企業ジャパンディスプレイ東証プライム:6740】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」を企業理念として、人と世界を結び、瞬時に多くの情報を伝えるインターフェイスであるディスプレイや、ディスプレイ技術を応用した新たなソリューションを世界のお客様にお届けしています。

 製品の開発・提供においては、当社グループの価値創造の源泉である「世界初、世界一」の独自技術とそれを支える人財を強力な経営基盤として活用するとともに、製品を通じて社会と人の課題解決を目指すサステナビリティ経営を経営戦略の中心に据え、全てのステークホルダーの皆様のための価値創造を目指してまいります。

 この実現に向けてグループ一丸となって取り組む成長戦略として、2022年5月に「METAGROWTH 2026」を策定いたしました。「META」は「広範囲で、高度な、普遍的な」を意味し、「METAGROWTH」は当社グループの今後の飛躍的な成長を表しております。

 以下は、「METAGROWTH 2026」の2026年に向けた基本方針であります。

「世界初、世界一」の独自技術により、社会と人の課題を解決し、

PersonalTech For A Better World を実現

価値創造を METAGROWTH

(2) 中長期的な会社の経営戦略

① 全体戦略

 当社グループは、私たちの存在で、社会が、世界が、コミュニティが今より良くなる社会の実現に向けて、現代社会の基盤技術であるディスプレイの探索と深化を進め、他の追随を許さない競争優位性を確立し、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造いたします。

 以下は、「METAGROWTH 2026」における3つの重点施策です。

(ⅰ) 「世界初、世界一」テクノロジーリーダーシップ

・ eLEAP、HMO、メタバース向けの超高精細ディスプレイ、透明ディスプレイ等、既に「世界初、世界一」独自技術で実証しているように、当社は、グローバルディスプレイ業界においてテクノロジーリーダーシップを取り戻しました。この盤石な技術基盤をさらに強化し、飛躍的な顧客価値創出と株主価値向上を実現してまいります。

(ⅱ) 革新的な技術、飛躍的な成長

・ グローバルディスプレイ業界はテクノロジー産業であり、テクノロジーカンパニーである顧客のニーズは、高いコストパフォーマンスを持つ優れたテクノロジーです。当社は、圧倒的なコストパフォーマンスを有するeLEAP等、「世界初、世界一」独自技術を通じて顧客ニーズに対応し、顧客の価値創造と競争優位性をサポートいたします。

・ コモディティ競争に参加せず、唯一無二の革新的な技術で抜本的な収益力向上と飛躍的な成長を実現いたします。

(ⅲ) GreenTech・サステナビリティ経営

・ 環境性能に優れたeLEAP、HMO等のGreenTechにより環境問題に取組むとともに、ESG意識の高い顧客の付加価値創出に寄与します。

・ 企業の存在意義は社会貢献にあり、サステナブル社会に資する経営を堅持してまいります。

・ 「世界初、世界一」への挑戦ができる会社として、社員一人ひとりの成長を支え、風通しの良い企業文化を促進いたします。

② 6つの成長ドライバー

 当社グループの「世界初、世界一」の独自技術を「6つの成長ドライバー」として位置付けました。技術基盤を価値創造の源泉とし、脱過当競争・脱コモディティ化により収益性の抜本的な改善を図ります。

 

成長ドライバー

特徴

1

eLEAP
(次世代OLED)

・高輝度、長寿命、高精細

・幅広い画面サイズ・解像度に対応

・環境に優しいGreenTech、高いコストパフォーマンス

2

HMO(High Mobility Oxide)
(高移動度酸化物半導体)

・超低消費電力、高精細化、大画面化を実現するバックプレーン技術

・基盤技術として第8世代、第10世代生産ラインへ適用可能

3

メタバース
(超高精細ディスプレイ)

・圧倒的なリアリティと没入感

・高い歩留りと安定した品質

4

AutoTech

・EVに対応した統合コックピットの実現

・HUDの進化による安全性の向上

5

Rælclear(レルクリア)
(透明インターフェイス)

・世界最高の透過率

・双方向コミュニケーションで社会貢献

6

新技術・新商品・新事業

・独自技術の用途拡大

・課題解決型の新規事業

(3) 目標とする財務指標

当社グループは、成長戦略「METAGROWTH 2026」策定時に、2027年3月期を最終年度とする5か年の財務目標(KPI)を設定いたしました。しかしながら、その後の世界的インフレに伴うエネルギー費・部材費・加工費の高騰等により、事業環境が大幅に変化したことに加え、同戦略にて成長ドライバーと位置付けるeLEAP事業の中国での立ち上げに向けて中国・蕪湖経済技術開発区と2023年9月29日付で覚書を締結し、現在、2024年10月の最終契約締結を目指している状況にあるなど、事業環境が大きく変動をしており、戦略的施策も展開中であることから、これらの影響を見定め、精査した上で新たな財務指標を設定する予定です。

(4) 経営環境及び対処すべき課題

 競争環境の厳しさやエネルギー費・部材費・加工費の高止まりから液晶事業は依然として大幅な赤字となっております。また、営業キャッシュ・フローの赤字も続いており、こうした状況を早期に解消し、業績改善を図ることが、当社の最重要課題であると認識しております。同時に、将来の成長に向けた体制構築も不可欠であり、特に次世代OLED「eLEAP」の事業拡大は喫緊の課題として対応を進めております。また、当社は、2024年3月末時点で東京証券取引所プライム市場の上場維持基準(流通株式比率)を充たしておらず、2028年3月末までの適合猶予期間内の基準適合は重要課題となっております。さらに、持続的成長への取組みも企業価値向上のために不可避な課題であると認識しており、当社は、これら全ての課題の解決に向けた取組みに注力してまいります。

① 収益力の改善

 競争力強化と収益力向上策の一環として、当社は旧東浦工場(現東浦エンジニアリングセンター)の建物売却を2024年4月1日に完了し、鳥取工場のパネル生産も2025年3月までに終了することを決定しております。引き続きコスト削減に全力を注ぎつつ、エネルギー費、部材費・加工費の高止まりに対応するための戦略を検討し、これらのコスト増を可能な限り販売価格に反映させることに引き続き努めてまいります。また、車載分野における不採算製品からの撤退、及び液晶スマートフォン事業の戦略的縮小の方針を継続しながらも、主力工場である茂原工場における規模の経済性確保を考慮した受注活動も継続してまいります。設備投資や研究開発については、将来の収益力向上に寄与する案件を厳選し、キャッシュ・フロー重視の経営に引き続き努めてまいります。

 さらに、成長戦略「METAGROWTH 2026」に基づき、「世界初、世界一」の独自技術であるeLEAPや高移動度酸化物半導体バックプレーン技術HMO等の成長ドライバーに経営リソースを集中し、事業ポートフォリオの変革を加速化します。これにより、顧客価値を創出し、過当競争及びコモディティ化からの脱却による収益力の抜本的な改善を目指します。また、知的財産権の更なる活用によるロイヤリティ収入獲得にも取り組んでまいります。

② eLEAP事業の拡大

 当社が開発したeLEAPは、ファインメタルマスク(FMM)を利用した生産方式による既存のOLEDと比較して2倍の輝度、3倍の寿命、自由成型、高い環境性等の優位性を有しており、これらの特性により顧客からの関心は非常に高まっています。さらに、コスト面での優位性も有しているため、当社はeLEAPを今後の成長を支える重要な柱と位置付けており、その事業拡大が持続的な成長に寄与すると考えています。

eLEAPの量産は、2025年3月期下期から茂原工場で開始する予定です。しかし、強い顧客需要に対応するためには、大規模な生産能力の確保が必要となります。そのため、中国安徽省蕪湖市の蕪湖経済技術開発区と2023年9月にeLEAPの事業立ち上げに関する覚書を締結し、現在は2024年10月末までの関係当局からの許認可取得と蕪湖経済技術開発区との最終契約締結に向けて協力して取り組んでおります。eLEAPの生産能力確保とその先の事業拡大に向けて引き続き注力してまいります。

③ 上場維持基準への適合

 当社の流通株式比率は、東京証券取引所プライム市場の「流通株式比率」の上場維持基準(35%以上)に適合しておりません。当社は、事業再生支援目的でいちごトラストとの資本提携契約を締結し出資を受けていることから、2028年3月末までを適合に向けた計画期間とする特例適用が認められており、同計画期間内での基準適合に向けて取り組んでおります。

 適合のためには、2024年3月31日時点で78.2%の当社普通株式を保有するいちごトラストの持株比率低下が必要となります。また、いちごトラストが保有する当社のE種優先株式の普通株式を対価とする取得請求権の行使や第13回新株予約権の行使がなされた場合、一時的に流通株式比率が一層低下する可能性があります。

 このため、当社は、いちごトラストと適合に向けた協議を継続するとともに、早期の業績改善を図り、広く投資家への訴求も続けてまいります。

④ 持続的成長と企業価値向上の実現

 当社グループは、企業の存在意義は社会貢献にあるという信念のもと、「GreenTech・サステナビリティ経営」を成長戦略「METAGROWTH 2026」の柱の一つと位置付け、社会・環境問題の解決による持続可能な社会の実現と当社グループの持続的成長の両立を目指しております。また、この取組みをとおして、企業価値向上に努めてまいります。

 技術・製品の開発においては、環境や社会への貢献を重要な基準とし、ESG意識の高い顧客の付加価値創出にも寄与します。例えば、eLEAPは、生産過程での有機材料の廃棄ロスやCO2排出量を大幅に低減する、環境に配慮した製品であり、バックプレーン技術HMOは、ディスプレイの消費電力の大幅低減によるエネルギー効率の向上に貢献します。他にも、聴覚障がい者、高齢者、外国人の情報アクセシビリティを向上する透明インターフェイスRælclearや、照明の配光特性(光の広がり方)を制御可能にした自由照明LumiFree、スマートリングを用いたセルフケア健康見守りサービスVirgo等、社会・環境の課題解決に貢献する製品やサービスの事業拡大に取り組んでおります。

 加えて、温室効果ガスの排出量削減にも取り組み、数年内のパリ協定が求める水準と整合した温室効果ガス排出削減中長期目標の「SBT」の認定、及び事業を再生可能エネルギー100%で賄うことを目標とする「RE100」への加盟を目指してまいります。

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