塩野義製薬 【東証プライム:4507】「医薬品」 へ投稿
企業概要
SHIONOGIのサステイナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてSHIONOGIが判断したものであります。
(1)サステイナビリティに関する考え方
SHIONOGIは、事業の成長と社会の持続可能性の両立に向けて、SHIONOGIと社会の双方にとってのマテリアリティ(重要課題)を特定するとともに、SHIONOGI Group Visionの中でSDGs達成への貢献を謳い、取り組みを推進しております。また、経済、社会、環境等に対し企業責任を果たすために、多様なステークホルダーとの連携強化にも注力しております。
(2)サステイナビリティに関する取組
事業の成長と社会の持続可能性の両立のためには、前項「STS2030 Revisionで優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」にて記述した価値創造に関する取組に加え、持続可能な社会の実現に向けた取組の推進が重要であると認識しております。SHIONOGIでは、自社にとっての重要性及び社会・地球環境にとっての重要性の観点から、事業の成長と持続可能な社会の実現に向けて特に対処すべき課題として「気候変動」ならびに、「成長を支える人材の確保」を認識し、解決に向けた取り組みを推進しております。なお、サステイナビリティに関する取組および進捗は、経営会議にて審議した後、取締役会へ報告し、取締役ならびに監査役からの意見や助言を受け、さらなる改善へとつなげています。
(3)気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)
SHIONOGIは自然資本を投入し事業を営む企業グループとして、地球環境の保全を通じた持続可能な社会の実現は私たちが果たすべき重要な責務と認識しております。
SHIONOGIは2022年3月にTCFD提言への賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに加盟しております。TCFD提言に基づく対応として、事業活動に影響を与える気候変動のリスク・機会の特定、財務影響評価などに着手し、適切な情報開示を推進しております。
a.ガバナンス
気候変動リスクへの具体的な対応策は統括EHS※1管理機能においてその進捗を管理しております。上席執行役員 経営支援本部長を統括EHS責任者に任命しており、統括EHS責任者が「SHIONOGIグループ中央EHS委員会」および「省エネ委員会」の委員長を務めております。これら合計して年4回以上の頻度で開催される各委員会の決定事項は代表取締役社長に報告すると共に、上位の審議体に諮る必要がある事項については事前に経営会議に上程し、取締役会決議等の機関決定を得るなど、より深い議論が尽くされる体制を整備しております。
※1 EHS:Environment, Health and Safety(環境および安全衛生)
b.戦略
2022年度に、1.5℃と4℃の二つの温度帯を用いたシナリオ分析を行い、気候変動のリスク・機会の評価・特定、財務影響の評価、リスク対応方針の立案などの気候変動戦略を検討いたしました。
1.5℃および4℃シナリオを用いたSHIONOGIの気候変動に関するリスク・機会の評価結果は下表のとおりです。財務影響が相対的に大きい気候変動に起因するリスク・機会として、1) カーボンプライシング導入、2)局所的な異常気象・気温上昇による原材料調達への影響、3)海面上昇、の3つを特定しております。評価時の試算では仮に特定したすべてのリスク・機会が顕在化することを想定した場合において、中期経営計画STS2030の最終年度である2030年に目標としていたコア営業利益に与える財務的な負の影響は約10%程度に留まることを確認しております。2023年6月に改訂したSTS2030 RevisionではSTS2030と比較してさらなる収益の拡大を目標としていることから、今後想定され得る気候変動シナリオに対する事業のレジリエンスは十分担保されていると判断しております。
SHIONOGIの気候変動に関するリスク・機会の評価概要
分類 | 主なリスク・機会 | 2030年度単年での財務影響 | ||
1.5℃ シナリオ | 4℃ シナリオ | |||
移行 リスク | 政策 | カーボンプライシング導入 | 中 | 小 |
省エネ規制の強化 | 小 | 小 | ||
物理 リスク | 急性 | 局所的な異常気象・気温上昇による原材料調達への影響 | 中 | 中 |
風水害の激化による サプライチェーン設備の被災 | 小 | 小 | ||
慢性 | 海面上昇 | 大 | 大 | |
機会 | 市場 | 新規医薬品の研究開発による 新市場・地域の開拓 | 小 | 小 |
環境にやさしい低炭素容器包装への切り替え | 小 | 小 |
※詳細については、ウェブサイトをご覧ください。
https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/environment/performance/climate/tcfd.html
c.リスク管理
気候変動のシナリオ分析では、気候変動が事業活動に影響を与える「移行リスク」「物理リスク」「機会」を網羅的に抽出し、抽出した各項目の財務影響と事業のレジリエンスを1.5℃、4℃のシナリオに分けて評価したのちに、対応優先度の評価と対応方針および対応策の立案を行っております。また、気候変動を含む将来の事業環境に重大な影響を与える可能性のあるリスク・機会については全社的リスクマネジメント体制の中で重要度・発生可能性などを評価し、その対応策の着実な実行を管理しております。これらリスクの特定から対応策の立案・推進に至る過程および重要な事項は、経営会議および取締役会に報告し、承認を得ております。
d.指標及び目標
中長期的な目標であるSHIONOGIグループEHS行動目標の一部に、気候変動に関するリスク低減を目的とした指標として「温室効果ガス(CO2)の排出の削減」を掲げております。また、2050年のカーボンニュートラルを目指して2030年度温室効果ガス排出削減目標としてSBT(Science Based Targets:科学的根拠に基づいた排出削減目標)を設定しております。この目標は2021年6月にSBTイニシアチブからの承認を取得しております。
項目 | 目標(2019年度比) | 2021年度実績(トン-CO2) |
自社排出(Scope1および2) | 温室効果ガスの排出量を2030年度までに46.2%削減する | 84,164 |
サプライチェーン排出(Scope3、カテゴリー1) | 温室効果ガスの排出量を2030年度までに20%削減する | 68,059 |
※活動進捗については、ウェブサイトをご覧ください。
https://www.shionogi.com/jp/ja/sustainability/environment/performance/climate.html
(4)成長を支える人材の確保(人的資本の拡大)
a.戦略
SHIONOGIの中長期的な企業価値向上のためには、人材への投資を継続し、人的資本の拡大を推進することが欠かせません。SHIONOGIでは「人が競争力の源泉」という人材育成理念のもと、目指すべき人材像として「Shionogi Way:他者を惹きつける尖った強みを持ち、新しいことにチャレンジを続ける人」を定め、自律的な学びによる成長を後押しし、グローバルな競争に勝ち抜ける強い個人の育成と組織の構築を推進しております。
また、ライフスタイルやキャリア形成に対する意識、ニーズが多様化する中、従業員のSHIONOGIに対するエンゲージメントを高め、SHIONOGIの成長に貢献する最高のパフォーマンスの発揮を引き出すには、働きやすい環境を整備し、一人ひとりのやりがいを高めるとともに健康増進に向けた取り組みを推進することが重要です。 SHIONOGIではこれまで所定労働時間の短縮やスーパーフレックスタイム制、在宅勤務、選択週休制度(週休3日)他兼業や副業も実施できるようにする等、従業員の柔軟な働き方を可能とし、自己啓発を推進するために様々な制度や仕組みを導入し、働き方改革を推進してまいりました。従業員の健康の保持・増進に向けては、「SHIONOGIグループ健康基本方針」のもと、健康経営の推進に取り組んでおり、塩野義健康保険組合と協働した体制のもと、健康課題を設定し、その改善に向けた各種施策の実行を推進しております。
さらに、2023年10月にはチャレンジとやりがいをコンセプトとした、新人事制度の導入を予定しております。等級制度を見直して年齢・属性に捉われず、能力・役割・成果に応じたメリハリのある評価を行うことで、高度なスキルを持った方にはその専門性に見合った上限の無い処遇を実現し、マネジメント能力が高い人材は20代であってもマネジャーへの昇格を可能とします。
b.指標及び目標
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標
区分 | 指標 | 目標 | 実績 |
多様な人材の確保 | 管理職に占める女性従業員の比率 (注2、3) | 15%以上 | 14.2% |
誰もが働きやすい環境・風土の醸成 | 男性育児休業の取得率(注2、4) | 50%以上 | 53.3% |
尖った強みを持つ人材の育成 | 自己投資支援制度の利用率(注5) | 60%以上 | 44.6% |
健康管理・労働安全衛生 | 健康診断受診率 | 100% | 100% |
ストレスチェック受検率 | 100% | 91.3% | |
ストレスチェック 高ストレス者割合 | 5.0%未満 | 4.3% | |
喫煙率(注6) | 0% | 5.0% |
(注) 1.当社グループでは人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については関連する指標データ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上の指標に関する目標及び実績は国内グループ連結におけるものを記載しております。
2.提出会社での実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
3.従業員数は2023年4月1日時点により算出しております。部下を持つ職務の者を管理職としております。
4.当該年度に誕生した子供を有する社員のうち、育児休業を取得した社員の割合を記載しております。
5.組合員を対象とした自発的な学びを支援する制度(年間25万円を上限とする)。2021年度の実績を記載しております。
6.2024年度の目標を記載しております。
- 検索
- 業種別業績ランキング