PALTAC 【東証プライム:8283】「卸売業」 へ投稿
企業概要
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、流通を通じ、持続可能な「人々の豊かで快適な生活」の実現を目指し、事業活動に取り組んでおります。その実現に向けては、環境・社会・経済の価値向上を一体で進めることが必要不可欠と考えております。当社はそのような考えから、SDGsをはじめとする社会全体のサステナビリティ課題と事業との関連性を踏まえ、優先的に取り組むべき課題をマテリアリティとして特定し、事業活動を通じてサプライチェーン全体の最適化・効率化を図ることで解決に挑戦しております。
(1)ガバナンス
当社では、気候変動への適切な対応や人的資本の向上といったサステナビリティ課題への対処に向けて、代表取締役社長の監督・指示のもと、全社横断的な取り組みを推進するサステナビリティプロジェクトにおいて、事業に影響を及ぼすリスク・機会の特定、及びそれらへの対応方針の立案を行っております。これらの結果は、プロジェクトの事務局を担うCSR推進本部が定期的に取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する管理・監督を行っております。
(2)リスク管理
当社では、経営目標の達成に向けて、事業遂行上に存在し得るリスク要因に適切に対応し、企業の社会的責任を果たすことを目的に「リスクマネジメント基本規則」を制定しております。リスク管理体制については、リスク管理の統括部署であるCSR推進本部が中心となり、経営層・各部門と連携し、気候変動や人的資本投資などサステナビリティの観点を含む事業運営に影響を及ぼすリスクの抽出・分析、影響度・発生可能性等を基準とした重要性の評価、及び対応方針の立案を行っております。これらのプロセスを経て特定した「重要なリスク」は、定期的に取締役会に報告され、取締役会において管理・監督を行い、中期経営計画の戦略に織り込んで対応を進めております。
(3)戦略並びに指標及び目標
①気候変動対応
イ.戦略
異なるシナリオ(2℃未満、4℃)における事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する自社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数のシナリオを参照し、2030年時点における気候変動の影響について分析を実施いたしました。
分析の結果、2℃未満シナリオでは、炭素税等の導入や気候変動対応への取り組み遅延による取引縮小等のリスクが高まる一方で、エシカル商材等の需要拡大が見込まれると認識いたしました。4℃シナリオでは、主なリスクとして自然災害による供給網への被害が想定されます。しかし、当社は平時より大規模災害等の様々なリスクを想定した実効性のあるBCPを策定しており、その一つとして、被災により物流センターが出荷不能に陥った場合でも、他のセンターから配送を補完できるバックアップ体制を整えております。そのため、2030年時点での自然災害による物理的リスクの影響は大きくないと考えております。
一方で、機会においては、気温上昇に伴う夏物商材や災害対策商材等の需要拡大が見込まれると認識いたしました。また、いずれのシナリオにおいてもコスト上昇圧力が強まることが見込まれますが、これはリスクである反面、当社が築き上げてきた「強み」であるローコストかつ高効率物流網を活かす機会でもあると考えております。当業界は、店舗における人手不足や配送ドライバー不足への対応など喫緊の課題に直面しており、気候変動以外を要因とするコスト上昇圧力も強まっております。このような環境下においては、「効率的な流通の仕組みの構築」が、持続的成長の実現を左右する重要課題と考え、中期経営計画「PALTAC VISION2024」に基づき、中間流通機能の強化及びステークホルダーとの連携・協働を通じて、サプライチェーン全体の最適化・効率化に取り組んでおります。
■リスクと機会
区 分 | 内 容 | 影響度 | |||
2℃未満 | 4℃ | ||||
リスク | 移行 | 政策・ 法規制 | ・炭素税等の導入によるコスト増加 ・配送業者のコスト増加による配送単価の上昇 | 中 | 小 |
評判 | ・気候変動対応への取り組み遅延による取引縮小 | 中 | 小 | ||
物理 | 慢性 | ・気温上昇による季節商材(冬物)等の需要減少 | 小 | 小 | |
・気象パターンの変化による原材料費の高騰 (仕入原価の上昇) | 小~中 | 小~中 | |||
急性 | ・異常気象の激甚化による供給網への被害(物的・人的) | 小 | 小 | ||
機 会 | 販売機会の 増加 | ・生活者のエシカル消費ニーズの拡大 ・災害対策商材の需要増加 | 小~中 | 小 | |
・気温上昇による季節商材(夏物)や熱ストレス対策商材 等の需要増加 | 小 | 小 | |||
相対的 競争力の上昇 | ・気候変動対策に伴うコスト上昇効果を最小限に抑える ローコスト物流網へのニーズ上昇 | 小~中 | 小 | ||
・安定供給を維持する物流基盤へのニーズ上昇 (BCP対策及び全国RDC物流網) | 小~中 | 小~中 |
事業/財務影響度の評価 大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
ロ.指標と目標
当社では、今世紀末までの気温上昇2℃未満実現に貢献するため、Scope1・2について「2030年度にCO2排出量2020年度比50%削減」「2050年度にCO2排出量実質ゼロ」の目標を設定しております。当社のScope1・2においては、物流センターの電力使用による排出が大半を占めておりますが、商品出荷を止めることはできないため、電力使用量を大幅に減らせないなか排出削減を実現する必要があり、再エネを「創る」「買う」施策を中心に目標達成に向けた取り組みを進めてまいります。具体的には、太陽光発電システムを設置可能な物流センターの屋上へ順次設置するとともに、環境証書の購入や再エネ電力プランへの切り替えによる再エネ電力の調達を計画しております。2024年3月期からは調達電力に占める再エネ比率の目標値を年度毎に設定し、着実な削減を進めてまいります。併せて、事務所・物流センターにおける節電など省エネ施策を徹底・拡充させ、コスト削減や職場環境の改善も狙った、より効果的に排出量を「減らす」取り組みも進めてまいります。
Scope3については、商品輸送に伴うCO2排出量(GHGプロトコル:カテゴリー4)の削減に向けて、配送効率化に向けた既存の取り組みを加速するとともに、お取引先様との連携・協働により取り組みの幅を拡大することで、事業活動を通じたCO2排出量の削減を進めてまいります。その他のカテゴリーにおいては、当社事業との関連度を考慮したうえで、CO2排出量の算定及び算定精度の向上に努めるとともに、削減可能性の調査・情報収集を行い、順次対応してまいります。
②人的資本・多様性
イ.戦略
当社では、「人財は成長の源泉である」という考えのもと、事業戦略の遂行に必要なスキル・マインドを兼ね備えた人財の確保、育成、定着を図るとともに、多様な人財一人ひとりの活躍を最大化できる組織の構築に取り組んでおります。
人財の確保においては、急速かつ多様に変化する経営環境のなか、着実に事業戦略を実行するため、デジタル技術などの専門スキルを有する人財や女性従業員の比率向上などに着目しつつ、新卒採用だけでなく中途採用も積極的に実施することで、多様な人財の確保に努めております。
人財の育成においては、従業員のステージに応じた研修やOJTを通じて、経営理念の浸透を図るとともに、主体性や自律性を高めることで、新たな発想を生み出し、変革に挑戦できる人財を育てていく考えです。なかでも、流通の課題解決に向けた営業・物流機能の強化を支える流通の新たな価値創造に不可欠であるデジタル技術の有効活用に向けて、拠点・部署を問わず社員同士が交流し、知識やノウハウ、課題等を共有しあえる社内コミュニティ・ポータルサイトを創設するなど、デジタルリテラシーの向上、連携・協働の促進を図っております。
これらの取り組みと並行して、社会の在り方の変化にあわせた柔軟な人事制度を導入し、従業員エンゲージメントの向上により協働・共創関係を深化させることで、人財の定着を図りつつ、多様な人財が最大限活躍できる組織を構築してまいります。人事制度については、既に育児・介護支援の充実や専門職コースの新設などを実施しておりますが、エンゲージメントの向上においては、現在スコアの測定に向けた準備を進めている段階です。今後、測定結果に基づいて目標の設定、施策の展開を進めてまいります。
ロ.指標と目標
当社は2024年3月期において、最終年度となる中期経営計画の実行に注力するとともに、その先の経営戦略を構築していく考えです。人財・組織戦略における指標と目標については、新たに描く中長期のビジョンに沿って改めて設定し、経営計画と併せてお知らせいたします。
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