指月電機製作所 【東証スタンダード:6994】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
従来、当社グループでは、サステナビリティに関する事項について、全般事項を網羅的に検討する「ESG・SDGsワーキンググループ」、エネルギー関連事項をグループ横断的に検討・推進する「脱炭素ワーキンググループ」を軸に活動を推進しておりました。この活動状況を踏まえ、適宜年度方針・経営計画への反映検討、進捗状況のモニタリング等を実施し、執行役会・取締役会へ上程・報告し、議論を重ねておりました。
一方、ESG気運の急速な高まりを受け、2023年4月にESG全体についてより機動的かつ集中的な対応を図るべく、ワーキンググループでの個別活動を含めたグループ全体での活動をサステナビリティ視点で集約・推進する組織(経営企画部サステナビリティ推進課)を発足いたしました。2023年度以降、この組織を軸に活動の拡充・加速を図ってまいります。
なお、当社グループ全体での各機関・組織の役割は以下となります。
機関・組織 | 役割 |
取締役会 | 本件報告内容の審議・決定 |
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執行役会 | 本件報告内容の審議 |
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経営企画部 | グループ戦略策定および活動の取りまとめ、グループ内の意識啓蒙、投資家とのコミュニケーション、社会ニーズやステークホルダーの取組み情報の収集・分析など |
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管理本部 | 人的資本関係、環境負荷低減視点での調達推進、オフィスのエネルギー効率化・環境改善、BCP策定、IT推進、知財の管理・活用など |
営業本部 | 省エネに貢献する当社製品の拡販、顧客ニーズを踏まえた製品やサービスの改善など |
品質本部 | 環境規制や基準への適合性確保 |
各部門および連結子会社 | 製造プロセスの最適化・エネルギー効率の向上、顧客のカーボンニュートラルに寄与する製品開発、環境に配慮した設計や省エネ技術の研究など |
(2)リスク管理
当社グループの経営および財務状況に影響を及ぼす可能性のある事項について、リスクと機会を分類し、対応方針を検討の上、優先度の高い事項について年度活動方針に取り込んで展開しております。サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについては、個別課題を検討する場である経営執行役会を経て、執行役会で議論しております。リスク管理の詳細については、「第4 提出会社の状況 4.(1)③企業統治に関するその他の事項」に記載しております。
なお、下表については、現在未知のリスクや特筆すべき事項とみなしていない他のリスクおよび機会の影響を将来的に受ける可能性があります。
<リスクと機会の検討(抜粋)>
項目 | 想定リスク | 想定機会 |
異常気象による災害リスクへの対応 | ①電気代等製造コストの増加 ②瞬低・落雷等による設備停止、機会損失の増加 ③災害激甚化による物的・人的被害の増加 | 省エネニーズや瞬低・停電リスクへの対応需要の高まりにより、これらに対応する当社製品の販売機会が拡大 |
CO₂排出量削減への対応 | ①対応の遅れによる評判低下、需要獲得機会の逸失 ②炭素税や省エネ規制等への対応に伴うコストの増加 | ①お客様のCO₂削減に積極的に対応することで、環境・省エネに貢献する製品を持つ企業としての更なる認知度向上 ②環境・省エネニーズに対応する当社製品への需要拡大 |
材料調達難・価格高騰への対応 | ①材料調達難や納期遅れによる販売機会損失、利益の減少 ②製品価格高騰による他社への転注 | ①部材の最適化による原価低減 ②調達難部品を使用しない設計検討の加速 ③販売価格の適正化 ④競合他社からの転注機会 |
環境負荷物質規制や環境対応製品への対応 | ①対応遅れにより販売地域や顧客の制限を受ける可能性 ②環境に配慮していない製品が売れなくなるリスク | ①対応加速により競合との差別化を図れる可能性 ②環境配慮を重視する顧客の獲得、販売機会の 増加 |
知的財産 | 知的財産の侵害(するリスク、されるリスク)、他者特許による当社の製品販売や事業への制約 | AI活用による知財管理業務の高度化・効率化の 検討 |
ダイバーシティ・働き方改革の推進 | ①従業員のモチベーション低下 ②人財の流出、採用難などによる組織の競争力低下 | ①多様性を活かしたイノベーションの創出 ②適切な環境整備による人財の安定確保 ③業務効率や生産性の向上 |
エネルギーミックスの変化 | ①再エネ比率の上昇に伴う製造コストの増加 ②電力有効活用に向けた対応が変化することにより、現在の当社製対策機器の売上低下 | ①再エネ発電用設備のニーズ拡大、コンデンサ・モジュールの売上増加 ②電力有効活用に向けた対応のビジネス拡大による当社製品の拡販 |
サプライチェーン | ①環境や人権への取組み不足による評価、信頼の低下 ②既存事業の受注低迷や新規ビジネス機会の逸失 | ①環境や人権への積極的な取組みによる評価、信頼の向上 ②サプライヤーとの連携による新規ビジネス、販路の拡大 |
(3)戦略
①気候変動への取組み
リスク項目中、気候変動の影響につきましては、当社グループ製品の製造工程で多くの電力を必要とするリスクとお客様の省エネに貢献する機会の両面において、特に重要な課題と認識しております。気候変動に大きな影響を与えるCO₂排出量抑制に向けて、グループ全体での取組みを進めるために、2022年4月から「脱炭素ワーキンググループ」を立ち上げ、グループ全体での電力消費量の詳細把握に取組んでおりました。今後、2030年度までにCO₂排出量(Scope1+Scope2)をエネルギー原単位で2020年度比30%削減することを目標とし、活動を進めてまいります。
主な活動内容といたしましては、省エネ機器の導入、生産体制の見直し、再生エネルギー機器の導入等を進めております。一方で、中期的な生産量の増加により、温室効果ガスの総排出量は、原単位指数の削減を超えて増加することも考えられます。従って、上記の活動に加え、既存の太陽光発電設備の自家消費への切り替え、カーボンオフセットの導入、更なる再生エネルギー機器の導入等の検討を進めてまいります。
また、当社グループの事業である「コンデンサ・モジュール」と「電力機器システム」は、いずれも電気に関わる多様なシーン(発電・送電・蓄電・障害対策・受配電・利用)において、電気エネルギーの効率的な活用を支え、安全で快適な脱炭素社会の実現に貢献するものであり、社会全体の中長期的な脱炭素化に向けての大きな潮流は、当社グループにとって大きな機会となります。当社グループ製低損失製品群や省エネ機器の周知・拡販活動、パワーエレクトロニクス用コンデンサの商品力・コスト競争力の強化、瞬低補償装置のラインナップ拡充や性能向上などを通じて社会課題の解決と当社グループの持続的成長を両立してまいります。
②人的資本に関わる方針と展開施策
当社では、2019年度に、従業員参画の元に長期経営ビジョンを策定しており、人的資本拡充の面では、
「挑戦する意欲と行動を評価し、挑戦する社員を育成・サポートする会社」、
「社員個々の生活を大切にし、仕事のやりがいを提供する会社」を目指すこととしております。
長期経営ビジョンで定義のとおり、当社では人財の育成を、各社員が様々な業務の局面で現状の枠に捉われず新しい取組みに挑戦することで、会社・個人双方の成長が可能になるものと考えております。この視点で、社内環境を整えるため、以下の施策を展開しております。
a.教育体制の整備
従来、各部門での現業教育に重点が置かれていた教育システムについて、現所属の観点に捉われず、より広範囲な教育の機会を付与することを目的に、2021年度に教育制度全体を全社レベルで刷新いたしました。
主体的な取組みへの意識づけを行い、「挑戦」する人財を創出してまいります。
またOJT教育については、効果的な実施に向け、2023年度よりグループ共通の指針を策定いたしました。
これらを通じ、基本的な教育の底上げを進めております。あわせて、教育担当者に対する研修も新設し、指導する側の能力向上も進めております。(当社では、「教育」を「共育」と称しております。指導を通じ指導側自らのレベルアップも目指しております)
b.育成的配置計画の推進
「挑戦」する人財の育成に向けて、会社の業務を広く認識・経験することも、その一助になると考えております。現職での能力発揮を前提として、一定層以上については、より広い視点からの「挑戦」を可能とすべく、個々人の将来への期待を踏まえた育成的な配置転換を順次進めてまいります。
c.育成推進を支える人事処遇制度の見直し
人事処遇制度については、人員構造や社会情勢の変化を踏まえた見直しを適宜進めており、2021年度には、「挑戦」に向けての行動に対する評価の指標を設定し、上記の活動の補完としております。
引き続き、2023年度にはより一層、成果や「挑戦」に応じた評価への移行を進めるための制度変更を検討しております。
d.多様性・女性活躍への取組み
これも当社および社員にとって「挑戦」となります。ただし、女性の管理職への登用にあたっては、まずは、女性活躍を推進する上で、意識の向上、障害の排除を進めていくことが必要であると認識しております。そこで、2020年度に「女性活躍推進ワーキングチーム」を発足し、自由な討議の中で、意識の醸成や課題の洗い出し等を進めております。
また、討議と並行し、具体的な取組みとして、管理職候補となる層の拡大を進めております。
e.その他社内環境の整備
人事処遇制度に加え、長期経営ビジョンの「社員個々の生活を大切にする」との方針を踏まえ、制度と物理の両面の環境整備を進めております。ライフスタイルの多様化に対応した労働時間の運営推進、リモートワークの選択制の拡大、ロケーションに依存しない生産性確保に向けた、ネットワーク・通信インフラの整備を順次進めてまいります。
(4)指標及び目標
①気候変動への取組み
当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した、気候変動への取組みに関する方針について、次の指標を用いております。
| 実績 (2022年度) | 目標 (2030年度) |
CO₂排出量削減 (エネルギー原単位あたり2020年度比) | △10% | △30% |
※CO₂削減を含むカーボンニュートラルに対する目標につきましては、今後その考え方の精査及び算定方法などの物理的な要素を明確にし、設定を図ってまいります。
②人的資本
当社グループでは、上記「(3)戦略」において記載した、人財の多様性確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
| 実績 (2022年度) | 2023年度 | 目標 (2024年度) | 目標 (2028年度) | |
各研修の理解度及び 業務への活用度の定量把握 | - | 受講報告書による定量把握開始 | 前年度との差異の検証 | 平均値70%の達成 | |
女性比率 | 管理職候補層 | 11.8% | 14.0% | 25.0% | 30.0% |
管理職 | 3.5% | 4.8% | - | 10.0% |
施策の実効性を測定する観点では、数値目標とは別に、社員の満足度の確認も必要であると認識しております。
2020年度に実施した「コミュニケーション」「ワークライフバランス」等についての「従業員意識調査」を今後も継続し、その結果を踏まえた施策へのフィードバックにより、施策の実効性の向上を図っていきます。
意識調査のスケジュールは以下となります。
2020年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2028年度 |
初回実施 | 2回目実施 | 3回目実施 | 毎年度継続実施の定着 |
- | 前回との差異検証 | 肯定評価50% | 肯定評価70% |
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