企業RYODEN東証プライム:8084】「卸売業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

(1)戦略

 当社は、2050年に目指す姿として「100年企業として環境・安心・安全でサステナブルな社会の実現に貢献する」ことをビジョンとして掲げています。この理念とビジョンのもと、サステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置づけ、当事業年度に制定したサステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティを重視した経営を行い、事業活動を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

(2)ガバナンス

①総論

 当社が掲げるビジョン実現のために、取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」を設置しています。

 サステナビリティ委員会は、サステナビリティ課題への全社横断的な推進組織と位置づけ、サステナビリティ経営の基本方針の検証、アクションプランの進捗レビューなどを行い、サステナビリティ課題のプラスの事象(収益機会)の戦略の検証と気候変動リスクのマイナスの事象を管理します。

 ②サステナビリティ委員会の取り組み

 当社は当事業年度、サステナビリティ委員会において以下の内容の協議等を行い、取締役会へ報告しました。

 a.サステナビリティ課題とその優先度、担当部門の整理

  b.サステナビリティ経営推進のための体制

    c.活動報告

  d.社会貢献活動の基本方針制定にあたっての意見交換


(3)リスク管理

 ①総論

 サステナビリティ委員会は、重大な影響を及ぼす気候関連リスク及び機会を特定・評価、対応を審議し、委員長(取締役社長)を通じて取締役会へ報告します。取締役会では、気候関連リスク及び機会への対応の承認を行い、サステナビリティ委員会への指示・監督を行います。

 ②気候関連リスクの管理プロセス

 当社では、サステナビリティ委員会が気候関連リスクを監督しており、その下部組織として設置するワーキンググループが気候関連のリスクを管理します。

 当社グループの気候関連リスクは、自社及び国内外のサプライチェーンに影響が及ぶため、各部門・支社・グループ会社と連携したリスク管理が重要であると考えています。そのため、サステナビリティ委員会の下部組織のワーキンググループが各部門・支社・グループ会社に対して、サプライチェーンまで含めた気候関連のリスク管理の指示・監督を行い、サステナビリティ委員会を通じてリスク管理に関する活動状況を取締役会に報告し、指示・監督を受けます。

 取り扱う気候関連リスクの管理項目は、CO2排出や気候変動に伴う物理的なリスクとなる災害、規制の変更、新たな規制、市場の変化やレピュテーションに関するリスクなどが挙げられます。

 これらの対応に必要な気候変動に対する戦略や事業計画及び年度予算、目標・実績等についてはサステナビリティ委員会で審議し、取締役会に報告し、審議、監督を受けます。

(4)リスクと機会

 ①リスク

No

カテゴリー

期間

影響度

発生可能性

リスクの内容と顕在化した場合の影響

リスクへの

対応策

1

現在の規制

中期

日本国内において「地球温暖化対策のための税」の強化により、化石燃料に伴うCO2排出量当たりの課税が増加し、仕入先メーカーにおける管理コストが増加することが見込まれます。増加した管理コストが製品価格に上乗せされることで製品価格が上がり、当社での販売数が減少して売上高が減少するリスクが考えられます。

当社においては基幹中核事業における生産性の向上に努めるとともに、仕入先を含むサプライチェーン全体のGHG排出量を算定・可視化できる協業先の㈱ゼロボードのクラウドサービスの提供を拡大し、脱炭素エコシステムの実現を支援してまいります。

2

新たな規制

中期

気候変動対策のため炭素税が導入されると仕入先メーカーの製造現場において燃料・電力消費に対する課税が追加となり、管理コストの増加が見込まれます。増加した管理コストが製品価格に上乗せされることで製品価格が上がり、当社での販売数が減少して売上高が減少するリスクが考えられます。

特に生産時に大量のエネルギーを消費する半導体デバイスでは影響が大きくなることが予想されます。

上記と同様、脱炭素エコシステムの実現を支援するほか、事業領域をまたいで生産効率化のためのFAシステムの導入を提案するなどし仕入先メーカーにおけるGHG排出量の削減を推進し、炭素税等の管理コストの影響緩和に努めます。

3

技術

中期

やや高

高効率冷熱ビルシステムや生産効率化のためのFAシステムなど、顧客の省エネを推進して低炭素社会の実現に貢献できる商品・サービスの提供が事業を支えしており、また仕入先メーカーにおいて更なる省エネ性・生産性の向上を追求するための技術開発を進めています。

しかしながら、低炭素社会への移行が急激に進み、この急激な変化に対応する先進技術の開発が遅れた場合、低炭素型商品・サービスの販売機会を喪失するリスクがあります。

技術リスクを管理するため、事業部と連携してサステナビリティ委員会が各事業において低炭素社会に向けて必要とされる技術水準の動向をモニタリングし、必要に応じてサプライヤーへの情報提供等を行います。

4

市場

長期

気候変動対策が重視されると市場における価値観に変化が生じ、低炭素・脱炭素に貢献できる商品・サービスの提供が求められてきます。

このような市場の変化の中、当社が取り扱う製品・サービスにおいて技術面で低炭素・脱炭素への対応が難しいものは市場から敬遠され、販売量が低下して売上が減少するリスクがあります。

各事業セグメントで「B for B to C」を意識し、社会動向や消費者意識の変化などをしっかりと把握した上で当社の顧客への提案につなげます。

5

評判

短期

やや高

当社は、低炭素・脱炭素社会の実現に密接な関係をもつエレクトロニクス関係の商品・サービスを扱っている企業として顧客におけるGHG排出量の削減など低炭素・脱炭素社会の実現への貢献が期待されています。その中で低炭素・脱炭素へ貢献できる商品・サービスの提供が滞った場合、顧客からの期待に応えられなくなり当社の社会的評価にも影響を与え顧客が離れてしまうリスクがあります。

仕入先メーカーと協働し低炭素・脱炭素に貢献する製品・サービスを提供するとともに当社オリジナルの脱炭素化を進めるエネルギー統合監視・制御システム:Remces(レムセス)のブランド化などにより当社の姿勢を示し、当社のブランド価値の変革に取り組みます。

6

緊急性の高い物理的リスク

中期

気候変動に起因する自然災害等により仕入先メーカーにおいて製造工場が被災し、生産活動や交通インフラが停止した場合、仕入先メーカーからの製品の供給が滞り、当社における販売活動が停滞して売上が減少するリスクがあります。また当社の在庫を保管する倉庫が被災した場合、販売機会の喪失につながる可能性があります。

BCPの策定、顧客や仕入先などのサプライチェーン全体での供給不足に対応するためのBCP在庫を確保します。

②機会

No

期間

影響度

可能性

内  容

機会を実現するための戦略

1

短期

やや高

非常に高い

気候変動に伴い、夏季の気温上昇や冬期の極端な低温化が予想されています。

そのため、空調機器の需要が高まる可能性があります。当社においては冷熱ビルシステム事業でオフィスや生産現場、物流工程など、様々な現場に向けて各種設備機器から空調、クリーンルームなどのトータルソリューションを提供しており、当該事業の売上伸長が見込まれます。これにより、顧客において気候変動による気温上昇への対応ができるとともに、省エネ性能の向上によるエネルギー効率化及びそれに伴うCO2排出量抑制を実現できます。

冷熱ビルシステムにおいて省エネ性能に優れた空調機器の販売を拡するほか、協業先であるクボタ空調㈱の暑熱対策となるAREA(エリア)空調の日本全国での販売網・サービス網を整備するとともに、当社オリジナルの脱炭素化を進めるエネルギー等の統合監視・制御システム:Remces(レムセス)の販売を推進していきます。

2

中期

非常に高い

製造業の顧客において生産工程のCO2排出量抑制のニーズが今後ますます高まっていくことが予想されます。当社のFAシステム事業は、製造業のスマート化、高効率化を実現する付加価値の高いソリューションを提供しており、顧客の生産効率・エネルギー効率の改善及びそれに伴うCO2排出量抑制に寄与することができるため、製品の需要が増加し、売上伸長が期待できます。

製造業DXを切り口に加工・組立・搬送・検査を一基通貫で提案するトータルソリューションを強化して提供していきます。

3

短期

非常に高い

異常気象や風水害などの発生により露地もの野菜の生産が減少した場合、気候変動の影響を受けにくい植物工場野菜のニーズが高まり、事業拡大と売上伸長が期待できます。

当社は植物工場の施工だけでなく、子会社ブロックファームが保有する次世代型植物工場を自ら運営することで得られたナレッジによりサービス・データを提供する事業に変革し、これまでにない価値を顧客に提供してまいります。植物工場野菜の単一生産から多品種変量生産の実現、また露地ものとは異なる野菜の高付加価値化(長鮮度・栄養価など)を提供することで顧客の多様なニーズにお応えしていきます。

4

中期

やや高

高い

地球温暖化がこれまでと同じかまたはそれ以上のペースで進んだ場合、これまで生産できていた露地もの野菜が生育不良、もしくは生産できず、気象条件に左右されない野菜を生産できる植物工場の施工を求める需要が高まり、当社のスマートアグリ事業での事業の拡大が期待できます。

当社は植物工場ビジネスのトップランナーとして子会社ブロックファームで植物工場野菜を生産、販売するだけでなく、自ら運営することで得られたナレッジにより様々な規模の植物工場の施工、最適な生育環境などのデータを提供し多様化するニーズにお応えしていきます。

5

長期

高い

高い

当社のエレクトロニクス事業では車載市場に半導体・電子部品を販売しており、自動車の脱炭素化に向けた動きが加速するなかで環境負荷低減につながる半導体の需要が増えることが期待できます。具体的には車両の電動化が進むことでパワー半導体・制御部品などの売上の伸長が期待できます。

環境負荷低減につながる半導体や電子部品の商材を増やすとともに、その提案・販売を拡大していきます。

6

中期

気候変動に伴い、食品工場等の衛生管理対象となる害虫・害獣の数や種類が変化していくことが予想され、ペストコントロール※向けのデータ提供サービス:Pescle(ペスクル)の事業拡大と売上伸長が期待できます。

※ペストコントロール:人に有害な生物の活動を人の生活を害さないレベルまで制御する技術。

Pescleについては、ネズミ検知サービスとして当事業年度からリリースしましたが、今後、様々なアプリケーションの開発を進め、ユニークなポジションでブランドを確立し、食をはじめとする世の中の安心・安全に貢献していきます。

(5)人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

① 多様性の確保についての考え方、目標、状況

 a. 考え方

 当社は、異なる経験・技能・国籍・性別等を反映した多様な視点や価値観が存在することが持続的な成長のための強みになると考え、ダイバーシテイ&インクルージョン(D&I)を推進しています。多様性を確保しながら、社員一人ひとりの視点や価値観を包摂し、その強みを十分に発揮できる環境づくりとしてスキルに着目した人材育成方針や人事制度等を整備し、多様な人材の中核人材(上級職)への登用も推進しています。

※当社では、マネージャー(管理職)やスペシャリスト(専門職)など事業上のさまざまな業務で中核を担い、高い職務遂行能力を持ち、常に高い成果を発揮し当社を牽引することが期待される人材層を当社における中核人材:上級職と定義しています。

b. 女性中核人材(上級職)登用の目標と状況

 当社は、従来理工系の学生を中心として総合職を採用してきたことから男性の割合が高く、2023年4月時点の上級職357名のうち女性は8名(2%)にとどまっています。

 中核人材(上級職)候補となる女性社員は2023年4月時点で180名であり、当社はこの人材を中核人材(上級職)へと育成することが急務と捉え、施策を検討しています。現在は、研修制度の再構築や仕事の質の向上、環境整備等を進め、中核人材(上級職)候補となる女性社員を増やし、将来の女性中核人材(上級職)の数を現在の8名(2%)から2030年度には20名程度(6%程度)まで拡大させていきたいと考えています。

 新卒の採用活動では新卒総合職のうち3割を女性とすることを目標としています。キャリア採用(中途採用)では性別にはとらわれず専門分野の経験者や即戦力としての人材を求めておりますので、女性の採用数の目標は定めておりません。

c. キャリア採用(中途採用)の目標と状況

 当社は、多様性を確保するためにキャリア採用(中途採用)についても積極的に取組んでいます。当社の中核人材(上級職)クラスのキャリア採用(中途採用)も年々増やしており、今後も毎年20名程度を目標に採用活動を行っていきます。

d. 障がい者雇用、外国人雇用について

ⅰ 障がい者雇用

 障がい者の雇用も積極的に取組んでいます。当社でやりがいを感じ働き続けられるよう、応募者一人ひとりが求める業務内容や働き方を傾聴し、その希望を満たす業務が当社で用意できるかを丁寧に検証しながら進めていることから目標は定めておりませんが、継続的に採用活動を続け、2023年には1名採用致しました。

ⅱ 外国人雇用

 外国人雇用についても継続して取り組んでおり、当事業年度には2名採用し、今後も1名程度を目標に採用していきます。

 海外子会社においてはマネジメント層の雇用を現地採用社員に切替えており、2023年4月時点で管理職70名のうち44名が現地採用の外国人です。今後もこの人数は増やしていきたいと考えています。

② 人材育成方針

 中期経営計画「ICHIGAN 2024」では、あるべき姿 (5年後のRYODEN)として「代理店、商社の枠を超えた事業創出会社として新たな価値を生み出し続ける」ことを掲げ、戦略の柱のひとつとして事業推進基盤の強化(グローバル人材の育成、グループガバナンスの強化)に取り組んでいます。

 当社では、グローバル人材を「自ら考え、自ら行動する、成長意欲の高い自律型人材」と定義し、グローバル人材が育つ環境整備を行うため、2020年度に人材育成委員会を発足。現在は、事業や部門ごとのスペシャリスト育成に向けたキャリア体系(キャリア開発研修、キャリアルート)を設計中であり、年功や性別等にとらわれない高いスキルや専門性をもった社員がより活躍できる仕組づくりを進め、多様性の確保に取り組んでいます。

③ 環境整備方針

  a. 人事制度

2018年以降、入社時は総合職・事務職に区分して採用するものの、入社後一定期間が経過し、基準を満たした社員は総合職・事務職の垣根を取り払い、同一資格者として一人ひとりが職域の拡大と職務の深化に挑戦できる人事制度を採用しています。また2022 年以降は、「社員の人格と個性を尊重し、専門性及び改革心と創造力の高い人材を育成する」という経営理念に基づき、当社において中核人材と位置付けられる階層(上級職)のあり方も再検討し、個人が担う役割や職務に応じた現在価値基準を明文化したうえで、社員の能力発揮度・職務遂行度が評価される制度としています。

  b. 組織開発

 人材育成方針や人事制度の整備により、個々の人材のスキルアップを目指すと共に、組織に対しても着目し、組織の最小単位である「課」を1つのチームとして様々な職種や年齢、家族状況等のあるチームメンバー同士が率直に悩みや意見を言い合うなど相互理解を深めることでチーム内の関係の質を高め、より能動的にチームの課題を発掘しアイデアを出し合えるといった思考の質等を高めるサイクルを自律的に回していくプログラムを実施中です。こうした取組により、自律型の人材や組織づくりに繋げると共に、多様性を高め、業務変革による業務負荷の軽減等にも繋げたいと考えています。

  c. ワークライフバランス

 長時間労働の削減については、毎月の労働時間状況を安全衛生委員会など労使で共有し、一定の基準を超えた社員に対する産業医面談、直属上司と管理部門との面談を実施することで、業務体制見直し等も含めた労働時間削減と健康確保措置を行っています。

 有給休暇取得については、2024年度までに年次有給休暇の取得率65%を目標に取り組んでおり、労使協定に基づく計画年休の設定や連休時の取得の呼びかけ等により、当事業年度では79%と大きく目標を達成しました。

 子育て支援については、就業支援として子供が小学校入学までの育児短時間勤務制度、子供が小学校3年までのフレックスタイム勤務制度等があります。金銭的支援としては、産前産後休業は有給、育児休業中においても約 50%の賞与を支給しており、子供に対する家族手当の増額、託児所利用や不妊治療に対する費用補助等も行っています。こうした結果、育児休業取得率としては、当事業年度は女性100%・男性26.1%となりました。介護支援についても、短時間勤務制度、フレックスタイム勤務制度、失効した年次有給休暇を積立てて介護に使用できる制度等があります。また当事業年度においては、女性上級職の確保に向けた取組として「2030年度女性上級職数を20名程度に」をテーマとして、女性社員による座談会を実施しました。座談会では、①育児休業中のキャリアロスの可能性も考慮した早期キャリア開発を目的とする研修の実施、②育児休業中の復職に向けた面談の充実化(業務体制やシステム変更等の情報提供、本人ニーズと職務とのマッチング)、③時短勤務者の業務フォロー体制整備、④育児・介護に係る公的支援や両立策等の外部セミナーの紹介、⑤管理職研修による個々人に合わせたマネジメント・コーチングができるスキル強化等を望む提案がなされ、2023年度中の実施に向けて準備しております。

  d. 人材への投資額

2023年度の人材への投資額は、研修及び研修制度構築に係る費用として年間94百万円を予定しています。

(6)指標及び目標

 当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

当事業年度の実績

管理職に占める女性管理職の割合

2030年度までに2%

0.6%

中核人材に占める女性上級職の割合

2030年度までに6%程度

2%

男性労働者の育児休業取得率

2030年度までに40%

26.1%

労働者の男女の賃金の差異

2030年度までに74%

62.7%

(注)連結(1,242名)の大部分を占めるのは提出会社単体(1,008名)であり、また人事・雇用制度が異なるため、実績の数値は提出会社単体での開示としています。

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