企業兼大株主TDK東証プライム:6762】「電気機器 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)当社グループの経営の基本方針

 当社は、東京工業大学で発明された磁性材料フェライトの工業化を目的としたベンチャー企業として、1935年に設立されました。社是である「創造によって文化、産業に貢献する」という創業の精神に基づき、独創性をたゆまず追求し、イノベーションの推進により創造した新たな価値(製品・サービス)の提供を通じて、企業価値を高めてまいりました。さらには、M&Aの活用、外部との協業なども積極的に行いながら、グローバル化・多角化を進めてまいりました。その結果、受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品及びエナジー応用製品を主要事業として展開しております。

 今後も、常に新しい発想とたゆまぬチャレンジ精神を持ち、グループ各社それぞれの強みを活かしつつグループ全体としての力を結集します。これにより、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など、全てのステークホルダーの満足と信頼、支持を獲得することを目指します。また、事業を通じて社会的課題の解決に貢献し、社会に役立つ存在であり続けることで、持続可能な社会の発展に寄与してまいります。

(2)当社グループの中長期的な経営戦略及び対処すべき課題

 ➀長期ビジョン

 世界経済は、技術を含む経済安全保障を巡る覇権争いを背景に、米中間の対立が進行したことにより、分断の危機に直面しております。しかしながら、このような危機に直面してもなお、地球温暖化への対策、エネルギー安全保障等の観点から、再生可能エネルギーへのシフト及び脱炭素化への流れは今後も継続することが予想されます。また、AI(人工知能)、メタバース(インターネット上の仮想空間)、ロボット技術、ADAS(先進運転支援システム)等の高度化・普及により、産業における省人化や効率化、都市機能の高度化といった大きな社会の変革が進行しております。このように、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)を含む社会の変革は、未来に向けてさらに加速していくことが予想されます。

 このような中、当社グループは「創造によって文化、産業に貢献する」という社是の基で、事業を通じて社会の変革に貢献するため、新たに長期ビジョンを制定いたしました。

<長期ビジョン>

 当社グループは、長期ビジョン実現のため、「変化を先んじて検知できる地位獲得」と「変化に迅速に対応できる仕組みの確立と運用」に取り組んでまいります。「変化を先んじて検知できる地位獲得」を目指し、材料、プロセス、ソフトウェア等の領域で培った強み(知的資本・製造資本・自然資本)をさらに深化させるとともに、新たな強みを探索し、電子デバイス領域でのリーディングポジション(社会関係資本・知的資本)を確立するための各種施策に取り組みます。また、「変化に迅速に対応できる仕組みの確立と運用」を目指し、獲得した「変化を先んじて検知できる地位」を活かし、未来構想力の強化と、多様で優れた人財の獲得・育成に注力することで、構想した未来を迅速かつ効率的に実現する実行力(人的資本・知的資本)を強化いたします。これらの取り組みにより、恒常的な投資余力(財務資本)を確保し、最適な投資を実現することで、変化を先んじて検知できる地位をさらに高めることを目指してまいります。

 ②重要課題(マテリアリティ)

 化石燃料に対する投資不足等の複合的な要因によるエネルギー価格の高騰や、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の緊張などにより世界のエネルギー情勢はますます混迷しております。また、米中間の政治的緊張から、米国が中国への半導体製造設備や技術の輸出を規制するなど、経済分野におけるデカップリング(分断)が進行しております。この分断は、各国の重要鉱物の争奪戦を激化させるなど、サプライチェーンに対しても大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 しかしながら、このような社会構造・産業構造の変化の中にあっても、エレクトロニクス市場において、GXやDXの潮流は拡大し、当社グループの事業領域に新たな市場の創造をもたらすことも見込まれます。例えば、GXにおいては、脱炭素化社会の実現に向けた再生可能エネルギーや電気自動車の普及、DXにおいては、現在の第5世代移動通信システム(5G)をさらに高度化させた新たな移動通信システム(Beyond 5G)への移行、自動車におけるADASの実用化、IoT(モノのインターネット)製品やAI、クラウドサービスのさらなる普及等が、当社グループにおける大きな成長機会であると捉えております。これらの大きな変化に乗り遅れることなく、成長機会を確実に捉えるため、積極的な研究・技術開発を行い、競争力を持つ新製品のタイムリーな投入と需要に応じた生産能力の拡大を行ってまいります。

 当社グループは、企業価値をさらに向上させるため、長期ビジョンに基づき、当社グループが取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を再設定いたしました。この重要課題では、「事業活動による価値創造と競争優位の確立」のために、「顧客価値の創出と強固な信頼関係の構築」、「社会のTransformation実現に貢献するR&D」及び「高品質な製品の安定供給と生産の高効率化」を取り組むべき3つの領域として設定いたしました。また、これらを支える「未来を構想し実現する経営基盤の強化」として、「競争力を生み出し続ける多様な人財の活躍推進と育成による変革」、「グループガバナンスの高度化」、「社会・環境課題解決の遂行」の3つを取り組むべき領域として設定いたしました。それぞれの領域においてテーマを定め、各テーマにおいて具体的な施策を実行してまいります。例えば、「グループガバナンスの高度化」においては、事業ポートフォリオの継続的改善とEmpowerment & Transparencyの2つのテーマを定め、事業ポートフォリオの継続的改善のテーマに対しては、事業ポートフォリオマネジメント体制の確立とその継続的な運用を行ってまいります。このように、重要課題への取り組みを推進し、事業活動による価値創造サイクルを継続的に循環させることで、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 また、財務面においては、事業リスクを考慮した経営資源の配分とフリー・キャッシュ・フローの拡大を行い、資本効率・株主還元・財務の健全性のバランスを適正化することで、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を支える強固な財務基盤の構築を目指してまいります。

<TDKグループの重要課題(マテリアリティ)>

 ※重要課題(マテリアリティ)は企業価値向上を企図し、社会と企業の両サステナビリティの同期化の考え方を採用し、財務マテリアリティ(TDKグループにとって重要な事項)とインパクトマテリアリティ(ステークホルダーにとって重要な事項)から構成されております。財務マテリアリティとインパクトマテリアリティを導出したうえで、両者を精査し重要課題(マテリアリティ)を選定いたしました。

 表: GX・DXによる成長機会と対象となる当社グループの事業の例

 

GX

DX

受動部品

 

<産業機器>

再生可能エネルギーの普及

アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、圧電材料部品・回路保護部品、インダクティブデバイス

<自動車>

電気自動車の普及

インダクティブデバイス、セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ

<ICT>

Beyond 5Gへの移行

高周波部品、インダクティブデバイス、セラミックコンデンサ

IoT製品の普及

高周波部品、インダクティブデバイス、圧電材料部品・回路保護部品

<自動車>

ADASの普及

セラミックコンデンサ、インダクティブデバイス

センサ応用製品

 

<自動車>

電気自動車の普及

温度・圧力センサ、磁気センサ

<ICT>

Beyond 5Gへの移行IoT製品の普及

センサ応用製品全般

<自動車>

ADASの普及

磁気センサ、MEMSセンサ

磁気応用製品

 

<自動車>

電気自動車の普及

マグネット

<産業機器>

再生可能エネルギーの普及

マグネット

<ICT>

クラウドサービスの普及

HDDヘッド、HDD用サスペンション

エナジー応用製品

<自動車>

電気自動車の普及

電源

<産業機器>

再生可能エネルギーの普及

二次電池、電源

<ICT>

Beyond 5Gへの移行

二次電池

IoT製品の普及

二次電池

 ③中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)

 2025年3月期から開始する中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)は、長期ビジョンを実現するための3年間の活動計画として、長期ビジョンからバックキャストする形で策定いたしました。中期経営計画期間(2025年3月期~2027年3月期)は、長期ビジョンの実現に向けた、事業基盤強化(主力事業の収益力強化、課題事業への対処)の期間と位置づけております。

 企業価値向上のためには、フリー・キャッシュ・フロー創出の最大化、資本コストの低減、期待成長率の向上が重要であると考えております。この考えにもとづき、中期経営計画においては、以下の施策を3本柱といたしました。

1. キャッシュ・フロー経営の強化

2. 事業ポートフォリオマネジメントの強化(ROIC経営の強化)

3. フェライトツリーの進化(未財務資本*の強化)

 これら3つの施策を踏まえ、財務的価値の追求だけでなく、将来の財務的価値の源泉となる未財務的価値も追求し、短中期的な業績目標達成と長期的に価値を生み出し続けるための取組みを両立することにより、持続的な企業価値の向上を図る、という考え方のもとで、中期経営計画における経営指標として、以下の通り、財務指標に加えて、未財務指標を設定いたしました。

 *一般的には「非財務資本」と呼ばれる、技術力、組織力、人的資本、顧客基盤等を将来キャッシュ・フローを生み出す資本と考え、「未財務資本」と表現しております。

<中期経営計画における経営指標一覧>

 

2024年3月期

実績

2027年3月期

目標

ポートフォリオ

変革による

中長期で目指す姿

財務指標

成長性

売上高 [億円](年率換算成長率*)

21,039

25,000(約5%)

(10%以上)

効率性

ROE ※1

7.9%

10%以上

15%以上

事業ROA(ROIC)(>WACC)※1

5.3%(<7.0%)

8%以上

12%以上

営業利益率

8.2%

11%以上

15%以上

財務健全性

株主資本比率

(親会社所有者帰属持分比率)

50%

50%水準

-

D/Eレシオ

0.4倍

0.3~0.4倍

-

(為替前提)

(144円/US$)

(135円/US$)

(135円/US$)

財務指標

重要KPI

TME(エンゲージメント)

 

 

 

 -コミュニケーションスコア

67pt

75pt以上

-

 -サーベイ参加率

80%

80%以上

-

CO2排出量削減率 ※2

(SBTi Scope1+2)

(2022年3月期対比)

42.9%

23.3%

42.0%

※1 ROE、事業ROA(ROIC)に関する詳細については、4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。

※2 SBTiは、企業が科学的に根拠のある環境目標を設定することを支援しているイニシアチブです。パリ協定で示された「世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える」という目標の達成に向け、SBTiは企業が目標設定の際に使用できる基準を提供しています。当基準に基づき算定された段階的に必要なCO2排出量削減率を2027年3月期目標値として定めておりますが、2024年3月期において先行して達成する見通しとなりました。これは、再生可能エネルギー(Scope2)の積極的導入推進によるものですが、中期経営計画において大幅な増産や拠点拡大を計画しており、現時点では目標値は妥当と判断しております。なお、2024年3月期実績は概算値となります。また、当社はSBTiにコミットメントレターを提出しており、削減目標の認定取得に向け現在活動中です。

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