東京きらぼしフィナンシャルグループ 【東証プライム:7173】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、経営理念である「首都圏における中小企業と個人のお客さまのための金融グループとして、総合金融サービスを通じて、地域社会の発展に貢献します。」を実現するため、2024年3月 パーパス「TOKYOにつくそう。」を策定し、お客さまや地域のために、グループの総合力を最大限に活用しながら、金融の常識を超えて課題解決にコミットし、地域社会・地域経済の持続的な発展に貢献してまいります。
<パーパス>
※「TOKYO」とは、東京を中心とした首都圏を地盤とし、きらぼしグループがさまざまな価値を提供する全ての人々・地域・課題などを象徴的に表したものです。
(2)経営環境
わが国経済は、ウィズコロナからアフターコロナへの転換に伴い経済活動が再開・活発化する中で、緩やかな回復基調を辿りました。中でも個人消費については、インバウンド需要の高まりやコロナ禍からの反動等により、外食や旅行等のサービス消費を中心に持ち直しの動きがみられました。ただし、足下では今まで控えられてきたサービス消費が一巡したことや、物価上昇に伴う家計の節約志向の高まりが意識されたこと等を受け、個人消費の持ち直しに足踏みがみられています。また、企業の生産活動については、半導体の供給不足が緩和したことを受け、自動車の生産が回復する等、持ち直しの動きがみられました。
先行きについては、政府の物価高対策の打ち切りに伴う影響や、世界経済減速の懸念、地政学的リスク等が景気の下振れリスクとなっているものの、賃上げによる所得水準の改善やコロナ禍で控えられていた企業の前向きな設備投資の増加等が見込まれ、景気の回復基調は維持されるものと期待されています。
(3)中期的な経営戦略
当社グループでは、2024年度から中期経営計画(計画期間3年)を新たにスタートさせました。新中期経営計画では、グループ各社の収益力向上や質の高いコンサルティング機能の提供によるフィービジネスの拡大などの「収益力の強化と収益構造の見直し」、店舗戦略の抜本的な見直し・生産性向上のための「更なる効率化」、優先株式償還を見据えた「自己資本の充実」に重点的に取り組み、グループの経営体力の強化と競争力の向上を実現してまいります。
また、グループ力を活かしサステナビリティへの取組みを更に強化することで、地域経済および地域社会の持続的成長に貢献するとともに、企業価値の向上を図ってまいります。
<本中期経営計画期間(2024~2026年度)における取組み項目>
① コスト:更なる効率化
法人店舗の集約および専門性の高い人材による生産性の向上
② 収益 :収益力の強化・収益構造の見直し
サービス拡充に向けて整備を続けてきたグループ各社事業の収益化、収益力の強化、
エクイティ投資の収益化、デジタル戦略の収益化など
③ 資本 :自己資本の充実
優先株式償還原資確保に向けた内部留保蓄積、RORAを意識したリスク・アセットコントロールなど
当社グループでは、役職員全員が共通して持つべき意識・価値観・考え方として、「社会貢献、組織の発展、自己実現、自らの幸せを実現させること」を「きらぼしフィロソフィー」として策定しております。そして、その実現に向け、「きらぼしフィロソフィー」を実践する役職員を「きらぼしびと」(※)と定義し、3つの行動指針(①“高い志”を持つひと、②どうしたら出来るのかを常に考えるひと、③結果にコミットし、果敢に挑戦し続けるひと)を掲げております。きらぼしグループの役職員一人ひとりが3つの行動指針を体現する「きらぼしびと」として問題解決に力をつくし、お客さまとの価値共創に取り組んでまいります。
※きらぼしびと:きらぼしフィロソフィーを実現する人です。
当社は新中期経営計画に基づき、グループの中核企業であるきらぼし銀行、デジタルバンク「UI銀行」等、全グループ会社における総合ソリューションで東京圏の社会的問題の解決に取り組んでまいります。その結果として、収益の安定化、事業収益の多様化に伴う収益の増加並びにOHRやROE等経営指標の改善を図ることで、すべてのステークホルダーの皆さまとの互恵関係を築くとともに、地域経済と地域社会の持続的な発展に貢献してまいります。
(4)目標とする経営指標
中期経営計画のKGI(財務目標)につきましては、以下のとおりとなっております。
<中期経営計画のKGI(財務目標)>
| 2026年度目標 |
当期純利益(FG連結) | 300億円 |
ROE(FG連結) | 7%台後半 |
グループ会社利益(FG連結)※きらぼし銀行を除く | 50億円 |
コアOHR (きらぼし銀行単体) | 50%台半ば |
自己資本比率(FG連結) | 8.3% |
(5)対処すべき課題等
「金融にも強い総合サービス業」を将来像に掲げる当社グループはこれまで、ビジネス構造の改革とグループ連携を通じた持続可能な成長モデルの構築を進めるとともに、店舗・人員・システムを中心とした合理化施策により経費削減を進めるなど、経営の効率化を推進してまいりました。
当社グループを取り巻く経営環境をみると、経済活動の正常化が一段と活発となる一方で、世界ではロシア・ウクライナ情勢等の地政学的リスク、資源・原材料価格の高騰、インフレーションの進行、国内ではマイナス金利政策解除による金融政策の転換期を迎える等、業種によっては先行きの不透明な状況が続いております。また、目まぐるしい環境の変化に伴い、お客さまのニーズも多様化・複雑化し続けており、金融機関に求められる社会的使命も大きな転換期を迎えています。
こうした環境下、当社グループにおいては、パーパス「TOKYOに、つくそう。」のもと、収益力の強化と収益構造の見直し、自己資本の充実と更なる経営の効率化を推進するとともに、グループ統合リスク管理並びにコンプライアンス管理などガバナンスの強化がこれまで以上に重要になると考えております。
当社グループは、課題に対処するため、以下の項目について取り組んでまいります。
(デジタル戦略)
デジタルを活用し、お客さまに寄り添いながら、より付加価値の高いサービスの提供を目指します。デジタルバンク「UI銀行」、フィンテックサービスを展開する「きらぼしテック」をデジタル戦略の中核に、グループ各社との連携によるグループ内サービスの相互利用によるデジタルプラットフォームの機能・サービスを強化するとともに、デジタルを起点とした対面・非対面サービスを融合し、外部連携パートナーと連携した金融サービス提供(BaaS)による金融・非金融サービスが一体となった総合サービスの提供を実現してまいります。
(個人戦略)
高齢化が進展する中、きらぼし銀行の預金取引の大半を占めるシニア層との信頼関係を次世代につなげるため、外部機関との連携等により、金融と非金融双方でシニア層のニーズへお応えしてまいります。また、富裕層、オーナー層などのお客さまが抱える課題に対し、長期目線でお客さまに寄り添い、長期的な時間軸の中でお客さまと信頼関係を築き、当社グループ各社の幅広いサービスを提供する「FD(フィデューシャリー・デューティー)営業」を実践してまいります。
また、当社グループは、きらぼし銀行の営業店・本部、きらぼしライフデザイン証券等グループ各社が一体となった営業体制を構築し、お客さまのニーズに多様なチャネルで柔軟に対応し、コンサルティングを起点としたサービスの充実を図ってまいります。
(法人戦略)
創業から成長期、衰退期までのお客さまの多様な課題にお応えするため、きらぼし銀行の従来型の融資取引にとどまらないストラクチャードファイナンスやメザニンファイナンス、きらぼしキャピタルのファンドを通じたエクイティ投資、投資先へのハンズオン支援など、多様なかたちでご支援できるよう、グループ全体でソリューション機能の強化に取り組んでまいります。また、お客さまとのリレーションを深め、取引メイン化の促進、外部連携ファンドとのハブ機能の発揮に向け、きらぼし銀行がコーディネータとなり案件の実行を実現するとともに、迅速な対応を図るため、案件検討体制や審査・リスク管理態勢をさらに強化してまいります。
社会的な課題の一つとなっている中小企業の事業承継に対しては、グループ各社の機能を活用し、オーナーさまの意向に沿った解決策の提案を行ってまいります。
(自己資本の充実)
金融機関における競争環境が変化する中で、経営の健全性を確保し、ステークホルダーの皆さまのご期待に適切に応えていくため、自己資本の充実と財務基盤の拡充に取り組むことが重要になっております。
当社グループでは、健全な自己資本比率を確保し、リスク・アセットをコントロールしながら収益力を強化し、株主への利益還元をバランスよく運営することで、企業価値の向上を目指しております。そのため、優先株式償還原資確保に向けた内部留保の蓄積、適切な経営資源の配分でグループ最適事業ポートフォリオの構築、ベース経費削減と必要なDX投資による強固な経営基盤、リスクカテゴリーごとのアセットコントロールによりRORA向上を進めてまいります。
(経営基盤の強化とグループ経営資源配分の最適化)
お客さまの利便性向上、高付加価値を提供するために店舗再編を行うことでコスト削減を進めるとともに、お客さまのニーズに合わせた拠点の設置、各種合理化・高度化のための前向きな投資を行い、戦略分野への人員配置と人材育成、DX化等で効率化による生産性の向上を進めてまいります。
(サステナビリティへの取組み)
サステナブルファイナンスをはじめ、SDGs評価プログラム等複合的なサービスの提供により、SDGsに掲げられるさまざまな社会的課題の解決に向けて、ESG地域金融の観点から積極的に支援を行ってまいります。また、多様化するお客さまの問題解決に向け、引き続きグループの総合力強化を図るとともに、外部機関との更なる連携強化を進め、付加価値の高い金融サービスを通じて、お客さまの幅広いニーズにお応えしてまいります。
(ウェルビーイングと人的資本経営)
「きらぼしフィロソフィー」を実践する「きらぼしびと」の育成に向け、3つの行動指針のもと、希望するキャリアデザインに基づく外部派遣制度等による「自発性」の喚起、高度な専門人材を育成する「研修制度」の充実、気づきと学びの場の提供による「自己研鑽」の支援などを行ってまいります。
当社グループでは、お客さまへの高い価値提供を実現するにあたり、「人材」が最も重要な経営資本と捉えており、職員一人ひとりが自らの価値を高め、職員のウェルビーイングがお客さま・地域社会のウェルビーイングにつながることで、企業価値向上に貢献することを目指しております。全職員が「きらぼしびと」を体現し、お客さまの課題解決につながる、より専門性の高いプロフェッショナリティを磨き、成果を出していくための投資や制度づくりに積極的に取り組んでまいります。
(グループリスク管理)
「グループ事業戦略」・「経営ビジョン」の堅確な達成と「金融にも強い総合サービス業」への発展を下支えすべく、当社が定める「グループリスク管理基本方針」に基づき、信用リスク・市場リスク・オペレーショナルリスク等を的確に管理し、適切なリスクテイクを可能とするリスクマネジメント手法の高度化を図ってまいります。また、利便性と安全性の高いサービスを提供するため、価値創造とリスクマネジメントの両面からサイバーセキュリティ対応に取り組んでまいります。
今後、海外の地域紛争等の地政学的リスクに加え、世界的なインフレーションにおける資材高騰、人件費の増大により、企業収益および資金繰りへの影響が懸念されます。当社グループは、引き続ききめ細かな金融支援機能およびコンサルティング機能の発揮により事業支援を図ってまいります。
(コンプライアンス)
コンプライアンスを経営の最重要課題の一つと捉え、コンプライアンス重視の企業風土の醸成を進めることで、業務の健全性と適切性の確保に努めております。
株主の皆さまに信認され、お客さまや社会から信頼される地域金融グループとしての社会的責任を果たしていくため、当社が定める「コンプライアンス・プログラム」に基づき、徹底したコンプライアンス管理態勢の構築に努め、リスクオーナーシップの確立など企業倫理が徹底・浸透できる態勢の構築を更に進めてまいります。
(コーポレート・ガバナンス)
コーポレート・ガバナンスを経営の最重要課題の一つと捉え、社外役員・外部有識者の知見も活用したうえでグループ経営管理態勢や監督機能の強化を進めるとともに、業務運営に際し透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うためコーポレート・ガバナンス機能の充実を図り、持続的な企業価値の向上に努めてまいります。
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