ジャパンディスプレイ 【東証プライム:6740】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティに関する考え方
当社グループは、「企業の存在意義は社会貢献にある」との信念のもと、サステナブル社会に資する経営を堅持すべく、サステナビリティ経営を経営戦略の中核として位置づけています。社会貢献の実現に向け、事業を通じた社会と人の課題解決に取り組むとともに、持続的な成長と企業価値向上の実現を目指しております。
また、当社グループは、「今までにない発想と、限りない技術の追求をもって、人々が躍動する世界を創造し続ける。」ことを掲げております。人々が躍動する世界を創造するためには、まず、人、社会、地球が健全であることが前提と考え、この前提の実現に向けて、次の3つを「サステナビリティ基本方針」と定め、活動を推進しています。
① 企業倫理の遵守
当社は、人、社会、地球が健全であるために、企業倫理を遵守した経営を実施していくことを目的として、全ての役員及び従業員が遵守すべき具体的指針となる「JDI倫理規範(JDI Ethics)」を制定し、活動の基盤としています。JDI倫理規範では、人権の尊重や職場環境整備、地球環境保全への取組、地域社会との良好な関係維持や社会通念に反する不適切な行為を行わないこと、誠実に社会的良識に従い行動すること等を謳っています。
② ステークホルダーとの共生と共創
当社は、「社会」「お客様及び取引先」「競合会社」「株主・投資家の皆様」「従業員」等のステークホルダーとの関係を良好に保つとともに、社会的価値の共創に努めます。
③ 持続可能な成長
当社では、上記の施策を基に、豊かなグローバル社会の実現への貢献、サプライチェーン全体の環境負荷低減、地域社会をはじめとする社会への幅広い貢献等に取り組むとともに、ガバナンス経営による効率化と健全性を実現し、企業として持続可能な成長を目指してまいります。
(2) サステナビリティへの取組
① ガバナンス
当社は、環境マネジメントシステムやコンプライアンス委員会等、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを設置し、サステナビリティ関連課題に取り組んでいます。取締役会は、各委員会・マネジメントシステムの運営組織からの報告を受け、重要な課題や対応策についての議論と監督、及び重要な決定事項について承認を行います。
また、当社は、サステナビリティ活動に関する基本計画の策定、教育・啓発の実施等、サステナビリティ業務を行う主管部署として、CFO管掌下にサステナビリティ推進部を設置しています。サステナビリティ推進部は、各委員会・マネジメントシステムと連携し、グループ内各部門のESG課題への取組を俯瞰し全社での取組を推進するとともに、サステナビリティ推進活動全体について取締役会への報告を行っています。今後、これらの機能を統合した「サステナビリティ推進委員会」の設置を検討します。
更に当社は、生産技術統括部内にサステナビリティ技術部を設置し、各生産拠点の省エネルギー推進や再生可能エネルギーの利用拡大に向けた検討を行っています。
上記体制に加え、各事業部・機能部門では、事業活動を通じて社会課題を解決するための独自技術の開発、新規事業の創出に取り組んでいます。
② 戦略
「すべてのステークホルダーの皆様のための未来価値創造実現」に向けて、当社グループが取り組むべき課題としてマテリアリティを特定いたしました。各マテリアリティへの取組により、社会の発展にとって不可欠な企業として顧客価値・社会価値を創造し、持続的な成長を図ります。
マテリアリティの1つである人的資本については、社員のエンゲージメント向上及び新たな価値を創造し続ける組織の構築に向け、各種取組により社員一人ひとりの価値の最大化及び多様性の確保を推進します。
気候変動への対応については、2022年度から気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提言する気候変動のシナリオ分析とリスク・機会の選定、財務インパクトの評価を開始しており、脱炭素社会の実現を目指した取組を加速化いたします。(3)気候変動への対応をご参照下さい。
分野 | マテリアリティ | 重点取組事項 |
価値創造/事業を通じた社会課題の解決 | 社会と人の課題を解決する独自技術の開発・提供 | ・透明インターフェイス「Rælclear(レルクリア)」等、社会課題に貢献する製品・技術を開発し、新規事業として展開します。 ・「世界初、世界一」の技術力を活かし顧客価値を創造します。 |
GreenTechによる環境問題への貢献 | ・環境性能に優れた次世代OLED「eLEAP」、超低消費電力バックプレーン技術「HMO」、利用エネルギー削減に貢献する自由照明「LumiFree」等のグローバル展開により環境負荷の低減を図ります。 | |
経営基盤の強化 | サステナブルなサプライチェーンの構築 | ・品質、コスト、納期に加え、人権や環境等のサステナビリティへの取組を評価し、サプライヤー様との協力関係のもと、サステナブルなサプライチェーンの実現を目指します。 |
コンプライアンスの徹底 | ・信頼される企業となるため、法規制の遵守のみならず、社会規範・企業倫理に即して行動します。 | |
リスクマネジメントの強化 | ・事業活動に関連する様々なリスクを適切に管理・評価し、優先度に応じた事前対策を実施することにより、事業活動に重大な影響を及ぼすリスクが発現した場合の損失の最小化を図ります。 | |
人的資本 | 優秀な人財の確保と育成 | ・「世界初、世界一」の技術を発信し続けるエンジニア及び事業を支える優秀な人財を確保します。 |
多様性ある人財登用 | ・社員一人ひとりの人権を尊重し、多様な人財がその能力を最大限発揮できるよう多様な働き方を可能とする職場環境を整え、新たな発想、価値創造を追求します。 | |
環境 | 気候変動への対応 | ・TCFD提言に基づいたシナリオ分析結果により特定したリスク・機会への対応を適切に実践します。 |
③ リスク管理
当社グループでは、全社的なリスク管理は、「3 事業等のリスク」に記載のとおり「リスク管理規則」で定めるリスク管理フローに沿って実施しています。気候変動への対応を含むサステナビリティに係るリスクについては、全社的なリスク管理において、重要リスクとして特定し、サステナビリティ推進部が主担当部門としてこれを管理するとともに、マテリアリティとも関連付けた対応を行っています。サステナビリティに係るリスクは、前述の推進体制の下でモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。
④ 指標及び目標
人的資本
指標 | 2022年度実績 | 目標 |
女性管理職比率 | 1.7% | 3.8% (2026年度) |
採用した労働者(正社員)に占める女性の割合 | 21.4% | 20%以上 (2021~2025年度の平均) |
男性の育児休業取得率 (配偶者出産休暇を含む) | 87.0% | 80%以上 (2025年度) |
(注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。
(3) 気候変動への対応
当社は、気候変動への対応をマテリアリティの一つとして位置付け、2022年度からTCFD提言に基づいたシナリオ分析を開始し、気候変動に関する重要リスク・機会の特定、それらが及ぼす財務的影響の評価をいたしました。この分析結果に基づき、気候変動対応策の経営戦略への組み込みを図るとともに、ステークホルダーに対する情報開示にも積極的に取り組んでまいります。
以下は、TCFD提言に沿った取組事項です。
① ガバナンス
当社は、気候変動問題を経営重要課題の一つと認識し、環境・社会・ガバナンスに関する委員会やマネジメントシステムを複数設置し、ESG課題に取り組む中で、気候変動問題についても対応しております。気候変動問題に対する執行レベルの最高責任者はCEOです。
取締役会は、年に一度の気候変動問題を含むサステナビリティ関連報告及び適時適切なマネジメントシステムからの報告を受け、必要に応じた議論と課題についての監督及び重要な決定事項について承認します。
② 戦略
当社は、脱炭素社会を実現するための省エネの推進、再生可能エネルギー活用の検討等、温室効果ガス排出量削減を目指しています。気候変動による気温上昇が社会に及ぼす影響は甚大と認識し、2022年度から1.5℃、4℃シナリオを用いて、2050年までを考慮したシナリオ分析を実施しました。当社は、このシナリオ分析に基づいて特定された重要なリスクと機会を踏まえて、統合的な気候変動戦略の策定を目指してまいります。下表は当社のリスク・機会要因と事業へのインパクトに対する対応策の一例です。
当社のリスク・機会、事業インパクト及び対応策の一例
分類 | リスクと機会 | 対応策 | |
移行 | 新たな規制 | 炭素税上昇に伴う原材料コスト増加 | ・サプライヤーによる自己監査項目への気候変動要素の組み込み ・調達基本契約書の条項への気候変動項目の追加 |
炭素税上昇に伴う製造委託費増加 | ・委託先の排出量や削減活動に関する調査の実施 ・JDIガイドラインへの気候変動項目の追加 | ||
炭素税による課税コスト増加 | ・再エネ導入計画の推進 ・SBT設定と当該目標達成に向けた取組推進 | ||
評判 | 気候変動問題への取組姿勢への評価が低下し顧客のサプライチェーンから外れることによる売上低下 | ・TCFDフレームワークに基づく活動の推進と成果の開示 | |
物理 | 急性リスク | 自然災害の頻発化・甚大化によるサプライチェーン混乱からの売上低下 | ・サプライヤーのマルチ化 ・BCP検証に基づく適正部材在庫の確保 ・販社での製品在庫の一定量確保 |
慢性リスク | 自然災害の頻発化・甚大化によるBCP対応コスト増加 | ・継続的なBCP見直し | |
機会 | 製品・サービス | 温室効果ガス削減等に貢献するeLEAP技術のライセンス提供による売上増加 | ・ライセンス提供による広範囲なディスプレイ製品への展開 ・新規顧客層への販売拡大に向けた戦略立案・販売促進 |
大幅な消費電力低減を実現するHMO技術のライセンス提供による売上増加 | ・ライセンス提供による広範囲なディスプレイ製品への展開 | ||
市場の変化 | 低消費電力を実現するeLEAPの需要増加 | ・eLAEPの他社への技術提供による供給網拡大 ・継続的な技術改良による市場優位性の確保 |
(シナリオ分析の結果)
2050年の1.5℃世界では、eLEAP、HMO等の低炭素社会への移行に有効な独自技術の活用により、大きな機会獲得が期待できることが分かり、これら技術を成長ドライバーとする成長戦略「METAGROWTH 2026」の推進が、長期的な機会をもたらすことを確認いたしました。
リスク対応策による低減を図り、当社の強みである独自技術によって、2050年1.5℃世界の実現を目指してまいります。
③ リスク管理
当社グループは、サステナビリティ推進部が主管部署となり、気候関連リスク及び機会の特定を行っています。事業活動に係わるリスク管理フローに沿って、担当する各部門にて想定される新たな規制、製品・サービス、市場に関する気候関連リスク及び機会の特定を行っています。主管部署は気候関連を含む全社リスクの識別・評価、管理プロセスについて、リスク管理規則に基づき適切に管理しています。
④ 指標と目標
環境負荷の指標は、自社のScope1、Scope2に加え、Scope3排出量についても全体像の把握と優先的に削減すべき対象の特定を目的に、2021年度実績から該当カテゴリ全ての排出量を算定し開示しています。温室効果ガス排出量削減に向けて、中長期的な削減目標を設定し、数年内のSBT認定取得を目指します。併せて、直近の2025年度の再生可能エネルギー比率の目標を設定して取り組むとともに、バリューチェーンを通じた環境負荷低減を積極的に推進してまいります。
気候変動への対応
指標 | 2022年度実績 | 目標 |
エネルギー起源CO2排出削減量 | 9,290t-CO2 | 2023年度:825t-CO2 |
再生可能エネルギー比率 | 0.02% | 2025年度:5.0% |
(注)実績及び目標は、国内生産拠点が対象です。
- 検索
- 業種別業績ランキング