琉球銀行 【東証プライム:8399】「銀行業」 へ投稿
企業概要
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく情報開示
①ガバナンス(気候関連等の問題に対応するガバナンス体制)
(ア)サステナビリティ委員会
サステナビリティ委員会は、ESG対策等に関する方針・計画・成果指標の設定および取り組み状況を確認し協議する機関として2021年10月に設立しました。
同委員会では、頭取を委員長、総合企画部担当役員を副委員長、委員に関係各部の部長を任じ、ESG対策等の諸課題について四半期に1回議論され、取締役会への報告も四半期に1回行われています。
また、当行グループのシンクタンクである株式会社りゅうぎん総合研究所がオブザーバーとして毎回参加しており、県内・国内を取り巻く環境問題について幅広く情報提供が行われています。
(イ)サステナビリティ小委員会
サステナビリティ委員会に諮問する前に、現状の取り組み状況を月1回議論するため、2021年11月にサステナビリティ小委員会を設置しました。
同委員会では、当行融資の約6割は、戸建て住宅、マンション、アパート向けの住宅関連であることから、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に合致する建築物向けの積極的な融資推進施策や、省エネ建築、設備事業者との連携強化による県内におけるZEB・ZEH推進施策などを議論しています。
②戦略
(ア)サステナビリティへの取り組み
琉球銀行は、「地域から親しまれ、信頼され、地域社会の発展に寄与する銀行」の経営理念のもと、地域社会の皆さまとともに、地元発展のため企業活動を行っています。
当行の営業基盤である沖縄県は、四方を海に囲まれ、また豊かな森林やそこで生息する動植物など、多種多様な自然環境に恵まれ、観光業を中心に第三次産業を基盤とする経済圏を形成しています。
一方近年は、気候変動の影響を受け、沖縄県においても少なからず自然環境が破壊されています。
2021年、IPCCにおける気候変動の自然科学的根拠を担当する第1作業部会(WG1)が公表した第6次評価報告書では「人間の影響が大気・海洋・陸域を温暖化させたことは疑う余地がない」と記載され、この気候変動は人為的な影響に基づくものだと断言されています。
また2023年3月にはIPCCによる第6次評価報告書統合報告書の政策決定者向け要約が公表され、「人間活動が主に温室効果ガスの排出を通して地球温暖化を引き起こしてきたことは疑う余地がない」、「継続的な温室効果ガスの排出は更なる地球温暖化をもたらし、短期のうちに1.5℃に達する」との厳しい見通しが示されました。
私たち金融機関は、投融資を通じ様々な企業および個人の活動の原動力となっています。そこで、金融機関が温暖化抑制・廃棄物削減など環境に配慮した健全な投融資活動を行えば、環境保全に大きく貢献できる一方、配慮しなければ環境破壊を助長することになってしまうと考えます。
環境破壊は、観光業やサービス業などはもちろん、建設業、不動産業、製造業、農業、金融業などにも波及し様々な企業や人々に多大な影響を及ぼします。これは、貧困など沖縄県が抱える社会的な問題の悪化を助長する可能性があります。つまり、ここ沖縄県においては、環境破壊は環境問題だけでなく社会的な問題に深刻に繋がっていくということです。
そこで私たち琉球銀行は、“地球環境の負荷軽減・再生”、“地域社会の発展、県民のより豊かな生活への貢献”を目標とし、地元の様々な企業や人々と協力しながら、環境と社会という密接に関連する2つの課題解決に果敢に挑戦してまいります。
(イ)重要課題(マテリアリティ)と関係整理
“環境保全”と“地域社会の発展・県民の豊かな生活”は相互に依存するものと想定しています。自然環境の破壊は沖縄県の主力産業に多大な影響を及ぼし、結果として貧困・低賃金などを助長する可能性があります。一方、生産性が低ければ十分な環境保全は望めないと考えられます。
琉球銀行は、環境・社会への影響を十分踏まえ投融資活動を行います。また、これまでにない金融サービスを提供し、地域社会の仕事をこなす力を底上げし、様々な社会的課題の解決を目指します。
実現に向けての要は、人財であり、高度なガバナンス機能です。誰もが平等に安心して働くことができる環境、持続可能な資源利用、積極的な地域社会との関わり、安全な金融商品の提供やリスクマネジメントの徹底が不可欠と考えます。
(ウ)TCFD提言の定義を踏まえた貸出金ポートフォリオに占める炭素関連資産の割合
対象セクター | 2023年3月期 |
エネルギー、運輸、素材・建築物、 農業・食料・林産物 | 17.1% |
(エ)移行リスクの重要セクター選定
脱炭素社会への移行により、お客さまのビジネスに影響がおよぶリスクが想定されます。
当行では移行リスクを対象としたシナリオ分析を実施し、2050年までの影響を評価しました。沖縄県は亜熱帯海洋性気候の下、美しいサンゴ礁が発達した青い海と多様な野生生物が生息・生育する緑豊かな160の島々から構成され、国内有数の観光リゾート地であり観光産業を基幹産業としていることも考慮しました。
上記内容を踏まえ定性的な分析を行った結果、最も移行リスクの高いセクターとして「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクターを特定しました。
(オ)重要セクターごとのシナリオ策定、気候変動リスク推移の定量評価
移行リスク
a. 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターについて、以下のシナリオを想定しました。
・原油価格高騰による航空運賃の増加や飲食・宿泊代金の上昇に伴う観光コストの増加。
・地球温暖化に伴い、新型コロナウィルスのような、疫病・感染症等の発生頻度が増加。
b. 「電気・ガス・水道」セクターについては以下のシナリオを想定しました。
・炭素税導入によるコスト増、エネルギー転換による大幅なビジネスモデルの転換や設備投資が急務であり移行リスクが大きいと考えられます。
シナリオ | IEAのネットゼロ排出シナリオ |
データ | 当行の与信コストデータ、マクロ経済指標、IEAの「ネットゼロ排出シナリオ」情報 |
分析対象 | 「観光産業(宿泊業、飲食業、道路旅客運送業)」セクターおよび「電気・ガス・水道」セクター |
分析期間 | 2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用の増加分:約30~80億円 また、新型コロナウィルスのような感染症が発生・拡大した場合には、突発的な与信関係費用として、さらに約9億円増加する見通しです。 |
(カ)気候変動リスクの定量評価
物理的リスク
気候変動に伴う異常気象の増加により、当行のお客さまのビジネスにおよぶリスクや当行所有の各営業店設備に対するリスクが想定されます。
沖縄県は北西太平洋や南シナ海で発生した台風が接近するため風水被害が多い土地です。また、河川は他都道府県と比較し、流路延長が短く降雨は海へ直接流出するという特徴があるほか、流域面積が小さく、貯水能力が小さいことから洪水リスクが存在します。
よって、台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行各営業店設備等への被害額を分析の対象としました。
ハザードマップ情報、治水経済調査マニュアルのデータや2℃シナリオ・4℃シナリオに基づく将来的な台風による被災状況に関する試算等を踏まえ、2050年までの物理リスクの分析を行いました。
シナリオ | IPCCのRCP2.6シナリオ(2℃シナリオ)およびRCP8.5シナリオ(4℃シナリオ) |
データ | 当行担保物件および台風被害情報、ハザードマップ、治水経済調査マニュアル 他 |
分析対象 | 台風・豪雨等の風水害による当行不動産(建物)担保の担保価値影響額および当行営業店設備等への被害額 |
分析期間 | 2050年まで |
分析結果 | 与信関係費用の増加分:約3億円 支店における設備等への被害額:約5億円~約11億円 |
③リスク管理
(ア)サステナブル投融資方針の策定について
気候変動問題、少子高齢化や人口減少による地域活力の低下、事業後継者不足による廃業の増加など、環境・社会的な課題が地域の持続可能性を脅かすものとなりつつあります。
琉球銀行グループは、これまでも持続可能な地域社会の実現に取り組んできましたが、この取り組みをさらに力強く推し進めるため、今般、「サステナブル投融資方針」を定め、これに基づいた投融資を推進いたします。
(イ)環境・社会・経済に肯定的で前向きな影響を与える事業への方針
以下に例示する事業等に対しては、積極的に投融資してまいります。
・気候変動リスクを低減する省エネルギー・再生可能エネルギー事業
・企業の脱炭素化社会への移行対応
・地域経済の持続的発展に資する創業・イノベーション創出・事業承継
・高齢化、少子化等の課題に対応する医療・福祉・教育の充実
・持続可能な社会の形成にポジティブな影響を与える事業
(ウ)環境・社会・経済に負の影響を与える可能性が高い事業への方針
以下に基づき適切に対応することで、環境・社会への影響を低減・回避するよう努めます。
a. 石炭火力発電事業
・沖縄県では地理的・地形的、ならびに系統規模の制約から水力・原子力発電等の開発が難しいため、火力発電に頼らざるを得ないことや、再生可能エネルギーの出力変動性を補う調整力や慣性力対応として一定規模の火力発電が必要であることから、石炭火力発電は引き続き重要な役割を果たすと考えられます。新たな石炭火力発電所建設事業に対する投融資は原則として行いませんが、沖縄エリアの構造不利性を踏まえ、石炭火力発電事業に対する投融資は、環境、地域、社会への影響や発電効率性能等CCUS(注1)、混焼等の技術など)を総合的に勘案したうえで、慎重に取り組みを検討します。
※(注1)二酸化炭素回収・利用・貯留技術(Carbon dioxide Capture,Utilizationand Storage)
b. 兵器製造関連事業
・核兵器・化学兵器・生物兵器等の大量破壊兵器や対人地雷・クラスター弾等の非人道的な兵器の開発・製造・所持に関与する先や、国内外の規制・制裁対象となる先、またはそのおそれのある先への投融資は行いません。
c. パーム油農園開発事業・森林伐採事業
・環境保全や人権保護の観点から、パーム油農園開発事業への投融資については、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)等の認証取得状況などを考慮し慎重に判断します。
・森林伐採事業に対する投融資に関しては国際認証の取得状況や環境に対する配慮などを考慮し慎重に判断します。
(エ)セクター全体にかかる取組方針
・「人身売買等の人権侵害への加担」や「児童労働や強制労働」への直接的または間接的な関与が認められる企業との投融資取引は行いません。
・「ラムサール条約指定湿地」「ユネスコ指定世界遺産」に重大な負の影響を及ぼす事業、「ワシントン条約」に違反する事業には投融資は行いません。
④指標及び目標
(ア)当行グループにおけるScope1・2のGHG(温室効果ガス)排出量と削減目標
a.Scope1・2のGHG排出量
・当行グループでは積極的に営業店のZEB化や営業店照明のLED化、老朽化空調機を効率化空調機へ更新するなどの施策を展開したことにより、Scope1・2の2022年度GHG排出量は2013年度比約42.3%削減となりました。また、2021年11月に導入した沖縄電力が提供する非化石証書を用いた再生可能エネルギー由来の電力「うちなーCO2フリーメニュー」を控除した場合の2022年度GHG排出量は2013年度比約64.1%削減となりました。
・またTCFD開示基準に準拠し、Scope1・2のGHG排出量算定範囲を単体ベースから連結ベースへ変更しました。
b.削減目標
・Scope1・2のGHG排出量を2025年度までに2013年度比45%削減、2030年度までに2013年度比60%削減します。
※2022年度のGHG排出量につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、現在、第三者保証機関による検証作業中となっております。そのため検証結果により2022年度GHG排出量が変更になる可能性がございます。
(イ)当行におけるScope3カテゴリー15(投融資) GHG排出量
a.住宅ローン
| 2023年3月期 | |
GHG排出量(データクオリティスコア:1) | ― | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:2) | ― | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:3) | 41 | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:4) | 87,791 | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:5) | ― | t-co2 |
合計 | 87,832 | t-co2 |
加重平均データクオリティスコア | 3.9 |
|
※住宅ローンのGHG排出量につきましては、当行住宅ローンにおけるZEH専用住宅ローン(データクオリティスコア:3)の割合を高めることで削減に努めてまいります。
| データ クオリティ | カテゴリー | 具体例 | アプローチ |
| Score 1 | 開示情報に基づく排出量 | 実際の排出量データ (第三者機関認証あり) | 個社 ベース アプローチ |
Score 2 | 実際の排出量データ (第三者機関認証なし) | |||
推 | 活動量データに基づく 推定排出量 | エネルギー消費量等のデータに基づく推定排出量 | ||
Score 3 | 計 | 生産量などデータに基づく 推定排出量 | ||
Score 4 | 情 | 財務指標に基づく 推定排出量 | 各企業の売上高データに基づく 推定排出量 | セクター 平均 アプローチ |
Score 5 | 報 | 各企業の資産データに基づく 推定排出量 |
b.商業用不動産(アパートローン)
| 2023年3月期 | |
GHG排出量(データクオリティスコア:1) | ― | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:2) | ― | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:3) | ― | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:4) | 57,220 | t-co2 |
GHG排出量(データクオリティスコア:5) | ― | t-co2 |
合計 | 57,220 | t-co2 |
加重平均データクオリティスコア | 4.0 |
|
| データ クオリティ | カテゴリー | 具体例 | アプローチ |
| Score 1 | 開示情報に基づく排出量 | 実際の排出量データ (第三者機関認証あり) | 個社 ベース アプローチ |
Score 2 | 実際の排出量データ (第三者機関認証なし) | |||
推 | 活動量データに基づく 推定排出量 | エネルギー消費量等のデータに基づく推定排出量 | ||
Score 3 | 計 | 生産量などデータに基づく 推定排出量 | ||
Score 4 | 情 | 財務指標に基づく 推定排出量 | 各企業の売上高データに基づく 推定排出量 | セクター 平均 アプローチ |
Score 5 | 報 | 各企業の資産データに基づく 推定排出量 |
c.事業ローン
炭素関連資産 | エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林産物 | ||||||||||
| 石油 ・ ガス 等 | エネルギー設備等 | 航空 | 海運 | 陸運 | 自動車 | 金属 ・ 鉱業 | 化学 | 建材 | 資本財 | 不動産管理・開発 (注2) | 飲料 | 食品 | 紙・林産物 |
Scope1+2 (Mt-co2) (注1) | 3.072 | 2.930 | 0.019 | 1.179 | 1.010 | 0.207 | 3.398 | 0.212 | 1.493 | 1.884 | 0.684 | 0.076 | 0.711 | 0.134 |
計測カバー率 | 100 | 100 | 92 | 92 | 92 | 98 | 96 | 96 | 96 | 97 | 99 | 99 | 99 | 96 |
データクオリティスコア | 4 | 3.9 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 3.9 | 4 | 4 | 4 | 4 |
(注)1 Mt-Co2=1,000,000t-co2
2 住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)を除く。
炭素関連資産 | エネルギー | 運輸 | 素材・建築物 | 農業・食料・林産物 | ||||||||||
| 消費者サービス | 素材 | ヘルスケア機器・サービス | 一般消費財・サービス流通・小売 | 耐久消費財・アパレル | 生活必需品流通・小売 | メディア・娯楽 | ソフトウェア・サービス | 商業 ・ 専門 サービス | 金融サービス | 医薬品等 ・ライフサイエンス | 保険 | 電気通信サービス | 銀行 |
Scope1+2 (Mt-co2) | 2.565 | 0.128 | 0.225 | 5.119 | 5.119 | 2.276 | 0.016 | 0.051 | 0.093 | 0.018 | 0.012 | 0.008 | 0.005 | 0.001 |
計測カバー率 | 97 | 96 | 93 | 98 | 96 | 99 | 95 | 96 | 100 | 89 | 87 | 100 | 100 | 100 |
データクオリティスコア | 3.9 | 4 | 3.9 | 4 | 3.9 | 4 | 4 | 3.9 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 |
(注) Scope3カテゴリー15計測に関する補足(住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)、事業ローン)
・Scope3カテゴリー15(投融資)につきましては信頼性、正確性、透明性等を確保するため、現在、第三者保証機関による検証作業中となっております。そのため検証結果により2023年3月期の算定結果が変更になる可能性があります。
・PCAFスタンダードのメソドロジーの変更・高度化や、計測・目標設定上の実務的な基準(各種定義・計測範囲・時点等)の明確化等により、将来的に計測方法を変更する可能性があります。その場合には、変更点を明らかにした上で計測結果を開示していきます。
・事業ローンの計測については概ね推計値(score3~4)となっているため、取引先の実際の排出量とは少なからず乖離があります。今後は取引先とのエンゲージメントを通じてGHG排出量の削減に努めていきます。
(ウ)環境問題に対する新たなサービスや当行内の取り組み状況
a.住宅ローン、商業用不動産(アパートローン)のScope3削減について
・全国と沖縄県の部門別二酸化炭素排出量(2020年度)の排出構成を比較すると、沖縄県の産業構造が全国と比べて製造業の割合が小さいという地域性から、産業部門が全国では46%を占めているのに対し、沖縄県では13%となっています。
・一方、沖縄県では民生部門(民生家庭部門、民生業務部門)が48%と、全国(32%)と比べて高い割合を占めており、家庭から排出される二酸化炭素を抑制することで、ある一定の排出量抑制が期待できます。
・また当行の融資ポートフォリオは住宅ローンおよびアパートローン等のレジデンス関連融資が6割を占めているため、レジデンス関連融資先のGHG排出量を削減することで社会全体にインパクトが与えられると認識しております。
・当行は沖縄県の特徴、マーケット、課題等に適した脱炭素社会実現の取り組みとして、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)、ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング(ZEB)や建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)に合致する建物建築を推進することで、沖縄県全体のGHG排出量削減に寄与してまいります。
・また金融機関において、投融資先のGHG排出量削減は重要であると認識しています。
・計測および削減に向けた目標設定はチャレンジングな課題と考えており、引き続きサステナビリティ委員会で検討や議論を深めたうえで削減目標を開示してまいります。
沖縄県の排出構成(2020年度) | 全国の排出構成(2020年度) |
|
|
当行の貸出金使途別残高割合(2022年度) |
|
b.地域の環境問題に対応する施策
沖縄県の脱炭素社会実現のため、Ryukyu net ZERO Energy Partnership(ZEP Ryukyu)を構築
・沖縄県の脱炭素社会実現のため、県内でのZEH※・省エネ住宅の普及を目的としたZEH・省エネ住宅建築に携わる企業の連携体制を構築いたしました。
・ZEH・省エネ住宅建築に係るノウハウの向上、省エネ計算に係る事業者の紹介など、ZEH・省エネ住宅建築に係る連携を図ります。
(注)「ZEH」(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・・「高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現し、再生可能エネルギーを導入することにより年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」
c.融資商品
ZEP-Ryukyu専用「ZEH専用住宅ローン」の取り扱い開始
・「ZEH専用住宅ローン」は、「ZEP-Ryukyu」加盟業者様が施工等を行う住宅を対象としたエンドユーザー様向けの住宅ローンです。サステナビリティへの取組支援を行うことを目的として、建築物の省エネ性能を表示する制度である「ZEH」や「BELS」(※)を取得した際に住宅ローンの金利を優遇いたします。
※新築・既存の建築物において、省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度
d.当行内の取り組み
沖縄県の金融機関初となる「Nearly ZEB」の認定を取得
・琉球銀行本部支店にて「Nearly ZEB」、浦添・牧港支店、具志川支店、北谷支店にて「ZEB Ready」を実現しました。 |
|
・また2022年5月に着工した新本店ビル建築では、環境への配慮を目的とした省エネルギーや省資源化により「ZEB Oriented」を取得いたしました。 | |
・今後も、諸見支店のZEB化を予定しており、既存店舗および新規店舗のZEB化を推進してまいります。 |
CDPで「B」認定を取得
・国際的環境評価機関CDPの気候変動質問書へ自主回答を行っております。2022年度は当該機関より、8段階中、上から3番目の「B」評価に認定されました。 |
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第4回ESGファイナンス・アワード・ジャパン間接金融部門で「特別賞」を受賞
・沖縄経済の脱炭素化を進めていくために県内の産業構造と自行の融資ポートフォリオを照らして、ZEP-Ryukyuを発足。住宅ローンを介したZEHの拡大、建築業者、施工業者のレベルアップという的を絞った実践的な取り組みが評価されました。
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(2)人的資本に関する開示
①人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
(ア)人材育成方針
企業価値の源泉は人である
琉球銀行は、企業の成長とはすなわち職員の成長であるとの考えを基に、人材育成を積極的に展開することで、企業価値を向上させていきます。
職員一人ひとりが、磨き上げた強みを発揮することで、お客様に喜ばれる高い付加価値を提供し、地域とともに成長する金融グループを目指しております。
a.『自身の強みを磨き上げる』
職員一人ひとりの強みを磨き上げるため、育成段階に応じた効果的な育成施策を展開しております。
○新入行員の集中的な研修プログラム
新入行員の入社時は今後の成長に向けた基礎固めを行う重要な時期であり、2019年度から特に集中的な研修プログラムを実施しております。プログラムの組成においては、1年目から「事業性フィールド」「リテールフィールド」の2つの育成フィールドに分け、インプットとアウトプットを繰り返し成長の実感を得ながら進めていく実践的な業務研修と、今後の成長イメージを持てる中長期的なキャリア形成も見据えたプログラムを実施しております。
(2022年度新入行員研修の主な取り組み)
・入行1年目の新入行員に対して、早期育成するための研修プログラムを人事部主導で実施しております。集合研修と営業店での実践を組み合わせることで、知識・スキルの定着を図っています。2022年度1年間における集合研修の日数は、事業性フィールド93日、リテールフィールド83日でした。
・主な集合研修プログラムとしては、事業性フィールドでは、融資案件組成スキルの習得を目的とした、法人事業部ローンサポートグループでの貸出調書作成および自己査定の研修を実施しました。リテールフィールドでは、預かり資産等の提案方法習得などを目的として、営業統括部による投資信託等の知識習得および顧客応対のロールプレイング研修を実施しました。
・年5回のフォローアップ面談を人事部および営業店で交互に行い、新入行員の成長をサポートしております。また、エンゲージメントサーベイを毎月実施し、その結果をもとに、個別の面談等も実施しております。
・新入行員のキャリア形成意識を醸成するために、各本部の担当者を講師とする、業務内容を紹介した研修を実施し、その中での質疑応答を通じて、本部施策の理解を深めることができるようにしております。
・1年間の新入行員研修による育成状況を踏まえて、2年目から営業店へ本格的に配置しております。
○スキル可視化とスキル習得状況に応じた研修実施
タレントマネジメントシステムを用いて、営業店の職員層・管理職層のスキルを収集しております。個々のスキルを可視化し、一人ひとりのスキル習得状況に応じた研修を実施しております。スキル習得状況は、「事業性フィールド」「リテールフィールド」のそれぞれの育成フィールドに応じて可視化され、自身の強みや課題を客観的に把握することができます。研修プログラムの組成においては、スキルの項目に対応した研修プログラムを揃え、効果的な研修を実施していきます。
(主な取り組み)
・営業店の全職員層を対象に営業店で必要とされる業務スキルを「事業性フィールド」「リテールフィールド」のそれぞれの育成フィールドをふまえて96項目に分類し、年2回スキル判定を実施しております。
・営業店の管理者層に対しては、営業店の管理職に必要とされるマネジメントスキル等を55項目に分類し、年1回スキル判定を実施しております。
・上司から行員本人に対して、スキル情報に基づいたフィードバックおよび育成目標の設定を実施しております。
・可視化されたスキルデータは、行員本人・上司・人材育成担当部署で共有し、研修企画等の人材育成施策に活用しております。
○自律的に学習する環境整備・リスキリングの促進
銀行内の研修プログラム以外にも職員が自律的に学習する環境整備を進め、リスキリングを促進しております。時間や場所の制限なく学習できるeラーニングのコンテンツを充実させるといった学習環境の整備も進めております。学習支援は外部サービス利用のみでなく、銀行内でも多くの学習コンテンツを作成しております。また、金融検定やIT関連試験、公的資格取得等の推奨資格取得にかかる補助金の支給や、職員自身で選定した資格取得および講座受講の費用を補助する自己申告制の支援制度も始めております。
今後は、これまでの銀行業務だけではなく、新規事業領域に対応できる幅広い専門スキルの習得が重要となります。そのため、育成を目的とした外部への出向派遣などの越境学習や、他社・異業種との交流を踏まえた研修への派遣など、銀行の枠を超えた研修機会をこれまで以上に実施し、新規事業領域に挑戦できる人材を育成していきます。
(主な取り組み)
・銀行内ポータル動画掲載サイト「RYU-TUBE」にて学習動画を659本掲載しています。「RYU-TUBE」は職場のPCのみならず、全職員に貸与しているスマートフォンでも視聴することができ、隙間時間で学習できるようにしております。
・育成目的の外部派遣者について、2022年度は31名を派遣しております。
b.『個の力を組織の力に』
一人ひとりの力を結束しチームとして一丸となり、より高いパフォーマンスを発揮可能にするため、各種施策を展開していきます。
○管理職のマネジメントスキル強化
チームが一丸となるためには、チームの牽引役である管理職の能力が重要であることから、管理職層へのマネジメントスキルアップの取り組みを強化していきます。管理職に必要なマネジメントスキルを定義し、経験則だけではない効果的な研修を実施していきます。
○対話機会の創出
組織のパフォーマンスを最大限に発揮するためには、組織と個人のビジョンを重ね、相互に理解し合うコミュニケーションの場が必要であるため、管理職と職員の対話の機会を創出し、信頼関係の構築および双方の成長を促進していきます。
(主な取り組み)
・組織ビジョンの浸透や経営方針の周知などを目的として、役員が全営業店や本部部署を回り、質疑応答を中心としたディスカッション形式の説明会を開催しております。2022年度は、役員による経営方針に関する説明会を延べ96回開催しました。
・経営トップの考えを全職員にダイレクトに伝えることを目的として、営業店長会議において頭取が発表する経営方針を動画配信しております。(営業店長会議:半期ごとに開催する営業店・本部の所属長を集めた会議)
○最適な人材配置
人材の配置においては、対話のコミュニケーションを通じて把握した職員の特性とスキルの状況を反映し、営業体制と成長環境の最適化を目指したバランスを重視していきます。加えて、職員が自ら希望する職務へ応募する公募制度も拡充し、自身の能力を主体的に発揮できる機会を増やしていきます。
(イ)社内環境整備方針
個の能力を最大限に発揮できる社内環境
企業を取り巻く環境変化のスピードが加速する中、企業の抱える経営課題も絶えず変化しています。環境変化に対応しながら持続的な成長につなげていくため、多様な人材の能力を最大限に活かす社内環境を整備します。
a.『多様な人材が活躍できる環境』
多様な人材が活躍できる環境を整備し生産性を向上させるため、働きやすさの追求やダイバーシティの実現に取り組んでおります。
○多様な人材の確保
新卒採用だけでなく、キャリア採用、コア人材の中途採用など、採用活動の幅を広げ多様な人材の獲得に努めております。
(主な取り組み)
・2022年度のキャリア採用は一括採用を実施しております。一方、コア人材の中途採用は通年採用しております。採用実績は、キャリア採用で19名、コア人材の中途採用は3名でした。
・臨時職の正社員登用を継続的に実施しており、人材の多様化につなげています。2022年度は15名を正社員に登用しました。
・地銀人材バンク(注)を活用して他行勤務経験のある職員を採用しています。即戦力人材の確保とともに、異なる視点や経験を持つ人材を積極的に受け入れております。2022年度は1名の採用実績があり、これまでに3名を採用しております。
(注)地銀人材バンク:県外への転居により退職となる職員を転居先の地方銀行へ紹介し、キャリアの継続を支援するための制度。
○働きやすさの追求
各人のワークライフバランスの充実とともに、組織のパフォーマンスを向上させることを目的に、多様な働き方に関する制度の充実を図っております。
(主な取り組み)
・自宅で勤務することのできるテレワーク制度を制定しており、職種や所属部署に関わらず誰でも利用できる制度として運用しております。また、県内にサテライトオフィスを2か所設置し、所属部店以外で働くことのできるオフィスを提供しております。コロナ禍を契機として導入した制度ですが、BCP対策だけでなく、業務に集中する時間の創出や、仕事と子育てや介護の両立が可能になるなど、組織の生産性向上に役立っております。
・働く時間、休む時間の柔軟性を高めるために、個々人の希望にあわせて、1日単位、半日単位、時間単位で柔軟に取得可能な年次有給休暇制度を導入しております。
・副業制度を導入しており、職場以外でも各人の強みや専門的知識、スキルを磨く機会を支援しております。2022年度は8名の活用実績があります。
○ダイバーシティの推進
人事部内にダイバーシティの専担者を配置し、多様な人材が働きやすく働き続けられる環境を整備しております。多様な人材が能力を発揮する制度の充実化を進めるとともに、ダイバーシティへの理解やマネジメント力の向上を図るためのセミナーなども実施しております。
(主な取り組み)
・男性職員が取得する育児休業(産後パパ育休を含む)の内4週間の休暇期間については法対応以上の収入を支援する有給休暇の取扱いとした育児休業制度を新設しました。2022年10月の制度新設から2023年3月末までの半年間で、24人の取得がありました。
・不妊治療や家族転勤の付き添い等、様々なライフイベントに利用可能な「ライフデザイン休職制度」を新設しました。制度新設から現在まで5名の職員が利用し、就業継続に役立てております。
・子育て支援の取り組みとして、当行施設内に企業主導型保育所「にじいろたまご保育園」を設置し、復職を支援しております。2023年3月末時点で定員27名に対し21名の園児が在園しており、定員充足率は77.8%です。
・「ダイバーシティマネジメントセミナー」や「男性の育休取得を支援する職場づくり講座」を実施し、延べ183名が受講しました。ダイバーシティに関する管理職としての役割、育児だけでなく介護等で急な休職者が発生したときの職場運営などを学び、組織マネジメントに活かしております。
○シニア層の活躍
多様な人材が活躍できる環境の整備として、シニア層の活躍の場を広げる取り組みも実施しています。当行では55歳になるとポストオフとなるいわゆる役職定年制度を2018年4月に廃止しました。能力に応じて55歳以降も昇格を可能とする人事制度とすることでシニア層のモチベーション向上を図っており、60歳の定年退職を超えてもライン長(課長相当)を継続して担うことも可能となりました。
(主な取り組み)
・2023年4月に行員の継続雇用制度の見直しを行いました。継続雇用制度利用時の雇用形態について、時給制のパートタイマーから月給制の嘱託に変更し、賃金水準を26%程度引き上げました。さらには、継続雇用制度移行後もライン長(課長相当)としての活躍を可能としております。
・臨時職員が継続雇用制度を利用する際の年収については、原則定年前の給与水準が維持されるよう見直しを行いました。
○女性の活躍推進
管理職層の多様性を促進するため、女性の活躍推進に取り組んでおります。女性管理職者の育成や、昇格制度の改定などの取り組みが評価され、2023年4月女性活躍推進企業認定において「えるぼし認定(3段階目)」を取得いたしました。女性職員のキャリアアップ、管理職登用を積極的に推進することは、男女賃金格差の縮小にもつながると考えております。今後は、経営層となる支店長クラス以上の女性職員の増加にも力を入れ、女性職員がその能力を最大限に発揮できる環境を整えていきます。
(主な取り組み)
・女性管理職者育成を目的として、管理職手前の女性職員を対象としたマネジメント関連の研修プログラムを実施しております。家庭との両立等で時間制約のある女性職員でも受講できるよう、受講者自身が日程や科目を選択できる約半年間の研修プログラムを実施し16名が受講しました。研修期間中に初めて部下を持つ職員もおり、学びと実践を通したマネジメント力の向上を期待しております。
・管理職登用では、出産休暇や育児休業、介護休業の取得が職務経験年数において不利にならない昇格制度に変更するなど、女性職員が積極的にチャレンジできる環境を整えております。その結果、管理職に占める女性職員の割合が2018年3月末の17.4%から2023年3月末で23.1%に上昇し、女性マネージャー層に一定の厚みを確保しております。
b.『長くイキイキと活躍できる環境』
職員の健康維持・増進は、ワークライフバランスに加えて、組織の活性化、生産性向上など将来にわたり持続的に企業の収益性を高めていく上で重要であるため、健康経営を推進しております。
○健康経営の取り組み
健康はすべての土台であり、職員自らが健康管理や健康保持に責任を持ち、主体的に取組む「セルフ・ヘルスケア」を積極的にサポートする体制を整えております。
これらの取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人認定制度」において、「健康経営優良法人」に4年連続認定されております。今後も、職員の健康に関する取り組みのさらなる発展を図ります。
(主な取り組み)
・ウエアラブルデバイスの貸与
「健康づくり」のサポートとして、希望する全職員へウエアラブルデバイスを貸与し、職員自身が自分の活動量や睡眠状況を知り健康維持・増進に役立てることを推奨しております。また職場全体で開催するウォーキングイベントの歩数計測に活用する等、健康増進イベントでも積極的に活用しております。
・スポーツジムの設置
当行施設内に体育館、スポーツジムを設置しており、職員がいつでも運動できる環境を整えております。スポーツジムでは定期的にトレーナーを配置し、個別のトレーニング指導や集団でのスタジオレッスンを開催しております。また体育館等を活用したクラブ活動も積極的に推奨しており、これらの運動施設は職員の健康維持・増進だけでなく職員間のコミュニケーションの活性化に貢献しております。
・地域への健康支援
禁煙支援では、受動喫煙防止をテーマとした一般公開セミナーを開催するなど、地域の健康支援にも取り組んでおります。
②人材の育成及び社内環境整備に関する指標と目標
(ア)人材育成に関する指標および目標(当行)
| 項目 | 2022年度実績 | 2023年度目標 |
1 | 外部研修派遣者数(注1) | 31名 | 35名 |
2 | 公募制による配置人数(注2) | 5名 | 7名 |
3 | 研修参加人数(注3) | 3,382名 | 3,500名 |
(注)1 外部研修派遣者数は、2022年3月時点の出向者のうち、副参事未満かつ50歳未満の出向者および、研修登録している長期派遣者の合計を育成目的の外部派遣者として計上しています。(副参事:支店長クラスの経営者層)
2 公募制による配置人数は、行内の公募制を活用して異動配置を行った人数を計上しています。
3 行内開催研修の参加人数(延べ人数)は、業務時間内に開催した研修の参加人数について、研修後の受講報告件数をもとに算出した人数を計上しています。
(イ)社内環境整備に関する指標及び目標(当行)
| 項目 | 2022年度実績 | 2023年度目標 | |
1 | 多様な人材の採用人数 | 38名 | ― | |
|
| キャリア採用 | 19名 | 40名 |
|
| コア人材の中途採用 | 3名 | ― |
|
| 地銀人材バンク活用中途採用 | 1名 | ― |
|
| 正社員登用 | 15名 | ― |
2 | 年休取得率 | 63.0% | 60%以上 | |
3 | 女性管理職者人数 | 126名 | ― | |
4 | 支店長クラス以上の女性職員数 | 23名 | ― | |
5 | ウォーキングイベント参加延べ人数 | 629名 | 750名以上 | |
6 | 喫煙率 | 7.6% | 7%以下 |
(注)2023年度目標を設定してない項目は「―」を表示しております。
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