SCREENホールディングス 【東証プライム:7735】「電気機器」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであ
ります。
(1)企業理念
| 存在意義「人と技術をつなぎ、未来をひらく」に込めた思い 「人」は、社員だけでなく、すべてのステークホルダーの皆さまを広く包含しています。「技術」は、これまで培ってきた独自の技術を中心に、他社技術とも積極的に融合し進化を続けてきたSCREENグループの技術の全体を指しています。また、蓄積してきたノウハウも技術の一つと捉えています。これら人と人、技術と技術、さらには人と技術を接続し新たな価値を創造するとともに、創業以来積み重ねてきた有形・無形の財産を未来へと伝承することも「つなぐ」に込めています。「未来をひらく」には、社会課題の解決を通じて、持続可能な未来への扉を開くことと、社会の発展へ挑み、未来への道を切り拓くという2つの意味を込めています。 創業の精神である「思考展開」は、SCREENグループの創業155年歴史の中で人と技術を育み続ける礎、精神的支えとなった言葉として、将来にわたってもグループの存在意義の重要なベースを成します。 |
(2)経営大綱
経営大綱は、10年後のありたい姿とSCREEN Value(企業価値)を高めるための基本指針として2014年に策定し、中期経営計画ごとに改定を行ってきました。また2023年には、新中期経営計画策定に向け、改定を行っています。
今回の経営大綱は、企業理念をもとに10年後のありたい姿を「Be a Solution Creator -共に歩む人たちと、世界が求める存在に-」と定め、その実現に向けマテリアリティの解決とSCREEN Value(企業価値)を高めるための方針と戦略を策定したものです。
(3)経営方針、経営環境及び対処すべき課題
当社グループは「ソリューションクリエーター*」として事業を通じて社会課題を解決し、社会的価値と経済的価値を共に実現する共通価値(CSV)を創出することで、「SCREEN Value(企業価値)」をさらに高め、持続的な利益創出や株主還元などを推進してまいります。
*「ソリューションクリエーター」とは、経営大綱で定められた10年後のありたい姿として、ひたむきな探求心と柔軟な発想を持って社会課題に立ち向かい、社会の持続的な発展に寄与する技術、製品、サービスなどの「新しい価値(CSV)」を事業を通じて世界中のお客さまに提供する企業体および人を指します。
Ⅰ.中期経営計画「Value Up 2023」の達成状況
中期経営計画「Value Up 2023」(2021年3月期〜2024年3月期)の内容、および最終年度の達成状況は、次のとおりであります。
1.基本コンセプト
「ソリューションクリエーターとしての業界でのプレゼンス確立」
2.主たる取り組み成果
①イノベーションの創出と持続的成長サイクルによる企業価値向上
半導体市場の需要の増加に伴い、積極的に生産キャパシティの増強に取り組むなど、成長投資(設備投資、研究開発投資)は目標の1,506億円を上回る1,873億円を実施しました。その結果、グループ連結の売上高が大幅に拡大、ROICも良化し、企業価値は大きく向上しました。
その一方で、既存事業における新技術・新製品や新規事業の本格的な創出には課題を残しており、次期中期経営計画にて重点的に取り組んでまいります。
②収益性と効率性を追求し、利益に見合うキャッシュを創出
売上高が拡大したことで収益性が大幅に改善するとともに、効率性を追求し、ROIC経営を推し進めました。その結果、ゲンバKPI*の導入・浸透効果もあり、各事業において収益性・効率性が向上しました。また、ROICをベースに事業ポートフォリオの観点から主に事業構造改革を進めました。これにより4年間累計営業利益2,563億円に対して、4年間累計営業キャッシュ・フロー3,091億円と利益に見合うキャッシュを創出しました。
また、株式会社日本格付研究所の当社「長期発行体格付」についても、中期経営計画開始時点(2020年4月)のBBB+(見通し:安定的)から、2023年3月17日付でA(見通し:安定的)へ格上げとなり、2024年3月末時点においてもA(見通し:安定的)を維持しております。
*ゲンバKPI:ROICを分解し現場で管理できる形にした指標
③サステナブル企業に向けたESGの取り組み
持続可能な社会の実現と社会的価値の向上を目指す中期計画「Sustainable Value2023」を推進
E(環境) :気候変動に対する取り組みと環境経営の実現
S(社会) :働きがいのある職場の実現と社会的価値の創造
G(ガバナンス) :リスクに強いガバナンス体制と組織づくり
3.経済的価値の目標と実績
中期経営計画「Value Up 2023」における経済的価値の目標と2024年3月期実績は、以下のとおりとなります。
| 目標 (計画当初) | 目標 (2022年7月上方修正後) | 実績 (2024年3月期) |
売上高 | 最終年度4,000億円以上 | 最終年度5,000億円以上 | 5,049億円 |
営業利益率 | 最終年度15%以上 | 最終年度17%以上 | 18.6% |
ROE | 最終年度15%以上 | 最終年度20%以上 | 21.0% |
営業キャッ シュ・フロー | 4年間で累計1,200億円以上 | 4年間で累計2,400億円以上 | 962億円 (4年間で累計3,091億円) |
株主還元 | 2022年3月期以降 連結総還元性向30%以上 | 2022年3月期以降 連結総還元性向30%以上 | 連結総還元性向30.6% |
*上記5項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提としております。
4.社会的価値向上への取り組み実績
2024年3月期は、2030年3月期の温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標について、「1.5℃水準」に整合的な削減目標として「Science Based Targets イニシアチブ(SBTi)」からの認定を更新しました。
また、働き方改革や人財力強化、サプライチェーンを含めた安全で健康な職場作り、それらを維持・向上させる体制整備が評価され、「健康経営銘柄2024」に初選定されました。
詳細につきましては、「ESGに重点をおいたサステナブル経営の推進」(p.17)をご覧ください。
Ⅱ.中期経営計画「Value Up Further 2026」
次期中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期〜2027年3月期)の内容は、次のとおりであります。
1.基本コンセプト
「ソリューションクリエーターとして一人ひとりの成長と競争力の強化によりさらなるプレゼンス向上」
2.全体概要
次期中期経営計画「Value Up Further 2026」は、中期経営計画「Value Up 2023」で高めた成長性と収益性を維持しつつ、将来を見据えた成長投資を強化する「長期の成長を支える経営基盤を構築する3年間」と位置づけ、「事業成長戦略」と「経営基盤強化戦略」の両面から、「SCREEN Value」のさらなる向上を目指してまいります。
①基本戦略
a.事業成長戦略
・ポートフォリオ戦略:事業ポートフォリオ/製品ポートフォリオによるポートフォリオマネジメントの実施
・事業の成長戦略:業界でのプレゼンスを高め、企業価値向上を目指す
・イノベーションマネジメント:新技術・新製品の上市と100億円規模の新事業立ち上げ
・知的財産戦略:事業戦略・技術戦略に基づく知財ポートフォリオの構築
b.経営基盤強化戦略
・人財戦略:組織の活性化と個の成長を目指す
・財務戦略:事業成長を支える、リスク耐性のある財務基盤の構築
・情報戦略:情報セキュリティ強化、DX推進による生産性向上
・ファシリティ戦略:事業成長や研究開発を支えるファシリティの充実
c.共通戦略
・サステナビリティ戦略:バリューチェーン全体でのESG(環境・社会・企業統治)活動を展開
・ブランド戦略:グローバルブランドとしてのプレゼンス確立
3.財務/非財務目標
①財務目標
・売上高 | : | 3カ年累計 1.8兆円以上 |
・営業利益率 | : | 通算 19%以上 |
・ROIC | : | 15%以上 |
・株主還元方針 | : | 連結配当性向 30%以上 |
※成長投資の進捗度合いに応じて、機動的に自社株買いを実施
* 上記4項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提としております。
②非財務目標
a.従業員エンゲージメントスコア* : 好意的回答率 70%以上
*「企業が目指す姿や方向性を、従業員が理解・共感し、その達成に向けて自発的に貢献しようという意識」についての従業員サーベイ
b.GHG(温室効果ガス)排出削減:
・事業活動によるGHG排出(Scope1&2) | : | 70%以上削減(2019年3月期比) |
|
| ※排出総量 |
・販売製品によるGHG排出(Scope3) | : | 48%以上削減(2019年3月期比) |
|
| ※売上総利益原単位 |
(4)セグメント別の取り組み
中期経営計画「Value Up Further 2026」(2025年3月期~2027年3月期)の目標達成に向けた、セグメント別の取り組みは次のとおりです。
(半導体製造装置事業:SPE)
①セグメント戦略
・洗浄装置マーケットシェアの向上
・生産キャパシティの拡大
・事業基盤の強化
②3カ年累計目標
売上高 | 1兆5,000億円以上 |
営業利益率 | 23~25% |
市場前提 | WFE市場 年平均成長率+5.8%(2023年~2026年) |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
当社を取り巻く事業環境としては、2023年の半導体前工程製造装置市場(WFE)はパソコン、スマートフォンを中心とした消費財の需要減速や、データセンター向け投資の減少を受け、マイナス成長となりました。一方、2024年は緩やかに成長する見通しであり、特に2024年後半よりDRAM投資の回復が牽引すると想定しております。ファウンドリーやロジックメーカーでは、最先端向けの量産投資が始まり、加えてレガシー(成熟)ノードへの投資も中国を中心に活発に行われることが見込まれております。
このような環境の中、自動化工場S³-3と2023年1月に稼働したS³-4に、2024年1月より新工場S³-5を連結し、生産開始から出荷まで従来に増して効率の良い生産フローを実現いたしました。
今後も、工程短縮や自動化による生産性の向上を推進するとともに、開発体制の拡充によるマーケットシェアの向上に取り組み、2025年3月期におきましても、過去最高の売上達成を目指してまいります。
(グラフィックアーツ機器事業:GA)
①セグメント戦略
・POD装置販売の拡大
・リカーリングビジネスの拡大
・パッケージ印刷ビジネスの確立
②3カ年累計目標
売上高 | 1,500億円以上 |
営業利益率 | 6~9% |
市場前提 | デジタル印刷機市場 年平均成長率+3.3%(2023年~2026年) |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、米国を中心に多品種小ロットタイプのインクジェットデジタル印刷機であるPOD装置の需要が堅調であります。
このような環境下、PODを中核事業と置き、商業印刷およびパッケージ印刷へリソースの集中を図り、新製品をリリースするなど、POD装置の販売拡大に取り組んでおります。
今後も、POD装置群の拡充・拡販に注力するとともに、インク販売を中心とするリカーリングビジネスの一層の拡大により、安定的な利益を生み出してまいります。
(ディスプレー製造装置および成膜装置事業:FT)
①セグメント戦略
・ディスプレービジネスの収益性向上
・“塗工”技術強化と応用分野拡大
・製品製造の受託事業の拡大
②3カ年累計目標
売上高 | 1,000億円以上 |
営業利益率 | 3~5% |
市場前提 | FPD製造装置市場 年平均成長率+21%(2023年~2026年) |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、ディスプレー需要が回復しつつあり、2025年3月期はLCD向け売上を中心に通期黒字化が達成できる見込みであります。また、足元では、OLED向けの受注が上向いており、2026年3月期の売上に貢献する見込みであります。
今後も、ディスプレービジネスの収益性向上に注力するとともに、塗工技術強化と応用分野拡大の取り組みを強化してまいります。
(プリント基板関連機器事業:PE)
①セグメント戦略
・直接描画露光装置の業界プレゼンス向上
・直接描画アプリケーションの拡大探索
②3カ年累計目標
売上高 | 500億円以上 |
営業利益率 | 12~15% |
市場前提 | 基板向け直接描画装置市場 年平均成長率+0.6%(2023年~2026年) |
(注)上記項目の数値目標はオーガニック・グロースを前提
事業環境としては、プリント基板関連機器の需要が停滞しており、パッケージ基板向けの投資回復は2025年3月期後半以降を見込んでおります。
このような環境下、パッケージ基板やモジュール基板などの高精度基板に対応する直接描画装置「Ledia 8F」や、高精細なパッケージ基板向け直接描画装置「Ledia Qs(キューズ)」をリリースし、直接描画装置の業界プレゼンス向上を目指しております。
今後も、直接描画アプリケーションの拡大探索による直接描画装置の拡販に注力するとともに、堅調なポストセールス売上を維持しつつ、安定的な収益性の確保に取り組んでまいります。
上記における将来数値は、当社が現在入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を当社として約束する趣旨のものではありません。また、実際の業績などは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
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