秋田銀行 【東証プライム:8343】「銀行業」 へ投稿
企業概要
当行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当行グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当行は、「地域共栄」の経営理念のもと、地域金融機関として求められる役割が一段と多様化、高度化するなかで、株主の皆様、お客さま、そして地域の期待に的確にお応えし、地域の発展に貢献することを基本方針としております。
(2)中長期的な経営戦略
a 当行では、2030年を展望した中・長期的に目指す姿として「秋田銀行グループVISION『価値をつくる。未来へつなぐ。』」を策定しております。これは、秋田銀行グループが、地域の課題を解決し、質の高い金融・非金融サービスの提供を通じて、将来にわたる豊かな地域の実現にチャレンジし続けることを中・長期的な経営の方向性として示しております。そして、この目指す姿を実現する第1フェーズとして、2022年度から3年間を計画期間とする中期経営計画を策定しております。
b 中期経営計画2022~2024年度の基本戦略
〇基盤強化戦略
金融仲介、コンサルティングを中心とした既存事業をさらに深掘りするとともに、高専門性の追求、チャネル・コスト・組織の構造改革、適切なリスクテイクによって収益力を改善し、経営基盤の強化をはかってまいります。
〇地域価値共創戦略
後継者不足、起業・創業、地域商社、人材支援など顕在化する地域課題の解決、地域を成長させていく機能を強化し、非金融分野における将来的な収益基盤を構築してまいります。
〇組織・人財戦略
多様な人材が成長・活躍し続けるフィールドづくりに取り組み、事業戦略の実行を支え、推進力となる組織を構築してまいります。
c 目標とする経営指標
中期経営計画の最終年度である2024年度の経営指標につきまして、次の目標を掲げております。
当行単体
指 標 | 2023年度実績 | 2024年度目標 |
当期純利益 | 45億円 | 50億円以上 |
OHR(コア業務粗利益ベース) | 74.96% | 70.0%未満 |
自己資本比率 | 11.21% | 10.0%以上 |
(3)2023年度における取組み
当行では、2030年を展望する秋田銀行グループVISION『価値をつくる。未来へつなぐ。』の実現に向け、2022年度から3年間を計画期間とする中期経営計画において、3つの基本戦略に基づく各種施策に積極的に取り組みました。
○基本戦略 基盤強化戦略(3年戦略)
基盤強化戦略では、当行がこれまで構築してきた金融ビジネスの事業基盤をさらに強化し、より質の高いサービスの提供を通じて収益の向上に取り組んでまいりました。
法人のお客さまに対しては、アフターコロナにおける事業環境の変化や原材料・エネルギー価格の高騰などに対応した円滑な資金供給に努めたほか、将来にわたるビジネスパートナーを目指し、経営改善、事業再構築、本業支援等に積極的に取り組みました。また、地区中核店舗に法人担当者を集約するなど、営業体制の最適化を進め、より複雑化する経営課題や多様化するニーズへ適切にお応えできる体制を整えました。
個人のお客さまに対しては、一人ひとりが思い描く将来の実現を支えるライフパートナーを目指し、ライフプランに応じた最適な商品・サービスの提供に取り組みました。また、ご来店いただかなくても一部の窓口サービスがご利用いただけるよう「あきぎんアプリ」の機能を拡充したほか、ローンにとどまらない家づくりのトータルサポート機能を備えた「〈あきぎん〉家づくり相談プラザ」の開設など、デジタルを活用した利便性の向上と対面による提案の価値を高めるよう努めました。
こうした取組みの結果、戦略目標としている「お客さまサービス等利益(本業利益)」は、前年度比6.5億円改善いたしました。
○基本戦略 地域価値共創戦略(長期戦略)
地域価値共創戦略では、地域の課題を起点に、その解決を通じて新たな価値を創造する「地域価値共創事業」を推進し、新たな収益基盤の確立に取り組んでおります。
① 地域産業の振興
地域商社「詩の国秋田株式会社」では、地域産品の首都圏や海外への販路拡大やブランディングなどに取り組んでまいりました。当社が現地拠点を置く台湾向けの事業として、台湾の輸入業者による県産農作物の産地視察を定期的に開催しました。こうした取組みにより、県内産「シャインマスカット」の台湾への輸出を初めて実現するなど、当行グループのネットワークを有効に活用し、新たな販路の開拓やブランディングを支援しました。
② 人手不足への対応
秋田県内企業への就職に特化した就活サイト「キャリピタAKITA」の企画・運営を通じて、求人企業と就職希望者とのマッチング機会の拡大に取り組みました。「キャリピタAKITA」は、2023年度末時点で313社の求人企業、1,408名の求職者の皆さまにご利用いただいており、従来の人材紹介事業と合わせて2023年度は47名のマッチングを実現しました。こうした人材採用に加えて、県内企業における人材育成や教育を支援するため、当行職員を講師とする「社員研修サービス」を新たな事業として開始いたしました。
③ 後継者不足への対応、新たな担い手の創出
事業承継・M&A支援事業においては、専門部署「事業承継支援室」を中心に、地域企業の皆さまの課題解決、地域の産業や雇用の維持などをはかるべく、専門的なコンサルティングに取り組みました。また、起業・創業支援事業の一環として運営している「〈あきぎん〉地域共創型ビジネスインキュベーションプログラム」において、事業の立ち上げから拡大フェーズまで一貫して支援する仕組みを構築し、将来の地域経済を担う事業者の創出を進めました。
こうした取組みをさらに加速していくため、2023年7月に投資専門子会社「株式会社あきぎんキャピタルパートナーズ」を設立いたしました。また、8月には同社が運営・管理する「あきぎんNEXT投資事業有限責任組合(通称 あきぎんNEXTファンド)」を組成し、ベンチャー企業や事業承継に取り組む企業に対し、柔軟な資金供給や経営支援を行う体制を強化いたしました。
④ 高齢化への対応
当行独自のコンセプトとして、年齢を重ねても活き活きと元気に活躍する「長活(ながい)き」を掲げ、活力ある地域づくりに向け「長活きプロジェクト」を推進しております。この一環として、高齢者の皆さまがお互いに教え、学び合う「あきぎん長活き学校」において、起業家の皆さまを講師に迎え、「地域に芽吹く新たな価値づくり~知って学んで応援しよう~」をテーマとした授業を複数回開催し、秋田県の地域資源を活用し、新たな価値創出に挑む企業や人物を知るとともに、高齢者の皆さまの困りごとの解決策や社会参加について考える機会を拡大しました。
⑤ 脱炭素への取組み
地域の脱炭素実現に向け、「サステナブルファイナンス実行額累計5,000億円(~2030年度)」を目標に掲げて積極的に取り組んでおり、2022年度からの累計実行額は1,000億円を突破いたしました。
再生可能エネルギー分野では、秋田県が全国有数の供給地となっている風力発電への取組みを強化しており、2023年度に実施された政府の洋上風力公募事業(男鹿市・潟上市・秋田市沖および八峰町・能代市沖)に対し、選定事業者への出資等を通じて参画しております。2022年12月に全国初の大規模商業運転を開始した「秋田港・能代港洋上風力発電所」に続く風力発電事業への主体的な関与により、地域経済への波及効果拡大に取り組んでまいります。このほか、2024年2月に大仙市と「市有林を活用したJ-クレジット創出に関する連携協定」を締結し、秋田県の豊かな森林資源をJ-クレジットの活用を通じて維持・管理していく取組みを進めたほか、家庭における脱炭素を促進するため「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅ローン」や「エコカーローン」の取扱いを開始しました。
○基本戦略 組織・人財戦略(長期戦略)
当行の経営戦略を支え、力強く推進していく組織を構築していくため、多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮し、成長・活躍し続けることのできるフィールドをつくる「人財価値共創プロジェクト」に取り組んでおります。
2023年5月に、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の基本的な考え方」を制定しました。これに基づき、公平な活躍の機会を提供するとともに、職員一人ひとりの自分らしい働き方やキャリアの実現を後押しする取組みを進めました。
女性活躍に向けては、次の指導的立場を担うことが期待される女性職員を対象とする研修会やワークショップを定期的に開催し、キャリア形成を支援したほか、女性職員同士がつながりを持つ機会を拡充いたしました。これらに加えて、事業戦略の推進に必要な個人のスキルを可視化する「スキルマップ制度」を活用し、業務の習得レベルに応じた研修・教育体系を整備したほか、上司と部下が定期的に対話を重ねる「1on1ミーティング」を導入するなど、自律的な成長支援や、多様性を認め互いに思いやる意識の醸成に取り組みました。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当行グループが営業基盤とする地域は、人口減少、少子化、高齢化等の進展にともなう産業・就労構造の変化に加え、地政学リスクの顕在化、デジタル化の進展、気候変動への対応など様々な社会的・経済的な課題を抱えています。このような環境変化のなかで、地域と当行の持続的な価値向上をはかっていくため、ステークホルダーの皆さまや当行グループに対する影響度を踏まえたうえで、優先的に取り組む重要課題(マテリアリティ)を設定しております。
重要課題の解決に向けた当行の重点的な取組みは次のとおりです。
〇生産年齢人口の減少や高齢化等から生じる社会課題へ当事者として対応し、地域の持続的発展に貢献します。
〇人生100年時代における新たなライフマネジメントや地域社会のあり方を「長活きプロジェクト」を通じて提唱・発信し続けます。
〇お客さまへのデジタルを通じた新たな体験の創出、当行業務のデジタル化に取り組み、地域のDXを牽引します。
〇お客さまの経営課題の解決や豊かな生活の実現に向けた提案など、お客さまにとって価値のある営業活動を拡大し、将来にわたって伴走を続ける「ビジネスパートナー・ライフパートナー」を目指します。
〇サステナブルファイナンスやお客さまの脱炭素化支援、当行グループのCO2排出量削減等により、地域の脱炭素化を促進します。
〇多様な職員が心身ともに健康であり、誇りや働きがいを持って活躍・成長し続けられるフィールドをつくり、当行グループの人的資本の最大化を目指します。
〇コーポレートガバナンスやリスクマネジメントの高度化に積極的に取り組み、価値創造の基盤をより強固なものにします。
お客さまや地域にとっての価値創出に取り組み、経営理念である「地域共栄」の実践に役職員一同、全力を尽くしてまいります。
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