デジタルガレージ 【東証プライム:4819】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
当社グループは、「持続可能な社会に向けた“新しいコンテクスト”をデザインし、テクノロジーで社会実装する」ことをパーパスとしております。様々な社会課題の顕在化やステークホルダーの価値観の変容に伴い、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点で社会の持続可能性に貢献するサステナビリティ経営がより一層求められていると認識し、ESGやサステナビリティの視点を取り入れ「新しいコンテクスト」の社会実装を推進しております。
当社グループは、宇宙から見た地球において国境はなく、人類すべてはエコシステムの一部であるという視点で「Earthshot」を宣言し、ESGへの取組みを開始してまいりました。また、”Earthshotファンド”として、地球規模で起きている大きな社会・技術・環境変化を視野に入れたESG関連スタートアップへの投資・育成も行っております。
サステナビリティ経営の実現においては、株主・投資家のみならず、従業員、投資先、アライアンス先、取引先、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーとのエンゲージメントが非常に重要であると考えております。当社グループも持続的な社会の実現に寄与し、長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティにおける取組みは次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)サステナビリティ全般におけるガバナンス及びリスク管理
当社は、2023年5月19日開催の取締役会において、当社グループのサステナビリティ経営への取組み強化を目的として、サステナビリティ委員会及びその事務局としてサステナビリティ経営推進室を新設することを決議致しました。本委員会では、サステナビリティに関わる方針、重要課題への取組みの推進や進捗管理を行い、定期的に経営会議・取締役会に上程・報告を行います。(年2回以上開催予定)
同時にリスクマネジメント体制の強化の一環としてリスクマネジメント委員会及びその事務局としてリスクマネジメント室を新設致しました。これにより全社的なリスク管理体制を強化し、発生しうるリスクの想定、リスクの評価、リスク管理フローの策定及びモニタリングというサイクルを確立し、実行してまいります。(年2回以上開催予定)
両委員会は相互連携を行い、経営会議・取締役会による審議結果は、経営戦略やリスク管理・評価に反映させる体制としています。両委員会の最高責任者は社長執行役員、委員長はコーポレート本部長が務め、委員会メンバーは、グループ横断的な推進を目的に適任となるメンバーにより構成されています。社外取締役の有識者も適宜参加し、グローバルで専門的な外部の知見や最先端の情報を取り入れた検討を行ってまいります。サステナビリティマネジメント体制は以下のとおりであります。
(2)サステナビリティ経営における重要戦略と指標
当社グループのビジネスは、インターネットビジネスの総合プロデュースやインキュベーションを基軸としております。そのためにはテクノロジーの研究開発や事業の社会実装と、サイバーセキュリティや個人情報保護等への安全性の強化が重要となります。また、不確実性の高い事業環境の中で、変化に対応できるグローバルな組織と、優秀で多様な人財の確保と育成が不可欠であると考えます。当社グループのビジネスの創造性と実現性を高めるために、多様性のある人財の採用、育成や組織・文化づくりの強化に努めてまいります。なお、気候変動についてはTCFDに賛同し、取組みを推進してまいります。
1.セキュリティ
セキュリティについては、情報セキュリティとシステムセキュリティの大きく2つに分類し、各々について当社が想定しているリスクやその対応策は、以下にとおりであります。
① 情報セキュリティ
ⅰ.情報セキュリティ基本方針について
当社の情報セキュリティ基本方針は、当社がビジネスを遂行する上で保有する情報及びコンピュータやネットワークといった情報システムを情報資産と位置付け、これらを安全に取り扱うために情報セキュリティに取り組んでおります。
ⅱ.情報セキュリティ推進体制について
社長執行役員グループCEO及びグループ情報セキュリティ担当役員はCISO(Chief Information Security Officer)を任命し、グループ全体のセキュリティ管理の情報ハブとなる体制としています。当社グループはセグメント毎に異なるビジネス形態を展開しており、対応すべきセキュリティリスクも異なることから、グループ各社毎に必要なセキュリティ対策を実施し外部認証も取得しておりますが、CISOもレビューを実施することで多面的な安全体制の確認をしています。また、万が一、当社グループにて重大なセキュリティ事故が発生した場合は、CISOを中心に当社経営陣と迅速に連携し、適切な対処ができる体制を構築しております。
日常の業務遂行における情報セキュリティの推進については、情報セキュリティの認証規格であるISMS(JIS Q 27001 : ISO/IEC 27001)のフレームワークに基づき、各組織から情報セキュリティ推進委員を選出して構成する情報セキュリティ推進委員会を中心に活動し、情報セキュリティの脅威トレンドも踏まえた啓蒙活動も実施することで、常に変化する脅威環境においても情報セキュリティを維持することを可能としております。
さらに、2022年4月より、情報セキュリティの専門組織として情報セキュリティ室を設置し、当社グループ全体の情報セキュリティに関する課題への対応について、企画・実行していく体制としております。
ⅲ.個人情報管理について
個人情報管理については、グループ各社にてプライバシーマーク(JIS Q 15001)の認証を取得しており、個人情報を安全に管理する体制を実現しております。各社の個人情報保護方針についてはホームページ上に掲載をしており、個人情報の利用目的、個人情報の第三者提供、個人情報取扱いの委託、個人情報についての苦情・相談、各種安全管理措置などについて、対応方針を公表しております。
② システムセキュリティ
ⅰ.社内IT環境
業務に利用するIT環境においては、昨今のサイバー攻撃トレンドを鑑みて、マルウェアやランサムウェアなどに対する対策も強化しております。AIエンジンを搭載したエンドポイントのセキュリティ対策製品を導入し、未知のマルウェアを検知して対処できるセキュリティ・オペレーション・センターの整備を進めております。また、万が一ランサムウェアに感染した場合に備えて、重要情報を管理するストレージについては、複数世代のバックアップを定期的に取得しており、企業運営に必要な情報の消滅を避けるための対策を実施しております。
ⅱ.決済システム
当社グループの決済事業は、国の指定する重要インフラ指定企業とされており、無停止のシステム稼働(メンテナンスによる停止を除く)を目指し、地理的に離れた複数のデータセンター間におけるリアルタイムレプリケーション構成の冗長化データベース構成の採用や、オペレーション業務の拠点分散と体制拡充によるディザスターリカバリー体制やBCP対策の徹底を行っております。本対応はサステナビリティの観点のみならず、高度なセキュリティ環境・管理体制を構築し、EC加盟店がクレジットカード情報を保持せずに決済サービスを利用できる安心・安全な仕組みを提供し続けるリスクマネジメントも含まれています。
情報管理においては、クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCIDSSに準拠しています。クレジットカード情報の取り扱い業務に際しては、専用のオペレーションルームを用意し、厳重なセキュリティ管理を実施しております。また、すべての役職員等に対して情報セキュリティの重要性を認識させ、継続的に情報セキュリティ体制が維持できる様、職務に応じて必要な情報セキュリティ教育を定期的に実施します。
ⅲ.暗号資産関連システム
日本暗号資産通貨取引業協会にて作成した暗号資産安全管理チェックリストに基づき、暗号資産の管理のための安全措置の実施・運用を実施しております。また、暗号資産を取り扱うシステムにおけるリスク管理については、暗号資産を取り扱う子会社ホームページにおいてシステムリスク管理方針を公開しており、当方針に沿って業務遂行を行っております。
暗号資産交換業として行う暗号資産管理においては、すべてコールドウォレットで管理を行っています。暗号資産管理に関するシステムにかかるその他の安全管理態勢については、暗号資産管理に関するセキュリティ基準に準拠し、また、暗号資産管理システムのリスク評価を行ったうえで社内オペレーション構築しております。
2.人的資本
当社グループでは「充実した人財」の確保のために、事業の成長戦略に不可欠な人財の積極採用を行い、人財の量とともに質の向上に努めています。特に多様なスキルや経験を有するキャリア採用を中核に添え、アクハイアリング(買収による人財調達)や事業提携等の幅広い手法を用いて人財の確保を行っております。
新規事業の継続的な創出においては、「事業や組織体制の仕組化」を意識しております。社内リソースの視点のみならずオープンイノベーション型で外部パートナーとの協業による仕組み化された事業構築体制を整えています。当社は、「世界に羽ばたくスタートアップの育成」を目的とした、日本初のアクセラレータープログラム「Open Network Lab」を2010年から実施し、数多くの起業家・スタートアップを育成しており、今後もより一層支援体制を強化してまいります。
また、当社グループの人財ネットワークにおける強みは、国内のみに留まらず、北米、アジア、欧米に独自のネットワーク「グローバルインキュベーションストリーム」を築いていることにあります。これら人財ネットワークを当社グループの資本と捉え、最大限に活かし事業の成長と共に国内外に新しいコンテクストを提供していくには、社内リソースにおける人財の育成と多様性、社内環境整備が重要と認識しております。それら対応策については、以下のとおりであります。
① 人財育成方針
当社グループにおけるビジネスの成長には、無形資産である「人」が必要不可欠と考えております。事業成長を担う戦略人財を計画的に育成することで、事業を成功に導く蓋然性を向上させています。特に事業を創造し、テクノロジーで具現化できる人財の創出に努めています。加えて従業員へのパーパスの浸透を図るとともに、次期経営幹部層となるミドルマネジメント層を対象とした選抜型人財育成プログラム「DG25」を実施しております。
また、「人財教育の充実」として、全従業員に対する各種教育や研修のプログラムを設け、自己理解や学び、自己成長の機会を提供しております。特に昨今では、会社と個人の関係、管理職とメンバーの関係を強化するために、「心理的安全性」をベースとしたマネジメント力強化プログラムの開発と運用にも力をいれております。
さらに会社や事業を横断した人事異動を行うことで、人財と組織に新しいアビリティが取得できるよう努め、「新しい成長機会やチャレンジの創出」を継続的に提供する取組みを行っております。具体的には、タレントマネジメントツールを活用しながら社員のスキルや経験を一元管理することで、戦略的人財配置や育成プランの策定を行い、また次世代リーダー育成のための主体的なチャレンジの機会創出を目的とした社内公募制度「Raise Your Hand」や、重要事業と新たな成長機会を求める人財のマッチング型異動制度「Career Shift」のプログラムを展開しております。
多様な強みを持つ人財をオープンに受け入れ、育成、登用することで、当社の創造性をより高め成長を継続させることを目指しております。
② 人財多様性
当社グループでは設立当初より性別や国籍、職歴等の要素に関係なく、能力や実績を重視した人財登用を実施しております。様々な文化や価値観、スキルを持つ人財を採用し、中核人財として登用していくことで、多様性を醸成しております。そのため全体の「キャリア採用」における構成比率は89.7%に及びます。また「女性従業員比率」は39.5%となり、今後より一層女性の活躍促進を積極的に行い、職場環境の改善や制度構築に努めてまいります。
当社グループの事業はグローバルベースで展開しております。「外国籍従業員(構成比3.3%)」のみならず、バイリンガル人財は25.3%、「外国育ち・留学経験」を持ち合わせている人財も13.8%所属しております。国境を越え、地球規模での新しいテクノロジー実装のため、海外ベンチャー及び起業家への投資に加え、国内においても地方創生や地域コミュニティ活性化による、ステークホルダーとの対話や関係性を強化してまいります。
当社グループの新中期経営計画を実現するためには、グループ会社間やセグメント間の社員同士の協働が重要と考えております。当社では2022年度よりグループ全体でのエンゲージメントサーベイを実施しておりますが、2023年度からは、人財の多様性の点においても従業員から見える会社の課題の可視化を行うとともに、より一層グループ内コミュニケーションの充実にも努めてまいります。
③ 社内環境整備
当社グループは、「働きやすい環境づくり」として、リモートワーク制度やフレックス勤務制度、福利厚生や各種制度充実による従業員の働き方の裁量やライフワークバランスを向上させる取組みを行っております。特に新型コロナウイルス感染症の収束に伴い、社員間のコミュニケーションや連携・創造をより強化するために出社による働き方も試行し、リモートワーク比率は53.8%とハイブリッド型での働き方に移行しております。「仕事を通したQOL(Quality of life)の実現」の観点においては、タレントマネジメントによる労働時間や体調管理、従業員エンゲージメントサーベイ等のデータでピープルアナリティクスを行い、事故の発生の防止や未病に努めております。
組織コンディションを把握するためにも従業員の仕事や職場、会社へのエンゲージメントの状況を定期的に従業員エンゲージメントサーベイでモニタリングしております。個人の特性を活かせているか、職場の環境や組織体制が整っているか、上司の適切な支援があるか、経営トップ層との信頼関係はどうか、人事制度が適切に運用されているか、仕事や人間関係の負担感が高すぎないかなどをレビューし、より良い組織作りと会社経営に活かしております。また従業員と企業の関係性を強化するために、会社が個人(従業員)に約束すること、会社が個人に求めたいことを記した「人財マネジメントポリシー」を掲げ、理想となる組織像に向けた組織開発を推進してまいります。
また、当社グループでは、上記において記載した人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
<連結会社の実績と目標値>
指標 | 2023年3月31日時点 | 2028年3月31日時点 |
実績 | 目標 | |
従業員数 | 955人 | 1,500人 |
エンゲージメント指数(トータルエンゲージメント)※ | 3.80 | 4.00 |
管理職のうち女性比率 | 17.2% | 30.0% |
男性の育児休暇取得率 | 16.7% | 80.0% |
※ トータルエンゲージメントとは、企業を構成する「仕事・職場・会社」の概念に紐づけ、これら3つへのエンゲージメントの合計として解釈したものであります。満点を5.00とし、4.00が「非常に高い」と判断される指標になります。組織調査の実施は外部ベンダーに委託しております。
3.気候変動への対応(TCFDの枠組みへに基づく提言)
当社グループは、地球や人類・企業活動に重大な影響を及ぼす気候変動は、当社グループにとってリスクであると同時に新たな事業機会をもたらすものと認識しております。各事業セグメント・投資先・戦略パートナーと連携し、気候変動への適切な対応を図ることで、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
① ガバナンス
当社では、自らの社会的責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指すために、グループ各社のサステナビリティに関する取組み等を、経営会議及び取締役会に定期的に報告しております。取締役会は、当社グループの気候変動対応を含むサステナビリティの取組みを監督します。
② 戦略
当社グループでは、脱炭素に向けた変革が進展する「1.5/2℃シナリオ」及び気候変動の対策が進まない「4℃シナリオ」の2つのシナリオに沿って、2050年までの社会の将来変化と当社グループへの影響の分析を行い、主な機会とリスクを抽出しました。
ⅰ.機会に対する認識
・決済事業
- 環境負荷の低いキャッシュレス化及びペーパーレス化を実現する決済サービスへの需要の増加等
・広告事業
- 最新テクノロジーによる環境意識の高い消費者向けの広告需要の増加等
・投資事業
- “Earthshotファンド”を活用した脱炭素を促進するスタートアップ企業への投資育成の拡大等
ⅱ.リスクに対する認識
・移行リスク
- カーボンプライシングの導入により、データセンターやオフィスでの電力費用の増加
- 政府により高い省エネ目標が掲げられる場合には、省エネ設備の導入等による対応費用の増加、他
・物理的リスク
- データセンターやオフィス建物が被災した場合、建造物の破壊、通信障害などによる機能低下が事業活動に影響を及ぼし、収益の減少や修繕費用等が増加
- 慢性的な気温上昇が続く場合、オフィスやデータセンター等の運営費の増加、他
③ リスク管理
当社グループが留意すべき気候変動に係る物理リスク及び移行リスクについては、TCFD提言に沿って定期的に実施する分析結果をもとに、評価と特定を行い、グループ全体の戦略策定・実行の両面において、活用することとしています。
④ 指標と目標
インターネットを中心とした事業特性を鑑みて、当社グループの事業活動が気候変動に及ぼす直接的な影響は限定的であると考えております。現時点で温室効果ガス排出量の削減目標を策定しておりませんが、今後の動向を見極めながら、検討を進めてまいります。
詳細については、当社ホームページを参照ください。
https://www.garage.co.jp/ja/sustainability/environment
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