企業兼大株主BIPROGY東証プライム:8056】「情報・通信業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。

(1)サステナビリティ

 当社グループは、企業理念である「人と環境にやさしい社会づくり」への貢献のもと、Purposeを「先見性と洞察力でテクノロジーの持つ可能性を引き出し、持続可能な社会を創出します」と定めました。その実現に向け、環境・社会・ガバナンスの視点を考慮した企業活動を基本に、さまざまな社会課題解決に真摯に取り組んでいます。持続可能な社会の発展への貢献を通じた価値創造により、当社グループの持続的成長サイクルを確立し、サステナブルな企業グループとなることを目指します。

 そのため、当社グループは、一人ひとりが長期的な視野と志を持ち、社会課題解決の実績・知見と、志を共にする人々とのネットワーク、長年の経験に基づくデジタル技術を組み合わせて、「デジタルコモンズ」の社会実装を推進していきます。社会的価値、経済的価値双方を創出することで、環境・社会および当社グループ相互のサステナビリティを追求していきたいと考えています。

 当社グループ全体のサステナビリティ課題への取り組みにおいては、マネジメントとガバナンスの強化が重要であるとの考えのもと、推進体制を整備しています。SDGs貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるチーフ・サステナビリティ・オフィサー(CSO)を委員長とする意思決定機関「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、下部組織として、環境・社会の各分野別の委員会である「環境貢献委員会」「ソーシャル委員会」を設置しています。

① ガバナンス

 環境と社会のサステナビリティを巡る課題への取り組みのうち重要な事項に関しては、経営会議または各委員会にて審議・報告を行っています。

 また、取締役会においては、各委員会や各組織からのサステナビリティ課題への対応を含む主たる活動状況についての報告を受け、多角的な視点に基づいた議論と意思決定が行われています。

■サステナビリティ推進体制図

② 戦略

 当社グループは、「Purpose」および「Vision2030」のもと、グループ全体の企業価値を持続的に向上させるための次なるステージに向け策定した「経営方針(2021–2023)」の基本方針において、顧客DXの推進「For Customer」と、社会DXの推進「For Society」の2つの視点を定め、ビジネスエコシステム拡大による社会的価値創出への取り組みを行っています。「For Customer」では、価値創出の強化を図り、社会的価値の創出を通じて顧客の持続的成長につながるDXを推進し、「For Society」では、多様な業界の顧客・パートナーとのリレーションシップやベストプラクティスを活かし、社会や地球全体最適で捉えたビジネス構想の実現による社会課題解決を目指しています。当社グループはこれまで、顧客・パートナーとの関係性を強化し、業種・業界の垣根を越えて連携することでビジネスエコシステムを創出し、社会課題の解決を目指してきました。ビジネスエコシステムでは、1社ではつくれない競争優位性を多様なパートナーとともに構築していきますが、特定のパートナーが参加するため、そこには一種の排他性も生じます。一方、デジタルコモンズは誰もがオープンに利活用でき、知識を共有するコミュニティです。私たちは、お客様へのサービス提供を通じて獲得したアセットをもとに、ビジネスエコシステムを加速する価値創出サイクルを回すことで、社会実装ハンズオンカンパニーへと成長していきます。そして、2030年には、社会的価値と経済的価値の創出という両輪を回しながら、持続可能な社会づくりを実現するデジタルコモンズの提供者となります。

 「Vision2030」の実現に向けて、取り組んでいくべき重要課題をマテリアリティとして定め、KPIと目標を設定しています。当社グループのサステナビリティへの取り組みを経営に統合していくため、マテリアリティが経営の長期ビジョンに対応したものとなるよう、2021年度に改訂を行いました。

 当社グループは人財をビジネスの原動力と捉えています。「ビジネスプロデュース人財」の拡充やダイバーシティ&インクルージョンの進化なくして当社グループの成長はないとの考えのもと、ROLESを軸とした人財の可視化、タレントマネジメントシステムの構築、人事制度改革を進めています。2021年度に「なでしこ銘柄」に初選定されたのは一つの成果であり、今後も持続的成長を実現する人的資本の構築に注力し、経営戦略と人財戦略を連動させ、スピード感を持って取り組んでいきたいと考えています。

 一方、環境側面では、温室効果ガス排出量のScope3の算定や、気候変動シナリオの分析によるビジネス機会とリスクの抽出を行いました。今後環境ビジネスの機会の拡大がますます見込まれるなか、国産木材の利活用および流通を促進させる「キイノクス(KIINNOX)」などの新しいビジネスも生まれています。ゼロエミッション社会の実現に向け、デジタルを活用した環境貢献をますます拡大していきたいと考えています。

 他にも小売・メーカーとのSDGs企画を生活者へ発信することで継続的な社会貢献をサポートするソーシャル・アクション・プラットフォーム「BE+CAUS」や、顧客DXから社会DXに発展する事例など、「Vision2030」実現に向け、着実に進んでいます。

③ リスク管理

 当社グループは、リスクマネジメントに関する国際標準規格 ISO31000を参照し、リスク管理を統括する責任者その他必要な機関を設置し、以下の取り組みを行っています。

・損失の危険(リスク)管理に関する規程の策定

・リスクの発生を未然に防止するために必要な仕組みの構築・運営

・有事における対応

・リスク管理項目・体制の見直し

・取締役会への活動状況の報告

 また、適切な対応策を講じるための体制として、チーフ・リスク・マネジメント・オフィサー(CRMO)を委員長とするリスク管理委員会を設置しています。万が一、重大リスクが発生した際は、発生部署または各委員会などからリスク管理委員会へ速やかに報告され、そのリスクの影響度に応じて「対策会議」または「対策本部」を招集・設置し、迅速かつ的確に対処する体制を構築しています。各組織の責任者は、自部門のリスク管理のための役割・責務を担い、重大なリスク発生時には被害を最小化し、事業継続のために全社員が一体となって危機対応が行える体制を整備しています。

 中長期的なリスクマネジメント戦略としては、「グループ全体のリスクマネジメント機能の強化」「グループ役職員のリスク管理能力向上」「リスクマネジメントシステムの改善・高度化」を重点施策としています。これらの施策を着実に推進するため、年間を通じたリスク事案の把握とモニタリング、新たに顕在化した課題を踏まえた改善策の立案、全社員へのリスク意識・知識の啓発など、PDCAサイクルを実践しています。

④ 指標及び目標

 当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、新たなマテリアリティとして特定し、2021年度より取り組みを進めています。

■マテリアリティ概要

(2)個別項目

① 気候変動

 地球温暖化に起因する気象災害の激甚化や生態系の破壊など、現在および将来世代の生存基盤への脅威に対する関心が高まっています。国際社会においては、今世紀半ばでのカーボンニュートラルに向けて、資源の有効活用と地球環境への負荷ゼロを目指すゼロエミッションの取り組みが加速しています。

 こうした状況のなか、当社グループでは、環境課題への対応は将来世代に対する責務であると認識し、ゼロエミッション社会の実現に向けた想いや方向性を示した「環境長期ビジョン2050」や「Vision2030」のもと、環境経営の強化を図ってきました。また、RE100やTCFDなどのイニシアチブやパートナーシップへの参加を通じた協働や、従業員の環境意識向上に向けた教育等の施策を推進しています。そうしたなか、2021年からは、マテリアリティの取り組みとして、環境貢献の見える化や負荷低減の施策を強化しており、新たにGHGプロトコルに準拠した温室効果ガス排出量(Scope1,2,3)の算定とその第三者保証を取得しました。

 さらに、2022年度には、当社グループの環境経営のさらなる強化のため、マネジメントの基盤となるISO14001に準拠したグループ環境マネジメントシステムの運用を、環境貢献に関する対応方針の検討、環境貢献を推進するための仕組みの設計と実行状況の管理・監督を行う「環境貢献委員会」の活動に統合しました。

■環境長期ビジョン2050

a.ガバナンス

 当社取締役会における気候関連課題の責任者は、当社グループの「持続可能な開発目標(SDGs)」貢献への取り組みおよびサステナビリティ経営戦略の統括責任者であるCSOが担当しています。

 また、当社グループの気候変動を含む環境課題への対応は、CSOが委員長を務める意思決定機関「サステナビリティ委員会」または下部機関の「環境貢献委員会」にて審議・意思決定を行います。そのうち、経営上重要な事項や年間活動実績・進捗の経営会議、取締役会への報告は、当社のコーポレート・ガバナンス体制に則り、CSOが行います。主な報告事項には、気候関連課題への対応を含むマテリアリティの各種施策の定性的目標と定量的目標の進捗などがあり、助言や指導に基づく監督を受けています。

 気候関連目標などに対するインセンティブについては、2021年6月より導入した役員報酬制度にて、長期業績条件を盛り込んでいます。長期業績におけるKPIの条件には、マテリアリティのKPIである温室効果ガス排出量削減目標を含むESG指標などを設定しています。

b.戦略

 当社グループは、気候変動への対応は、企業価値にさまざまな形で影響を及ぼす重要な経営課題であり、不確実な状況変化に対応し得る戦略と柔軟性を持つことが重要であると考えています。また、当社グループの主要事業であるデジタル領域のサービスは、今後の環境課題の解決において重要な役割を果たすとともに、当社グループの企業価値向上に寄与する成長機会であると認識しています。このような認識のもと、「Vision2030」の実践において道しるべとして掲げた3つの社会インパクト(ゼロエミッション、リジェネラティブ、レジリエンス)の創出を最大化し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。

 2021年度からは、マテリアリティを中核とした取り組みの推進に加え、環境貢献委員会の活動の一環として、全社横断型のプロジェクトによる気候関連シナリオ分析によるビジネス機会とリスクの抽出およびそのインパクト評価を継続して実施しています。2022年度の評価では、当社グループの気候関連のビジネス機会の最大化とリスク低減において、特定した環境貢献領域を中心とした社会課題解決型ビジネス創出力や技術力の強化とともに、戦略投資や情報開示の重要性を再確認しました。

 これらの評価結果を適切に事業戦略に反映していくことで、マテリアリティの実効性を高め、カーボンニュートラルやサーキュラー・エコノミーなど、気候関連課題の解決に貢献する新たな製品やサービスの開発・提供への取り組みを加速し、ゼロエミッション社会の実現への貢献を通じた収益拡大を目指していきます。同時に、再生可能エネルギーの調達や自社の事業活動の低炭素化への取り組み強化など、温室効果ガス排出量削減施策の強化により、今後の炭素排出関連コスト上昇の抑制を図ります。

c.リスク管理

 当社グループは、気候関連リスクのグループリスクマネジメントシステムへの統合を実施しました。当該システムを統括する「リスク管理委員会」が整備する、グループ全体のリスクを一元的に把握可能な共通管理基盤である「リスク分類体系」に「気候変動リスク」を追加し、「気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク(インパクト評価)」の抽出で特定された気候関連リスクのうち、当社グループの事業に対し重要度が高いと評価された項目を、管理対象として登録しています。なお、当社グループのリスクマネジメントに関する体制やプロセスは、「リスク管理委員会・事業継続プロジェクト規程」およびその他関連規程にて明文化され、イントラネットなどを通じてグループ内に広く周知されています。

d.指標及び目標

 当社グループは、2021年にマテリアリティで設定した温室効果ガス排出量削減などの目標達成に向けた取り組みを着実に進めています。

ITサービスを中核とした当社グループの温室効果ガスの排出量の多くは、電気の使用によるものです。そのため、RE100に加盟し、購入する電気の再生可能エネルギーへの転換を進めており、2022年度末時点の再生可能エネルギー調達率は23.4%となりました。加えて、オフィスや機器の効率利用などによる省エネルギー施策も推進しています。これらの取り組みの結果、2022年度の当社グループScope1+2(マーケットベース)温室効果ガス排出量は、2019年度と比較して25.1%削減となりました。

 なお、当社グループは、パリ協定の目標に基づいた温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science-BasedTargets)認定の取得を目指し、2022年にコミットメントレターを提出しています。

KPIと目標(達成年度)

2022年度実績と今後の取り組み

環境貢献型製品・サービスの提供を通じたゼロエミッションへの貢献として、ゼロエミッション達成率100%以上

(2030年度まで年次)

174.6%

モニタリング指標「ゼロエミッション達成率」の算定ロジックと社内管理の仕組みを整備し、当社グループによるお客様や社会に対する温室効果ガス削減貢献量の見える化を実施した。引き続き、事業活動におけるGHG排出量の削減に努めるとともに、環境貢献型製品・サービス提供の拡大を図っていく。

気候変動シナリオ分析によるビジネス機会とリスク抽出(インパクト評価)およびリスク対応率100%

(2030年度まで年次)

100%

全社横断型のプロジェクトによる、気候変動関連のビジネス機会とリスクの抽出とインパクト評価を実施するとともに、抽出した気候変動リスクを当社グループのリスクマネジメントシステムに統合した。今後も、機会とリスクの見直しとリスク対応を継続していく。

グループの事業所における再生可能エネルギー調達率50%以上(2030年度)

23.4%

2021年度より再生可能エネルギーの調達を開始。調達電力の23.4%を再生可能エネルギー化し、目標の達成に向けて計画通り順調に進捗中。今後も、再生可能エネルギー需給を積極的に推進していく。

GHG排出量(Scope1+Scope2)削減率(2019年度比)50%以上(2030年度)

25.1%

調達電力の再生可能エネルギーへの転換を進めるとともに、テレワークの推進やオフィス・機器の効率利用等による省エネルギー施策を推進した結果、基準年比で25.1%を削減。今後も同様の取り組みを継続し、排出量削減を図っていく。

サプライチェーンGHG排出量のScope3の情報開示と目標設定(2022年度)

2021年度より収集・集計ルールを明文化し、Scope3を算定した。算定値については、第三者の独立した保証声明書を取得のうえ、情報開示し計画通りに進捗。

2022年度にScope3排出量削減の目標設定を計画通りに進捗。

購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する(目標年:2027年度)

※ゼロエミッション達成率=(環境貢献型製品・サービスの売上× GHG 削減貢献係数)÷(BIPROGYグループのScope1+2GHG 排出量)

 「2022年度までにサプライチェーンGHG排出量のScope3の情報開示と目標設定」については、2021年度からGHGプロトコルに基づきScope3の算定を開始し、第三者による環境データに関する保証声明書を取得し公開しました。なお、Scope3排出量削減目標を2022年度に設定しました。

Scope3排出量削減目標:

 購入した製品・サービス(カテゴリ1)の調達金額の40%を占めるサプライヤーがSBT相当の目標を設定する

 (目標年:2027年度)

■データ

 

2022年度

再生可能エネルギー調達率(%)

23.4%

温室効果ガス排出量

 

 

直接的温室効果ガス排出量Scope1(t-CO2e)

1,406.01

 

間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(マーケットベース)

9,347.43

 

間接的温室効果ガス排出量Scope2(t-CO2e)(ロケーションベース)

12,370.24

 

間接的温室効果ガス排出量Scope3(t-CO2e)

615,597.43

※集計範囲は、BIPROGY㈱ほか投資事業有限責任組合を除く連結対象の25社(国内外主要拠点)です。

 なお、2021年度からGHGプロトコルに準拠して算定しています。Scope2のロケーションベースとマーケットベースは、GHGプロトコルScope2ガイダンス2015年版の定義によります。

(3)人的資本

 当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて、「新たな未来を創る人財の創出・進化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」を掲げ、競争優位の源泉である「人的資本」の強化を行い、「社会的価値と経済的価値の創出」を推進します。

① ガバナンス

 当社グループでは、社会からの要請を考慮して抽出した重要項目をもとに社会や当社グループへの影響度を踏まえ、マテリアリティとして特定し、取り組みを進めており、事業成長を支える基盤となるマテリアリティとして、「未来に向けたイノベーションを創出することができる個の多様性、専門性、価値観を認め合い受容する人財・組織・企業風土を醸成する」ことを目指す姿として全グループで人的資本の強化を推進しています。

 また、2023年度からは、人的資本におけるグループ全体戦略を管理対象とし、グループ全体での統制を図る組織として、人的資本マネジメント部を新設し、人財のポートフォリオ管理を行い、人的資本を可視化するとともに、グループ人財戦略の立案・推進を行います。

② 戦略

 当社グループでは、人財は企業における重要な資産(アセット)であり、人財こそが企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上の原動力であると捉え、多様な価値観とバックグラウンドを持つ社員が個々の能力を最大限に発揮できる職場や環境づくりに努めるとともに、イノベーションを継続的に創出できる人財改革・風土改革に取り組み、社会的価値創出企業の変革を着実に進めています。

■ROLESを軸とした人的資本サイクル

 先見性と洞察力、テクノロジー、ビジネスエコシステムを掛け合わせ、社会課題解決を目指していくには、顧客・パートナーを巻き込み、ビジョンや価値観を共有して、ともに新しい社会価値を創出していける人財が必要です。

 当社グループでは重点施策の一つとして人財戦略に取り組んでおり、2018~2020年度の中期経営計画「Foresight in sight 2020」では、「思考変革・スキル変革」「ビジョン・戦略の浸透」「イノベーションの創出」の3点を重視した施策に取り組んできました。具体的には、自力で新規事業創出ができる人財育成プログラムや、社員のチャレンジを重視した人事考課、働き方改革の実施のほか、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の風土浸透などです。

 「Vision2030」では、デジタルコモンズの創出・提供による持続可能な社会の実現のため、ビジネスエコシステムのパートナーと共に、新たな価値が創出できる人財の輩出を目指しています。そのため、タレントマネジメントシステムの構築・運用を進め、ROLESを軸とする「HRアーキテクチャ」を基に、人財マネジメント(HRM)、人財開発(HRD)施策を推進しており、「事業戦略と人財戦略の連動強化」「キャリア自律・リスキリングの促進」「DX人財やビジネスプロデュース人財など、重点分野をリードする人財の獲得と育成」を主要施策として推進しています。

 これらの取り組みの積み重ねが、数々の新規事業創出につながっています。今後も「Purpose」を指針とし、自律的・主体的に対話でき、周囲の社員はもちろん、社外の人財も巻き込みながら、より大きな価値を生み出せる力を持った人財の育成を戦略的に進めていきます。

■ビジネスプロデュース人財

 ビジネスエコシステムをさらに拡大させていくには、社会インパクトを自ら創出でき、事業創出に関する専門性を持つ人財が必要です。当社グループではこうした人財を「ビジネスプロデュース人財」と呼び、マテリアリティのもとでもKPIを定めて育成に取り組んでいます。2010年度より継続してNext Principalプログラムを実施しており、同プログラムの参加者は2010年度~2022年度で延べ約397名となりました(2022年度の参加者は17名)。また、2019年度から継続して、毎年、顧客企業、協力企業を招いてのアイデアソン/ハッカソンを実施しているほか、海外派遣、国内大学への留学、フィールドワーク体験など、外部への人財の派遣も行っています。さらに、サービスビジネス推進のため、プロダクトオーナー育成プログラムを企画、施行しています。

■キャリア自律・リスキリングの促進

 当社グループでは、人的資本への継続的な投資は、時代とともに変化する社会課題を解決していくうえで、欠かすことのできないものだと考え、社員のスキル・能力開発や組織力強化などに投資し、イノベーションを生み出す多様な人財およびシステム実装力を備えた人財の能力のさらなる強化を図っています。今後も引き続き社員のキャリア自律、リスキリングの促進を進めていきます。

■働きがいのある職場づくり

 当社グループでは、自律的に考え、イノベーションを創出できる多様な人財が、最大限に能力を発揮することができる働きがいのある組織・職場づくりを行うことは、成長と競争力の源泉となると考えています。そこで、当社グループでは、「残業メリハリ活動」などの施策推進により、平均残業時間の削減に努め、働き方改革および健康経営を実践するとともに、社員のモチベーション向上に努めています。

1)働き方改革

 当社グループでは、働き方改革として、社員が自分自身のライフスタイルや社会の環境変化に柔軟に対応しながら、成果を出し続けられる働き方を実現することを目指しています。働き方改革の目的として「社員一人ひとりの最大限のパフォーマンス発揮」と「新たな価値の創出」の2つを設定し、様々な取り組みを展開しています。2022年度には、テレワークをコロナ対策としての一時的措置ではなく多様な社員のパフォーマンス発揮を促す働き方の一つと位置付け、テレワークの制度化を実現しました。これにより、テレワーク実施日数の上限が撤廃されるとともに、テレワーク実施場所の制限も緩和され、テレワーク活用の機会が広がりました。また、通院などによる業務時間内の中抜けを可能とするため、時間単位年休の制度を導入しました。時間単位年休は介護に加え育児の事由でも取得可能とするなど、柔軟な働き方を工夫しています。

2)健康経営

 当社グループでは、CEOがチーフ・ヘルス・オフィサー(CHO)となり、社員の健康の保持・増進・管理に取り組んでいます。「生活習慣病予防」「メンタルヘルス対策」「オープンイノベーションの取り組み活用」の3つをテーマに、「健康増進」「早期発見・対応」の強化による社員の健康増進に取り組んでおり、特に「予防」「早期発見・早期対応」の観点から、血圧リスク者への対応や、メンタルヘルスを原因とする休職者の休職日数減少を目指した取り組みなどを通じて、より積極的に社員の健康増進に寄与していきたいと考えています。

■多様な人財の活躍

 当社グループでは、一人ひとりが「個」の多様性を高め、互いの個性を尊重しあい、自らの個性や想像力を発揮できる風土の醸成を目指しています。D&I強化に向けては、KPI(女性管理職比率、障害者雇用率)と目標を掲げ、以下の施策を推進しています。女性従業員比率はもとより、女性管理職比率、障害者雇用率は過去6年間で着実に伸びています。

1)女性活躍推進

 マテリアリティにおいて、2026年4月1日時点で女性管理職比率を18%以上にするというKPIを設定しており、組織およびグループ各社ごとの組織長登用計画を策定し、ソーシャル委員会やその上位のサステナビリティ委員会、取締役会におけるモニタリングや報告の仕組みを構築して人財パイプライン形成を強化しています。なお、当社単体目標としては、女性活躍推進法に基づく行動計画において、2025年度までに「女性管理職を2020年度の2倍」「女性役員比率20%」としており、役員比率は2022年度に20.6%となり目標を達成しました。また、WEPs(Women’s Empowerment Principles)への賛同、日経ウーマンエンパワーメントコンソーシアムへの加入、日本経済団体連合会の「2030年30%へのチャレンジ」への賛同など、社外イニシアチブに積極的に参加しています。

2)トップダウン/ボトムアップ双方からのD&I推進

 現場部門の社員による対話を通じた主体的な取り組みにより、D&I 自走化を目指す活動を拡大しています。役員や組織長からなる「スポンサーチーム」が現場部門での活動を支援し、D&I推進のムーブメントを起こすことを目指しています。一方、取締役会や経営リーダーが一堂に会する会議などにおいて、ダイバーシティの課題や取り組みについてディスカッションの場を設けるなど、トップダウン/ボトムアップの双方からD&I推進を展開しています。

3)社員の意識・行動変革を促す研修プログラム

・ダイバーシティ・マネジメント研修

・女性向けダイバーシティ育成プログラム

・全社員向けダイバーシティeラーニング

4)ライフイベントを前提とした両立やキャリア構築支援

 女性社員の育児休職の取得率・復職率は10年以上ほぼ100%を継続しており、男性社員の育児休職取得率・平均取得日数も継続的に上昇しています。また、介護・育児と仕事を両立するための情報提供やセミナー、育児休職取得前後の三者面談(本人・上司・ダイバーシティ推進担当)を実施。ライフイベント等により制約のある社員が、昇進・登用にあたり不利にならず、能力に応じた適切な評価がされる制度設計と運用を徹底しています。

5)LGBTへの理解・支援施策

 グループ・コンプライアンス基本方針、人権方針などでセクシュアル・マイノリティに関する方針を明文化するとともに、配偶者およびその家族に関わる制度に同性パートナーへの適用を追加するなど、人事制度への対応を拡大しています。また、全グループ社員が受講可能なeラーニングの実施や、理解者・支援者を表すAlly(アライ)シール、LGBTハンドブックの配布など理解浸透のための施策を実施しています。2022年4月にはBusiness for Marriage Equalityに賛同、PRIDE指標2022ではGOLDを受賞しました。

6)障害者雇用の維持・拡大

 当社グループでは、障害がある方の採用から入社後のフォローまで、一貫してサポートを行う体制を構築しています。2018年2月にBIPROGYチャレンジド(株)を設立し、ICTを活用したWebアクセシビリティ検査を主業務とした完全在宅型の勤務により、障害がある方の就業を実現しています。また、障害がある方が農作業を通じて心身の健康を保ち、やりがいのある仕事に取り組んでもらうことを目的に、2020年8月に屋外農園「ワクワクふぁーむ」を開園しました。

③ 指標及び目標

 当社グループでは、マテリアリティとして「新たな未来を創る人財の創出・強化とダイバーシティ&インクルージョンの進化」に関して、KPIと目標を設定し推進をはかっています。

KPIと目標(達成年度)

2022年度実績と今後の取り組み

事業創出に関する専門性を備えた「ビジネスプロデュース人財」数

2021年度比2倍(2023年度)

37人

経験者採用の強化と人材育成を並行して実施。ビジネスプロデュース関連のeラーニング、セミナーを実施。また実践型の事業創出ハンズオン、伴走型の実践ワークショップを実施。今後は、業務アサインメントの推進および人財のパイプライン化を図る等、さらなる実効性のある仕組みの検討、実施が必要。

女性管理職比率 18%以上(2026年4月1日時点)

10.2%

(2023年4月1日時点)

目標達成に向けた各社の組織長登用計画をまとめた。

モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。

障害者雇用率 法定雇用率+0.1%以上(年次)

2.84%

障害者雇用施策の推進、特例子会社の活動、グループ会社での雇用促進により雇用目標2.4%(2021年度の法定雇用率2.3% +0.1%)以上を達成。モニタリングの信頼性向上のため、算出値について第三者の独立した保証声明書を取得。

エンゲージメント調査における働き方関連項目の加重平均スコア2019、2020年度のスコアを平均した値(3.36)以上(2023年度)

3.47

コロナ禍のためテレワークの拡大に伴い人事制度を整備し、活用が進んでいる。一方で、テレワークの長期化に伴うコミュニケーション不足などの新たな課題が生じ始めており、対策を検討し順次進めている。

健康診断での血圧リスク者への診療所での診察 および保健師による生活習慣指導率Ⅱ度・Ⅲ度高血圧者への対応100%(2023年度)

Ⅱ度 100%

Ⅲ度 100%

Ⅲ度高血圧者への産業医面談、保健指導、診療所での投薬を実施。また、社員の健康管理意識の醸成のため情報発信、eラーニング、イベント、ヘルステック活用、安全衛生管理規程の規程化を実施。

今後、さらに社員の健康管理の実行動へつなげていくため、インセンティブや安全衛生管理規程の適用を検討していく。

メンタル休職者の総休職日数 2019・2020年度の平均日数比

△5%(2023年度)

年間1.4%増

健康ポータルの見直しと安全衛生管理規程を新設し、カウンセリングへの誘導を進めるためにeラーニングを通じた相談窓口の認知向上を実施。外部リワークプログラム活用や、外部Employee Assistance Program(EAP)、サーベイツール導入に向けた検討を実施し、外部リワークプログラムについては導入に向け準備中。今後は休職日数の減少を図るとともに、休職を予防する観点からも施策を検討し、実施していく。

社会貢献活動への役職員参加人数 2020年度比20%増

(2023年度)

70%増

オンラインによる寄付先との交流などコロナ禍でも参加しやすい社会貢献の企画を拡充。今後、行動制限緩和など社会状況も注視しつつ、 「知る・気づく」オンラインプログラムや「参加する・行動する」対面型のプログラムを組合せ、参加しやすい柔軟な社会貢献プログラムの企画を進める。

※女性管理職比率は、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱、UEL㈱、㈱国際システム、エス・アンド・アイ㈱、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ㈱、USOLベトナム㈲の7社を対象とし、BIPROGY㈱、ユニアデックス㈱は業務執行役員及び組織長を、他5社は役員・業務執行役員及び組織長相当を集計。

 従業員意識と組織課題を可視化する重要な取り組みとして、エンゲージメントサーベイを実施しています。全グループ社員を対象に、2013年度から定期的に実施しており、サーベイの結果は経営陣も含めて分析し、分析結果と外部コンサルタントのアドバイスのもと、各部門の責任者が自組織の課題に対するアクションプランを設定・推進し、組織づくりに活用しています。2021年度からは、さらに各組織の取り組みを支援する施策も追加しました。

 上司と部下との対話を行う「ユアタイム(1on1)」の実践により、テレワーク主体の業務においても、より深いコミュニケーションを図っています。管理職に対しては、「ユアタイム」を効果的に進めるスキル(コーチング、ティーチング、フィードバック)の向上と支援を目的として、ユアタイム説明会・ガイドやツールの提供・悩みについて情報交換を行うワークショップなどの施策も実施しています。また、人事評価の制度においても、企業理念の遵守・実践、コンプライアンスの遵守という視点に加え、自己啓発、自立志向、チャレンジ、チームワークや情報発信の姿勢や働き方変革力の観点から行動評価を行っており、社員が高い意識を持つことができるよう多角的に取り組んでいます。

 

■人権への取り組み~人権デューデリジェンスの実施

 近年、人権に関する指針やガイドラインが日本の関連機関や経済団体から示され、日本企業においても人権尊重への取り組みが経営上の必須課題となっています。当社グループは、「世界人権宣言」および「ILO中核的労働基準」等の国際規範を支持し、人権尊重を企業活動における重要な要素と認識しています。

 当社グループでは、バリューチェーン全体における人権に関する事業リスクを低減させるため、人権デューデリジェンスを実施しています。2020年6月には、「ビジネスと人権に関する指導原則」をもとに、「BIPROGYグループ人権方針」を公表しました。マテリアリティにおいて「BIPROGYグループにおける人権課題への対応着手率」を2023年度に100%にするKPIを設定しており、2021年度においては、当社グループ全体を対象に、事業に関わる人権リスクについて、現状の把握および特定を行いました。当社グループ共通の人権課題は以下の通りとなり、順次対応策を検討し、着実に取り組みを進めています。

 

BIPROGYグループ共通の人権課題

・人権方針の周知徹底

・責任ある調達とその管理

・ステークホルダーエンゲージメントの実施

・外部からの苦情処理メカニズムの整備

・「表現の自由」への取り組み

・「倫理的/責任あるマーケティング」への取り組み

 

■第三者保証

報告データの信頼性を高めることを目的に第三者保証機関による保証を受けています。

独立保証声明書 https://sustainability-cms-biprogy-s3.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/pdf/IAS_2023_ja.pdf

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