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企業概要

   当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、情報産業をはじめとする市場の成長に積極的に寄与することで、社会に貢献しながら自らも成長していくことを目標とする企業集団であります。また、対象市場を活性化し、新しいプレーヤーの参加を喚起するため、事業者のインキュベーションを積極的に行います。対象市場全体にわたって事業基盤を構築することで、個別事業のリスクを減少しつつ全体の成長効率を向上するという経営方針のもと、常に最適な事業会社群の構成を目指してグループ形成に取り組みます。

(2)中長期的な会社の経営戦略

 市場全体をターゲットとする当社グループでは、既存の概念にとらわれず広い視点で収益チャンスを捉え、既存事業の成長に加え、新規事業を積極的に展開していくと共に、必要に応じて企業への戦略的投資や育成、M&Aに関しても積極的に活用し、事業を拡大していくことにより、グループの全体価値の向上を図ります。

(3)経営環境及び課題と対応

 当社グループがこれまで重点的に取り組んでまいりました情報産業市場(IT市場)は、社会における中長期的なデジタルトランスフォーメーションの動きを背景に成長を続け、新型コロナウイルス感染症蔓延によりその動きが一気に加速されたことなどにより、当社グループもここ数期間にわたり比較的順調に業績を伸ばすことができました。今後の経営環境につきましては、ウクライナ情勢長期化などを遠因としたインフレ傾向に伴うコストの増加、及びコロナ特需の終息などにより、足許においては一定程度のマイナス影響を受ける可能性があるものの、人口減少傾向下の日本社会におけるデジタルトランスフォーメーションは今後も継続・加速し、情報産業市場(IT市場)は全体としてプラス成長を続けていくものと認識しております。

 セグメント別の経営環境に対する認識と対応は、以下のとおりです。

① 出版事業

2023年の出版市場(紙+電子出版の合計。推定販売金額)の規模は1兆5,963億円、前年比2.1%減と2年連続のマイナス成長となりました。内訳は、紙の市場が同6.0%減、電子出版が同6.7%増。紙の出版は、書籍・雑誌ともにマイナス。電子出版は、電子コミックはプラスでしたがそれ以外は減少しました(公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所2024年1月公表)。

 一方、当社グループでは、最新のテクノロジーを中軸に、エデュケーション、ビジネス・カルチャー、パーソナルコンピューティング・デザインなど、将来にわたって需要が予想される質の高い実用コンテンツの制作、提供に特化しており、また、媒体も電子書籍やWebメディア、イベントなどのオンライン媒体において強いコンピタンスを有しております。

 上記のような厳しい経営環境ではありますが、今後共、デジタルトランスフォーメーションの潮流と親和性のある上記コンテンツ提供の継続や、コロナ禍で社会インフラとして定着した業務のオンライン化の加速などによって、当社グループの競争力維持・向上が可能であると考えております。

② コーポレートサービス事業

2023年の日本の総広告費は、通年で7兆3,167億円(前年比103.0%)となり、1947年の推定開始以降、前年に続き過去最高を更新しました。上半期は、新型コロナの5類感染症移行に伴うリアルイベント開催数増加や国内外の観光・旅行の活性化などにより回復が見られました。下半期は、夏から秋にかけての猛暑や中東問題などの影響を受けたものの、社会・経済活動の活発化に伴い「交通・レジャー」「外食・各種サービス」「飲料・嗜好品」を中心に広告需要が高まりました。進展する社会のデジタル化を背景に増加傾向が続くインターネット広告費や人流活発化に伴って増加した「イベント・展示・映像ほか」などのプロモーションメディア広告費が、広告市場全体の成長に寄与しました(㈱電通2024年2月公表)。

 このような背景から、当社グループとしては、進展する社会のデジタル化を背景に業種にこだわらず今後共広く活用の進むオンライン広告やWebマーケティングなど多様なデジタルマーケティングのサポートを内外のクライアントに幅広く提供することにより業容拡大の機会があると考えております。

③ ソフトウェア・ネットワーク事業

2022年の国内のモバイルコンテンツ市場は2兆7,861億円(対前年比99%)と前年比若干縮小し、中でもゲーム・ソーシャルゲーム等市場は対前年比91%となりました(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム2023年7月公表)。当社グループとしては、このような事業環境の中、デジタルコンテンツ、インターネットサービス及びITソリューションの企画・開発・運用・提供など多層多岐にわたる事業展開により、競争の厳しいソフトウェア市場において安定した成長を目指しています。

 また、新型コロナウイルス感染症蔓延による社会不安などで需要が拡大し、2026年には1,657億円規模(恋活マッチングサービスを含む。2021年比約2.2倍。㈱タップル2021年1月公表)と予測されているオンライン婚活サービス市場にも事業を展開するなど、社会ニーズにマッチした事業取組みによる成長機会の拡大にも取り組んでおります。

 今後共、社会のデジタル化進展を背景に、社会ニーズや個人の嗜好にマッチしたデジタルコンテンツなどの提供により、ビジネスチャンスの拡大の可能性が引き続きあると考えております。

④ 教育・人材事業

 当社グループが手掛けるIT人材向け研修を含む企業向け研修サービス市場は、人的資本情報開示義務化を背景とした教育投資意欲の高まりが加速する中で、2023年度(2024年3月期)ではコロナ禍収束に伴う対面型研修の回復と中堅・中小企業等の新規需要開拓が進むオンライン研修のハイブリッド展開により更に拡大し、前年度比2.4%増の5,500億円に拡大すると予測されております(㈱矢野経済研究所2023年10月公表)。

 また、当社グループが手掛ける医療関連人材紹介を含む業種・職種別人材ビジネス市場規模(5市場計)は、2023年度(2024年3月期)ではコロナ禍で一時的に高まったワクチン接種などの医療関連業務に携わる人材需要の消失により医療人材サービス市場は減少に転じることが見込まれるが、医療人材サービス市場以外の4市場は拡大を維持し、前年度比4.3%増の4兆2,688億円と予測されております(㈱矢野経済研究所2023年12月公表)。

 このような市場環境を背景に、当社グループは、引き続き、研修コンテンツの拡充や定額サービスの導入、紹介サービスの質の向上・拡充や他社との差別化、コロナ禍で定着したオンラインサービス提供などの対応によりコンピタンスを向上し、事業の成長に努めてまいります。

⑤ 投資運用事業

 当連結会計年度における世界の株式市場は、時価総額が大きい欧米市場において、インフレ鎮静化、利上げペース鈍化を背景に総じて堅調な値動きで推移いたしました。当社グループでは、従来より分散投資及び長期投資を行っており、運用量・株式配当収入の増加を主因に総じて安定収入の確保が実現出来たものと考えております。

(4)グループとして対処すべき課題と対応

 上記(3)記載のセグメントごとの経営環境に対する認識と対応に加え、当社グループは中長期にわたる今後の一層の成長のため、以下の4点を重点課題として取組んでまいります。

① 将来に向けた事業会社各社の成長基盤構築・整備

 当社グループは持株会社構造をとっており、上記のとおり各セグメントごとに事業会社が機動的に課題への対応を行うことができる体制を整備しています。全体の成長のため、各事業会社ごとに常に成長に向けて事業構造の最適化を図るよう促しており、現状は構築・整備速度が不十分で既存事業の一部劣化も見られ、一層の準備が必要と認識しております。

② 新規収益基盤の創出

 当社グループ内の保有事業の陳腐化のリスクに対応するため、当社グループでは常に新規収益基盤の創出に邁進しております。現状、創出レベルは不十分であり、今後、中長期的視点での創出の成果が必要と認識しております。

③ 事業会社経営人材の拡充と育成

 当社グループでは事業会社収益の拡大がグループの成長に繋がるため、事業会社のマネジメント人材の拡充と育成が重要だと考えております。このため継続的にマネジメント人材の発掘と育成に取り組んでいきたいと考えており、現状、成果が見られる事業会社もあるがより一層の拡充と育成が必要と認識しております。また、ミドルマネジメントレベル人材の育成にも取り組んでまいります。

④ 収益基盤の質の多様性による長期成長基盤の充実

 ウクライナ情勢の長期化、インフレ進行、金融環境の変化など、より多くの事業環境の不確実性などもふまえ、事業の多様性や投資収益の拡充など多様な質の収益基盤を持つことにより、より安定的な長期成長を実現したいと考えております。足許においては事業収益と運用収益のバランスが改善しております。

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