ひとりの価値観を尊重し、多様な人財の雇用と公正・適切な処遇のもと、多様性から生まれるイノベーションを社会課題の解決に活かしていきます。 ◆コンサルティング機能強化と新たな価値創造に向けた人財育成と登用 DX・SXなどの専門力と実践力を高め、ソリューション機能の強化による新たな価値の創造に向けて、コンサルティング営業分野をはじめ、IT・システム分野等、多様な経験や技能を持った人財を、新卒・キャリア(経験者)に関わらず採用・育成・登用していきます。 |
社内環境整備方針 |
第四北越FGは、健康経営態勢の強化などに取り組み、従業員の心理的・身体的ウエルビーイングを実現するとともに、顧客や地域の信頼に応えるために自律的に行動するポジティブな組織風土の醸成によるエンゲージメント向上を図り、個人が最高のパフォーマンスを発揮し、個人と組織のサステナブルな成長を促す社内環境を整備していきます。 |
(人財育成方針を実現するために強化する取り組み)
当社グループは、「人財における多様性確保・活躍推進」と「コンサルティング機能強化と新しい価値創造に向けた人財育成と登用」の取り組みを軸に、人財戦略「人的資本経営の実践」の中核となる「人財力」の強化と、「人財力」のシナジーである「組織総合力」の発揮を進め、高い実践力・専門力を備えたコンサルティングによりステークホルダーに新たな価値を提供してまいります。「人財育成方針」を実現するために、具体的には以下A~Cの取り組みを重点的に進めてまいります。
<取り組みA:人財マネジメントの強化>
「人財力」のシナジーを発揮し、「組織総合力」に転化していくための取り組みであります。具体的には、様々な分野に強みを持つ人財のポートフォリオを構築するとともに、適切なタイミングで重要営業拠点に配置し人財の力を組織として最大限に活かしていく人財マネジメントに取り組んでまいります。併せて、多様化する人財の力をフルに引き出し、組織の力に転化していくためのリーダーシップ(インクルーシブ・リーダーシップ)を組織に定着させていく取り組みを進めてまいります。
(高度専門資格保有者数(第四北越銀行 2023年3月末))
FP1級 | 中小企業診断士 | 証券アナリスト | ITコーディネータ |
192人 | 48人 | 49人 | 15人 |
<取り組みB:人財多様性確保と活躍推進(D&I)>
人財の多様性を確保し、様々な考え方やキャリアを持つ人財が議論することで生まれる新しい気づきやアイデアをお客さまや地域社会の課題解決に活かしていくことは「人財力」を強化していく観点から不可欠であります。
当社グループにおいては、人財の多様性確保は主に女性とキャリア人財(経験者採用人財)の育成・登用により進めております。また、障がい者雇用についても、人財多様性確保と社会的要請に応える観点から積極的に取り組んでいくこととしております。
<取り組みC:コンサルティング能力の向上>
当FGは2021年の子銀行合併に際して、経営戦略を実現するための人財戦略の柱の一つとして「コンサルティング能力の向上」を掲げ、同戦略に対応した人財育成体系や人事評価制度などを整備しております。
今般、経営戦略に対応して、サステナビリティ経営の観点から、お客さまや地域社会の多様化・複雑化した環境・社会課題の解決に主体的に取り組んでいくため、従来からの取り組みを土台に実践力・専門力の2軸でソリューション力を高め、コンサルティング能力向上への取り組みを強化してまいります。
また、コンサルティング能力向上への取り組みでは、自律的に学び、キャリアを選択していくことが人財の成長促進やエンゲージメント向上に繋がることから、リスキル・リカレント教育を含めて任意で参加できる学習機会と自律的キャリア選択機会を拡充し、当社グループ人財一人ひとりの「手挙げ文化」のマインドと挑戦意欲の向上に努めてまいります。
(DX・SX関連の資格保有・検定合格者数(第四北越銀行 2023年3月末))
ITパスポート | サステナビリティ関連検定 |
1,010人 | 1,087人 |
(社内環境整備方針を実現するために強化する取り組み)
当社グループは、自律的に行動するポジティブな組織風土の醸成による従業員エンゲージメント向上に向けた取り組みとともに、心理的・身体的ウエルビーイング実現のための健康経営態勢強化に取り組み、人財戦略「人的資本経営の実践」の土台となる、個人が最高のパフォーマンスを発揮し、個人と組織のサステナブルな成長を促す職場環境の整備を図ってまいります。「社内環境整備方針」を実現するために、具体的には以下D・Eの取り組みを重点的に進めてまいります。
<取り組みD:従業員エンゲージメント向上>
当FGは2018年10月に新潟県内の2つの銀行グループの経営統合を目的に設立された会社であり、2021年に子銀行が合併したことも踏まえ、組織融和・意識統合を着実に進めることを優先課題として捉え、子銀行における管理職向け頭取説明会や全職員との役員対話交流会などの取り組みを重点的に行っております。
組織融和・意識統合の取り組みを進めるに当たっては、定期的に従業員意識調査を実施し、調査結果を踏まえた必要な施策に取り組んできたことによって、意識統合・組織融和は着実に進んでいることを確認しており、同時に従業員エンゲージメントも向上してきているものと認識しております。
当社グループとしては、銀行合併後2年を経て銀行の組織融和プロセスは概ね完了したものと捉えており、次のステップとして従業員エンゲージメント向上に向けた、FGグループ全体の意識統合や従業員のレジリエンス向上(ポジティブな思考の定着)、働きがい向上(自律的なキャリア選択機会拡充<取り組みC参照>、2023年3月より開始した副業兼業制度の活用)などに向けた取り組みに重点を移行することを予定しており、これに伴い新たなエンゲージメント指標設定を検討しております。
(従業員意識調査における「銀行全体の組織融和が進んでいる」回答割合の推移(第四北越銀行))
第1回調査(2019年10月) 子銀行合併前 | 第7回調査(2022年12月) 子銀行合併2年後 | 第1回と第7回 比較 |
51.3% | 94.6% | +43.3pt |
<取り組みE:健康経営態勢の強化>
健康経営については、2018年の当FG設立直後に合併前の子銀行で「健康経営宣言」を公表し、当社グループとして、従業員の心身の健康管理や働き方改革、ダイバーシティ対応も考慮した柔軟な勤務制度整備などへの取り組みを継続的に強化しております。こうした取り組みが評価され、2018年以降、子銀行において「健康経営優良法人(ホワイト500)」認定を6年連続で受けているほか、「えるぼし(最上位)」「プラチナくるみん」認定も受けており、2023年5月には「プラチナえるぼし」「プラチナくるみんプラス」の認定も受けております。
健康経営への取り組みを強化するに当たっては、従業員の心理的・身体的なウエルビーイングを実現するため、心身の健康管理態勢強化と働きやすさ向上を更に進め、多様な人財一人ひとりが心身ともに健康に働ける態勢の強化を図ってまいります。
③指標及び目標
第二次中期経営計画(2021年度~2023年度)において以下の目標を掲げ取り組んでおります。指標及び目標は中期経営計画と連動して見直していく方針であります。
指標(第四北越銀行) | 2022年度実績 | 2023年度目標 |
ITパスポート取得者数 | 1,010人 | 1,300人 |
女性管理監督職比率 | 25.8% | 26%以上 |
障がい者雇用率 | 2.33% | 2.50%以上 |
キャリアチャレンジ制度※1活用者数 | 50人 | 80人 |
育児休業取得率 | 103.7% | 男女とも100%以上 |
健康経営優良法人(ホワイト500) | 認定 | 認定継続 |
えるぼし認定 | えるぼし3段階目認定 | プラチナえるぼし認定※2 |
くるみん認定 | プラチナくるみん認定 | プラチナくるみんプラス認定※2 |
※1 従業員の希望により第四北越銀行内外の新たなキャリアにチャレンジする制度
※2 2023年5月に「プラチナえるぼし」「プラチナくるみんプラス」の認定を取得しております。
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