SWCC 【東証プライム:5805】「非鉄金属」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、1936年の創業以来、社会インフラを支える企業として様々な社会課題解決型ビジネスに取り組み、持続可能な社会の発展に貢献してまいりました。サステナビリティの取り組みについては、経営上の重要課題であるとの認識からこれまでも力を入れてまいりましたが、昨年から新たに「サステナビリティ委員会」を設置し、「サステナビリティ基本方針」の策定や「マテリアリティ(重要課題)」の特定など、サステナビリティ経営に向けた取り組みを加速させるためのガバナンスおよびリスク管理体制の整備や施策の展開を図ってまいりました。マテリアリティに紐づくKPIや施策は、経営戦略全般との整合性がとられており、これを推し進めることで、事業戦略や財務戦略との相乗効果が生まれてまいります。
なお、当社は、2022年5月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。気候変動は、事業活動にとってリスクとなる一方、収益機会の獲得にもつながります。当社は、これら気候変動に関するリスク・機会の特定と対処が経営上の重要課題であるという認識のもと、TCFDの提言に沿って、気候変動関連リスク・機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の4項目について積極的な情報開示を進めております。
(1)ガバナンス
以下は、当社グループのサステナビリティ経営に係るガバナンス体制です。
当社グループは、グループの経営理念に基づき、環境・社会・ガバナンスなどの観点において持続可能な企業運営を行うべく、グループCEOを委員長とし、各事業部門および人事・環境・調達等に関する管理部門の担当執行役員・フェローで構成される、「サステナビリティ委員会」を設置しております。サステナビリティに関する経営上の課題について、事務局であるサステナビリティ推進部が事業部門・管理部門における課題や対応策を集約し、「サステナビリティ委員会」でそれらについて議論した上で、グループの「サステナビリティ基本方針」の立案、マテリアリティ(重要課題)の特定、機会とリスクに基づく戦略の推進、取締役会へのサステナビリティ課題と対応に関する報告や提言などを行っております。
(2)戦略
①サステナビリティ戦略
当社グループは、(1)ガバナンスに記載している体制のもと、サステナビリティの取り組みについて、経営上の重要課題であるとの認識から力を入れており、方針の策定や重要課題の特定を行っております。具体的には以下のとおりです。
イ)サステナビリティ基本方針
当社は、サステナビリティ推進体制の強化とともに、活動の基本となる「サステナビリティ基本方針」を策定しており、本方針のもと、さまざまな社会課題に対応する企業行動を実践しております。サステナビリティ基本方針は以下のとおりです。
(サステナビリティ基本方針)
SWCCグループは、信頼とイノベーションにより、「社会課題の解決」と「企業価値向上」を図り、サステナブルで豊かな未来社会を創ります。
・優れた技術とイノベーションを通じ、お客様へ高い品質の製品・サービスを提供します。
・クリーンでグリーンなエネルギーの普及を図り、地球環境の保全に努めます。
・「共感」「共存」「共栄」の精神で、地域やバリューチェーンとのつながりを大切にします。
・個性や多様性を活かした働き方を推し進め、エンゲージメントの向上を図ります。
・役職員の人間性と倫理観を高め、良き企業文化を醸成します。
ロ)マテリアリティの特定
当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」に基づき「マテリアリティ(重要課題)」を特定し、サステナブル経営に向けた取り組みを加速させるための施策を展開しております。
「マテリアリティ」は、4つのステップを踏まえ、当社とステークホルダーの双方に影響の大きい社会課題を抽出し優先課題を特定したもので、技術、環境、地域、人、ガバナンスによる5つのテーマがあり、それぞれの行動方針を以下のとおり定めております。
また行動方針に基づき評価指標を設定し、指標ごとに中期および単年度目標を掲げ、目標達成に向けPDCAを回しながら取り組んでおります。2022年度には16の指標を設定し、中期の目標年度は2025年または2026年としております。
②気候変動に関する戦略
当社グループは、事業インパクトについて、事業セグメントごとに「1.5℃シナリオ(脱炭素社会実現シナリオ)」と「4℃シナリオ(温暖化進展シナリオ)」の2つのシナリオを策定し、グループの環境統括部門、対象事業のセグメント長および外部専門家からなるワーキンググループを設置し、シナリオ分析を実施したうえで、主要セグメントにおけるリスクおよび機会の特定ならびに今後の対応の策定を行っております。
また、気候変動について、これまでの実績を踏まえ2025年度および2030年度CO₂排出削減目標を見直すとともに再エネ導入率についても意欲的な目標を掲げ、これを推進するグリーンエナジープロジェクトのもと、目標達成に向けて国内外の製造拠点におけるオンサイト型自家消費太陽光発電サービス(PPAモデル)の導入推進や非化石由来のエネルギー調達促進、新技術による高効率・省エネ設備の導入など各種施策を推進しております。
※シナリオ分析および主要セグメントにおけるリスク・機会の詳細はこちらをご覧ください。
https://www.swcc.co.jp/jpn/news/images/220525B_PRESS_RELEASE.pdf
③人的資本戦略
当社グループでは、SWCCパーパスを推進力に経営戦略と人事戦略が連動して、持続的に従業員エンゲージメントを向上させていくことが企業価値創造の源泉であると認識しております。そのような認識のもと、当社グループは「マテリアリティ」の1つとして「人(ひとが輝く)」を設定しており、全従業員が事業環境の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決していくための様々なアイデアを出し合う「変化」と「挑戦」に満ちた企業風土を醸成するとともに、社員の成長が当社グループの成長につながる仕組みづくりを推進しております。
当社グループは、「マテリアリティ」における3つの行動指針に従い、以下のような取り組みを行っております。
イ)多様な人材活用の促進(Diversity & Inclusion)
多様な考え方や経験、働き方を受入れ、組織運営に活かしていくダイバーシティ経営が不可欠であり、年齢、性別、国籍を問わず能力を十分に発揮していくための機会と制度を整えることが必要であると考えております。
2021年4月には「女性活躍推進プロジェクト」を発足し、女性のキャリア形成の支援および意識醸成と啓発活動を推進しており、管理職における女性比率を高めていくことを目標としています。2022年には、理工系分野に興味のある女子中高生らを対象に当社グループの職場見学会や女性エンジニアとの交流を行う「理工チャレンジ(リコチャレ)」にも参画しました。2023年4月からは同プロジェクトを「ダイバーシティ推進プロジェクト」へと進化させ、広くアンコンシャス・バイアスへの気づきを与える取り組みを推進しております。
ロ)みらいへの人材育成
人材育成につきましては、当社グループが求める人材像である「先見性とバランス感覚を備え、変革やリスクを恐れないチャレンジ精神を持ったリーダー」、「高度な専門知識・技術・独創性を持って社会的な課題を解決できるプロ人材」、「信頼を重んじ、公平さと高い倫理観を持って行動できる社会人」となるような人材を育成していくために以下の施策を行っております。
カテゴリ | テーマ | 施策 |
人材 | 外部からの刺激を受け、挑戦するためのマインドセットの実施 | ・サクセッションプラン(研修) ・異業種交流研修 ・各種セミナー・階層別研修 |
場の提供 | 多様な人材のアイデアを実現する場の提供 | ・社長直轄プロジェクト ・提案制度 ・SWCCグループ社内ベンチャー制度 ・技術報告会・改善活動発表会 |
時間 | 新たな価値創造に取り組む時間の確保 | ・シェアードサービス化の推進 ・SPS活動(改善・全体最適) ・どこでもワーク(テレワーク推進他) |
また、構造改革の推進や成長フェーズへの移行に際し、求められる人材スキルの変化に対応する人材を確保するため、以下のような人事制度を導入しております。
・必要な特定スキルを持つ即戦力人材、高度専門人材のいわゆる「ジョブ型採用」の強化
・適所適材配置の実現のため、ジョブチャレンジ制度・社内公募制度といった会社と従業員の要望をマッチングさせる制度の拡充
・挑戦する従業員の努力や成果がより適正に反映される処遇制度
ハ)エンゲージメントの向上(働きがいのある仕事・職場づくり)
当社グループでは、事業戦略を達成していくために必要な人的資本の維持向上を図るために、エンゲージメントの向上や心身の健康保持増進が重要であるとの認識のもと、社内の環境整備に力を入れております。当社グループが行っている社内環境整備は以下のとおりであります。
(エンゲージメントの向上に関する施策)
上記①および②に記載した各種施策に加えて、従業員の意識改革を図るため、2022年度に実施したストレスチェック結果などを活用し、課題のある職場に対して人事部門によるヒアリングやフォローアップを実施しております。また、あわせて課長職に対する教育研修により職場環境の改善の支援を進めています。さらに、CEOによるタウンホールミーティングにより経営の方針を従業員に伝えるとともに現場の意見集約を実施し、経営に反映するなどの対応を実施しております。
(健康保持増進に関する施策)
従業員の心身の健康保持増進は、健全かつ安定した優秀な人材確保による労働生産性の向上や、従業員の創造性の向上などによる企業の競争力の強化への寄与が期待できることから、2019年4月に「グループ健康経営宣言」を策定し、当社グループの抱える課題を踏まえて作成した健康経営戦略マップを活用し、着実に当社の健康課題の解決を図っております。また、グループ会社を含めた各社・各拠点全体および健康保険組合との連携のもとで健康経営を推進すべくグループ横断の組織として衛生分科会を立ち上げ、継続的なフォローを行っております。当事業年度に行った具体的な取り組みは以下のとおりです。
<具体的な取り組み(2022年度)>
1)健康増進の支援活動
・健康セミナー(生活習慣、ストレッチ運動等)
・健康保険組合による子宮頸がん検診補助の実施への移行
2)社内全面禁煙化の推進
・禁煙デーの実施
・安全衛生委員会による禁煙化施策の検討
・健康保険組合による禁煙外来補助の実施
(3)リスク管理
当社グループの全社的なリスクマネジメントに関しては、「リスクマネジメント委員会」を中心とするリスクマネジメント体制を整備しております。具体的には、グループCEOを委員長とし、当社の執行役員・フェロー全員を委員とするリスクマネジメント委員会にて、事業部門で実施したリスクの評価や対応策を議論のうえ、リスクマネジメント計画やリスク施策の進捗管理を実施し、取締役会に報告を行っております。また、リスク統括部門として経営管理部内にリスクマネジメント部署を設置し、規則・ガイドラインの制定、教育研修およびモニタリングの実施等、グループ全体のリスク管理を統括し、事業の継続発展のために不可欠な全社的なリスクマネジメント体制の強化を図っております。
さらに、事業部門や管理部門で定常的に発生するリスクへ迅速に対応するため、リスク事象が発生した場合に担当部門よりリスク統括部門へ迅速にリスク情報を提供する仕組みとなる「リスク一報制度」を導入し、緊急かつ重大な事象についてはリスクマネジメント委員や常勤監査等委員と情報共有し、対応を協議・検討しております。
なお、環境、社会、ガバナンス関連のリスクについては、サステナビリティ委員会の事務局であるサステナビリティ推進部とも連携・情報共有を図っております。サステナビリティ委員会は全社的な「リスク」と「機会」について対応方法を検討し、審議内容を定期的(年2回以上)に取締役会に報告します。
(4)指標及び目標
SWCCグループの5つのマテリアリティテーマのうち、「環境」(気候変動を含む)と「人」に関する取り組みにおける指標およびKPIは以下のとおりです。
〔環境〕「地球にやさしい」
<マテリアリティ指標およびKPI>
指標・KPI | 2022年度実績 | 2023年度計画 | 2025年度目標 | 2022年度所見と2023年度施策 |
CO₂排出量 Scope1+Scope2 | 2013年度比 37%減 | 2013年度比 37%減 | 2013年度比 45%減 | 2022年度は、事業再編、再エネ導入および省エネ施策の深耕により原単位あたりのエネルギー消費量は削減するも、活動量増加により排出量削減率は前年度並み。2023年度も同様の増加要因を見込むも高効率設備やさらなる再エネ導入を進める。 |
廃棄物の 最終処分率 | 2018年度比 75%減 | 2018年度比 80%減 | 2018年度比 見直し中 | 2022年度は、事業再編、活動量増加に伴い排出量は前年度比増加も、2025年度の目標値をすでに達成。2023年度も相模原事業所のリロケーションおよび活動量増加による排出量の増加は想定されるも、製品設計から廃棄までの環境配慮の取り組みを推し進める。 |
水使用量 | 2018年度比 9%増 | 2018年度比 10%減 | 2018年度比 20%減 | 2022年度は、調査精度向上により漏水箇所や不要な水使用の把握と対策を進めたものの、活動量、猛暑による冷却水使用量が増加した。2023年度は引き続き活動量の増加が見込まれるものの、工場の冷却水循環設備の導入効果により大幅な削減効果を見込む。 |
〔人〕「ひとが輝く」
<マテリアリティ指標およびKPI>
指標・KPI | 2022年度実績 | 2023年度計画 | 2026年度目標 | 2022年度所見と2023年度施策 |
管理職に占める 女性比率
女性比率 | 6%
2.8% | 6.5%
4% | 8%
10% | 2022年度は、女性管理職比率の増加を目指し、女性のキャリア形成支援および啓発活動を実施。2023年度は「女性活躍推進プロジェクト」に男性メンバーを加えて「ダイバーシティ推進プロジェクト」へと発展させ、女性に限らない育児休業等の取得促進やアンコンシャス・バイアスへの気づきを与える取り組みを進める。 |
指標・KPI | 2022年度実績 | 2023年度計画 | 2026年度目標 | 2022年度所見と2023年度施策 |
従業員1人あたり 年平均研修時間 | 2021年度比 1.4倍 | 2021年度比 1.5倍 | 2021年度比 4倍 | 2022年度は、階層別教育、品質に関する知識深耕タウンミーティング、30代、40代を対象としたSDセミナー、次世代経営候補者育成研修の実施。2023年度はこれらに加え、部門内スキルアップ勉強会の実施、360度サーベイ研修の実施、労働安全教育のための「ものづくりトレーニングセンター」での安全研修などで研修の充実を図る。 |
エンゲージメント スコア | 46.3 | 48 | 55以上 | 2022年度は、エンゲージメント教育の実施や健康経営推進により「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)ホワイト500」の認定を取得。2023年度は、安全衛生活動、多様な働き方の推進といった職場環境の改善やサンクスポイント導入など各種施策により働きがいを創出し、従業員エンゲージメントの向上を図る。 |
(注)1 2022年度実績については、当社および当社連結子会社であった昭和電線ケーブルシステム㈱を対象として計算しております。
2 上記指標・KPIのうち、「管理職に占める女性比率」は、当社における全管理職を対象とした女性の全管理職の割合を計算しております。また、「課長職以上に占める女性比率」は、当社における課長職以上の労働者を対象とした女性の課長職以上の労働者の割合を計算しております。なお、「課長職以上に占める女性比率」は、第1 企業の概況 5従業員の状況 (4)に記載しております「管理職に占める女性労働者の割合」と同じものを指しております。
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