企業兼大株主西日本旅客鉄道東証プライム:9021】「陸運業 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

(1) 当社グループを取り巻く経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルスの影響縮小に伴う需要回復、観光・インバウンドの活況等により、足元の鉄道のご利用等は想定を上回るペースで回復しています。一方、自然災害の激甚化、コロナ禍を契機とした行動変容に加え、人口減少に伴う市場の縮小や人財獲得競争の激化、賃金・物価・金利の上昇、顧客ニーズの多様化、生成AI等の革新的技術の急速な進化等、これからの変化を想像することが難しい状況になってきています。

(2) 経営の基本方針

 当社グループは、「福知山線列車事故のような事故を二度と発生させない」という確固たる決意のもと、被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上に取り組んでいきます。

 2023年4月には、未来社会におけるJR西日本グループの存在意義を見つめなおし、めざす姿として「私たちの志」を策定しました。この「私たちの志」をグループ全体の羅針盤として、グループ一丸となって取り組んでいます。

私たちの志

人、まち、社会のつながりを進化させ、

心を動かす。未来を動かす。

私たちは、

これからも安全、安心を追求し、高め続けます。

人と人、人とまち、人と社会を、リアルとデジタルの場でつなぎ、

西日本を起点に地域の課題を解決します。

そして、持続可能で活力ある未来を創り、その先の一人ひとりが思い描く暮らしを

様々なパートナーと共に実現していきます。

 これまで、鉄道や駅を中心に人と人、人とまちをつなぎ、安全で豊かな社会づくりに貢献できるよう努力を積み重ねてきましたが、インフラを担う企業として、未来においても社会づくりに貢献する役割を果たし続けていくため、大きな転換期を迎えているこれからの社会の課題と向き合い、求められる価値を、事業活動を通じて提供していきます。

 とりわけ、一人ひとりの暮らし、まち、社会全体が直面する課題に着目したとき、安全を基盤に広域で人と人、まち、社会をつなぐインフラサービスを提供し、またグループ全体で多くのお客様との接点、地域とのつながりを持つ当社グループは、これまで以上にお客様視点で「つながりを進化させる」ことで、大きな役割を果たしていくことができ、それこそが、未来の社会における私たちの存在意義と考えます。

 引き続き、鉄道の安全性向上に向けた不断の取り組みを積み重ねていくことを基盤としつつ、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、「地域共生企業」として事業を通じて社会や地域の課題解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値を合わせて創出し、よりよい未来を創り上げていきます。

(3) 中長期的経営戦略

 当社グループは2023年4月に、「私たちの志」の実現に向け、10年後にありたい姿として「長期ビジョン2032」(以下、「長期ビジョン」)を策定しました。重点的に向き合う社会課題を、「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」、「人々が行きかう、いきいきとしたまち」、「一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし」及び「持続可能な社会」の4つに設定しました。

 <安全、安心で、人と地球にやさしい交通>

  交通全体がシームレスなサービスとして認識され、定着している未来

 <人々が行きかう、いきいきとしたまち>

  地域の魅力が高まり、定住・交流・関係人口が増加していく未来

 <一人ひとりにやさしく便利で豊かなくらし>

  リアルの良さとデジタルの組み合わせで、個客体験が大きく高まる未来

 <持続可能な社会>

  様々なパートナーとの連携を通じて、持続可能な社会システムが構築されている未来

 この「長期ビジョン」の実現に向け、鉄道の安全性向上に向けた不断の努力に加え、鉄道を中心としたモビリティサービス分野の活性化、ライフデザイン分野の拡大に挑戦し、最適な事業ポートフォリオを構築することで、将来にわたって持続的に価値創造を実現する企業グループに成長していきます。具体的には、北陸新幹線の金沢・敦賀間の開業やなにわ筋線開業、大阪・広島・三ノ宮エリアでの駅ビル開発等のプロジェクトや、大阪・関西万博等の機会を活用し、関西都市圏ブランドの確立や西日本各エリアのさらなる活性化に貢献していきます。

 「JR西日本グループ中期経営計画2025」(以下、「中期経営計画2025」)では、「長期ビジョン」実現に向けた第一ステップとの位置づけのもと、早期のコロナ前水準への回復に向けて、足元の機会を最大限活かした成長を加速するため、5つの重点戦略を掲げました。

①鉄道の安全性向上

②主要事業の活性化と構造改革(鉄道事業・グループ事業)

③不動産・まちづくりのさらなる展開

④デジタル戦略による多様なサービスの展開

⑤新たな事業の創出

①鉄道の安全性向上

〇福知山線列車事故を原点とし、安全を追求し続け、弛まぬ努力を継続

・被害に遭われた方々への真摯な対応

・「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2027」(以下、「安全考動計画2027」)の推進

<ホーム安全>

・ホーム柵やホーム安全スクリーンの整備を推進

<踏切安全>

・大型車が踏切に停滞していることを列車の運転士に音声で知らせる装置の整備を推進

<地震対策>

・地震発生時の安全性向上に向けて、耐震補強や逸脱防止対策を推進

<安全最優先の風土の醸成>

・「現場の判断を最優先するマネジメント」の確立

・「お客様を想い、ご期待にお応えする」考動

<組織全体で安全を確保する仕組みの充実>

・リスクアセスメントの質の向上

・「心理的に安全なチーム」づくり

・現場起点の考動による課題解決への挑戦

<一人ひとりの安全考動の実践>

・「大切にしたい5つの価値観」の共有、主体的な実践

<ハード・ソフトの機能向上>

・ハード・ソフト両面の改良・改善による安全性向上

・安全で安定的な輸送の提供(輸送の質の向上)

<社会とつながり、社外から学ぶ>

・関係機関との自然災害等の事象発生時の対応に関する対話

・他鉄道事業者等から安全対策を学び、採り入れる取り組みの推進

②主要事業の活性化と構造改革(鉄道事業・グループ事業)

ア.鉄道事業

〇「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識し、CSを戦略の根幹とした顧客起点の経営を実現

〇新幹線を基軸とした鉄道ネットワークの充実と、交流人口・関係人口の創出に挑戦

・山陽新幹線各エリア:利便性の向上によるご利用促進等

・北陸エリア:北陸新幹線金沢・敦賀間開業、北陸デスティネーションキャンペーン(2024年秋)を契機とした、観光素材の磨き上げと周遊ルートの整備等

・山陰エリア/南紀エリア:新型車両投入による旅の魅力向上等

・デジタルの活用

・多様化するニーズに対応した営業施策

〇関西国際空港とのアクセス向上と、2025年の大阪・関西万博を契機とした取り組みを通じて、国内外の様々なお客様が行き交う魅力的な関西都市圏を実現

・近畿エリア全体の魅力向上

・関西国際空港とのアクセス整備

・大阪・関西万博を契機とした取り組み(会場アクセス整備・駅改良の推進等)

・インバウンド受け入れ体制整備

〇技術戦略に基づき日々の業務プロセスを変革し、鉄道事業の活性化を支える生産性向上と持続可能なシステム構築、価値創造を実現

・お客様サービスの変革

・運行オペレーションの変革

・保守メンテナンス手法の変革

イ.物販・飲食事業

〇お客様のデイリーニーズへのきめ細やかな対応力を磨き上げて、一人ひとりにやさしく便利で豊かな暮らしを実現

・外部提携による競争力向上

・既存店舗の磨き上げ

・ヴィアインのブランド再構築

ウ.ホテル事業

〇旅の魅力や人々のつながりを創り、最高の笑顔とチームワークでおもてなしを提供し、まちの価値向上に貢献

・「大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション」の新規開業

・既存ブランド価値の再構築

・「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」の新規開業

エ.ショッピングセンター事業

〇強みであるリアルを軸に、デジタルでもお客様とテナントをつなぎ、「地域一番のエリアプラットフォーマー」を実現

・変化する消費に応えるリアルコンテンツの充実

・リアル・デジタルによるお客様接点の拡大・強化

・地域特性を捉えた館づくり

③不動産・まちづくりのさらなる展開

〇地域の皆様と連携して安心して暮らし・過ごせるコミュニティを形成し、地域・社会の課題解決に貢献

・駅からはじまるまちづくりの推進

・展開領域のさらなる拡大

・マネジメント分野の強化と資産効率向上

〇拠点駅の大規模開発と周辺まちづくりの促進、エリアマネジメントの推進により、人々が訪れたくなる、いきいきとしたまちを創出

・拠点駅開発(大阪、広島、三ノ宮)

・まちなかの体験価値向上

④デジタル戦略による多様なサービスの展開

〇データやデジタル技術を駆使し、お客様一人ひとりとグループの多様なサービスをつなぐことで心を動かし、いつまでも住み続けたい・また来たいと感じる「WESTER体験」を提供

・「WESTER体験」における3つの進化を推進(お客様とのつながりの進化、「たまりやすい、つかいたい」ポイントへの進化、グループマーケティング力の進化)

⑤新たな事業の創出

〇西日本を舞台に「つながり」を生み出し、新決済とポイント、データが「つなぐ」未来型のまちづくりに挑戦

・「WESTER体験」を支える新たな決済サービスの導入

・「よこてん」(内部向けに開発したデータソリューションの他鉄道会社等への横展開)で広がるデータソリューション事業

〇地域・社会とともに持続可能性を高める事業を進めることで、人、まち、社会の未来を動かす

・持続可能な暮らしを実現する「総合インフラマネジメント事業」

・地域課題ソリューションビジネスの推進

・未来を動かすビジネスチャレンジ

 また、サステナビリティ経営の実現に向けて、地域共生、地球環境、人的資本経営、ガバナンス・リスクマネジメント・人権に重点的に取り組みます。

①地域共生

〇ウェルビーイングな暮らしの実現、地域の課題解決と持続可能で豊かな地域づくりに貢献

・持続可能で豊かな地域づくりの推進

・ご利用しやすい持続可能な交通体系を地域とともに推進

②地球環境

〇社会インフラを担う企業グループとして、地球環境保護の取り組みを通じて社会全体の持続可能性を向上

・地球温暖化防止・気候変動対策

・循環型社会構築への貢献

・自然との共生

③人的資本経営

〇自ら変革し成長する人財こそが「長期ビジョン」実現の原動力と認識し、成長を支援し、多様性と働きがいを高め、変化対応・創出力のある人財を創出

・人財育成

・ダイバーシティ&インクルージョン

・ワークエンゲージメント

④ガバナンス・リスクマネジメント・人権

〇「長期ビジョン」実現に向けて、適切なリスクテイクによる企業価値向上を図るガバナンスを一層充実

・コーポレート・ガバナンスのさらなる強化

・リスクマネジメントの充実

・企業倫理・人権尊重の取り組み

(4) 対処すべき課題

 「中期経営計画2025」の初年度である2023年度は、機会を捉えた需要獲得策や事業構造改革等が実を結び、計画を超える業績回復を実現できた一方、鉄道事業等の持続的運営を脅かす労働力不足の顕在化、ライフデザイン分野等の新たな価値創造を牽引する人財確保に向けた競争激化、インフレ社会の到来等、急速な経営環境の変化に直面しました。これらの変化は中長期的に経営へ影響を与え続ける構造的なものと認識しています。

 以上の急速かつ構造的な経営環境変化に対して、「中期経営計画2025」に掲げた重点戦略に基づく施策の具体化に加え、将来に向けて持続的に価値を創出し続けるために、鉄道事業の安全性向上・持続的進化、グループ一体となった価値創造、及びそれらを実現するための原動力となる変化対応・創出力の向上等、先手を打った対応を図っていくことが重要な経営課題です。

 これらの経営課題に対応するため、2024年4月に「中期経営計画2025」のアップデートを行いました。アップデートを行った「中期経営計画2025」を基に、鉄道事業の安全性向上を基盤としながら、様々なパートナーとの共創とイノベーションにより、鉄道事業を中心としたモビリティサービス分野の活性化と構造改革を図るとともに、ライフデザイン分野における新たな事業の創出等の事業活動を通じ、「私たちの志」、「長期ビジョン」の実現を加速し、社会的価値と経済的価値を創出していきます。

 なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日において当社グループが判断したものであります。

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