PCIホールディングス 【東証スタンダード:3918】「情報・通信業」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、企業理念として
「我々は、お客様の満足を通じて全社員の幸せを追求し、そして社会の発展に貢献します。」
を掲げ、以下の行動方針のもと、事業を展開しております。
(行動方針)
・安定した事業成長を実現します
・ユーザーに適したソリューションを提供します
・応援して頂ける企業を目指します
・積極的(Positively)に変化(Change)を求め、革新(Innovate)します
・全てのステークホルダーに満足して頂ける企業を目指します
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益の「質」向上の視点での「EBITDAマージン」、資本効率性の視点での「ROE(自己資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)」、市場評価の視点での「PBR(株価純資産倍率)」を重視いたします。
資本コストを意識した経営として、今後継続して資本コストを上回る資本収益性の達成を重視し、2026年9月期においてROE15%以上を目標としております。また株価を意識した経営として、2026年9月期においてはPBR2倍以上を目標としております。PBRは「ROE×PER(株価収益率)」により算出されます。ROE向上のために、収益の「質」向上への取組み及び適切な資本政策・株主還元を実施いたします。PERについては、株主・投資家に当社の事業内容や成長性を理解していただくようIR活動を充実させることで改善を図ってまいります。
(3) 経営環境
① 企業構造
当社グループは、純粋持株会社である当社を中心に、ソフトウェア開発、産業用PC設計・製造、自社ソリューションの開発・保守、半導体の設計・テスト等の情報サービス事業を営む連結子会社6社(うち、孫会社3社)を傘下に構成されております。各事業会社それぞれの文化と独自性を尊重しながら、グループ全体のシナジー効果を発揮し、市場環境の変化や多様化する社会ニーズに機動的かつ柔軟に対応することで、更なる企業価値の向上を図っております。
② 市場環境
新型コロナウイルス感染症の分類が2類から5類へ移行したことにより、経済活動の正常化が見込まれる一方で、地政学リスクの長期化・多面化、エネルギー資源や原材料の価格高騰及び円安による物価の上昇等による不透明な状況は継続するものと推定しております。
当社グループが属する情報サービス産業におきましては、当連結会計年度に引き続き社会全体で進展しているデジタル化やDXの推進加速を背景にIT投資需要は堅調に推移するものと見込んでおります。IT投資需要の拡大の一方で、IT人材は不足する見通しであり、特にAIやIoT等の先端技術を用いたITサービスを担う人材の不足が顕著となりつつあります。
③ 内部環境:当社グループの強み
イ.技術力
・組込みソフトウェア開発、組込PCの設計・製造・保守、半導体の設計・テスト、AI画像解析をはじめとする豊富な実績のある技術
ロ.リレーションシップ
・自動車関連業界や半導体業界をはじめとした強固な顧客基盤
・プラットフォーマー、パッケージベンダー、ソフトウェアハウス、エレクトロニクス商社等との幅広いパートナーネットワーク
ハ.迅速性・高付加価値性
・クラウドプラットフォームを活用した迅速なシステムインテグレーション
・AI画像解析技術やクラウド技術を応用した自社商材
(4) 中長期的な経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2023年9月期を最終事業年度とする中期経営計画「PCI-VISION2023」に掲げた主要施策の実施状況の振り返りを行い、今後の対処すべき課題として「PCIブランドの確立」・「事業ポートフォリオの展開」・「資本効率の改善」等を認識いたしました。この振り返りを踏まえ、長期ビジョン及び新中期経営計画「PCI-VISION2026」を策定いたしました。
① 長期ビジョン「PCI X-formation 2032(略称:PX2032)」の概要
(長期ビジョンステートメント)
「ITの可能性を探求し続け、安心・安全・豊かな社会(=サステナブルな社会)の実現に貢献するとともに常に変化に対応し成長する企業でありたい」
当社グループは、2032年に向けて地球環境や社会が大きく変化する中で、グループの総力を結集し、ITの力で安心・安全・豊かな社会の実現を目指します。
(ありたい姿)
・企業ブランドの確立
当社グループは、今後の事業展開において、モビリティ関連のソフトウェア開発、クラウドサービスを組み合わせたサービスインテグレーション、環境に配慮したハードウェアの開発という3つの領域に注力します。また、人的資本経営の一環として人財教育にもさらに力を入れてまいります。これらの注力領域で高い評価を得られ、「モビリティのPCI」「教育のPCI」等と言われるように「ブランド」を高めていくことが当社グループの目指すところです。
・総合技術コンサルティング企業への進化
様々な情報技術(ハードウェア、ソフトウェア、半導体、先進技術)に精通した「総合技術コンサルティング企業」として、その技術を必要とする産業セクターへのリレーションシップマネジメントを強化し、高い価値のITソリューションを提供することで、社会をワクワクさせる企業集団となることが当社グループのありたい姿です。
(経営目標)
・PX2032においては500~700億円の売上高を目指すことにより、企業ブランドの確立を目指します
・「質」を伴った成長を実現するためROEは15%程度を持続的に維持する経営を行います
② 中期経営計画「PCI-VISION2026」の概要
当社グループは、2015年8月の上場後、堅調なオーガニックグロースを実現するとともにM&Aによる企業規模の拡大を図ってまいりました。売上高については、これまで順調に推移していますが、利益率や資本効率性については十分とは言い難い状況であると認識しております。本中期経営計画期間は、第二の創業期のスタート期間と位置付け、更なる成長のための「基盤作り」に重点を置き、収益の「質」向上に向けた積極的な戦略投資を実行してまいります。
なお、本中期経営計画を進めるにあたり、2024年9月期より事業セグメントを変更し、以下の3つを設定しております。
エンジニアリング事業 :幅広い産業分野における顧客企業の要求・仕様を実現する情報技術サービス
プロダクト/デバイス事業:特定産業でのハードウェア製品・デバイスの設計・開発・販売
ICTソリューション事業:幅広い分野でのICTを活用したコンサルティング・サービス等による課題解決
(基本コンセプト)
・パーパス経営の実践
・高収益体質へのシフト
・人的資本経営の高度化
・サステナブル経営の深化
(基本戦略)
イ.競争力の強化とコストマネジメントの徹底
IT業界は、技術や事業が短期に変動する環境にあります。この中で成長を目指すには先を見据えた技術力の確保と事業の目利きが必要になります。この本中期経営計画期間では、技術はもとよりお客様とのリレーションを深化させ、当社が強みを持つ産業分野や技術分野をより強化し、お客様から「この分野・技術はPCIだよね」との評価を頂けることを目指し、競争力を高めてまいります。
また、DXによる省力化や効率化の推進、調達業務の最適化、間接機能のスリム化による販管費の削減等、コストマネジメントの徹底を図ります。
・エンジニアリング事業(安定コア事業)
当社の収益の屋台骨であるため持続的な利益の創出を第一に考え、市場変化への対応力並びにそれを踏まえた技術対応力を磨き、“ゆらぎ”の少ない堅実な成長を目指す
<競争力強化に向けた取組み項目>
・事業分野の選択と集中を図り、収益力の高い分野への人財シフト
・未来につながる技術力の確保(育成並びに先端的なスタートアップ企業との協業)
・集中する事業・技術分野への技術者の知識・スキルの再構成
・プロダクト/デバイス事業(安定コア事業)
技術力を磨き続けることによって医療機器メーカーや半導体メーカーをはじめとする優良な顧客を基盤として持続的な成長を実現する。また、“モノ”にまつわるサービスを強化することにより包括的な価値提供による差別化・高付加価値化を図る
<競争力強化に向けた取組み項目>
・製品・サービスの組み合わせにより、顧客のバリューチェーンの複数の工程をカバーする包括的な価値を提供
・製品開発能力や量産能力を活かしたIoT・Edge-AI分野等の新製品を開発・販売
・ICTソリューション事業(成長ドライバー事業)
AI関連やクラウド関連にフォーカスし、積極的に経営資源を投入し、迅速に高付加価値のソリューションを提供する
<競争力強化に向けた取組み項目>
・強みを有するサービスにフォーカスし、技術者リソースを集中投入
・顧客に提供したソリューションをパッケージ化・製品化し、同様ニーズを有する顧客に拡販
・顧客接点を通じたニーズの拡がりを常に捕捉し続け、新たなサービス領域の探索、必要技術の習得の積極化
ロ.人的資本投資の強化・人的資本経営の再構築
競争力を強化するには人的資本の最適化が必須です。人的資本の最適化とは、競争力のある領域を見据えて人財の能力や特性に応じた適切な配置を行うことです。スキル高度化教育、また、リスキリング教育等の教育投資はもとより、人事制度の高度化、企業文化の醸成、多様性・公平性・包摂性のある組織づくりなどへの投資を活性化させます。これにより、社員のエンゲージメントを高め、生産性向上やイノベーション創出を図ります。
ハ.サステナブルな成長
脱炭素社会を推進する各種活動を推し進めると共に、包摂性を持つ企業を目指し多様な人財による経営の実現を推進します。(ジェンダーを含めた様々な格差の是正、社会全体でのエネルギー効率改善等)
ニ.資本効率の極大化
PL/BS/CFの財務3表のバランスを念頭に置き、資本効率(ROE・ROIC)の極大化に向けた道筋を付けます。
(連結経営目標)
中期経営計画「PCI-VISION2026」における開始事業年度及び最終事業年度の経営目標は以下の通りです。
項目 | 2024年9月期(開始事業年度) 計画 | ⇒ | 2026年9月期(最終事業年度) 目標 |
連結売上高 | 26,300百万円 | 30,500百万円 | |
連結営業利益 | 1,510百万円 | 2,750百万円 | |
連結営業利益率 | 5.7% | 9.0% | |
EBITDA | 1,850百万円 | 3,050百万円 | |
EBITDAマージン ※2 | 7.0% | 10.0% | |
親会社株主に帰属する当期純利益 | 880百万円 | 1,500百万円 | |
総還元性向 | ≧60% | ≧50% | |
ROE ※3(自己資本利益率) | 10.1% | ≧15% | |
ROIC ※4(投下資本利益率) | 9.7% | ≧15% | |
PBR ※5(株価純資産倍率) | ― | ≧2倍 |
(注) 1.その達成を保証するものではありません。
2.EBITDAマージン=(連結営業利益+減価償却費+のれん償却費+その他償却費)÷連結売上高
3.ROE=親会社株主に帰属する当期純利益÷(期首・期末 連結自己資本の平均)×100
4.ROIC=税引後営業利益÷(期首・期末 有利子負債・連結純資産の平均)×100
5.PBR=株価÷1株当たり連結純資産
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