企業兼大株主ゆうちょ銀行東証プライム:7182】「銀行業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

以下の記載における将来に関する事項は、明示がある場合又は文脈上明らかな場合を除き、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。

(1) 基本的な考え方

当行グループは、直営店や全国の郵便局ネットワーク、ATM等の金融インフラを基盤に全国で事業を展開しており、その活動は社会課題の解決に寄与するものと強く認識しております。

前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営戦略、対処すべき課題等」に記載のとおり、当行グループは中期経営計画において、パーパス(社会的存在意義)、経営理念、ミッションを明確化し、その達成に向けて策定した5つの重点戦略の実行を通じて、中長期的に環境、社会、ガバナンスに係る社会課題解決(社会的価値創出)と企業価値向上を両立し、サステナブルな(持続性のある)経営の実現を目指す「ESG経営」に取り組んでおります。

(2) 重点課題(マテリアリティ)

ESG経営の根幹にあるのは、「当行グループが事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、様々なステークホルダーへ価値を提供することが、当行グループの企業価値向上に結びつく」という「価値創造の循環」の考え方であります。

中期経営計画においては、社会課題のうち、当行グループが特に注力すべき重点課題(マテリアリティ)を4つ設定しました。「日本全国あまねく誰にでも『安心・安全』な金融サービスを提供」、「地域経済発展への貢献」、「環境の負荷低減」、「働き方改革、ガバナンス高度化の推進」の4つであります。これらは「社会と地域への発展に貢献する」ことをパーパスとし、「最も身近で信頼される銀行」を目指す当行グループが、お客さま、地域社会、環境、社員などのステークホルダーに価値を提供する過程において、「ステークホルダーにとっての重要性」と「当行グループの事業活動によるインパクト」の観点から、特に重視すべき社会課題として抽出・整理したものであります。

4つの重点課題(マテリアリティ)については、各々リスクと機会を整理の上、リスクの最小化と機会の最大化を図るため、5つの重点戦略と連動した具体的な取組みを策定し、進捗をマネジメントするための指標・目標として目標KPIを設定しております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。また、それぞれの進捗を評価・管理するためのガバナンス、リスク管理についても社内体制を整備しております。

パーパスや経営理念に立ち返って重点課題(マテリアリティ)を特定したことにより、社会・地域と共存して成長することの重要性を全社員が認識し、その解決に向け取り組んでおります。

<重点課題(マテリアリティ)特定プロセス>

STEP1:検討すべき社会課題の抽出

SDGs等を始めとする国際的なガイドライン・指針等を基に、社会課題を可能な限り網羅的に抽出。

STEP2:対象とすべき社会課題の絞り込み

抽出した社会課題の中から、当行グループのパーパスや経営理念、事業活動内容等を踏まえ、外部調査機関の評価結果や外部有識者の意見等も反映して、当行グループが対象とする社会課題を絞り込み。

STEP3:重点課題(マテリアリティ)マップの作成

当行グループが対象とすべき社会課題を、「ステークホルダーにとっての重要性」、「当行グループの事業活動によるインパクト」の2軸で整理し、マテリアリティマップを作成。

STEP4:重点課題(マテリアリティ)の特定

経営会議、取締役会において妥当性を検討し、4つの重点課題(マテリアリティ)を特定。

<4つの重点課題(マテリアリティ)>

重点課題

(マテリアリティ)

主なリスクと機会

関連するSDGs


リスク

・少子高齢化、DXやお客さまニーズの変化への不十分な対応による取引の減少

・サイバー攻撃、システム障害発生等による社会的信用失墜


機会

・他行との差別化によるイメージ向上

・誰もが使いやすいサービスの提供による利用者数増加

・金融リテラシー教育による金融ニーズの増加


リスク

・地域の人口減少による、マーケットの衰退

・地域コミュニティとの不十分なエンゲージメントによる機会の減少


機会

・地域経済の活性化によるマーケットの拡大

・多様なパートナーとの連携、地域の資本性資金ニーズへの対応による機会の拡大


リスク

・自然災害等による、ATM等の当行グループ保有資産の毀損や投資先企業の信用リスクの増加

・市場運用で保有している、環境規制強化の影響が大きい企業の有価証券価値低下

・環境問題への対応が不十分と評価された場合の企業価値低下


機会

・環境課題に対する適切な取組みと開示による、資本市場と社会からの当行グループへの評価向上

・再生可能エネルギー事業等への投融資及びグリーンボンド等への投資機会の増加


リスク

・人財不足等による経営戦略遂行の阻害

・従業員エンゲージメント低下による士気の低下

・不祥事件、コンプライアンス違反等発生やマネー・ローンダリング/テロ資金供与等に対する態勢不備による社会的信用失墜


機会

・多様な人財によるイノベーションの創出

・経営戦略と連動した人財戦略・人的資本投資による、組織の活性化、企業価値向上

・多様な働き方による生産性向上

(3) ガバナンス

① サステナビリティに係る各種方針

当行グループは、経営会議や取締役会での議論を経て、サステナビリティを推進するための基本的な方針を定めた「サステナビリティ基本方針」を制定しております。同方針においては、サステナビリティを「中長期的に持続可能な社会的価値創出と企業価値向上の両立」と定義し、サステナビリティ推進を経営上の最重要施策と位置づけております。また、「ゆうちょ銀行環境方針」、「ゆうちょ銀行人権方針」等も制定し、環境や人権に配慮した事業活動に取り組んでおります。

② サステナビリティ推進・監督体制

当行コーポレートスタッフ部門経営企画部サステナビリティ推進室において、サステナビリティに関する企画調整及び各業務所管部の推進状況確認を行う等、サステナビリティに関する活動を統括しております。同室は、サステナビリティに関する活動計画等に基づき、施策の推進状況を把握・分析し、要改善点があれば関係部署と調整し、必要な改善等を行っております。

サステナビリティ推進への取組事項については、経営会議の諮問機関として設置しているサステナビリティ委員会において協議等を行うとともに、経営会議や取締役会に適時・適切に付議・報告しております。


③ 各種研修の実施

サステナビリティ推進に向けた取組みについて、社員一人ひとりが自らの業務に当てはめて理解し、主体的に実践することを目指し、経営幹部向け研修、社員向け研修(eラーニング、情報紙発行等)等、各種研修を実施しております。

(4) 戦略

当行グループは、4つの重点課題(マテリアリティ)を経営戦略と連動させるESG経営により、事業活動を通じて社会課題の解決を図る取組みを進めております。具体的には、中期経営計画において策定した5つの重点戦略に基づく諸施策を通じて、重点課題(マテリアリティ)解決に取り組んでおります。

重点課題(マテリアリティ)のうち、「日本全国あまねく誰にでも『安心・安全』な金融サービスを提供」及び「地域経済発展への貢献」への取組みについては、前記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (3) 経営戦略、対処すべき課題等」及び後記「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1) 事業の概況」に記載のとおり、「リテールビジネス」におけるリアルチャネル(店舗・ATMネットワーク)とデジタルチャネルの相互補完を通じた金融サービスの提供、「Σビジネス」を通じた国内へのエクイティ性資金供給の強化と地域の中堅・中小企業育成等を推進しております。

重点課題

(マテリアリティ)

課題解決に向けた

主な取組み

5つの重点戦略

リアルとデジタルの相互補完による新しいリテールビジネスへの変革

デジタル技術を活用した業務改革・生産性向上

多様な枠組みによる地域への資金循環と地域リレーション機能の強化

ストレス耐性を意識した市場運用・リスク管理の深化

一層信頼される銀行となるための経営基盤の強化


・全国の郵便局ネットワークの活用

・安心・安全を最優先に、すべてのお客さまが利用しやすいデジタルサービスの拡充

・オープンな「共創プラットフォーム」の構築

・お客さまに一層寄り添ったコンサルティング

 

 


・多様な枠組みを通じた地域への資金循環

・「地域の金融プラットフォーム」として、各地域の実情に応じた金融ニーズに対応

・地域リレーション機能の強化

 

 

 


・TCFD提言に沿った取組強化

・ペーパーレス化推進、CO2排出量削減

・ESG投資の推進

 

 

 


・社員の働きがい向上

・ダイバーシティマネジメントの推進

・柔軟な働き方の拡大、ハラスメントの根絶

・独立性・多様性・専門性のバランスの取れた取締役会の構成

 

 

 

 

① 「環境の負荷低減」への取組み

当行グループは、環境・社会及び企業活動にも大きな影響を及ぼす気候変動等への対応を経営上の重要課題の一つと認識し、2019年4月にTCFD提言(注1)への賛同を表明しました。以降、ペーパーレス化推進等を含めた各種取組みを経営戦略に組み込み、パリ協定の目標に整合的となるよう対応の高度化を進めております。

気候変動を始めとする環境課題に対しては、環境に配慮した事業活動に努めるため、「ゆうちょ銀行環境方針」を策定しております。また、パリ協定の目標に沿い、2050年までに自社及び投融資ポートフォリオのGHG(温室効果ガス)排出量のネットゼロ達成を目指す「ゆうちょ銀行 GHG排出量ネットゼロ宣言」を2022年3月に公表しました(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。

更に、TCFD提言の内容を踏まえ、気候変動関連のリスクと機会の特定や、気候変動関連のリスクが、経営戦略や投融資ポートフォリオ等に及ぼす影響を把握するためのシナリオ分析、炭素関連資産に対する貸出エクスポージャーのモニタリング等を実施しており、気候変動関連のリスクと機会が事業に与える実際の影響と潜在的な影響について分析・開示しております。特に、物理的リスク(当行グループが全国に設置・保有しているATM・窓口端末機等の設備への影響)及び移行リスク(法規制等による投資先企業の炭素コスト増加が投資先企業の収益に与える影響)について、定性・定量的なシナリオ分析を実施・開示しております。

また、気候変動や生物多様性等の環境問題、人権侵害等の社会問題に適切に対応するために、「ESG投融資方針」を制定し、投融資先の環境や社会への配慮状況を確認するとともに、グリーンボンド/ローンへの投融資等、ESGテーマ型投資(注2)の推進を通じて、社会全体のGHG排出量削減の取組みを後押ししております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。同方針については、機関投資家として気候変動に対する社会的責任を果たすため、内容の更なる充実を検討してまいります。

(注) 1.気候変動に関する企業情報開示の充実を目的とする国際的な提言

ESG債(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド等)、再生可能エネルギーセクター向け与信、地域活性化ファンド等

② 「働き方改革、ガバナンス高度化の推進」への取組み

(人的資本経営の推進)

当行グループは、中期経営計画で定めた働き方改革等に関する取組みのほか、ESG経営と連動した人事戦略を推進しております。人財を競争力・価値創造の源泉と捉え、パーパス・経営理念・ミッションと連動した人的資本強化に対する取組みを行っております。具体的には、「人事戦略の基本的考え方」を定め、「成長を促す」×「能力を引き出す」×「多様性を活かす」という3つの柱の掛け算を通じて、当行グループを多様な人財が活躍する「いきいき・わくわく」に満ちた会社にすることを目指しております(目標KPIについては、後記「(6) 指標と目標」をご参照ください。)。


(a) 「成長を促す<意欲・知識・経験の向上>」

当行グループは、中期経営計画のスローガンである「信頼を深め、金融革新に挑戦」というチャレンジ精神を醸成するために、社員一人ひとりの自律的な成長の促進に取り組んでおります。具体的には、①キャリアデザイン研修の実施やキャリアデザインガイドブックの策定等による「キャリア開拓意欲の醸成」、②キャリアチャレンジ制度を通じた「キャリア選択機会の提供」、③DX実務人財プログラムや他企業への派遣等の専門知識の向上に係る「学習機会の提供」により、キャリア形成支援や専門性向上等に取り組んでおります。また、中期経営計画の強化事業分野においては、採用・社内人財育成の両面から、専門分野の人財確保に努め、外部人財の積極的採用、専門分野の知識・ノウハウの習得を進めております。

(b) 「能力を引き出す<能力発揮に向けた環境整備>」

当行グループは、社員が培った知識・経験を最大限発揮するためには、社員の戦略的な人財配置等、社員一人ひとりが自分らしく健康でいきいきと働くことができる環境の整備が必要不可欠であると考えております。若年層の積極的な登用のほか、①テレワーク環境の拡充、勤務間インターバル遵守や連続休暇取得推奨等による「働き方見直しの取組み」、②生活習慣病の予防・改善に向けた保健指導、メンタルヘルスケア等の健康保持・増進施策の充実を通じた「健康経営の取組み」、③各種研修による社員の人権意識の醸成、社内外の相談窓口設置やプラットフォームの構築等による「ハラスメント根絶の取組み」等の環境整備を通じて、働きがい・やりがいの向上に取り組んでまいります。更に、価値創造の担い手である社員自身の資産形成支援に向け、iDeCo、従業員持株会、財形貯蓄、団体定期保険等の福利厚生制度の充実と浸透に取り組んでおります。

(c) 「多様性を活かす<多様性の尊重>」

当行グループは、お客さまを始めとする多様なステークホルダーのニーズに対応するため、多様性に富んだ人財確保が不可欠と考えております。社員一人ひとりの多様な価値観を尊重し、組織の力とする文化を構築することを目指し、ダイバーシティ・マネジメントを推進しております。

具体的には、「女性活躍推進」、「育児休業取得推進」、「障がい者雇用の推進」に目標KPIを設定して取組みを強化しているほか、扶養手当や介護休業等の手当・休暇制度、社宅への入居を同性パートナーに対し適用できる制度を整備する等、「性の多様性への対応」も進めております。

(ガバナンス高度化等の推進)

当行は、経営の意思決定の迅速化・透明性向上のため、指名委員会等設置会社の制度を採用しております。

また、当行の取締役会は、員数の過半数は独立役員により構成されるものとしており、豊富な知識・経験と高い見解を有する多様な取締役により構成しております。本有価証券報告書提出日現在14名の取締役のうち9名は独立社外取締役で、5名(36%)が女性であります。当連結会計年度は、取締役会の諮問機関として、市場運用におけるリスクやサイバーセキュリティを含むシステム関連のリスクを審議するリスク委員会を設置したほか、戦略的な議論をより充実させる観点で取締役会の運営方法見直し等に取り組みました。

また、2023年5月のシステム更改に向けて、代表執行役社長直轄の全社推進会議を立ち上げ、第三者機関からの助言も得ながら全社的な態勢構築を図り、円滑な更改を実現しました。

今後も、取締役会における議論の一層の活性化と更なる監督機能の充実等を通じたガバナンス高度化に取り組むとともに、内部管理態勢の強化に努めてまいります。

なお、当行のコーポレート・ガバナンスの概要については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

(5) リスク管理

当行グループは、中長期的な収益性と財務健全性の向上を図るため、リスクアペタイト・フレームワークを導入しております(後記「3 事業等のリスク」をご参照ください。)。リスクアペタイト・フレームワークの枠組みの中で、当行グループの事業、業績及び財政状態等に特に重要な影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについては、その影響度・蓋然性を踏まえ、トップリスクとして選定しておりますが、その一つに、「気候変動対応、人権尊重等、サステナビリティに係る取組み・開示が不十分」を選定しております。当行グループは「コーポレートガバナンスに関する基本方針」及びサステナビリティ推進・監督体制(前記「(3) ガバナンス」をご参照ください。)に基づき、サステナビリティ推進の取組状況を把握・分析の上、適時・適切に開示を行い、必要に応じて追加的な対応を行っております。

(6) 指標と目標

4つの重点課題(マテリアリティ)については、進捗をマネジメントするための指標・目標として、中期経営計画において以下のとおり目標KPIを設定しております。

重点課題

(マテリアリティ)

指標・2025年度目標

進捗状況


・通帳アプリ登録口座数:1,000万口座

 

・つみたてNISA稼働口座数:40万口座

 

・745万口座

(2023年3月末実績)

・23万口座

(2023年3月末実績)


・地域活性化ファンド出資件数:累計50件

 

・事務共同化実施金融機関数:約20金融機関

 

・累計45件

(2023年3月末実績)

・累計5金融機関

(2023年3月末実績)


・GHG排出量削減

区分

2030年度

中間目標

2050年目標

自社排出量

(Scope1、2)

2019年度比

△60%

(1.9万t-CO2)

ネットゼロ

投融資ポート

フォリオ排出量

(Scope3)

電力セクター

165-213g CO2e/kWh

ネットゼロ

 

※2023年3月に自社排出量(Scope1、2)2030年度中間目標を2019年度比△46%から△60%へ引き上げ。

 

・ESGテーマ型投資残高:4兆円

 

自社排出量(Scope1、2)

削減率:△9.9%(4.3万t-CO2)

(2021年度実績)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3.2兆円

(2023年3月末実績)


・女性管理者数比率:20%

 

・育児休業取得率(性別問わず):100%

 

・障がい者雇用率:2.7%以上

 

・17.5%

(2023年4月1日時点)

・100%

(2022年度実績)

・2.72%

(2022年6月1日時点)

(注) 1.GHG排出量削減目標を除き2025年度の目標を記載しております。なお、女性管理者数比率は2026年4月、障がい者雇用率は2025年6月の目標であります。

男女の賃金の差異についての状況等は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載しております。

指標・目標設定については当行グループに属するすべての会社では行われていないため、当行グループにおける記載が困難であります。このため、目標及び進捗状況は、連結グループにおける主要な事業を営む当行のものを記載しております。

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