企業兼大株主若築建設東証プライム:1888】「建設業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社は、2021年に策定した長期ビジョンにおいて「品質・安全」を核とした施工をベースに3つの持続性(市場での持続性、組織の持続性、社会の持続性)を追求してゆくことを基本方針として掲げ、その基本戦略として事業基盤の強化とESG経営の推進に取り組んでおります。この一環として当社も持続可能な開発目標(SDGs)に賛同し、よりよい国際社会の実現に貢献するため、積極的に取り組みを進めております。その中でも、地球温暖化や気象災害の激甚化をはじめとする気候変動課題は喫緊の社会課題の一つと捉え、温室効果ガス排出量の削減や海洋環境の維持をはじめとする環境保全に配慮した活動を積極的に推進しております。また、サステナビリティ経営において、気候変動が事業に及ぼす影響についても重要なテーマと認識しており、TCFDガイドラインに則した気候変動リスク及び機会が及ぼす影響の評価と、それを受けた対応策の検討及び事業戦略への統合は、当社の持続的成長と企業価値向上に資するものと考えております。

(1)ガバナンス

 気候変動をはじめとするサステナビリティに関連する重要事項は、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会にて審議検討を行っております。また、委員会下に専門部会を設置し、各マテリアリティについての取り組み進捗を管理しております。サステナビリティ委員会は年1回開催し、各部会で審議検討された内容に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、決議事項は取締役会へ報告しております。また、取締役会は当社の環境課題や人的資本課題への対応方針および実行計画等についての論議・監督を実施し、その決定事項は各部門の担当執行役員で構成される業務執行会議へ指示・報告することで、環境課題および人的資本課題への審議・決議内容の全社的な経営戦略への統合を図っております。

(2)戦略

 当社が実施した気候変動によるリスクと機会の特定及び、事業への影響度と対応策について考察・分析にあたっては、IPCCやIEAが公表するシナリオを用いて、産業革命期頃の世界平均気温と比較して2100年頃までに4℃上昇するとする4℃シナリオと、カーボンニュートラルへの取り組みにより1.5℃~2℃程度に気温上昇が抑制される2℃未満シナリオの2つのシナリオを設定し、それぞれの世界観における2030年時点での当社への影響を想定しております。

 4℃シナリオにおいては化石燃料需要の成行き的な拡大などを背景にアスファルト原材料価格の上昇が予測されるほか、台風や大雨をはじめとする異常気象の激甚化に伴う物理的リスクが拡大することによる直接的な被害が想定されます。しかしながら、気象災害による被害を防止・抑制するための、減災・防災工事需要の拡大も見込まれ、各事業における社会貢献の可能性についても模索・検討しております。対して、2℃未満シナリオでは炭素税や電力価格の高騰により操業コストの増加や、サプライチェーンにおける同様の影響から原材料コスト増が想定される一方、再生エネ需要の拡大から再エネ関連工事が増加することが見込まれ、当社の豊富な太陽光、陸上風力、バイオマス、小水力関連の施工請負実績も背景として、積極的な関連工事への参画による事業機会を確認しております。なお、気象災害による被害額は4℃シナリオと比較して半減する一方で、熱中症リスクをはじめとする慢性的な気温上昇による労働効率の低下は双方のシナリオ共に同程度の影響を予想しております。

 また当社は2021年に策定した長期ビジョンにおいて、重視する3つのサステナビリティのひとつに「組織の持続性」を掲げ、働きがいのある職場環境の実現や建設業を担う人材を育成するための施策を展開しております。具体的には、現場での週休二日を目指す働き方改革や、健康経営の推進、社内教育制度「はぐくみ」によるスキルアップ支援など、社員のエンゲージメント向上、建設事業を担う人材の確保に向けた取り組みを推進しております。

(3)リスク管理

 気候変動リスクについてはサステナビリティ委員会に報告され、各サステナビリティ課題と統合し、「社会にとっての重要度」「自社経営にとっての重要度」の2つの指標を軸に重要度の評価を行っております。また、特定した気候変動リスクについては、必要に応じて危機管理委員会にも共有され、危機管理委員会がその他リスクも含め統合的に管理を行っております。特定及び評価した各種リスクについてはリスク管理担当部署を置き、リスク管理規程に基づいてリスクが顕在化することを防止すると共に、リスクの軽減を図っております。具体的な取り組み事例として、近年の気温上昇と相まって発生する熱中症リスクを軽減するために、工事施工における対策を標準ルールとして定め熱中症の発生抑制を図っております。また、今後の気候変動に応じて変化するさまざまなリスクに対して、定期的にリスクの再評価を行い対応策を講じていく体制を整えております。

(4)指標及び目標

 当社は、サステナビリティ課題における当社のマテリアリティの策定に際して、SDGsの目標年とされる2030年を長期目標とし、複数のKPI目標を設定しております。そのうち、気候変動に関わる目標としては、“施工段階におけるCO排出量を指標として、2030年度までに2013年度比40%削減”に向けて取り組みを推進しております。また、持続可能な国際社会への貢献努力として、再生可能エネルギー関連施設の建設工事への積極的な参画により、年間発電量総計100億kWh(出力100万kW級の原子力発電1基相当)分の施工実績を目指しております。

 人的資本に関わる目標としては、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、育児休業や有給休暇の取得促進および所定外労働時間の削減を掲げております。また女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画では、総合職採用に占める女性の割合を15%程度とすること、女性の育児短時間勤務の利用率を80%以上にすることを指標とし、これらの行動計画に基づきサステナブルな組織の構築に取り組んでおります。

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