Fast Fitness Japan 【東証プライム:7092】「サービス業」 へ投稿
企業概要
将来に関する事項は、当社グループが、有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは事業環境の変化など様々な要因により異なる可能性があります。
(1)ESG戦略
①ガバナンス
当社グループは、企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ」のもと、サステナビリティを実現するための行動規範に基づき、事業を通じた社会課題の解決に全社員が取り組み、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
具体的には、ESGの視点を通じて、SDGsの各目標の達成に貢献するため、フィットネスがより社会につながる存在になり、様々な社会課題を一緒に解決できる存在となれるよう、2018年に「オープンフィットネス宣言」を発信しています。また、サステナビリティへの取り組みを更に加速するため、2021年9月より代表取締役社長を委員長とするESG委員会を新設し、ESGに関する重要課題の報告や協議、各取組の進捗管理などを適切に進める仕組みを構築しております。
②戦略
2021年5月にESG推進室を設置し、SDGsに即した活動を企業経営の根幹に据え、全社を挙げて取り組むための体制作りに着手し、当社グループのESG経営の重要課題として2つの柱を設定しています。
<日本の健康を創る先進企業へ>
24時間フィットネスジムの運営という当社の事業そのものが人々を幸せにする健康産業であり、「フィットネス習慣の拡大によって、人々がより健康に生活し続けられる社会を目指す」ことがわたしたちの最も重要な使命であることから、「日本の健康を創る先進企業へ」を大きな柱の一つとしております。
<地域の健康・安全を担うインフラへ>
エニタイムフィットネスは日本全国に店舗展開し、地域の人々に日常的に利用していただく事業であるという特性から、「それぞれの地域社会の持続的な発展の役に立ち、地域の人々に必要とされること」が当社の大きな使命であり、それがひいては当社自身の持続的な成長にも不可欠であると考え、「地域の健康・安全を担うインフラへ」をもう一つの大きな柱としました。
③リスク管理
当社グループでは、リスク管理に関して「グループリスク管理規程」を定め、代表取締役社長をリスク管理統括責任者とするリスク管理体制を構築しており、リスクの低減及びその適切な対応を図っております。総務部長は、毎年1回、リスクの洗い出しと評価及びリスク対策課題の策定と防止に関する事項を検討し、リスク管理統括責任者へ報告しております。
また、リスクが顕在化し、事故が発生した場合には、代表取締役社長であるリスク管理統括責任者を中心に、事故の解決にあたることとしております。また、取締役及び使用人は、職務権限規程に従って権限の範囲内で職務を執行し、各職務に内包する各リスクについて管理しております。管理本部は、内部牽制機能を担う部門として、各部室のリスクを監視し、リスクが高まったと判断した場合は、速やかに取締役及び監査等委員にその内容を報告し対策を講じております。
④指標と目標
ESG経営推進のため、マテリアリティとアクションプランを設定しております。
(2)気候変動への取り組みとTCFD提言に基づく情報開示
当社グループでは、気候変動問題を経営の重要課題のひとつと捉え、積極的に対策に取り組んでおります。パリ協定の長期目標や2030年に向けた政府の脱炭素目標を踏まえ、ガバナンス体制の強化や、事業への影響分析、CO2削減目標の設定など、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づく気候変動に関する分析と適切な情報開示を進めております。
<ガバナンス>
気候変動に関する重要事項に関しては、ESG委員会で審議の上、定期的に取締役会に報告する体制をとることで、取締役会の監督が適切に図られる仕組みを構築しています。ESG委員会は代表取締役社長を委員長として、ESG活動に関する当社グループの重要課題に対する報告並びに審議が行われます。2023年3月期は、開催された4回のESG委員会のうち、気候変動に関する審議は3回行われ、部署横断的な課題の共有と実行計画の策定が行われました。
<戦略>
当社グループは、ESG経営を推進する為のマテリアリティの1つに「地域の健康・安全を担うインフラへ」を設定しています。気候変動対応はこのマテリアリティ実現の重要課題の一つであり、気候変動シナリオ分析を行い、気候変動のリスクと機会による影響を把握するとともに、省エネルギーやCO2排出量削減などの目標設定と進捗の管理を実施しています。
気候変動シナリオ分析の概要
①2℃シナリオと4℃シナリオ
分析にあたって定義するシナリオ群は2℃シナリオ、4℃シナリオの二つを採用しました。パリ協定目標として提唱された1.5℃シナリオについては、現状予測される世界観を特定するデータの収集が不十分と判断し、今後の分析課題としております。
②分析の範囲
算定範囲は、当社グループの燃料消費、並びに電気の使用によるCO2排出量(Scope1及びScope2)としています。
③シナリオ分析
特定された気候変動リスクを基に、シナリオ分析を行い2030年の世界観を考察しました。シナリオ分析では、フィットネスジムの事業運営を「出店計画・事業計画」「出店開発」「保守・管理・運用」の3つのフェーズに分け、2℃シナリオ、4℃シナリオのそれぞれにおいて、「規制」「技術」「市場」「評判」「物理的リスク」など起こり得るシナリオの分析を2022年3月に行いました。
特定された2030年の世界観
フェーズ | 2℃シナリオ | 4℃シナリオ |
出店計画 事業計画 | 気候変動対策への関心の高まりや投資家からのESG情報開示要求の高まり、消費マインドの変化 | 異常気象の激甚化による建設コストの上昇、工期の遅れ |
出店開発 | 規制が強化され、低炭素/脱炭素社会に向けた持続可能な社会の推進 | 異常気象の激甚化に伴い、市場の基幹機能が麻痺することによる物流経済の影響 |
保守・管理・運用 | 気候変動対策への関心の高まりや投資家からのESG情報開示要求の高まり、消費マインドの変化 | 店舗における風水害被害の発生頻度の上昇による修繕費の増加 被害の発生頻度の上昇に伴う一時的な会費収入の減少 |
分析結果 | 2℃シナリオにおいては、社会の脱炭素化の動きが加速し、規制の強化等による移行リスクが高まると考えられる | 4℃シナリオにおいては、異常気象の激甚化による複合的な災害の発生頻度が高まると予想される |
<気候関連に関わるリスク及び機会の分析>
気候変動のリスク・機会の分析
当社の主要事業である、フィットネスクラブ運営事業に関して、将来予想される気候変動に関するリスク・機会を把握する作業を行いました。
気候変動関連リスクと機会の抽出から、重要性が高いと判断された項目
| 項目(大分類) | 項目(中分類) | 事業インパクト | 想定するシナリオ |
移行リスク | 新たな規制 | 炭素税の導入 | 操業コストの増加 | 〈2℃シナリオ想定〉 政府による温室効果ガス排出の規制が強化され、炭素税が導入されることを想定 |
再生可能エネルギー調達 | 再生可能エネルギー調達による電力価格、エネルギー調達コストの増加 | 〈2℃シナリオ想定〉 政府による温室効果ガス排出の規制が強化され、再生可能エネルギー調達が推進されることを想定 | ||
フロン規制や省エネの推進 | フロン規制や省エネ政策の推進による設備の新設、入れ替え(ZEB基準に基づく空調+換気、照明、給湯)コストの増加 | 〈2℃シナリオ想定〉 政府によるフロン規制や省エネ規制が強化され、直営店舗の設備導入において、ZEB仕様が必要になることを想定 | ||
市場 | ZEB仕様への対応 | 賃貸料の上昇 | 〈2℃シナリオ想定〉 2030年以降新築物件はZEB Readyとなり、建築費用は10%以上増と仮定。賃料へもおよそ同額反映されることを想定 | |
物理的リスク | 急性 | 風水害リスク | 異常気象、温度変化に伴う洪水の激甚化により直営店舗が浸水することによる復旧費用の発生 | 〈2℃、4℃シナリオ想定〉 2030年時点において、2℃、4℃シナリオで起こりうる風水害のリスクを想定 |
直営店舗が被災した店舗の会費収入減少 |
※ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略。高効率設備や再生可能エネルギー導入により、快適な室内環境を実現しながら、消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建築物。
財務インパクトの算定
シナリオ分析に基づき、2030年に予想される財務インパクトの算定を行いました。
2℃シナリオにおいては、炭素税の導入や、再エネ導入コストの増大、フロン規制の強化に対応する費用が主要な財務インパクトとなり、その額は約164百万円と想定されます。4℃シナリオにおいては、規制の導入は進まない代わりに災害の発生頻度がより上昇すると考えられ、財務インパクトは、約5百万円と想定されます。
上記算定から、よりインパクトの大きい2℃シナリオを重視して今後の対策を立てることが重要であると考えております。
2030年時点での2℃シナリオ、4℃シナリオの財務インパクト評価 (百万円)
区分 | 2℃シナリオ | 4℃シナリオ |
炭素税の導入 | 90 | - |
再エネ調達によるコスト増 | 21 | - |
フロン規制・省エネの推進によるコスト増 | 37 | - |
賃貸コスト上昇 | 9 | - |
被災店舗設備の復旧費用 | 1 | 2 |
被災店舗の会費収入の減少 | 2 | 3 |
合計 | 164 | 5 |
<指標と目標>
①Scope1及びScope2のCO2排出量実績
エニタイムフィットネスにおいては、1店舗あたり平均で46.4t/年のCO2が排出されていると算定されました。当社の展開するジムは、プールや温浴施設を持たないため、フィットネスジムの中では現時点でもCO2排出量は比較的低く抑えられております。(1㎡あたりで比較)
2021年3月期 1店舗あたりの平均CO2排出量 (単位:tCO2)
1店舗平均CO2排出量 | 46.4 |
②指標と目標
算定したCO2排出実績をベースとして、排出量削減の具体的対策を様々な角度から検討した結果、2030年に2021年3月期比で1店舗あたりのCO2排出削減量を50%とする目標を設定しました。
③2023年3月期のScope1及びScope2のCO2排出量実績
2023年3月期の1店舗あたりのCO2排出量は以下のとおりとなっております。
2023年3月期 1店舗あたりの平均CO2排出量 (単位:tCO2)
1店舗平均CO2排出量 | 42.0 |
(3)人的資本
当社グループは企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」のもと、安全・安心・健全な職場づくりを推進しております。
社員の働きがいと能力開発を進めるため、就業時間のフレックス化、子育て・介護の支援強化とともに、対面とオンラインを組み合わせた研修制度の充実や社員の意識調査の活用を進めています。また、アルバイト社員、契約社員から正社員への登用を定期的に実施しています。
社員の健康サポートの面では、自社フィットネスジムの活用促進のほか、人間ドッグなど社員の健康診断メニューの充実化を進めています。
さらに「月平均残業時間」を12時間以下にするなど労務管理上の目標を設定しているほか、社員の健康管理を強化する観点から「健康宣言」を宣言し、2023年には経済産業省が提唱する健康経営優良法人に認定されました。また、障碍者雇用については、今後も法定雇用率を上回る水準を維持していくとともに、健常者との適切な仕事の役割分担を行うことで「お互いを尊重し、共に成長できる職場づくり」を目標としています。
①人材戦略(ダイバーシティ&インクルージョン)
当社グループでは、多様なバックグラウンドを持つ人材が各部門で活躍しています。採用方法や性別によらず、社員一人ひとりがお互いを認め合い、刺激を受けながら能力を最大限に発揮し、ビジネスに新たな価値をもたらすことを目指しており、以下の観点を重視し、ダイバーシティ経営を推進しています。
<女性活躍推進>
当社は女性がキャリアを止めることなく活躍できる環境を整えることが重要であると考え、早期復職支援や柔軟な働き方の推進による仕事と育児の両立支援にも取り組んでいます。直近3年間の女性の育児休業取得率は100%であり、全員が育児短時間勤務制度を利用し復職しています。
2022年4月には、男性社員の育児参加の促進を念頭に「育児休暇」を新設しました。男性が積極的に育児に参加することで、職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場環境の醸成にもつながると考えています。
<採用の多様化>
多様な価値観を持つ人材がお互いを尊重しつつ、十分に議論を重ねることでイノベーションが生まれるという考え方のもと、女性活躍はもちろん、中途採用においても広く門戸を開き、人材基盤の強化を図っています。2023年3月末の正社員における中途採用者の比率は52%であり、正社員採用20名のうち13名(65%)が中途採用でした。今後も総採用数の半数程度を中途採用とし、中核人材に育成していきます。
<健康経営の推進>
当社は、企業が健全であるためには、社員一人ひとりが心身共に健康であることが重要だと考え、2022年9月に健康経営宣言をしました。当社グループは企業理念「ヘルシアプレイスをすべての人々へ!」のもと、誰もが健康的に暮らせる、心豊かな社会の実現を目指しています。そのためには、まず社員が心身共に健康であることが重要であると考えます。「日本の健康を創る先進企業」として、個々の能力が十分に発揮され、皆がいきいきと働くことが出来る職場を創り、健康経営に取り組んでおります。
健康経営宣言に則り、以下の6項目を実践してまいりました。
健康経営推進体制
・毎月1回、衛生委員会にて健康に関する情報の共有及び施策の推進健康診断受診の徹底、40歳以上の社員全員に人間ドック受診を実施
・健康診断予約システムを導入し、健康診断受診率100%および再検査の受診勧奨
教育・啓発活動の実施
・社員の健康増進を推進するための教育・啓発を実施
労働時間の適正化
・フレックスタイム制、変形労働時間制を導入し業務実態に沿った柔軟な働き方を実践
・平均残業時間:10.3時間/月
有給休暇取得の推進
・年5日取得率100%、年次有給休暇取得率86%
健康経営を社会に広める事業活動
・山口県の徳山病院店において、同病院と連携し「地域ヘルスケアプログラム」を提供
2023年3月に経済産業省と日本健康会議が選定する「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に初めて認定されました。
②指標と目標
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