神奈川中央交通 【東証プライム:9081】「陸運業」 へ投稿
企業概要
当社グループでは「持続可能な社会の実現」と当社グループの「持続的な企業価値の向上」に向けて、2023年4月に「サステナビリティ基本方針」を策定し、この方針のもとで取り組む5つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、全社的な事業リスクやサステナビリティ、環境リスク等について検討し、取り組みを推進するため、総務部担当役員を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。さらに、下部機関の「リスク・コンプライアンス分科会」、「環境分科会」および「サステナビリティ分科会」において具体的取組み内容や目標を設定しております。各分科会は定期的に開催され、検討された重要な事項については、リスクマネジメント委員会および執行役員会へ報告を行うとともに、取締役会が監督を行っております。
(2)リスク管理
当社は、サステナビリティ課題を含む事業へのリスクについて、リスクマネジメント委員会で検討・モニタリングを実施しています。その他、個別のテーマについては、それぞれのリスクに対してシナリオを設定し、分析・評価することで重要リスクを抽出・検討しています。特に気候変動に関するリスク管理については、(3)戦略、指標及び目標内の②脱炭素社会への貢献に記載しております。
(3)戦略、指標及び目標
当社グループは、サステナビリティへの取り組みを推進していくための指針として、以下の通り「サステナビリティ基本方針」を策定しております。
<神奈中グループ サステナビリティ基本方針>
私たちは、グループ経営理念のもと、安全・安心なサービス・商品を提供することを通じて、環境負荷の低減や社会課題の解決など地域に新しい価値を創造し、「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」を目指します。 |
また、マテリアリティ(重要課題)として「安全・安心の追求」「脱炭素社会への貢献」「地域社会との共創」「多様な人材が活躍できる職場づくり」「ガバナンスの充実」を特定し、各目標の達成に向けた取り組みを推進しております。
<マテリアリティ(重要課題)>
重点テーマ | マテリアリティ(重要課題) |
安全・安心 | ≪ 安全・安心の追求 ≫ 安全の確保が事業経営の根幹であることを深く認識して、安全を最優先に事業活動に取り組み、お客さまに常に安心してご利用いただけるサービス・商品の提供を目指します。 |
環境 (E) | ≪ 脱炭素社会への貢献 ≫ 美しい地球環境を未来の世代に引き継ぐため、事業活動を通じてCO2排出量削減や資源循環などの環境課題に積極的に取り組み、地域と共に脱炭素社会の実現に貢献します。 |
地域社会 (S) | ≪ 地域社会との共創 ≫ 事業活動を通じて地域の暮らしを支え、ステークホルダーと共に新しい価値を創造し、地域社会と当社グループの持続的な成長・発展を目指します。 |
人的資本 (S) | ≪ 多様な人材が活躍できる職場づくり ≫ 企業成長の原動力となる人材の育成や、多様な働き方を実現する職場づくりに取り組み、従業員が働くよろこびを実感できる、活気ある企業を目指します。 |
ガバナンス (G) | ≪ ガバナンスの充実 ≫ リスクマネジメントの強化やコンプライアンスの徹底など、コーポレート・ガバナンスの充実に努めることで、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。 |
①安全・安心の追求
〔戦略〕
当社グループでは、安全の確保が事業経営の根幹であることを深く認識して、安全を最優先に事業活動に取り組み、お客さまに常に安心してご利用いただけるサービス・商品の提供を目指しております。
主力事業である乗合事業においては、経営トップから従業員一人ひとりに至るまで一丸となった安全管理体制の充実・強化に取り組んでおり、安全方針および基本方針を次のとおり定めています。
≪安全方針≫ 安全最優先「安全第一 先ず止まれ」 法令の遵守「きまりを守る」 <基本方針> (1)社長および役員は、輸送の安全確保が当社の事業経営の根幹であることを深く認識し、社内 において輸送の安全確保に主導的な役割を果たします。 (2)社長および役員は、現場における安全に関する声に真摯に耳を傾けるなど現場の状況を十分 踏まえつつ、従業員に対し輸送の安全確保が最も重要であるという意識を徹底させます。 (3)当社は、輸送の安全に関する計画の策定、実行、チェック、改善を確実に実施し、安全対策 を不断に見直し、全従業員が一丸となって業務を遂行することにより、絶えず輸送の安全性 の向上に努めます。また、輸送の安全に関する情報については、積極的に公表いたします。 (4)当社は、従業員がヒヤリ・ハット等の輸送の安全を損なうリスク情報を通報・報告すること を奨励し、その内容が虚偽、法令違反、重大な怠慢および故意によるものを除き、その通 報・報告内容により処罰は行いません。
|
〔指標及び目標〕
輸送の安全に関する目標は、国土交通省が策定した「事業用自動車総合安全プラン2025」の事故削減目標に基づき、2025年度までに達成すべき目標として以下の通り策定し、各重点実施事項に取り組んでおります。
目標 | 2022年度(実績) | 2023年度(目標値) |
死者・重傷者数 | 死者0名、重傷者3名 | 0件 |
有責人身事故件数 | 68件 | 54件以下 |
飲酒運転件数 | 0件 | 0件 |
②脱炭素社会への貢献
気候変動に関する取り組み及び体制について
〔ガバナンス〕
気候変動に係る基本方針や重要事項、リスクや機会などの検討、審議については、会社のリスクに関する具体的な施策について全社的な調整にあたる組織である「リスクマネジメント委員会」において行います。
当委員会において多角的な検討を行うとともに、重要な事項については取締役会に報告を行い、取締役会は各部門の事業運営の監督を適切に行います。
〔戦略〕
「気候変動」を中長期的なリスクの一つとして捉え、当社グループの事業におけるリスク及び機会について検討を行うにあたり、今回は当社グループの主要な事業であり売上規模が大きい一般旅客自動車運送事業(乗合事業)を対象とし、2℃未満(※)シナリオ及び4℃(※)シナリオを用いて分析を行いました。
なお、当社グループが運営するその他の事業に関しても、順次シナリオ分析を進めていきます。
(※)産業革命前と比較した今世紀末の世界の平均気温の上昇温度
〔リスク管理〕
上記シナリオ分析を行った結果、リスク及び機会の発生可能性と影響度が大きいと考えられる事項について、下表のとおり取りまとめました。今後、継続的に「リスクマネジメント委員会」において確認していきます。
気候関連リスクの管理プロセスとして、「リスクマネジメント委員会」を通じて、当該リスクに関する分析、対策の立案と推進、進捗管理等を実践していきます。
なお、「リスクマネジメント委員会」で検討した内容のうち重要なものは、取締役会に報告し、全社的なリスク管理を行います。
〔指標及び目標〕
当社は、国が定める2050年度のカーボンニュートラル実現に向けて、グループ全体のCO2排出量削減の具体的な目標数値の設定及びロードマップを策定しました。
当社グループは、Scope1(※1)排出量の比率が高い事業特性を持つ一般旅客自動車運送事業を中核事業としておりますが、脱炭素社会へ貢献するため、CO2排出量削減に取り組みます。具体的には、ロードマップに示すCO2排出量削減策を実行し、当社グループ全体として2030年度に35%削減(2013年度比)、及び2050年度にカーボンニュートラルを目指します。
≪神奈中グループカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ≫
(CO2排出量実績及び目標)
(単位:万t-CO2)
| 2013年度 | 2021年度 | 2022年度 |
Scope1 | 12 | 10 | 10 |
Scope2 | 1 | 1 | 1 |
総量 | 13 | 11 | 11 |
(主なCO2排出量削減策)
(※1)自社での燃料の使用等、直接的な排出。
(※2)自社が購入した電気・熱等のエネルギーの使用に伴う間接的な排出
(※3)Power Purchase Agreementの略。電気販売契約と直訳され、PPA事業者がサービス利用者の所有する敷地や屋根のスペースなどに太陽光パネルを設置する。そこで発電された電力をサービス利用者が使用し、電気料金をPPA事業者に支払う仕組み。
≪気候変動に関する主なリスクと機会及び対応(乗合事業において検討)≫
(※1) Greenhouse Gasの略称。温室効果ガス。
(※2) Scope3は15種のカテゴリーに分類され、カテゴリー7は従業員の通勤を指す。
③地域社会との共創
〔戦略、指標及び目標〕
当社グループでは、ステークホルダーと共に新しい価値を創造し、地域社会と当社グループの持続的な成長・発展を目指すため、地域の人々のくらしを支える取り組みを推進しております。
現中期経営計画下においては、持続可能なまちづくりへの取り組みとして、UR都市機構と包括連携協定を締結し、神奈川県茅ヶ崎市内の浜見平団地にてイベントを実施するなどコミュニティ活性化に向けた取り組みを推進しました。また、「神奈中スイミング本厚木校」および学童保育「ASHITA∞キッズ神奈中本厚木」の開業や、小児ICバス運賃の一律50円化等、子育て応援への取り組みを実施いたしました。
引き続き当社グループの事業を通じ、地域課題の解決に努めてまいります。
④多様な人材が活躍できる職場づくり
〔戦略〕
・基本的な考え方
当社グループ経営理念および行動指針のもと、地域社会の課題解決に取り組み、ステークホルダーとの共創を通じて新しい価値を創造し「持続可能な社会の実現」と「持続的な企業価値の向上」を目指すため、多様性の確保に向けた取り組みを推進しております。
〈行動指針〉 お客さまのために、私たちは、 ・ 一人ひとりが会社の顔としての自覚をもち、今日の仕事をやり遂げます。 ・ 相手のことを理解し、協力して互いにとって「よりよい答え」を見つけます。 ・ 何事にも信念をもって取り組み、積極的に挑戦します。 |
・人材育成
当社グループでは、バス事業を中心として、多様化するお客様ニーズに応え続けるため、先端技術を積極的に取り込み、新たなサービスの提供、生産性の向上など、成長の種を蒔き育てることを実施し、その土壌を大きく育てていく役割を担う人材の育成を進めております。
主力事業である乗合事業においては、2019年にはバス専用教習コースを設置し、安全・安心な高い運転技術とお客様の目線に立った接遇・サービス意識を持つプロドライバーの育成に注力しております。
・ダイバーシティ&インクルージョン推進体制
当社では、働き方改革およびダイバーシティ推進体制の構築に向けて取り組み、2023年度に自動車運送事業者の「働きやすい職場認証制度」で二つ星を取得いたしました。
また、多様な人材が活躍する働きがいのある職場を目指し、人事部内プロジェクトチームを発足し、定期的な意見交換や研修会等を開催しております。今後は、当社グループの各部門と連携の上、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを全社で横断的に推進してまいります。
今後も、多様性を尊重し、働くよろこびを実感できる職場風土づくりを目指し、従業員一人ひとりの「ゆたかなくらし」の実現に向け、従業員が能力を最大限発揮できる環境の整備を進めてまいります。
〔指標及び目標〕
区分 | 項目 | 2022年度(実績) | 2025年度(目標) | |
人材の 多様性の確保 | 女性労働者の割合 | 運転職 | 1.0% | 3.0% |
整備職 | 0.6% | 3.0% | ||
事務職 | 27.0% | 30.0% | ||
女性管理職比率(係長職以上) | 2.6% | 5.0% | ||
男女間賃金格差(正規雇用労働者) | 78.7% | 80.0% | ||
労働環境の整備 | 有給取得率 | 運転職 | 88.2% | 90.0% |
整備職 | 80.8% | 90.0% | ||
事務職 | 70.6% | 90.0% | ||
男性の育児休業取得率 | 38.0% | 100.0% | ||
自動車運送事業者の「働きやすい職場認証制度」 | 一つ星 | 三つ星 |
(注)1 自動車運送事業者の「働きやすい職場認証制度」二つ星は2023年度取得。
2 当社の取り組みが連結グループに属する全ての企業において行われてはいないことから、連結グループにおける主要な事業を営む会社単体(当社)の指標および目標の開示をしております。
⑤ガバナンスの充実
〔戦略、指標及び目標〕
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すため、リスクマネジメントの強化やコンプライアンスの徹底など、コーポレート・ガバナンスの充実に努めております。
当社においては、2022年6月に監査等委員会設置会社へ移行するとともに、2023年6月には独立社外取締役を増員する等、取締役会の監査・監督機能の実効性を一層高めるとともに、迅速な経営の意思決定が可能となる体制を構築しております。
また、リスクに対する具体的な取組みや数値目標の策定等を行うため2022年11月にリスクマネジメント委員会の下部機関として「リスク・コンプライアンス分科会」、「環境分科会」および「サステナビリティ分科会」を設置し、事業継続活動の強化を図りました。
さらに、コンプライアンス違反は企業の社会的信用を失墜させ、長期にわたり甚大な被害が及ぶことが想定されることから、コンプライアンスをリスクマネジメント強化の一環として位置付け、経営層の意識改革と従業員への継続的な教育に努めております。
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