ジンズホールディングス 【東証プライム:3046】「小売業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、市場環境の変化に対し組織的に対応し、かつ、グローバルでの成長を確実なものとするため、ブランドビジョンを「Magnify Life まだ見ぬ、ひかりを」(未知の可能性に光を当て人々の生き方を豊かに広げる)とし、このブランドビジョンを実践していく上での行動指針(Attitude)を「Progressive」、「Inspiring」、「Honest」と定めております。
当社グループでは、社内及び顧客との間で「Magnify Life まだ見ぬ、ひかりを」を共有し、このブランドビジョンに基づいた顧客体験を提供することでブランドビジョンの浸透を図り、持続的な成長を実現してまいります。
(2) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、メガネ等のアイウエアの企画、製造、販売を一貫して行うSPA体制により、メガネを必要とされるすべての方に高品質・高機能なメガネを最適価格で提供してまいりました。アイウエア事業を推し進めていく中、商品力、接客力の向上に努めながら、イノベーティブなプロダクトの開発や様々なニーズに応えられるサービスの導入を進めるなど、顧客価値を高めるビジネスモデルを構築し、継続的な企業価値の向上に取り組んでまいります。
① 市場環境
国内眼鏡小売市場につきましては、子どもの外遊びの減少やスマートフォン、タブレット端末等の利用増加による近視の低年齢化、近視リスクの増加が社会問題となっており、また、視力低下のリスクが高まる高齢人口も増加する等、視力矯正が必要な人口は増加しております。市場規模全体としては新型コロナウイルス感染症の影響が収束し、発生以前の水準へ回復の傾向が見受けられました。国内における競合環境につきましては、市場全体の傾向は低価格志向が進んでおり、低価格均一料金をビジネスモデルとした事業者のシェアが増加しております。
海外眼鏡小売市場につきましては、国内同様に視力矯正が必要な人口が増加しています。中国をはじめとしたアジア圏では、近視人口が増加しており、眼鏡の市場規模は拡大しております。また当社を模倣した眼鏡チェーンも数多く出店しており、競合環境は激しさを増しております。米国においては、眼科での販売や眼科と提携した眼鏡店での販売及び全国規模の大型小売店舗内での販売が主流ですが、近年ではEC販売が伸長しております。
② 商品戦略
商品戦略につきましては、高品質・高機能なメガネを最適価格で提供することを基本方針としつつ、軽量素材を使用した「Air frame」シリーズ、花粉や飛沫から目を守る「JINS PROTECT」といった新しい価値をもたらす商品開発を継続的に進めてまいります。また、バイオレットライトを用いた近視進行抑制メガネ型医療機器といったようなお客様により良い価値を提供できるイノベーティブなプロダクトの開発を進めてまいります。
レンズにつきましては、標準レンズは紫外線を99%以上カットする大手レンズメーカーの薄型非球面であり、さらにパソコンやスマートフォンから放出されるブルーライトをカットする「JINS SCREENレンズ」や紫外線や目に見える光でもカラー濃度が変化する「可視光調光レンズ」、カラーバリエーションを豊富に取り揃えている「ファッションカラーレンズ」など様々な機能が付いたオプションレンズをお求めやすい価格で取り揃えております。
③ 店舗戦略
店舗戦略につきましては、ECサイトでの販売を推進しながらも、度数測定やフィッティング調整など、まだ店舗でしか提供できないサービスがあること、また未進出の地域や認知度の低い地域があることから、引き続き店舗網の拡充に努めてまいります。
国内アイウエア事業においては、引き続き未出店の地域やロードサイドへの出店を強化し、スタッフがサポートしながらお客様ご自身の操作で度数測定ができる自動検眼機の導入や、完成したメガネをお客様の好きなタイミングで受け取ることができる「PICK UP LOCKER」の設置など、お客様に最適な購買体験を提供することができ、かつ生産性の高い店舗の出店を進めてまいります。
海外アイウエア事業においては、中国では、景気低迷による業績への影響を受ける中で、事業再編に取り組み、新たな出店戦略を構築してまいります。米国においては、新たな顧客体験型店舗の出店準備を進めており、生産性の高い店舗の出店を進めてまいります。他の進出国についても出店状況に合わせて戦略的に出店を進め、店舗基盤を強化するとともに、新規国への出店も積極的に検討し、さらなるグローバルネットワークの拡充に努めてまいります。
④ デジタル戦略
当社グループを取り巻く社会環境においては、デジタル技術の向上に伴い、商取引が多様化しております。
このような経営環境の変化が見られる中、当社グループがさらなる成長を実現していくために、デジタルの最新技術を事業へ効果的に取り入れていく方針です。
デジタル技術の潜在的な可能性を幅広く検討し、戦略的な投資を通じて高度なデジタル化を図り、事業の最適化、効率化を進めることで更なる企業価値の向上に努めてまいります。
(3) 目標とする経営指標
当社グループは、将来にわたる継続的な事業の拡大を通じて、当社グループの企業価値を向上させていくことを目指しております。その中で、経営指標としては国内アイウエア事業及び海外アイウエア事業の収益性を重視しながら事業の成長性を高め、連結業績における営業利益及び売上高営業利益率並びに自己資本当期純利益率(ROE)の向上に努めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上の課題
① イノベーティブなプロダクト開発の強化
当社グループは、これまでも「エアフレーム」や「JINS SCREEN」といったアイウエアに新しい価値をもたらす商品の開発を進めてまいりましたが、競争環境の激しい市場の中ではすぐにコモディティ化してしまい、商品の競争優位性がなくなってしまうことが課題であると認識しています。
そういった課題の中で、お客様の利用シーンに応じた商品の開発に取り組み、自宅での使用を提案した「JINS HOME」等の新たな商品価値を提供するとともに「近視のない世界の実現」に向けた取り組みの一環として、バイオレットライトを用いた近視進行の抑制を目的としたメガネ型医療機器の開発の共同プロジェクトを推進するなど、お客様との双方向のコミュニケーションを重ねながら、お客様のニーズにマッチした商品を安定的かつ継続的に開発し提供できるよう取り組んでまいります。
② サプライチェーンの再構築
当社グループは、店舗で販売している商品のデザインや企画は自社で行っていますが、フレームの製造は主に中国の協力工場に製造を委託しております。中国での生産拠点の一極集中はグローバルな経済動向や為替変動などのリスクにさらされており、将来に亘る継続的かつ安定的な商品調達に課題があると認識しています。
生産拠点の分散化のため、中国以外の海外生産拠点を検討するとともに、福井県に拠点を置くヤマトテクニカル社を子会社化し、当社グループの主要な販売拠点である日本国内での商品生産の拡大を目指し、合わせて店頭までのリードタイムを短縮できるよう取り組んでまいります。
③ 持続的な店舗展開の推進
当社グループは、主に都心部や地方の中核都市及びその近郊、広域型ショッピングセンター、百貨店や駅ビル等を中心に出店を行うとともに、一部郊外ロードサイドの出店を行う等、ロケーションの多様化を推進してまいりましたが、今後、更なる店舗展開を推進していくには、効率的かつお客様のニーズの多様化に合わせた店舗の構築が重要な課題であると認識しております。
そのため、グローバル各国、地域の出店状況に合わせ、未出店の地域や郊外ロードサイドへの出店を進める一方で、地域によってはドミナントを強化するなど、お客様に最適な購買体験をしていただくことができ、かつ生産性の高い店舗の拡大を図ることで更なる店舗基盤の強化を進めてまいります。
④ 雇用環境の変化への対応
当社グループを取り巻く社会環境においては、労働人口の減少、人件費の高騰が続いており、更なる店舗展開の推進やデジタル化の推進を進めて行くためには、優秀な人材の確保が課題となっております。
足許の雇用情勢を把握し、適時適切な人材が確保できるよう努めるとともに、各種オペレーションの自動化を進め、生産性の向上に取り組んでまいります。
⑤ デジタル化の推進
当社グループは、かねてよりECサイトでの販売やアプリの活用を進めておりますが、当社グループを取り巻く社会環境においては、デジタル技術の向上に伴い、商取引が多様化しております。
そういった環境の中で、ECサイトやアプリの活用だけではなく、商品選び、決済、商品のお渡しなどのお客様との接点において、先進的なデジタル技術を活用し、お客様のニーズに合わせた利便性の高い購買体験を提供してまいります。
また、お客様との接点に限らず、本部における商品管理、業績管理等の業務においても、戦略的な投資を通じ、より高度なデジタル化を図り、最適化、効率化を進めることで更なる企業価値の向上に努めてまいります。
⑥ グローバル展開の推進
当社グループが、今後とも持続的な成長を成し遂げるためには、グローバル展開の推進が重要であり、海外ビジネスを拡大していくための基盤整備が重要な課題であると認識しております。
すでに進出している国、地域での更なる成長を推進していくとともに、新規進出国への検討においても、市場環境や法令の調査、各国の状況に即した新たなビジネスモデルの構築など、海外展開の加速化を推進していく体制強化に努めてまいります。
⑦ サステナビリティ活動の推進
当社グループは、新たに「アイウエアを通して、未来の景色を変えていく。」というサステナビリティ・ステートメントを定め、「Magnify Life まだ見ぬ、ひかりを」というビジョンを事業活動を通じて実現し、持続可能な社会作りと企業価値の向上を目指しております。
新たなサステナビリティ・ステートメントのもと、今後取り組むべき重点領域を「環境への配慮」「安心の製品とサービス」「サプライチェーンの労働環境整備」「ヘルスケア・イノベーション」「社会への貢献」「健全なガバナンス」の6つと定め、社会的責任を果たすとともに、持続的な社会貢献に取り組んでまいります。
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