企業Zenken東証グロース:7371】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは「そこにない未来を創る」をパーパスとして掲げ、社会課題の解決に結びつく事業活動を推進しております。

 国内外に山積する社会課題の中でも、当社がとくに目を向けているのが、「日本の少子高齢化による生産年齢人口の減少」です。この生産年齢人口の減少による労働力人口不足は、ダイレクトに国力低下へとつながります。当社は、日本を拠点に事業活動を行う一企業として、この問題を今すぐに取り組むべき最重要課題として位置づけ、課題解決に貢献する活動に尽力しております。

 日本人の労働人口減少が進む一方で、世界では急激に人口が増加し続けており、日本で働く海外人材も年々増え続けています。それはつまり、これからの日本企業にとって、海外人材の採用や育成、受入れ環境の整備や定着のための取り組みが大変重要な施策となることを示しています。

 当社は、1975年の創業より培ってきた豊かなリソースやノウハウを活かし、マーケティング事業と海外人材事業を軸とした様々なソリューションを提供することで、持続可能な社会の創出の実現に貢献してまいります。

(2) 目標とする経営指標

 当社は、既存事業のさらなる成長を目指しつつ、成長市場領域である人材領域、特に海外IT・海外介護人材事業での事業開発に取り組み、新たな収益事業を創造することで、企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。そのため、現時点で当社の重視する経営指標は、「売上高」「営業利益」の2指標であります。

(3) 経営環境、経営戦略等

① マーケティングセグメント

 マーケティング事業が属するインターネット広告の市場規模について2023年におきましては、社会のデジタル化を背景に堅調に伸長し、3兆3,330億円(前年比107.8%)と過去最高を更新し、日本の総広告費全体の45.5%を占めました。また、日本の総広告費も7兆3,167億円(前年比103.0%)となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新しました(出所:株式会社CARTA COMMUNICATIONS/株式会社電通/株式会社電通デジタル/株式会社セプテーニ「2023年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」)。

WEBマーケティング事業において、この市場環境の下、主に「運用メディア当たり単価の向上」「契約顧客数の拡大」「運用メディア継続期間の長期化」の3つに注力し、事業を展開してまいります。

・運用メディア当たり単価の向上

 BtoB(電機・機械等)の業種など幅広い顧客に対して、高い集客効果のあるメディアを制作することにより、運用メディア当たり単価の向上を図るとともに、運用メディアの中に成果報酬型の広告枠を設けて販売することで、1メディア当たりの価値を最大化させ、その結果として単価の向上を目指します。

・契約顧客数の拡大

 集客効果のあるメディアの制作だけではなく、運用メディアを活用した成果報酬型の広告枠の販売や、WEBを利用したマーケティング戦略のコンサルティング等により、より多くの顧客に価値あるサービスを提供することを目指します。

・運用メディア継続期間の長期化

 当社は、2024年6月期において245件のメディアを公開するとともに、970件のメディアを運用(平均継続期間43.4ヶ月)しております。今後、メディアが高い集客効果を維持することで運用メディア継続期間の更なる長期化を目指します。

② 海外人材セグメント

(人材事業)

a. 海外IT人材事業

 当社は、日本の生産年齢人口の減少による労働力不足を解消するために、海外の人材市場に着目しまして海外IT人材事業の展開を進めております。国内のIT人材は、2030年には最大で79万人、中位シナリオで約45万人(出所:経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)も人手が不足すると見込まれるほど人手不足が慢性化しております。そこで、海外人材に対する教育を強みとして社会課題の解決を図ることを目指しております。

 海外IT人材事業では、新卒採用と中途採用で異なる戦略を実施しています。新卒採用の領域に関しては、インドのIT都市ベンガルールの上位大学と提携し(Indian Institute of Technology Hyderabad、R. V. College of Engineering、B.M.S. College of Engineering等 2024年6月末時点で49校と提携)、ジャパンキャリアセンターを大学内に開設しています。インドでICT教育を受けて日本企業への就労を希望する新卒の学生と、IT人材不足に悩む日本の企業とのマッチングの機会を設けております(2024年6月末時点で人材登録者数2.1万人)。

 中途採用の領域においては、2022年10月に海外IT人材のマッチングのプラットフォーム「Yaaay」をリリースし、日本も含め世界中で勤務経験のあるIT人材で日本企業への就労を希望する者を集めた豊富な登録人材データベースを活かして、即戦力となる海外IT人材と日本企業とのマッチング機会の拡大にも取り組みました。2024年6月末時点で4.3万人の人材登録数を確保しましたが、中途採用においては英語話者が多く、日本語を重視する企業側の採用目線とミスマッチが生じ、内定数は伸び悩みました。当該課題解決には時間を要することから、今後は、プラットフォームは継続するものの、事業活動は縮小した上で、好調な新卒採用の領域を拡大させるために当該事業の人材リソースを振り向けて事業発展を加速させてまいります。

b. 海外介護人材事業

 生産年齢人口の減少等に伴い、2025年には介護人材が37.7万人不足することが見込まれます(出所:厚生労働省「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計」)。日本の介護人材不足に対応するため、インドの政府系機関やインドネシアの人材送出機関等と提携し、特定技能人材の紹介と育成を含めた定着サポートを推進しております。語学教育を強みとして、海外介護人材の介護福祉士の国家資格取得を目指した5年間に亘る独自の語学教育プログラム「ZENKEN NIHONGO 介護」を提供していることに加えて、自社で介護施設を運営して海外介護人材活用ノウハウを蓄積し、営業活動に活用するなど独自の戦略を取っており、事業拡大を目指しています。

c. その他

 その他、美容業界に特化した求人を紹介する「美プロ」などのメディアの運営や、新規事業として海外介護人材事業に取り組んでおります。

(教育事業)

 2023年度の語学ビジネス市場規模は事業者売上高ベースで7,841億円と推計されました。2023年度はコロナ禍の行動制限がさらに緩和されたことで、多くの市場が回復し始めております(出所:株式会社矢野経済研究所「語学ビジネス市場に関する調査を実施(2024)」)。

 主力である、法人向け語学研修事業においては、これまでに1,700社以上の企業や公的機関などに向けてクラス型、eラーニング、オンラインなどさまざまな形態でサービスを提供してきた実績があり、利用者も増加しております。2023年6月16日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2023」において、「リ・スキリングによる能力向上支援」が重点施策の一つとして盛り込まれました。グローバル化が進展する中で、今後は、個人のキャリア形成における語学の習得・学びなおしの重要性が更に高まることが見込まれるとともに、企業側のグローバル人材育成に向けた投資も加速されることが見込まれます。

 留学斡旋事業においては、世界の留学生数は2020年に約560万人と、2000年に比べて約3.5倍増加しておりますが、欧米先進諸国が占める割合が拡大する一方、日本は2000年の約4%から変わっていない状況です。この状況を踏まえ、政府は第6回教育未来創造会議にて、第2次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」(略称「J-MIRAI」)を取りまとめ、公表しました。提言では、2033年までに日本人の海外留学生を50万人(コロナ前22.2万人)に増やすなどの施策が盛り込まれており、今後日本人の海外留学が活発化することが見込まれます。

 日本語教育事業においては、運営する日本語学校において、SNS活用した宣伝を強化しており、2023年4月以降、学生が増加傾向にあります。

③ 不動産セグメント

 当社グループの不動産セグメントにおきましては、西新宿エリアに所在する自社ビル「全研プラザ」「Zenken Plaza Ⅱ」の賃貸を中心に行っており、安定的な収益獲得に貢献しております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループにおける経営戦略を実現するための対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

① 優秀な人材の採用と育成

 当社グループが、事業を拡大、経営の強化を実現していく上で、必要な人材の継続的な確保と育成は最重要課題の一つです。多様なバックグラウンドを活かして、様々な挑戦を続け、自ら主体性をもって決断し、あらゆる課題解決の立役者になれる人材を採用・育成するとともに、多様な人材がそれぞれの特性や能力を最大限に活かせるような社内環境の整備にも取り組んでまいります。人材戦略については、「第2 事業の状況、2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

② 新規事業の展開

 少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれております(出所:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」)。生産年齢人口の減少により、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念されており、当社グループは、日本の生産年齢人口の減少による労働力不足を解消することを目指し、介護の分野で新規事業としての海外人材事業を展開しております。

 海外介護人材事業では、主にインド・インドネシアの介護分野における特定技能人材を現地の政府系機関や人材送出機関と提携し、紹介を進めています。人材紹介のみならず、日本語教育力を強みとして、介護福祉士の資格取得を目指した5年間に亘る独自の語学教育プログラムも提供し、長く日本で働くことが出来る人材の育成にも努めています。子会社の全研ケア株式会社にて、実際に海外介護人材を受入れ、人材の受入れと定着のロールモデルとすることで、他の介護施設の受入不安を解消し、取引拡大に繋げております。

 2024年7月には、株式会社第一興商との間で、インドを中心とした外国人の介護レクリエーション人材の育成に向けた業務提携を締結するなど、今後の事業発展に向けて新たな進展もありました。

 今後も上記事業のみならず、継続して新規事業の開拓が必要と考えております。そのためには社内リソースの活用だけではなく、外部リソースを活用することも重要と考えており、事業提携やM&A等のあらゆる可能性を検討してまいります。

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