荏原実業 【東証プライム:6328】「機械」 へ投稿
企業概要
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略・経営指標等
当社グループは、「豊かな人間環境の創造を目指して社会に貢献する」という経営理念に基づき、環境に対する社会的な関心が高まる以前から、長年にわたり様々な環境問題に目を向け、環境保全のエキスパートとしてノウハウを蓄積し続けてきました。
2030年に目指す姿として、「トータル環境ソリューションカンパニーへの進化」を掲げ、2030年の事業規模として「売上高600億円、営業利益80億円」という長期ビジョンを設定しております。この長期ビジョン実現に向けた第一のステージとして2022年から2024年までの3か年中期経営計画「EJ2024」を策定しております。
① 長期ビジョン概略
a. 2030年に目指す姿
世の中の変化に合わせて社会課題の解決を図るトータル環境ソリューションカンパニーへの進化
b. 2030年に目指す事業規模
・ 売上高600億円
・ 営業利益80億円
・ 営業利益率13%以上
・ ROE13%以上
② 中期経営計画「EJ2024」の概要
a. 経営戦略
メーカー事業(環境関連)の拡大による飛躍的な成長を目指す
b. 目指す経営指標
・ メーカー事業(環境関連)の売上総利益構成比率50%以上
・ 売上総利益率30%以上
・ 営業利益率10%以上
・ ROE13%以上
・ 研究開発投資25億円以上 (中期経営計画期間累計)
・ 成長投資25億円以上 (中期経営計画期間累計)
c. 数値計画
(単位:百万円)
| 2022年12月期実績 | 2023年12月期実績 | EJ2024最終年度 2024年12月期計画 | 2024年12月期 事業計画 | 差異 |
売上高 | 30,229 | 36,280 | 38,000 | 38,000 | - |
売上総利益 | 9,282 | 11,142 | 11,400 | 11,850 | +450 |
売上総利益率(%) | 30.7 | 30.7 | 30.0 | 31.2 | +1.2 |
営業利益 | 2,756 | 4,025 | 4,400 | 4,050 | △350 |
営業利益率(%) | 9.1 | 11.1 | 11.6 | 10.7 | △0.9 |
(差異の発生理由)
・ 売上高は「EJ2024」最終年度計画どおり。売上総利益は計画を上回る (+4.5億円)
・ 急速な物価上昇に伴い、人件費及び研究開発費を中心に販管費が増加 (+8.0億円)
・ 販管費の増加により営業利益は40.5億円 (△3.5億円)
d. 基本方針
基本方針 | 取組みの進捗・成果 |
新事業の創出、新製品開発の加速 | ・ 防災・減災に貢献する新製品の市場展開 ・ 蓄電池のラインナップを拡充 ・ 脱炭素、環境負荷低減に資するソリューションの開発・事業投資 |
事業領域の拡大 | ・ 国土強靭化基本計画に基づく防災・減災需要に応える ・ 新規進出エリアである北海道、新潟、広島などで事業基盤強化 ・ 官民連携、広域化、包括化対応のための準備を進める |
安定的収益基盤の確立 | ・ 積算技術の向上による受注確度の上昇 ・ 原材料価格の高騰、納期遅延等への対応 |
(2) 経営環境
当社を取り巻く環境装置機械業界においては、資機材の供給不足や原材料価格上昇の影響はあるものの、公共分野では水インフラ設備の更新・整備需要や雨水排水施設などの防災・減災需要が堅調に推移し、民間分野では設備投資の増加など明るい兆しが見えております。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「豊かな人間環境の創造を目指して社会に貢献する」という経営理念に基づき、環境に対する社会的な関心が高まる以前から、長年にわたり様々な環境問題に目を向け、環境保全のエキスパートとしてノウハウを蓄積し続けてまいりました。
2023年8月には次の4つの項目を「マテリアリティ」として特定し、社会と自然環境、及び当社の事業を持続可能なものにしていくための基本方針を具体化いたしました。
・ イノベーションを通じた持続可能な地球環境の実現
・ 未来に向けた水と空気のインフラづくり
・ 信頼に応えるソリューションの提供
・ 変化を成長に変える組織づくり
これらのマテリアリティを基に、重要課題、主な取組み及び重要指標 (KPI) を定め、当社グループの社会的・経済的価値の向上に向けて施策の実行・管理を行ってまいります。
また、長期ビジョンにおいて2030年に目指す姿として掲げた「トータル環境ソリューションカンパニーへの進化」及びその目標に向けた第一ステージである中期経営計画「EJ2024」の実現に向けた取組みを継続的に行っております。
中期経営計画「EJ2024」の実現に向けて、当社グループが特に注力する領域として挙げている「防災・減災」、「蓄電池」、「水産」の3つの分野の現況は次のとおりであります。
① 防災・減災
2023年4月に「停電時マンホールポンプ起動支援システム」の販売を開始いたしました。
この製品は、災害等で電源を喪失したマンホールポンプを蓄電池等の電源を用いて応急起動することで、マンホールからの溢水を防ぐ防災ソリューションです。停電発生時の迅速な対応を可能とすることに加え、災害対応時の省人化・省力化にも貢献します。
近年の自然災害は、気候変動の影響により激甚化・頻発化する傾向にあり、防災・減災を目的としたインフラ整備の社会的要請は今後も益々高まるものと想定されます。当社グループは今後もこの分野における研究開発を進めてまいります。
② 蓄電池
脱炭素社会の実現に向けた取組みが前進するにつれて、エネルギー関連ソリューションの重要性が今後益々高まると当社グループは予想しております。蓄電池分野はこれまで、当社グループの一社である荏原実業パワー㈱において事業を展開しておりましたが、昨今の社会・市場環境の変化を踏まえ、親会社である当社が2024年4月に同社を吸収合併することといたしました。この再編は、グループ内の経営資源を集約し、グループ内の販売チャネルの活用や周辺領域への業容拡大による事業の育成を企図するものであり、引き続き当社グループの注力分野として投資を進めてまいります。
③ 水産
当社グループは全国の栽培漁業センター、水産試験場などのお客様に、栽培漁業・養殖業向けの種苗、稚魚を育てるための設備を長年納入してまいりました。近年、水産養殖の領域では「循環式陸上養殖」への参入・新設計画が相次いでおり、設備投資に対する需要が高まっております。
当社グループは、これまで同様、陸上養殖ビジネスを支える事業者であり続けるために、積極的な研究開発を進め、新たなソリューションを提供してまいります。
また、これらの取組みを通して業容を拡大し、事業をサステナブルな形で構築していくためには、コンプライアンスの充実もまた重要であると認識しております。事業運営におけるコンプライアンスの徹底を図るとともに、経営の透明性と効率性を高め、コーポレートガバナンス体制の一層の充実を図ってまいります。
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