KOKUSAI ELECTRIC 【東証プライム:6525】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)企業理念
当社グループは、ステークホルダーの皆様との対話をより一層深め、技術で未来を支えていく決意を込めた企業理念として「KOKUSAI ELECTRIC Way」を掲げております。
(2)経営方針
当社グループは、企業理念の実現に向け、半導体製造装置専業メーカーとして社会的責任を強く自覚し、事業活動とESGの取り組み(環境・社会課題の解決、ガバナンスの強化)の両側面から経済価値及び環境・社会価値を追求することにより、SDGsの達成に寄与するとともに、持続可能な社会の実現と当社グループの持続的な発展の両立をめざしてまいります。
(3)経営戦略
当社グループは、半導体製造プロセスの前工程における「成膜」工程に注力しており、バッチ成膜装置、トリートメント(膜質改善)装置で世界トップクラスのシェアを有しております。近年、半導体デバイス構造の微細化や構造の複雑化、三次元化によってウェーハの表面が複雑な形状になり、高品質な薄膜等を形成するにはより高度な技術が必要とされています。これに対して当社グループは、難易度の高い成膜と高い生産性を両立するバッチALD成膜技術や、高い生産性を維持しつつ形成された薄膜の膜質を改善するトリートメント技術を生かした高付加価値製品の販売拡大や研究開発に注力し、事業拡大を図ってまいります。また、装置のライフサイクル全体にわたって、メンテナンスや修理、部品供給、移設・改造などお客様のニーズに合わせたアフターサービスの拡充を図るとともに、今後の需要拡大に対応するための生産体制及び開発体制の拡充、DXを活用した生産効率向上にも注力してまいります。
ESGの取り組みでは、設定した5つのマテリアリティに基づき、課題解決に向けた活動を推進してまいります。
また、ディスクロージャーポリシーに則り、ステークホルダーの皆様と積極的に対話を行ってまいります。
(4)中期計画
当社グループは、WFE(Wafer Fab Equipment:半導体製造装置市場)の市場規模および市場成長を前提として、中期目標を設定しております。詳細は、当社ウェブサイト(URL:https://www.kokusai-electric.com/ir)にて公開しております。
(5)経営環境
半導体製造装置市場に大きく影響する半導体デバイス市場の規模は、2010年の約3,000億ドルに対し、12年後の2022年には約6,100億ドルと2倍以上へ拡大しており、2023年から2028年まで年平均成長率9.5%で成長することが予想されております(注1)。半導体デバイス市場拡大の背景には、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要拡大や、5G、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資(GX)等の産業向けの需要拡大、主要国による産業支援策があります。足元の世界経済は、不透明な経済環境を受けてスマートフォンやパソコン等の電子機器の需要が引き続き低調に推移し、NANDを中心に半導体デバイスメーカーの投資抑制が続いています。しかし、半導体デバイス市場では在庫調整が進んでおり、メモリーデバイス単価の上昇が見られ始めたことから、市況が底を打ったとの見方をしています。2024年後半から2025年にかけて、半導体デバイスの需要が本格回復し、2027年に向けて技術革新の継続・加速により再び成長基調へ進んでいくものと期待しております(注2)。
半導体製造装置市場は2010年の約300億ドルに対し、12年後の2022年には約980億ドルと3倍以上へ拡大しており、2023年から2028年まで年平均成長率7.5%で成長することが予想されております(注2)。足元では不透明な経済環境を受けて、NANDを中心に半導体デバイスメーカーの投資抑制が続いていますが、半導体デバイスの需要回復に伴って半導体製造装置の需要も回復するものと見ております。中長期的には、半導体デバイスの微細化、構造の複雑化、三次元化が進む中で、難易度の高い成膜と高い生産性を両立することのできる半導体製造装置へのニーズが高まると考えております。
(注1)出典:TechInsights Inc. Semiconductor Forecast (March 24)
(注2)出典:TechInsights Inc. IC MANUFACTURING EQUIPMENT MARKET HISTORY AND FORECAST (2018 - 2028) (March 2024)
半導体デバイス/半導体製造装置の世界市場規模(単位:十億ドル)
| 2010年 | 2022年 | 2023年 | 2028年(予想) |
半導体デバイスの 世界市場規模 | 296.7 | 613.9 | 559.1 | 878.7 |
半導体製造装置の 世界市場規模 | 30.4 | 97.7 | 99.0 | 142.3 |
出典:TechInsights Inc. Semiconductor Forecast (March 2024)
出典:TechInsights Inc. IC MANUFACTURING EQUIPMENT MARKET HISTORY AND FORECAST (2018 – 2028) (March 2024)
(6)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、不透明な経済環境を受けて、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要が引き続き低調に推移し、NANDを中心に一部の半導体デバイスメーカーによる投資抑制が続きました。もっとも、半導体デバイス市場では在庫調整が進んでおり、メモリーデバイス単価の上昇が見られ始めたことから、当社グループとしては、市況が底を打ったとの見方をしています。一方で、中国においてはパワーデバイスを含む成熟ノード向けの設備投資が活発化しているほか、世界各国においても先端品開発に対する投資は継続されており、市況の回復に伴って、先端品への設備投資が活発化するものと期待されています。さらに、中長期的には、スマートフォンやパソコン等の電子機器の需要拡大に加え、5G、AI、IoT、DX等の拡がりによるデータセンターの拡充や環境負荷低減への投資等により、半導体関連市場は大きな成長が見込まれております。
こうした状況をふまえ、当社グループは、前述の経営戦略に基づき、以下の重点施策を推進してまいります。
① 高付加価値な技術・製品の継続的な創出、10年先を見据えた研究開発
高難易度な製品・技術が持つ付加価値を継続的に創出することで、先端デバイスを開発するお客様から評価いただけるよう、新技術・新製品の開発を推進いたします。半導体デバイスの微細化や構造の複雑化、三次元化への対応に加え、チップ積層技術も重要な課題の一つとなっており、横浜市に研究開発拠点を新設するなど10年先を見据えた研究開発体制の強化を図ってまいります。
② 売上・利益のさらなる拡大のための提案力と顧客エンゲージメント強化
半導体デバイスの三次元化が先行しているNAND分野で培ってきたバッチALDをはじめとする先端プロットフォームやプロセス技術をLogic/Foundry分野やDRAM分野へと展開いたします。また、市場拡大が続くパワーデバイスや成熟ノード、センサー向けの売上・利益の拡大に向けた取り組みも継続して強化いたします。当社グループが長年にわたって培ってきた“技術”と“対話”により、お客様が抱える課題を深く理解し、その課題を解決する優れた提案を行うことで、顧客エンゲージメントの強化を図ってまいります。
③ 砺波事業所(仮称)の立ち上げと、新生産方式による生産能力の倍増化
中長期的な需要増加を見据え、富山県砺波市に2024年秋までの竣工をめざして砺波事業所(仮称)を新設しております。この砺波事業所(仮称)では、SX(Smart Transformation)を最大限活用することにより、生産効率が高く環境に優しい事業所をめざしております。この生産能力の拡充に合わせて、富山事業所の開発能力を拡充するとともに、韓国拠点のデモ評価エリアを拡張することにより、開発体制の拡充を図ってまいります。
④ サービスビジネスのさらなる拡大
部品販売・メンテナンスをはじめ、製品のライフサイクル全体でお客様のニーズに対応するサービスを提供するため、グループ全体でのサービスビジネス運営の強化を推進し、さらなる事業拡大をめざしてまいります。
⑤ グループ一体化経営による事業活動改革の継続
グループ会社社長の現地人化を推進し、2023年6月末までに全てのグループ会社で現地人社長が就任しており、グループ全体でビジネスの拡大、質の高いサービスの提供、コーポレート・ガバナンスやコンプライアンスの取り組みを継続的に強化してまいります。
⑥ 収益率向上に向けたグループ横断での業務効率向上のさらなる推進
当社グループにおける営業-設計-調達-生産-サービス業務の全体最適を目的として、グループ横断での業務効率向上をさらに推進してまいります。国内外のグループ会社におけるインフラの統合を含め、グループ全体で取り組みを強化いたします。
⑦ サステナビリティ経営の高度化推進
企業理念である“KOKUSAI ELECTRIC Way”のもと、グループ全体でサステナビリティ経営レベルを高度化していくフェーズに移行しており、より一層、企業の社会的責任を自覚しながら事業とESGの両側面での取り組みを強化してまいります。
(7)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、企業の持続的な成長性、収益性を測定するため、売上収益、調整後営業利益率、調整後営業利益及び調整後親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益を重要な経営指標として位置付けております。当該指標を重視する理由について、売上収益は事業成長の目安となること、調整後営業利益率は売上の増加割合に対する収益性の変化を確認する目安となるためであります。また、資本コストを意識しながら中長期的な視点で資本収益性を向上させるため、ROE(自己資本利益率)及びROIC(投下資本利益率)についても重要な経営指標として位置付けてまいります。
なお、調整後営業利益及び調整後親会社の所有者に帰属する当期(四半期)利益につきましては、経営成績の推移を把握するために以下の算式により算出しております。
① 調整後営業利益 = 営業利益(IFRS)- その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く)
② 調整後当期(四半期)利益 = 当期(四半期)利益- その他の収益 + その他の費用 + 企業結合により識別した無形資産等の償却 + スタンドアローン関連費用 + マネジメントフィー + 売却関連費用 + 株式報酬費用(業績連動型株式報酬制度に係るものを除く) - 持分法で処理されている投資の売却益 + ファイナンシング関連費用 + その他の金融費用 + 調整項目に対する税金調整額 - 税率変更に伴う一時的な税金費用の調整額
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