DOWAホールディングス 【東証プライム:5714】「非鉄金属」 へ投稿
企業概要
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 全般
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ基本方針を制定しています。また、サステナビリティ基本方針を頂点とするサステナビリティ方針体系を整備し、企業理念やビジョンの実現へとつながる、各サステナビリティ分野における方向性を明確にしています。
a サステナビリティ関連方針体系
b サステナビリティ推進体制
当社グループは、企業理念及びサステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティの取り組みをグループ一体で推進していくため、代表取締役社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」と、その傘下に経営企画担当役員を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しています。
《サステナビリティ推進会議》
サステナビリティ推進会議では、サステナビリティに関する重要な方針や施策及びその進捗等について審議・決定を行います。重要な事項につきましては取締役会へ報告し、定期的に監督を受けています。
サステナビリティ推進会議は、「DOWAグループのマテリアリティ」等当社グループのサステナビリティに関する重要課題を検討テーマとしています。
*2022年度の検討テーマ: 資源循環型社会の形成、社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充、気候変動対応、環境保全、労働安全衛生の確保、組織力の強化(ダイバーシティ推進、雇用確保、人材育成など)、リスクマネジメントの推進、コーポレート・ガバナンスの強化、DX(データ利活用)の推進 |
《サステナビリティ委員会》
サステナビリティ委員会は、経営企画担当役員を委員長とし、DOWAホールディングス㈱(以下、HDという。)各部長、事業会社企画室長等で構成されています。関連部署が連携しながらグループ全体で各種の取り組みを推進しています。
本委員会は毎月開催し、「DOWAグループのマテリアリティ」に関して、方針や対応策の検討、取り組みの進捗確認等を行っています。特に重要度の高い案件につきましては「サステナビリティ推進会議」に報告し、審議する仕組みとしています。
② 戦略
「中期計画2024」において「DOWAグループのマテリアリティ」を特定し、「循環型ビジネスモデルの進化」による機会獲得と「サステナビリティ・マネジメントの強化」によるリスク低減を両立する施策を推進することを基本戦略としています。
「DOWAグループのマテリアリティ」のうち、「マテリアリティ1 資源循環型社会の形成」「マテリアリティ2 社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充」に関する取り組みは、主に「循環型ビジネスモデルの進化」に関連するものです。また、「マテリアリティ3 気候変動対応」「マテリアリティ4 環境保全」「マテリアリティ5 労働安全衛生の確保」「マテリアリティ6 組織力の強化(ダイバーシティ推進、雇用確保、人材育成など)」「マテリアリティ7 リスクマネジメントの推進」「マテリアリティ8 コーポレート・ガバナンスの強化」「マテリアリティ9 DX(データ利活用)の推進」に関する取り組みは、主に「サステナビリティ・マネジメントの強化」に関連するものです。
③ リスク管理
a 基本的な考え方
当社グループは、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止し、万一発生した場合の被害を極小化するため、リスクマネジメントの高度化に取り組んでいます。また、各事業活動における顕在的・潜在的リスクの洗い出し、対応策の実施、レビュー、監査という一連のリスクマネジメントフローの強化・充実を進めています。
リスクマネジメント基本方針 私たちDOWAグループは、事業推進に影響を及ぼす可能性があるリスク事象を適時に識別・評価したうえで、戦略的なリスク対応を可能とする経営基盤を確立するため、グループ全社的なリスクマネジメント体制を整備・運用します。 |
b リスクマネジメント体制
当社グループは、下図のとおり、3線ディフェンスをモデルとした内部統制上の「Ⅳ線ディフェンス体制」を基軸とするリスクマネジメント体制を構築しています。
生産等の操業を担う事業子会社(第Ⅰ線)及びそれらを統括する5つの事業会社(第Ⅱ線)が定期的なリスク評価を含むリスクマネジメントサイクルを実施し、持株会社である当社各部(第Ⅲ線)が必要な指示・監督・サポートを行います。また、当社監査部(第Ⅳ線)が監査を実施し、これらの有効性を評価します。
リスクは、「戦略リスク」、「経済リスク」、「オペレーションリスク」、「ハザードリスク」の4つを大区分とし、それぞれにリスクシナリオ詳細を設け、COSO及びJISQ2001を参照した統合的なリスクマネジメントを図っています。「戦略リスク」、「経済リスク」は主に経営戦略会議及び経営執行会議にて、「オペレーションリスク」、「ハザードリスク」は主にサステナビリティ推進会議にて、リスクマネジメントの状況を監督します。更に、各会議の審議において重要とされた事項は、取締役会へ報告し、監督を受けます。
④ 指標及び目標
DOWAグループのマテリアリティの指標及び目標は次のとおりです。
9つのテーマ | 主な施策 | 指標 | 2022年度 実績 | 目標 | |
環
境 | マテリアリティ1 資源循環型社会の形成 | リサイクル原料の集荷拡大 | 小坂製錬向けリサイクル原料の集荷量 (2021年度=100) | 108 | 110 (2024年度) |
使用済み排ガス浄化触媒の 集荷量 (2021年度=100) | 89 | 140 (2024年度) | |||
LIBリサイクル処理量 (2021年度=100) | 173 | 400 (2024年度) | |||
リサイクル原料由来比率の向上 | 生産する金属に占める リサイクル原料由来比率 (製錬部門の売上高ベース)(注) 1 | 59% | 70% (2024年度) | ||
マテリアリティ2 社会リスク・環境リスクを低減する製品・サービスの拡充 | 顧客ニーズを踏まえた 主要製品・サービスの拡販 | ― | ― | ― | |
マテリアリティ3 気候変動対応 (注) 2 | 気候変動対策の全社活動の推進 | 気候変動対応の推進体制の構築 | 気候変動対応ワーキンググループの活動を継続 (月1回) | ・TCFDレポートの公開 ・気候変動対策ロードマップの作成 | |
気候変動対応の全社方針・目標の策定 | 気候変動対策 ロードマップの作成 | ||||
TCFDへの取り組み | TCFDレポートの公開 (2022年5月) | ||||
マテリアリティ4 環境保全 | 環境管理システムの確立 (ISO14001/EA21に準拠した「仕組み」の維持・拡充) | EHS-MSの運用事業所率 (ISOに準拠) | 74% | 100% (2024年度末) | |
リスクマネジメントの向上(環境事故リスクの最小化・対応力の強化) | 環境事故発生数 | 2件 | 0件 |
9つのテーマ | 主な施策 | 指標 | 2022年度 実績 | 目標 | |
社
会 | マテリアリティ5 労働安全衛生の確保 | マネジメントシステムの確立 | EHS-MS運用事業所率 | 7% | 100% (2024年度) |
事故・労働災害の再発防止 | 度数率(派遣を含み請負を含まない) | 1.19 | 0.7 (2024年度) | ||
強度率(派遣を含み請負を含まない) | 0.87 | 0.01 (2024年度) | |||
健康経営の推進 | 定期健診受診率 | 91.2% (東京地区) | 100% (グループ全体) | ||
マテリアリティ6 組織力の強化 (ダイバーシティ推進、雇用確保、人材育成など) | 離職率の低減 | 新卒入社3年後の定着率 (HD籍) | 85% | 100%の維持 | |
社員充実度サーベイの実施状況 | サーベイ 実施開始 | サーベイの定着化 | |||
人材育成方針の公開(方針策定及び、WEBサイトや社内ポータルサイトを通じた浸透) | 人材育成方針の作成及び 内部・外部公開 | 人材育成方針の制定、内部・外部公開実施(2022年10月) | 方針の公表・浸透 | ||
グローバル人材育成 (海外で必要な基礎知識を赴任前~1年間で学習する仕組みの構築) | 海外赴任前教育に加え、 赴任後教育の拡充 | 赴任後教育の 開始 | 継続実施 | ||
育児・介護と仕事の両立支援強化 | 男性の育児休業取得率向上 | 61.7% | 100% (2024年度) | ||
労働時間の削減(総労働時間管理の実施と有給休暇取得目標の設定) | 有給休暇取得率の向上 | 76.1% | 80%以上 | ||
女性の活躍推進 | 女性新規採用比率(HD籍)の 向上 | 32% | 30%以上 | ||
65歳までの活躍促進 | 定年延長の導入 | 主要事業子会社への導入 | グループ全社の 導入 | ||
人権の保護 | ハラスメントの撲滅 | ハラスメント 研修の実施 | ハラスメント 研修の継続実施 | ||
障がい者の活躍促進 | 障がい者雇用率 | 2.7% (HD単体) | 2.3%以上 (グループ全体) | ||
ガ
バ
ナ
ン
ス | マテリアリティ7 リスクマネジメントの推進 | ISO9001/OHSASに準拠した 「仕組み」の構築 | 製品を持つ事業所の準拠率 | 78% | 80% (2024年度) |
品質保証教育の確立 | 教育受講者数 | 169名 | 累計350名 | ||
マテリアリティ8 コーポレート・ガバナンスの強化 | 内部統制の効果的かつ効率的な体制整備と運営 | ― | ― | ― | |
マテリアリティ9 DX(データ利活用)の推進 | IT基盤の構築 | グループ共通クラウド基盤の運用 | 運用テストの実施、利用者トレーニングの開始 | 2023年度下期 運用開始 | |
DX人材の育成 | 育成人数 | 67名 | 累計80名 (2022~2024年度) |
(注) 1 本項目の「リサイクル原料」には、小坂製錬向けリサイクル原料以外の2次製錬原料等を含みます。
2 取組の詳細につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動対応」に記載しています。
(2) 気候変動対応
気候変動は、世界中のあらゆる産業や人々が直面する重大な社会課題です。当社は、地球温暖化が進む足元の状況を踏まえ、2021年8月に定めた気候変動対応方針に基づき、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、グループ全体のガバナンスに統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ① ガバナンス」をご参照ください。
また、気候変動への対応を具体的に推進する組織として、事業会社や技術部門(HD技術部、DOWAテクノロジー)等の実務者を主体とする「気候変動対応ワーキンググループ」を設置し、温室効果ガス(GHG)排出削減計画やモニタリングの仕組みづくり等の取り組みを推進しています。
② 戦略
2022年度からスタートした「中期計画2024」においては、気候変動対応を重要課題(マテリアリティ)の一つとし、全社の推進体制を整え、2050年までのカーボンニュートラル実現を目指した活動を推進しています。
2022年2月には、TCFD提言に賛同することにより、改めて気候変動への対応姿勢をグループ内外に示しました。
また、TCFD提言のフレームワークに基づき、シナリオ分析及び気候変動に起因するビジネス上のリスク及び機会の整理等を進め、同年5月にこれらを取りまとめた「TCFDレポート」を発行しました。
「TCFDレポート」
https://www.dowa-csr.jp/content/files/DOWA_TCFD_report_2205.pdf
2023年5月には、「カーボンニュートラル社会の実現に向けて ~2030年度に向けた取組みと2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ~」を公表し、TCFDレポート発行以降の気候変動を巡る状況変化を踏まえ、当社グループの気候変動に対する活動状況と新たな目標等を公表しました。
「カーボンニュートラル社会の実現に向けて ~2030年度に向けた取組みと2050年カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ~」
https://www.dowa-csr.jp/content/files/DOWA_2050CN_roadmap_ja.pdf
③ リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、グループ全体のリスク管理に統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ③ リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
気候変動対応方針 DOWAグループは、気候変動対応を経営の重要課題とし、温室効果ガスの排出削減に取り組みます。 また、多様な事業を通じて脱炭素社会の実現に貢献することにより、グループの持続的な成長につなげていきます。 |
当社グループの気候変動への対応は、自社のGHG排出削減と社会の気候変動対策に貢献する製品・サービスの創出・拡大の両輪で推進しています。私たちは、2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けたこれらの取り組みを、グループの持続的な成長に結びつけるため、2030年度の「GHG排出削減目標」と「製品・サービスによる貢献目標」をそれぞれ設定しています。
a 2030年度のGHG排出削減目標
当社グループの日本国内で排出するスコープ1及び2※1の2030年度のGHG排出目標は、1,200千t-CO2です。今後、社会動向や技術革新等の変化を注視し、中長期の視点でさらなる削減に取り組んでいきます。
なお、スコープ3※1のGHG排出量につきましては、今後実態把握の上で、目標への取り入れについて検討を行います。
上記のGHG排出目標は、日本政府が掲げる「2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す」ために策定された『地球温暖化対策計画』※2の区分ごとに設定した削減目標に基づいています。
《2030年度のGHG排出削減目標(区分別)》
当社グループのGHG排出量の実績(スコープ1、スコープ2)は、当社のサステナビリティサイトをご参照ください。なお、当該サイトは2023年12月までに順次更新予定です。
「DOWAグループのサステナビリティデータ(環境)」
https://www.dowa-csr.jp/esg/data/environment
b 2030年度の製品・サービスによる貢献目標
当社グループは、社会の気候変動対策に貢献する幅広い製品・サービスを提供しています。再生可能エネルギーに欠かせない太陽光パネル用銀粉や燃料電池・EV向けの金属材料、またリチウムイオンバッテリーや太陽光パネルのリサイクル等、サプライチェーンを通じてGHG排出削減に貢献する製品・サービスが数多くあります。また、今後の脱炭素社会に向けて欠かせない非鉄金属を、リサイクルをはじめとする持続可能な資源循環プロセスを組み入れた循環型ビジネスモデルによって社会に提供しています。
このような当社グループならではの貢献を「DOWAグリーンアクション(略称:DGA)」と名付けるとともに、2030年度の目標を設定し、取り組みを推進しています。
《2030年度のDOWAグリーンアクション売上目標》
DGA製品・サービスの供給拡大、技術開発や新規事業の創出に努めることで、社会全体のGHG排出削減に貢献し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組みます。これらの成長目標として、DGA製品・サービスの売上を指標としています。
c 2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組み
長期目標 DOWAグループは、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指します。 |
当社は2021年度にTCFDのフレームワークを活用したシナリオ分析を行っています。将来予測は不確実性が高く、分析が難しいことから、複数のシナリオを参照し1.5℃、2℃シナリオ及び4℃シナリオ下の事業環境を想定し実施しました。また、取り組みの具体性を高めるため、TCFDのシナリオ分析をベースとしながら、2030年までの予測精度を上げるべく、あらためて社会環境と当社事業について足元の状況整理を行い、施策の検討を行いました。それらを踏まえ、2023年5月に「2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ」を策定・公表しました。
《2050年のカーボンニュートラル実現に向けたロードマップ》
当社は2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、既存技術を最大限に活用し、新たな技術の導入にも計画的に取り組みます。省エネルギーや再生可能エネルギー、燃料転換、電化等に加え、バイオマス燃料やアンモニアバーナー等の自社開発も積極的に進めていきます。将来的にはCO2を回収・貯留するネガティブエミッション技術の活用も検討する等、複数のオプションで気候変動対策を推進していきます。
(3) 人的資本
当社グループは、人材がすべての企業活動の基本と考えています。長い歴史の中で多くの困難を乗り越えられたのは、その時々に顕在化した課題に正しく向き合って、課題解決に取り組むために開発、製造、販売、管理等当社グループ各職場の最前線で働く一人ひとりの力が結集したからです。
グループの永続的な発展のためにも、更には世の中から求められる企業グループであり続けるためにも、私たちは企業理念に共感した一人ひとりの力を結集させて「成長し続ける組織」を目指します。
① ガバナンス
人的資本に関するガバナンスは、グループ全体のガバナンスに統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ① ガバナンス」をご参照ください。特に、当社の組織力強化は、HD人事部が主体となり、他部門、事業会社、各拠点等と連携しながら取り組みを進めています。当社人事部は、採用・人材開発、人事・組織、労政・グローバル人事、そして健康保険・労働衛生の4つの担当で構成されています。 人事機能としては一般的に人材採用、人材評価、人材育成、労務、環境構築があり、当社人事部の4つの担当が有機的に関わりながら、それぞれの機能をブラッシュアップさせることで、組織力強化につなげています。 |
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② 戦略
人材育成方針 私たちDOWAグループでは、社員一人ひとりが自発的に研鑽を積むことを促します。 そのために、役職や年齢・性別・勤務地などに関わらず、意欲がある者には学ぶ機会を公平に提供します。 人材育成においては、一人ひとりの短所を正すのではなく、長所を伸ばすことを基本とします。 |
《人材育成の環境整備に向けた取り組み》
・現場の最前線で働く社員を対象とした研修プログラムを充実させます。
・学びたいという意欲さえあれば、日程や時間帯や地域等縛られずに受講できる、充実したオンライン研修プログラムを用意します。
・個人の能力に留まらず一人ひとりの力を結集させるために、メンバーの長所を活かしてチーム力を高める組織運営プログラムを導入します。
人的資本に関する2030年のありたい姿を、「経済的価値と社会的価値との両立を図り、成長し続ける組織」と定め、「成長し続ける組織」につきましては、次のとおり3つに分けて定義しました。
・様々な社会課題の解決に貢献する当社事業の価値と役割に共感する集団
・チームワークやコミュニケーションを重視し、DOWA全体で成果を発揮できる組織
・多様な働き方を許容し、多様な人材により変化とチャレンジを受け入れる組織
ありたい姿の達成に向けた取り組みは次のとおりです。
ⅰ 人材確保と中核人材の育成
日本は少子高齢化が進行しており、総務省の労働力調査によると日本の2021年労働人口は5,931万人(速報値)で2011年と比較し、80万人減少しています。また、近年の出生率低下もあり、今後の労働力は加速度的に減少していく見通しです。この労働人口の減少幅は都市部より当社が多くの拠点を構える地方の方が大きいため、その影響はより深刻であると認識しています。従って、当社にとって人材確保は喫緊の課題です。まずは、採用活動において採用対象の拡大を図り、各拠点への採用支援やノウハウの共有等にグループ全体で取り組んでいきます。
また、当社では、若手社員に対する定期的な面談を継続して実施しており、仕事への動機づけや上司部下間のコミュニケーション向上に努めています。職場全体での計画的な育成を通じて新入社員の着実な成長を促進するほか、全社員を対象としたサーベイを導入し社員のエンゲージメントを高める施策を推進します。
ⅱ 変革を実現する人材の育成と組織づくり
当社はこれまで組織全体のレベルを底上げするために階層別教育を推進してきました。今後は、成長し続ける組織の実現に向けて、自ら進んで学び、変革を起こせる人材の育成に注力していきます。外部環境変化が激しく正解を見出しづらい時代においては、社員一人ひとりが自己の能力を最大限発揮できる組織とすることが組織力強化につながります。
一方で、新人・若手教育においては、階層別教育が非常に重要であるため、継続して取り組みます。より「個人」にフォーカスし、「個人」のスペシャリティを高める教育への移行を企図しています。また、学びたいときに学べるプラットフォームも整備し、主体的な社員の学びをいつでも支援する仕組みを構築していきます。
ⅲ 多様な働き方の実現
日本において人口の減少が見込まれる中、出産・育児そして介護といったライフステージの変化を経ながらも、長く働くことができ、そしてそれぞれの社員が自己実現に向け取り組めるような環境づくりが必要です。多様な働き方につきましては、個人の裁量が増すことで自己実現的な働き方も可能となること、また仕事だけではなくプライベートを充実させることもできるため、生産性の向上及び定着率の向上という両面の効果が期待できます。
また、共働きが当たり前となり、夫婦が一緒に子育てをするという考え方が主流となりつつあります。当社は、多様な働き方を実現することで、社員一人ひとりの事情を尊重しつつ、業務に邁進できる環境を整備することで社員の能力を最大限発揮してもらい、当社を成長させていきます。その根幹には、社員の幸せが当社の発展につながるという考えがあります。そのために、労働時間の削減、育児・介護と仕事の両立支援等に取り組んでいきます。
ⅳ ダイバーシティ推進と人権意識の浸透
当社は、多様な人材による多様な働き方がイノベーションの源と考えています。「企業の中核人材における多様性の確保」は企業経営において重要であることは間違いありませんが、当社は中核人材のみならず全社員を対象とした多様性を推進しています。これは人材確保にもつながるため、全社を挙げて強力に進めていきます。
採用においては、女性や外国籍の人材確保を強化しており、特に、女性採用は「中期計画2024」の最終年度には新卒採用全体の30%以上とすることを目標としています。更に、女性用厚生施設の整備や女性のキャリア教育の拡充等、女性が活躍しやすい環境整備も同時に行っていきます。
また、2022年3月に人権方針を策定し、グループ全社員への人権意識の浸透やハラスメントの撲滅に取り組んでいます。
ⅴ 人事のDX推進
当社は、2022年7月にDX認定を取得し、全社の取り組みとしてDXを推進することを社内外に宣言しました。人事部においては、過去から蓄積してきた膨大な人事関連データの統合・解析・活用を進めています。
情報を的確かつ適時に引き出せる体制づくりを進め、人材の発掘、効果的な育成、公平な処遇を目指します。
③ リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、グループ全体のリスク管理に統合されています。詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ③ リスク管理」をご参照ください。
④ 指標及び目標
当社グループは、「DOWAグループのマテリアリティ」それぞれに指標及び目標を設定しています。人的資本に関する指標及び目標は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) 全般 ④ 指標及び目標」に記載していますので、ご参照ください。
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