企業兼大株主タムラ製作所東証プライム:6768】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) 経営方針

 タムラグループは、コーポレートスローガンを「オンリーワン・カンパニーの実現を目指す」と掲げ、経営の基本方針を企業理念として以下のとおり定めています。

MISSION

 私たちは、タムラグループの成長を支える全ての人々の幸せを育むため、世界のエレクトロニクス市場に高く評価される独自の製品・サービスをスピーディに提供してまいります。

VISION

① タムラグループは、世界的視野にたち、エレクトロニクス産業が求める事業を経営基盤とします。

② タムラグループは、市場本位をつらぬき、世界のお客様が求める技術を事業基盤とします。

③ タムラグループは、公正な視点で社員を評価し、努力によって成果をもたらす人を最も賞賛します。

④ タムラグループは、国際社会の一員として行動し、各国の法規制を順守し文化・慣習を尊重します。

⑤ タムラグループは、地球環境の保全に努め、資源の有効化と再資源化を推進します。

GUIDELINE

① 私たちは、パートナーシップを大切にする。

② 私たちは、革新する勇気を大切にする。

③ 私たちは、多彩な個性を大切にする。

④ 私たちは、社会的な責任を大切にする。

(2) 中長期の経営戦略

 タムラグループでは、上述の経営方針に基づき、長期ビジョンと中期経営計画を策定し事業戦略を展開しています。

① 長期ビジョン

 タムラグループが100周年を迎える2024年を最終年度とする第13次中期経営計画を策定するにあたり、長期ビジョンを見直しました。取締役も入り議論を重ね、創業の精神や企業理念を基盤とし、事業課題、環境・社会課題、ステークホルダー課題などを踏まえて、「世界のエレクトロニクス市場に高く評価される脱炭素社会実現のリーディングカンパニー」を長期ビジョンに設定しました。第13次中期経営計画は、長期ビジョン実現のための第一歩です。

② 第13次中期経営計画(2022年4月1日~2025年3月31日)

 第13次中期経営計画「Energize the Future 100」においては、世界的なカーボンニュートラルへの潮流を事業機会ととらえ、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革を進めています。

 世界に展開するタムラグループにとって、地球環境の変化、地政学的変化、技術の進化、人的資本の重大性増大など、大きな事業環境の変化が起こり続けています。その中で、機敏に機会をつかみ、リスクを低減することが、企業価値創出の根幹と考えています。第13次中期経営計画ではサステナビリティ戦略と事業戦略の統合をさらに深化させ、全社一体となって不確実な未来に立ち向かう施策を展開しています。

a.事業戦略と財務目標

 事業戦略は、①新製品・新事業創出とグローバル展開による成長戦略と、②収益および資産効率向上の二本柱で進めます。

 まず、成長戦略においては、カーボンニュートラルに貢献する分野としてパワーエレクトロニクス、モビリティ、およびIoTの3分野に引き続き注力します。成長に向けて、新製品・新技術による売上比率を現在の一桁台から30%にすること、また、欧米市場向けの売上比率を10%台から20%超へ引き上げることを目標としています。事業部間の融合施策を進め、課題である電子部品事業の収益力を強化し、電子化学実装事業とともに当社を支える両輪となる事業に育てる計画です。

 次に、事業収益・資産効率向上については、以下のとおり財務目標を掲げています。

■財務目標

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

営業利益(億円)

30

50以上

60以上

営業利益率

3.2%

5%

6%

ROE

8%

■財務目標達成のためのガイドライン

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結売上高(億円)

940

約1,000

1,000以上

事業別営業利益率

 

 

 

電子部品

1.5%

4%

5%

電子化学実装

8.7%

9%

10%

情報機器

4.2%

12%

15%

ROIC

6%

 第12次中期経営計画で苦戦した利益率の改善を早期に行い、業績を立て直すことを最優先とします。価格転嫁やコスト管理の徹底、成長戦略を通じた高付加価値品の拡大に加え、前中期経営計画で進めた生産改善の効果を実現し、収益性の改善を図っています。また、社内ではROICを指標として採用し、資産効率向上を進めています。

b.サステナビリティ戦略

 さらに、これら事業戦略と両輪で進めるサステナビリティ戦略については、マテリアリティを軸に展開しています。マテリアリティは、ステークホルダーにとっての重要性とタムラグループにとっての重要性という二つの軸を基準に選定し、2021年5月に発表したものですが、中期経営計画の議論の過程でその項目を一部見直し、KPIと目標を設定しました。

 サステナビリティの中でも重要視している、温室効果ガス削減については、2030年までに2013年対比で51%削減することとしています。第13次中期経営計画期間においては、それに向けて33%の削減を目標としています。その達成に向けて、自社工程の省エネによる電気使用量削減に取り組むとともに、太陽光発電設備の設置や再生エネルギーの調達にも力を入れています。

 また、「人が憧れる会社」、「人が集まる会社」を目指し、働きがいの実現を図ります。人材戦略として、人権・安全教育の充実、心理的安全性プログラムの展開などを進め、グローバルに実施する従業員サーベイ(エンゲージメント調査)の結果を年3ポイントずつ向上させることを目標としています。日本では、グローバルなステークホルダーの期待に応えられる多様性を確保することを目的に、管理職における女性比率、外国人比率、および中途採用比率を、2025年3月期にそれぞれ10%、5%、および50%とすることを目標としています。

c.中期経営計画の進捗

 中期経営計画初年度である2023年3月期は、堅調な需要、価格改定や為替の影響により、計画を上回る好調な滑り出しとなりました。しかし、2024年3月期は、中国市場の減速や巣ごもり需要の一巡などの影響で、需要が低調に推移したことに加え、基幹システム更新費用の計上などにより、営業利益および営業利益率が中期経営計画に対してわずかに未達となりました。さらに2025年3月期においても、上期において不透明な事業環境が継続すると予想されることから、財務目標の達成は厳しい見通しとなっています。

 一方で、中期経営計画に掲げた、収益性の改善や資産効率向上に向けた各種施策の成果は利益率の改善として徐々に顕在化しています。また、カーボンニュートラルに貢献する事業成長についても着実に進展しています。北米市場向けの大型トランス・リアクタの堅調な需要に対応すべく、メキシコ工場の生産能力を1.5倍に増強し、2024年3月に本格稼働を開始しました。北米では今後もデータセンター関連を中心とした需要が活況を呈すると見込まれるため、メキシコ工場では再度生産能力を増強し、2025年3月期後半に稼働を開始する計画です。これらの施策により、欧米売上比率20%超えの目標は、最終年度を待たずに達成しました。

 さらに、将来のパワーエレクトロニクスを支えるワイドバンドギャップ半導体に対応した、素材から差別化した新しい磁性受動部品の研究開発を推進するため、国立大学法人東北大学産学連携先端材料研究開発センターに「株式会社タムラ製作所 仙台アドバンスドラボ」を開設しました。この研究室では、磁性受動部品に用いる材料の研究開発や新材料を使用した試作部品の評価を行い、次世代の磁性受動部品の事業化を目指しています。

■財務目標(2024年3月期)

 

目標

実績

営業利益(億円)

50以上

49

営業利益率

5.0%

4.6%

ROE

4.1%

■財務目標達成のためのガイドライン(2024年3月期)

 

目標

実績

連結売上高(億円)

1,000

1,066

事業別営業利益率

 

 

電子部品

4%

4.1%

電子化学実装

9%

7.9%

情報機器

12%

15.7%

ROIC

3.8%

 サステナビリティ戦略についても、働きがいの実現や脱炭素社会の実現に向けた施策を着実に実行し、目標に向けて着実に進展しています。温室効果ガス削減については、国内主要5拠点(本社、坂戸、入間、狭山、児玉)の再生エネルギー使用率100%を引き続き達成し、目標に向けて大きく前進しています。また、働きがい改革としては、社内有志が参加する心理的安全性プログラムなどを推進しています。その結果、従業員サーベイ(エンゲージメント調査)の結果は、目標を大きく上回り、前期比で7ポイント改善しました。

 各KPIの進捗は以下のとおりです。

マテリアリティ

2025年3月期 目標

2024年3月期 実績

①持続的な事業成長

新製品・新市場向け売上比率: 30%

22%

②製品品質の向上

不良損金率:15%削減(第12次中期経営計画期間平均対比)

44%増加

③適正なサプライチェーン

主要調達先SAQ実施率:100%

SAQ実施中

④コンプライアンス

コンプライアンス研修実施率:100%

94%

⑤働きがいの実現

①グローバル従業員サーベイ実施ポイント向上:3pt/年

②日本多様性:女性・外国人・中途採用管理職比率:10%、5%、50%

①7pt改善

②9.9%、0.6%、42.2%(2024年4月1日時点)

⑥地域社会との共生

社会貢献費:経常利益の1%

1.1%

⑦地球環境保全・脱炭素社会の実現への貢献

①サステナビリティ貢献製品比率:27%

②温室効果ガス(スコープ1&2)削減:33%以上(2013年対比:各工場の状況に応じ基準値を調整済)

①24%

②39%

⑧情報開示の充実

①統合報告書発行

②TCFD準拠情報開示

改善の上発行・開示

 創業100周年を迎える2025年3月期は、第13次中期経営計画の最終年度でもあります。事業環境は決して楽観できるものではありませんが、目標に向けて、創業100周年とその先の力強い未来を創る変革を引き続き推し進め、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。

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