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企業概要

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「環境保全と循環型社会に貢献する企業であること」を企業理念として掲げ、快適な都市生活と資源の循環を推進するための適正な廃棄物処理と資源リサイクルを業として、お客様から信頼される質の高いサービスを提供し、関係する行政、企業、地域との共生を図り、永続発展を目指して株主と社員を大切にすることを経営方針としております。

(2) 経営戦略等

 創業以来企業理念としている「環境保全と循環型社会に貢献する企業であること」を事業活動の中心に据え、循環型社会の構築・環境保全を追求するとともに、遵法精神を常にもって業に臨むことにより、着実な成長を目指してまいります。個々の事業の成長戦略は下記のとおりであります。

① 収集運搬・処分事業

 廃棄物に関する高い知識を備えた営業担当者により、徹底した法令遵守による安心を提供し、循環型社会の構築・環境保全への貢献とともに適切な廃棄物処理を提案し、着実な顧客数の増加を図ります。

 東京23区では、日々活発な都市活動、事業活動が展開されており、今後も発展が見込まれております。当社は東京23区全ての区において事業系一般廃棄物の収集運搬業の許可を有しておりますが、当社の事業系一般廃棄物の年間取扱量は77,872トン(2022年度)、2022年度の東京23区における持込ごみ量に占める当社比は約9.4%となっております。また、産業廃棄物については首都圏各都県市の許可を有し、売上も順調に伸長しております。今後とも、足立区及び大田区の南北2か所の拠点を中心に東京23区内を活動拠点とし、同時に近県市への拡充も視野に事業展開してまいります。

② リサイクル事業

 リサイクルセンターの改廃・拡張、分別の徹底による品質向上、新たな資源化ルート開拓等により、リサイクル率向上とさらなる再資源化を推し進めるとともに、法令に則った安全な収集運搬・処分事業及び行政受託事業との連携を図ります。

 当社グループは、東京23区に8か所のリサイクルセンターを有する体制で、行政受託事業におけるニーズに対応し、一層の再資源化に努めてまいります。また、従来、廃棄物として処理せざるを得なかった品目についても、分別を徹底して品質を高めるとともに、新たな資源化ルートの開拓を進めることにより、さらなる再資源化に努めてまいります。

③ 行政受託事業

 専任の営業担当の設置、リサイクルセンターの新設・拡張を行うとともに、当社独自の不燃ごみ事業における選別資源化方法を中心に提案し、新たな受注を増加させ成長を図ります。

 不燃ごみについては、当社独自の選別資源化方法を模索し、足立区、板橋区、中野区、荒川区、豊島区及び台東区(2024年3月現在)での実績があり、新たな区への新規受注に向けて土地の取得と建物、設備の準備を進め、事業拡大を図っております。また、容器包装ごみについては、足立区、中央区他、金属系粗大ごみについては、足立区、豊島区、荒川区、北区、世田谷区他での実績があります。

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、より高い成長性を確保する観点から「売上高」の増収を最重視しております。また、収益性向上のため「営業利益率」、生産性向上のため「人件費率」、安全性向上のため「純資産比率」及び「負債比率」を重要な指標として位置づけ、バランスの取れた企業価値の継続的拡大を目指しております。なお、設備投資につきましては、「D.C.R」(注)1.及び「EBITDA比率」(注)2.を合わせて検討しております。

  (注)1.デッド・キャパシティ・レシオ   (算定式)(有利子負債/金融資産+有形固定資産)×100

    2.(算定式) 有利子負債/EBITDA(営業利益+受取利息・配当金+減価償却実施額)

(4) 経営環境

 当社グループを取り巻く環境として、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されるなど、近年、環境法令の規制強化が進み、廃棄物リサイクル分野についても、より高度な廃棄物処理と再資源化の推進が求められております。当社はこれまで、収集運搬から処分・リサイクルまでの一貫した処理サービスを安定的に提供する一方で、ノウハウを蓄積し、前述のようなソフト、ハード両面の事業改善に取り組んだ結果、現在は、堅実かつ先進的な事業運営が可能となっております。

 しかしながら、今後は、より十分な資金力を確保し、大規模な設備投資を積極的に行うことにより、事業の一層の効率化が図られ、上述のより高度な廃棄物処理と再資源化の推進、すなわち、現下の社会的要請である循環型社会の形成に寄与できるものと考えております。

 廃棄物処理法は、排出者責任の適用範囲の拡張やマニフェスト制度の強化・義務化等、近年、規制強化の一途を辿っているものと認識しております。係る環境下、当社グループは前述のとおり収集運搬における効率性の追求のみならず、並行して法令遵守の徹底を旨とし、安全性を追求してまいりました。

 今後は、「官から民へ」の機運が高まる中で、自治体から廃棄物処理業者へ委託される廃棄物の量は今後も増加し、一方では更なる規制強化が想定されます。当社グループはこのような経営環境の中、これまで培ってきた効率的な事業運営体制、コンプライアンス体制の更なる充実及び経営資源を基に、業容拡大に努めてまいります。なお、事業区分別毎の経営環境としては、以下のとおり認識しております。

① 収集運搬・処分事業

 産業廃棄物については、環境省の調査(注)1.によれば、2021年度に処理された廃棄物の量は全国で375,920千トン、前年比100.6%となっております。また、産業廃棄物全体の量は、過去20年間の推移をみると、概ね横ばいに推移しております。

 一般廃棄物については、東京二十三区清掃一部事務組合の調査(注)2.によれば、2022年度における東京23区のごみ量は、2,540千トン(前年度は2,533千トン)であり、前年度と比較してやや増加となっております。また、廃棄物処理業者が東京二十三区清掃一部事務組合に持ち込んだ廃棄物の量は828千トン(前年度は766千トン)、前年比108.1%(当社の前年比は104.3%)となっております。自治体によって方針は異なりますが、「官から民へ」の動きにより、自治体から廃棄物処理業者へ委託される廃棄物の量は増加傾向にあると分析しております。

(注)1.環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(2021年度実績)について」

   2.東京二十三区清掃一部事務組合「2022年度ごみ量の確定値について」

② リサイクル事業

 当事業における売上高の大部分は古紙の売却が占めるため、以下古紙について記載いたします。

 公益財団法人古紙再生促進センターの調査(注)によれば、2023年における古紙全体の消費量は14,920千トン、前年比で93.5%となっております。古紙全体の消費量は、過去5年間をみると、減少傾向となっております。

 一方、2023年における古紙回収率(古紙国内回収量/紙・板紙国内消費量)は81.6%であり、前年と比較して、2.1%増加しております。また、同年における古紙利用率(古紙・古紙パルプ消費量/国内生産の製紙用繊維原料消費量)は66.8%であり、前年より0.5%上昇しております。古紙回収率、古紙利用率ともに過去10年間をみるとほぼ上昇傾向ではありますが、同事業においては徐々に縮小傾向にあると分析しております。

(注)公益財団法人古紙再生促進センター「2023年古紙需給統計」

③ 行政受託事業

 環境省の調査(注)によれば、2021年度におけるごみ処理の委託件数は14,694件(前年比102.8%)、許可件数は41,897件(前年比100.6%)となっております。ごみ処理の委託件数及び許可件数は、過去10年間をみると増加傾向にあり、「官から民へ」の動きの中で今後も増加傾向にあると分析しております。

    (注)環境省「日本の廃棄物処理」

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① BCP(事業継続計画)

 国内において、「防災・危機管理」の概念での体制整備や計画策定等に取り組んでいる背景を鑑み、当社グループ内で、災害時等にもサービスの安定供給を維持できるようBCP(事業継続計画)に基づき、設備面における取り組みの強化及び代替要員の確保の再徹底を図ってまいります。新型コロナウイルス感染症は5類感染症に変更されましたが、自主的な感染防止対策を継続し、徹底した健康管理・検温・消毒の実施や会議のWEB化を始めとした3密回避及びソーシャルディスタンス確保他による感染の極小化に努めております。一定数の感染者と濃厚接触者が発生いたしましたが、きめ細かな人員管理他の工夫により業務運営に支障をきたしておりません。コロナ禍の経験を踏まえて、パンデミックに対するBCPとして様々な状況を想定したオペレーション体制を整え、発生する事態に躊躇せず柔軟な対応を実施することで、感染拡大防止はもとより、業績への影響も極小化させてまいります。また、首都圏直下地震を想定した対策を講じていますが、先般の能登地震の事例を参考にして、防災グッズの拡充等の対策の一層の強化に取り組んでおります。

② コンプライアンス体制の充実

 総合廃棄物処理事業を営む当社グループは、廃棄物処理法を始めとした環境関連法規制に関するコンプライアンス体制が確立していることを競争力の源泉としておりますが、それをさらに充実、向上させることを最重要課題と位置付け、法令遵守に対する一層の社内意識の向上と体制強化を図るため、継続的な施策を採り、社会的な信頼を得る努力を行ってまいります。また、「安全運転日本一」を達成するための道路交通法を遵守すること、労働基準法や労働安全衛生法等の労働関連法を遵守することも当社グループの使命であると認識しており、毎月開催しているコンプライアンス委員会や事故防止委員会活動を中心に全社一丸となって引き続き取り組んでまいります。なお、昨今話題に上ることの多いドライバーの2024年問題に関しましては、法定時間外労働時間他の基準について従前よりクリアしており、当社独自のKPIを設定し、より高い次元での労務管理に取り組んでおります。

③ リサイクル技術の向上

 当社グループの廃棄物中間処理の基本はリサイクルでありますが、当社のサステナビリティに関する取り組みの中核をなすものです。リサイクル処理による環境負荷の低減が社会貢献につながり、また当社グループの処理コストの低減にも役立っております。昨今の廃棄物処理は、中国などの輸入規制や海洋プラスチック問題で環境問題としても社会的関心が高まっている廃プラスチックのように、その処理にあたっては、国内のみならず、よりグローバルな視点が不可欠となっているとともに、大きなビジネスチャンスとなっております。2019年7月に拡張した鹿浜リサイクルセンターにおいて、民間事業者としては首都圏最大級の粗大ごみ選別プラントを稼動させました。当社グループは、積極的な設備投資によりリサイクル技術を向上させ、社会貢献と収益確保の両立を図ってまいります。さらには、事業分野の拡大や高い技術力を誇るステークホルダーとの協業化等についても進めてまいります。

④ 資源の市場環境への対応

 リサイクル事業における売上高の大部分を占める古紙を始めとした資源の売却価格がここ数年不安定に推移しており、同事業の売上も不安定に増減しております。売上量の拡大を図ること、一層のコスト削減に努めることで、今後の市場環境に柔軟に対応してまいります。

⑤ 設備投資

 当社グループが保有するリサイクルセンターの設備には老朽化が進んだものも含まれており、順次、自動化等を進めつつリサイクル技術の向上に資する更新を行っていく必要性を認識しています。また、業容拡大に合わせて増加する運搬車両を管理する車両基地の増設も必要であると認識しております。 さらには、脱炭素社会実現に寄与できる車両を始めとした設備投資も、今後の課題と認識しております。

⑥ 情報化投資

 当社グループは、業容拡大に伴い、正確かつ迅速な情報把握により的確な経営の意思決定の迅速化を促進するため、また的確な情報開示体制の確立のため、全社レベルでの情報システムの高速化に取り組んでおります。これに加え、業務改革も併せて実行することにより、企業運営上のコストの削減にも取り組んでまいります。すでに営業用の携帯端末を導入し効率的な営業活動を、ドライバー用の携帯端末の導入により効率的な収集業務及び集計業務を実現しました。インボイス制度への対応や電子請求に関するシステム開発及び電子契約に関するシステム対応を完了し、業務に使用しております。また、重要情報の漏洩を防止するための情報セキュリティの強化にも取り組んでおります。

 なお、当社独自で開発し使用中である、基幹システム(通称「第2要くん」)に関して、社内システムの共通化・お取引先様へのデータ提供の拡充を狙いとして、外部ベンダのシステムを導入した次期システムに移行するための開発プロジェクトを、当該外部ベンダとともに進めております。

⑦ 経営基盤の拡充

 当社グループは、さらなる企業価値の最大化を目指すためにも、以下のとおり経営基盤の拡充を図る必要があります。

 イ 経営資源の重要な要素である人材については、社員教育や研修制度の拡充、コミュニケーションの活性化、適材適所での潜在能力の発揮等を推進し、一人当たりの生産性向上を図ります。また、地元高校の新卒採用の継続、大型中型自動車免許取得を始め各種重機等の資格取得支援制度の積極活用、社宅制度の運用強化、能力スキルに対応した柔軟な労働条件の設定等により、万全な労働力確保を継続しております。

 ロ 既存の事業基盤については、各リサイクルセンター及び収集運搬のための車両・配車システムの品質管理及び安全管理を徹底の上、原価率低減に向けた創意工夫を推進してまいります。

 ハ 当社グループの事業の柱を為すのは廃棄物の収集運搬であります。安全運転を遂行することは、すなわち事業を安定させることにつながり、それを継続させることが顧客満足の向上につながります。車両に搭載させる機器等のハード面、ドライバーへの徹底的な教育等のソフト面をともに充実させ、安全運転の徹底を図ってまいります。

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