企業兼大株主電通グループ東証プライム:4324】「サービス業 twitterでつぶやくへ投稿

  • 早わかり
  • 主な指標
  • 決算書
  • 株価
  • 企業概要
  • 企業配信情報
  • ニュース
  • ブログ
  • 大株主
  • 役員
  • EDINET
  • 順位
  • 就職・採用情報

企業概要

(1) 中期経営計画の達成見込とその要因

2024年度を計画最終年度とする現行の中期経営計画は、資本配分やESGに関する一部コミットメントについては達成に向けて進んでいるものの、2023年度の厳しい実績等から、オーガニック成長率とオペレーティング・マージンについてはコミットメント達成が困難な状況となっております。具体的には、オーガニック成長率を2021年に対して2024年まで年平均成長率(CAGR)4~5と見込んでおりましたが、2023年度通期実績は△4.9、2024年度業績予想は約1となっており、その達成は困難となりました。また、オペレーティング・マージンについても同様に、2023年まで17~18の範囲で管理した上で2024年には18を確保することを目指しておりましたが、2023年度は14.5という実績となり、2024年度は約15となる予想であります。

 中期経営計画のコミットメント未達の要因を分析する中で、金融・テクノロジー関連クライアントの支出減少や、コンサルティング会社・テックカンパニー等との競争の激化など当社グループを取り巻く外部環境の変化だけではなく、当社グループ自身に複数の内部要因が存在していることを認識しております。具体的には、買収に偏重した成長戦略を取っていたことで必要な内部投資が不足していたこと、各サービスを提供する組織間のサイロ化により統合ソリューションの提供実現に遅れが生じていること、買収を加速する中でビジネスオペレーションが複雑化/複層化しコスト構造改革が遅滞したことなどが主要な要因であり、2023年に導入した「ワン・マネジメント・チーム」の下、これらへの対策に着手しております。

(2) オーガニック成長への回帰に向けて経営資源を集中

 こうした状況を踏まえ、特に2024年に取り組むべきは、経営資源をコアビジネスの強化によるオーガニック成長へと集中的に振り向けていくことだと考えております。

 当社グループの強みは、マーケティング、テクノロジー、コンサルティングが融合する領域において、保有するユニークで多岐に渡るケイパビリティを統合して、顧客企業のトップライン成長を実現する「Integrated Growth Solutions(インテグレーテッド・グロース・ソリューション)」であります。この強みを進化させるため、既に獲得したアセットの進化や、他のケイパビリティとの統合の促進に注力してまいります。

 これを実現するために、本年よりグローバルに一貫した「One dentsuオペレーティング・モデル」を導入しております。これを通じ、真にクライアント中心のソリューション提供体制を敷き、地域間・プラクティス間の協業を加速するとともに、オペレーションや組織の簡素化などを通じて、成長への回帰と収益の改善を図ります。

(3) 2024年度のアクションプラン

 より確かなオーガニック成長を実現するために、当社グループが2024年度に取り組むアクションを「Integrated Growth Solutionsを実現するための内部投資」「事業ポートフォリオ変革と財務規律の強化」「ガバナンス及び内部統制の再構築」の3つに整理しております。

① Integrated Growth Solutionsを実現するための内部投資

 まず、当社グループの事業戦略の核となる「Integrated Growth Solutions」の提供による健全な事業成長を実現するために、内部投資を強化します。具体的な投資領域としては、アカウンタビリティの高いソリューションの提供を実現するためのデータ&テクノロジー領域や、「Integrated Growth Solutions」の提案と実行を担う人財育成・獲得、ビジネスオペレーションとエンタープライズプラットフォームの強化などが挙げられます。

② 事業ポートフォリオ変革と財務規律の強化

 事業戦略推進に当たっては、One dentsuの一貫した戦略に基づき、注力すべき事業領域や市場を絞り込みます。当社グループは世界140か国以上での自社ネットワークによるサービスを提供しておりますが、当社グループの推進する戦略に照らして、注力すべき市場やサービスを明確にし、集中的にリソースを投下してまいります。また、これまで売上総利益に占める「Customer Transformation & Technology(カスタマートランスフォーメーション&テクノロジー)」領域の構成比を50へ高めることを目指し、当該領域での買収を積極的に行ってまいりましたが、当面は獲得した既存アセットのPMIやシナジー創出に注力し、業績推移や戦略貢献のモニタリング体制の強化など投資活動全般の規律を高めてまいります。また、事業ポートフォリオの変革にも取り組み、不採算な事業や市場の再建や見直しを進めてまいります。なお、このような変革を遂行し、健全な事業成長を図るに際し、財務面からの規律を徹底するため、取締役会の諮問機関として、社外取締役を中心に構成されるファイナンス委員会を新設することを決定しました。同委員会には、事業推進の支援とともに、規律のある財務戦略・方針の策定、資本配分の見直し、株主視点での財務指標の設定、及びそれらの履行状況のモニタリング等を通じて、財務ガバナンスの高度化を支援いただきます。

③ ガバナンス及び内部統制の再構築

 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるテストイベントの入札等事業に関して、当社は、2023年2月28日に独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会から刑事告発され、東京地方検察庁により起訴されました。その後、当社は、外部有識者による「調査検証委員会」から受領した本事案の原因分析と提言に則り、dentsu Japan改革委員会による「意識行動改革」を策定し、役員・従業員一同、問題の再発防止に取り組んでおります。また、複数の国で構成され、複数の通貨が流通するDACH(ドイツ・オーストリア・スイスで構成する)区域において、人事システム、プロジェクト管理システム、財務システムの変更を含む複数の変革・統合作業を同時並行で実施したため、いくつかの業務プロセスとシステムの間に不整合が発生したことを背景として、一時的な財務影響を認識しました。この要因について、包括的な内部調査、当社グループのグローバル・ゼネラル・カウンセル(法務責任者)と内部監査部門が任命した外部法律事務所および外部会計事務所による調査、および内部監査部門による調査・分析を行いました。その結果、主な要因は不十分なプロジェクト管理等であったことが報告されて、同時にその改善策も提示されました。また、当社グループは、同調査と分析に基づき、DACHを含むグループのマーケットにおいて、今後類似事象が発生するリスクは限定的であると判断しております。さらに業務プロセスの変更やシステムの改善など、提示された改善策に既に着手し、推進しております。これら具体事案の対処に加え、当社はガバナンス及び内部統制の再構築に努めてまいります。既にグローバル内部統制&リスク責任者を設置するなど、体制を強化する取り組みを進めております。併せて、経営陣と社員が一体となって進める取り組みとして、「電通グループ行動憲章」を当社グループ全体に浸透させることで、インテグリティを最優先とする組織風土の実現を図ります。さらに、One dentsuオペレーティング・モデルを一層推進することで、組織の合理化、意思決定の迅速化、責任の明確化および権限委譲を図るとともに、類似事象が発生するリスクを低減する強固な業務プロセスとガバナンスに基づき、効果的な事業運営および企業活動を行ってまいります。

 なお、当社の上場子会社群への対応については各社の戦略的位置づけに照らして最適なあり方を継続的に検討しており、方針が決定した場合には適切にご報告させていただきます。

(4) 株主価値の向上に向けて

 これらの戦略とアクションを通じて、長期的な株主価値を確実に向上してまいります。まず、オーガニック成長とコスト構造改革により、利益とキャッシュ・フローの改善を図ります。同時に、投資規律を強化するとともに、投資バランスを買収から内部投資へ転換します。それに加え、バランスシートの最適化を進め、事業ポートフォリオ変革や投資の見直しを通じて資本効率の改善を進めてまいります。

 市場環境には依然不透明な部分が残りますが、私たちは新たな環境に適応すべく、事業を不断に変革してまいります。事業ポートフォリオ変革等の具体的な計画は、新たな中期経営計画の形で本年後半に発表する予定であります。

PR
検索