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企業概要

(1) 研究開発活動

 当社グループの事業である電子制御機器に係る研究開発活動は当社が担っております。
 当社グループの主力製品は、交通システム機器、メカトロ機器、特機システム機器を三本柱としており、これらに共通したチケット(T)、紙幣(B)、コイン(C)、カード(C)関連機器を中心に、多様化・高度化する市場ニーズを的確に捉え、それらに適応できる新製品を研究・開発して、タイムリーに提供することを主眼とした活動を行っております。
 当社の研究開発活動の取り組み方法としては、①社内及び関係会社の社員から出された新製品開発提案、②市場ニーズに基づき社内検討の結果、開発の必要性が認められた新製品、③特定顧客から具体的な開発依頼のあった新製品、④現在、生産・販売している既存製品のモデルチェンジの4つのルートにより提案され、審議を経て着手が決定された新製品・新技術の開発を行っております。
 当連結会計年度に実施した各機器における主な研究開発活動は次のとおりであります。

 駅務機器関連では、紙の磁気乗車券に代わってQR乗車券を改札機にかざして入退場を行うABT方式によるQR専用改札機の開発を行い、フィールド試験に向けた準備を進めています。ABT方式は、乗車券の固有IDを使用し乗降情報をサーバ上で管理して改札処理する方式です。この方式を用いた改札システムは、幅広い応用が可能と考えられます。鉄道における新しいサービスの提供を積極的に取り組んでまいります。

 ホームドア関連では、列車の到着を検知してホームドアが自動的に開扉する方式の場合、乗車可否に関わらず開扉動作が行われ、回送列車の場合でもホームドアが開いてしまう問題があります。乗車可能列車であるか回送列車であるかの区別を物体検出技術により判定を行う技術開発を行いました。フィールド試験を通して装置性能を検証し、実フィールド環境下で耐えうる運用の確認を行いました。駅ホームの更なる安心・安全性向上の対策を進めてまいります。

 貨幣処理装置関連では、紙幣払出装置の機能・性能を向上させた製品リニューアル開発を行い、販売を開始しました。誤払出防止機能の強化、現金補充の容易性や保守性の向上を図りました。また、海外向け仕様に対応可能な設計がされており、一部の国向けに対して性能確認を実施しました。

 紙幣処理装置に関しては、2024年に予定されている新紙幣についても対応可能なものとしております。

 特機機器関連では、社会的なキャッシュレス化の広がりを踏まえ、入退場システムのキャッシュレス決済の強化を図る開発を行い、販売を開始しました。クレジットカード・QRコード(注)・ICカードなどの決済が可能となり、利用者の利便性向上や現金を介した接触機会削減、精算業務負荷の削減など、市場ニーズに応えた製品となっております。

(注)「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。

(2) 研究開発の体制

 当社の研究開発の体制は、機構設計センター、メカコン設計センター、システム設計センター、NTC開発センター、TPPセンターおよび品質保証センターで組織されており、全社的な協力体制の下で運営されています。
 機構設計センターは、交通システム、メカトロ、特機システム各機器の機械設計の研究開発業務を担当する部門であります。
 メカコン設計センターは、交通システム、メカトロ、特機システム各機器のファームウェア設計の研究開発業務を担当する部門であります。
 システム設計センターは、交通システム、メカトロ、特機システム各機器のソフトウェア設計の研究開発業務を担当する部門であります。
 NTC開発センターは、将来の新製品開発に必要不可欠な基本技術の確立を目的とした基礎研究業務を担当する部門、交通システム、メカトロ、特機システム各機器の電気設計の研究開発業務を担当する部門であります。
 TPPセンターは、コスト管理、開発試作機の迅速な完成を目的として、開発製品の部材調達から組立、調整までを担当する部門であります。
 品質保証センターは、開発製品に対して、当社制定の品質標準規格に基づき、機能、性能、信頼性、安全性等の総合的な評価試験を行い、基準に合格した製品であることを認証し、保証する部門であります。
 以上の各部門が相互に協力しあうことによって、開発期間の短縮を図り、高性能、高品質な製品を開発し、市場ニーズに合致した新製品をタイミングよく顧客に供給できるような体制で研究開発を行っております。
  なお、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は432百万円であり、連結売上高の3.3%に相当致します。

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