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企業概要

当社グループは2030年に向けて、先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出する社会的価値創出企業への変革を進めることを「Purpose」として掲げ、さまざまなサービスやノウハウをデジタルの力でつなぎ合わせ、社会の共有財であるデジタルコモンズとして創造し提供する企業となることを目指した「Vision2030」を定めました。

また、「Vision2030」の実現に向けて、顧客の持続的成長に貢献する顧客DXの推進「For Customer」と、様々な業種業界のお客様、パートナーと共に社会課題解決を進める社会DXの推進「For Society」の2つの視点で経営方針(2021-2023)を定め、研究開発活動に取り組んでまいりました。

経営方針(2024-2026)では、持続性のある新たな事業ポートフォリオを生み出していくために、企業価値増大に向けた積極的な投資の推進により、研究開発費を更に拡充してまいります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は、4,534百万円であり、主な研究開発の内容は次のとおりです。なお、これらの成果は、各セグメントに共通することから、研究開発費のセグメント別の配賦は行っておりません。

(1)主なサービス・商品等の開発

①当連結会計年度に開発が完了し、商品リリース、サービス開始した開発案件

・AIを活用して電気自動車(以下、EV)の最適な充放電計画を作成し、遠隔で自動制御を行う「EV充放電サービス」の提供を開始。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環として、自治体や企業の公用車や営業車などをEVシフトする動きが加速する中、電力コストや運用管理などの課題が顕在化している。「EV充放電サービス」は、AIによる最適な充放電計画を作成し、需要家(EVユーザー)が所有するEVを“動く蓄電池”のようにエネルギーリソースとして用いることができ、放電による電気料金削減(ピークカット)や災害時のBCP対策などにEVを活用させることが可能になる。

・働く女性が抱える健康課題やライフプランの悩みを同じ悩みを抱える女性や専門家との対話を通して解決に導くデジタルサードプレイスとして、企業横断型のコミュニティーサービス「marbleMe®」を提供開始。働く女性が直面するさまざまな健康課題による経済インパクトは年間6兆円を超えると言われており、大きな社会課題となっている。企業の人事担当者は、「marbleMe」を通じて、労働生産性向上、女性活躍、ダイバーシティ推進、および、福利厚生の充実に向けた施策を検討することができる。

・国内の酒蔵と海外の輸入事業者をつなぎ、日本酒のクロスボーダー取引を支援するプラットフォーム「J’s Marketplace®」を販売開始。酒蔵や輸入事業者は「J’s Marketplace」を通じて、デジタル取引を行うと同時に輸送や通関に関する手続きを行うことができる。また、輸出経験が少ない酒蔵でも、日本語で注文を受け、簡単に輸出の取引ができるようになると同時に、輸入業者は、英語で酒蔵へ発注ができる。酒蔵や米農家の地域活性化、および、日本酒に代表される価値ある特産物の輸出バリューチェーンのDXを推進する。

・電子棚札の導入に伴うシステム構築、インフラ、運用・保守などトータルで支援するクラウドサービス「BIPROGY ESL SaaS」を提供開始。近年小売業界では、労働生産性の向上や作業効率化のため、電子棚札を導入する企業が増加している。「BIPROGY ESL SaaS」は、手軽に電子棚札を導入でき、従来のシステム構築・運用に必要であった設備投資や人員確保、育成の負担を軽減するほか、システムの拡張性や柔軟性、維持管理なども持続的にサポートし、小売業界の業務効率化を支援する。

・デジタルトランスフォーメーション(DX)につながるクラウド活用を検討されているお客さまに対し、解決策の提示、構築・移行、サポート・運用までをワンストップで提供する「クラウドDXセンター」を設立。パブリッククラウドへのシフトを進めDXを実現するお客さまを支援するためのアセスメント、要件確認から導入・構築、サポート/運用といった導入プロセスにおいて一貫したサービスを提供する。

・企業ユーザー様向けのクラウドサービス利用を支援するサービス体系「CLOUDForesight®」を提供。当社がこれまで培ってきたシステム構築ノウハウを活かしてクラウドサービス利用を支援する。サービスの提供は、Microsoft Azureおよびアマゾンウェブサービスが対象。

情報管理統制を高めることによりお客さまの負担を低減し、効率的に生成AIの業務利用を可能にする利用環境構築サービス「Azure OpenAI Service スターターセット Plus」を提供。「CLOUDForesight®」により、Azure OpenAI Serviceのお客さま利用環境に合わせた最適化、安定した運用を実現する。また、自然言語処理技術を活用した「RinzaTalk®」により、利用者の利便性の拡大とコンプライアンス対策を両立した運用を行う。

・アプリケーション開発/運用における技術・経験を統合したサービス「AlesInfiny®(アレスインフィニ)」を提供開始。DXを目指す企業に、クラウド時代の最新アーキテクチャと生成AI技術で、変化に強いアプリケーションの開発と運用を実現し、デジタル技術を活用したビジネス変革をお客様と共に推進することで、持続可能な社会の実現に貢献する。

・お客様のデータAI活用を支援するサービス体系「Rinza®」を提供。長年蓄積した様々な業種業態の業務知見に根差したデータ分析技術と、データを安全に蓄積し繋ぐ技術を基に、意思決定を支援することで、企業の課題解決や新しい価値の創出を支援する。

・スポーツビジネスにおける潜在的なファンをNFTにより識別し、永続的な関係性を構築する取組みなど、NFTをコミュニティへのコミットメントやメンバーシップとする新たなファンマーケティング、web3により台頭するコミュニティ・エコノミーに関連するサービスを企画開発。

②次年度以降の商品リリース、サービス開始に向けた開発案件

・高品質なデータ分析から、分析基盤の構築、データサイエンティストの育成まで組織全体にデータAI活用による意思決定を浸透させるサービスの開発を継続。従来、情報システム・IT部門向けが主流だったサービスに加え、業界や業種の特性に合わせて、生成AIなどの先進テクノロジーを活用し、事業部門が直面するさまざまな業務課題に対する新たなソリューションの取り揃えを強化する。

(2)新技術に関する研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が完了した案件

該当事項なし。

②次年度以降も研究開発を継続する案件

・未来における社会変化と技術活用の予測および先端技術の探索マップ整備、技術動向調査と事業機会の探索、技術全体のポートフォリオの整備・評価・運用。

・当社および顧客のサービスビジネスにおいて、市場や顧客のビジネス要求の変化に対し、迅速且つ安全なサービスを開発・提供・運用するための、DevOpsの採用技術の調査・セキュア環境基盤の開発。

・当社サービスビジネスの開発・運用に必要な指針や規約、ガイドドキュメントの開発、および、前提となるクラウドネイティブ開発領域の採用技術の調査・研究開発。

・AI応用領域(画像解析、対話支援、予測)とビッグデータ基盤技術を活かした顧客行動データモデルの分析基盤の開発、データマネジメント関連技術および分析ノウハウの調査・研究。生成AI技術のビジネス活用に向けた応用技術の開発と実装。

・web3関連技術の調査、パブリックチェーンにおけるウォレット、NFT/SBTの安全な運用方法の研究、分散型経済を実現する新たなビジネスモデルの試行。

・組合せ最適化の領域で実用化に向けた研究を進展させ、古典AI技術と量子アニーリング技術のハイブリッドによる問題解決手法の調査、検証。

(3)基盤となる技術や先端技術等の研究・開発

①当連結会計年度に研究開発が終了した案件

該当事項なし。

②当連結会計年度に研究開発を開始した案件

現実世界の現象をモデリングして仮想空間に取り込み、数理的な解析やシミュレーションによって、現象の解明や理解を促進することで課題解決につなげる手法の研究開発

③次年度以降も研究開発を継続する案件

・システム工学を土台とする、分野や業界を横断する複雑化した社会システム全体の見取り図となる社会システムアーキテクチャの研究開発。

・日常の当たり前を認識するAI、機械学習と言語学に基づく複合的な自然言語処理、発想や意思決定をサポートする技術の研究開発。

・仮想と現実の融合に関して、空間の認識および空間に情報を表現するための画像処理・画像認識を含むセンシング技術、直感的かつシンプルなインタフェース技術の研究開発。

・当社が培ってきたCAD・CG技術を発展させた、設計データと二次元画像・三次元点群データを利用した物体認識技術の研究開発。

・想定困難な事故が発生するリスクの高まりを見据え、信頼性・安全性を検証するための多面的な特性である“トラストワージネス(Trustworthiness)”に着目した、新たな安全分析手法の研究開発。

・データが不完全な(矛盾、曖昧さ、欠損を含む)場合であっても不合理な判断を引き起こさずに、適切な帰結を得ることができる新たな推論システムの研究開発。

・人の“思考”“動作”“心理”“身体”に基づいた、自らの可能性を知り、より良い選択ができるための技術の研究開発。

・社会課題解決、経済活動活発化等につながる、人の行動変容を導く技術の研究開発、施策立案者の意思決定の質をあげるデータ活用基盤の研究開発。

・その他、量子コンピューターの本格的なビジネス利用に備えた、量子ソフトウェア開発における高水準プログラム言語とそれを用いた開発方法論やツールとその活用についての調査・研究。

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