第一稀元素化学工業 【東証プライム:4082】「化学」 へ投稿
企業概要
当社グループは経営理念に基づき、以下の5つの実践を通じて、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に努めてまいります。
・イノベーションにより、社会課題の解決に貢献する製品を創出します。
・環境に配慮した製品設計や資源の有効活用により、消費エネルギーの削減に取り組みます。
・サプライチェーンも含めた人権尊重の取り組みを推進します。
・多様な人材が活躍できる環境づくりに取り組みます。
・社会から信頼される企業であり続けるために、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組みます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、サステナビリティ推進室担当役員の管掌のもと、サステナビリティ推進室がサステナビリティへの取組計画を立案し、経営会議で協議後、取締役会で決定しております。また、サステナビリティ推進室は各部門の進捗状況を把握し、課題や問題等については関係者と協議の上、活動を進めております。さらに、サステナビリティ全般に関するリスクについては、リスク管理委員会において、全社的リスクマネジメントの中で監視しております。取締役会は、サステナビリティ推進室やリスク管理委員会から定期的に進捗状況の報告を受け、達成状況を確認しております。
当社グループは、サステナビリティ推進室が当社グループ全体のサステナビリティに関するリスク項目を網羅的に抽出、評価し、重要リスク項目を選定しております。重要リスク項目については対応状況を確認し、新たな対応が必要な場合は担当部門と協議し、低減活動の状況を確認しております。また、リスク管理委員会では、抽出されたリスクについて、全社的見地で事業活動に大きな影響を及ぼすか否かを、影響度と発生可能性、及びその対策状況を分析して評価しております。重要と評価されたリスクは「優先リスク」として、主管部門における低減活動の状況を確認しております。
(2) 重要なサステナビリティ項目
①人的資本に関する戦略・指標及び目標
当社グループは、社会の発展に寄与する価値ある製品を開発し、提供し続けるためには、働く社員が価値ある人生を送ること、そのためには価値ある職場づくりを目指すことを経営理念に掲げています。社員が職場で活き活きと働き、自らの成長を実感しながら仕事に取り組むことが価値ある人生につながると考えております。
経営理念の実現のために当連結会計年度にスタートした中期経営計画(DK-One Next)において、新たな事業を創出し続け、当社グループを取り巻く大きな事業環境の変化を乗り越えるために6つの柱を定めました。その中で「成果を出し続ける組織づくりの実践」、「キゲンソらしさの更なる醸成」、「サステナビリティへの取り組み」を掲げ、人的資本に関する指針を定めています。それら指針を受けて次の方針に基づき人的資本の価値を高める取り組みを進めてまいります。
なお、次の方針に関する指標は検討中であります。従って、目標及び実績については省略しております。
・後継を担う人材育成の強化、特に経営層の後継人材を体系的に育成するしくみを構築する。
・社員の意欲を高め、成果につなげるため、役割・成果に応じた報酬制度を構築し運用する。
・個人と組織の意識改革・行動変容をはかる(風土を改革する)。
・チャレンジ精神を当社グループ全体に浸透させる。
・多様な人材の活躍を推進する。
・多様な働き方や価値観を尊重した職場づくりを実践する。
・心身ともに健康で安全な職場づくりを実践する。
②気候変動に関する取り組み
当社グループは、気候変動への対応は企業の重要課題と認識し、温室効果ガス、特にCO2の排出量削減等に積極的に取り組んでおります。
気候変動は、CO2等の排出規制に伴う炭素税の賦課等の導入による原材料の購入や製品の供給に係るコストの上昇や生産活動の中断といったリスクをもたらします。その一方、社会に新しいニーズを生み、当社グループとして新たな価値を創出する機会でもあると認識しております。具体的には、当社グループは生産活動におけるエネルギー効率向上、環境負荷が少ない生産方式の検討、サプライチェーンを通じた排出量削減等に取り組むことでリスク軽減に努めながら、革新的な技術やソリューションを生み出し、新しい領域に事業を拡大する機会があると考えております。
以下において、気候変動関連の財務情報開示に関するタスクフォース(TCFD)が推奨するフレームワークを活用し、気候変動が当社グループにもたらすリスクと機会及びそれぞれに対する取り組みについて説明します。
a.ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般に関するガバナンスに組み込まれております。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」を参照ください。
b.戦略
シナリオ分析にあたっては、複数の気候変動に係る化学的シナリオ(国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のSSP2-4.5 (AR6)やRCP4.5やRCP6.0/RCP8.5 (AR5)、国際エネルギー機関(IEA)のNZE(Net Zero Emission by 2050 Scenario)やSTEPS(Stated Policies Scenario)、日本の環境省/気象庁の21世紀末における日本の気候のRCP2.6)等から当社グループを取り巻く将来像を想定し、リスクと機会の両面からインパクト分析を行い、対策を立案しました。
・1.5℃シナリオ
項 目 | 環境変化 | 想定される状況 | 主な対策 |
移行リスク | 内燃機関搭載の自動車の生産減少による自動車排ガス浄化触媒の需要減少 | ・ジルコニウムの主用途である内燃機関搭載の自動車の生産台数の減少に伴う自動車排ガス浄化触媒、酸素センサーの需要減少による売上減少につながる可能性がある。 | ・内燃機関搭載の自動車に代わる電気自動車等に関連する電池材料、水素供給関連材料等製品の供給体制構築を検討する。 |
カーボンプライシング導入によるコスト増 | ・各国政府、自治体等によるカーボンプライシングの導入、強化によりコストの増加が発生する可能性がある。 | ・CO2排出量(Scope 1とScope 2)の把握を行い、削減目標に向けた計画を立案する。 ・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を検討する。 | |
物理リスク | 豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断や生産停止、販売機会喪失拡大 | ・豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断による生産停止の可能性がある。 ・輸送船舶、外部倉庫、工場等の被災や従業員が出社出来なくなることによる生産停止により、顧客へ製品を納品出来ないことから生ずる販売機会の喪失の可能性がある。 | ・気候変動を考慮したBCPの再策定並びに定期的な見直しを実施する。 |
事業機会 | 電気自動車の需要増加や低炭素、脱炭素関連製品の需要増加 | ・脱炭素経済への移行に伴い需要が高まる業界にてジルコニウムが必要とされる場合、需要増加によって売上が増加する可能性がある。 | ・電気自動車や水素エンジン自動車に関連する電池材料・水素供給関連材料等への研究開発投資を検討する。 ・脱炭素化に可能性があるジルコニウム製品開発への投資を検討する。 |
リソースの効率 | ・エネルギーの効率利用によるコスト削減の可能性がある。 | ・エネルギー消費の把握を行い、省エネへの計画を立案する。 |
・4℃シナリオ
項 目 | 環境変化 | 想定される状況 | 主な対策 |
移行リスク | カーボンプライシング導入によるコスト増 | ・各国政府、自治体等によるカーボンプライシングの導入、強化によりコストの増加が発生する可能性がある。 | ・CO2排出量(Scope 1とScope 2)の把握を行い、削減目標に向けた計画を立案する。 ・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を検討する。 |
物理リスク | 豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断や生産停止、販売機会喪失拡大 | ・豪雨、高潮、強風による製造設備の冠水・破壊、水害によるサプライチェーン寸断による生産停止の可能性がある。 ・輸送船舶、外部倉庫、工場等の被災や従業員が出社出来なくなることによる生産停止により、顧客へ製品を納品出来ないことから生ずる販売機会の喪失の可能性がある。 | ・気候変動を考慮したBCPの再策定並びに定期的な見直しを実施する。 |
事業機会 | 燃料電池材料/蓄電池材料の需要増加 | ・異常気象による自然災害の増加や被害が甚大化する場合、独立した電気エネルギー需給体制が見直され、燃料電池や次世代二次電池の材料供給増加によって売上が増加する可能性がある。 | ・ジルコニウム製品が必要とされる市場ニーズの見極めを行い、研究開発投資を検討する。 |
脱炭素化による社会変化が当社グループに影響を及ぼしていく1.5℃シナリオにおいて、脱炭素経済への移行に伴い需要が高まる業界にてジルコニウム化合物が必要とされ、ビジネスの機会が拡大すると考えています。しかしながら、脱炭素の過程で内燃機関搭載の自動車の生産台数の減少に伴う自動車排ガス浄化触媒や酸素センサーの需要減少、各国政府・自治体等によるカーボンプライシングの導入・強化、原材料の需要増加に伴う輸出規制が強化される等の環境コンプライアンスが強化される可能性があります。これらのリスクに対し、対応策について検討を進めてまいります。
また、気候変動による自然災害が激甚化し当社グループに影響を及ぼしていく4℃シナリオにおいても、独立した電気エネルギー需給体制が見直され、燃料電池や次世代二次電池の材料供給増加によって、ビジネスの機会が拡大すると考えております。しかしながら、豪雨・高潮・強風による製造設備の冠水や破壊、水害によるサプライチェーン寸断等の発生による生産停止等の可能性があります。これらのリスクに対し、生産拠点毎のBCPの策定の中で対応策について検討を進めてまいります。
c.リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関するリスク管理に組み込まれております。詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」を参照ください。
d.指標及び目標
2050年までにCO2排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする「脱炭素社会」を実現するため、2030年までにCO2排出量(Scope 1+2)※を2017年度比で20%以上削減いたします。
※Scope 1、2とは、GHGプロトコルが定める、事業者のGHG排出量算定報告基準における概念であり、以下を指す。
・Scope 1:当社の燃料使用による直接排出量
・Scope 2:当社が購入した電気の使用による間接排出量
今後、当社グループはサプライチェーン全体のCO2排出削減活動に取り組むことで、脱炭素社会の実現に貢献していきたいと考えております。
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