企業兼大株主瀧上工業東証スタンダード:5918】「金属製品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「鋼の強靭さと人の優しさを融合させ、高品質で安心・安全な社会基盤づくりに貢献する」ことを経営理念として掲げ、「社会インフラが成熟・多様化していく時代に適時的確に対応し、あらゆる分野において、『受け継ぐ技術、さらなる高みへ』を合言葉に、信頼される総合エンジニアリング企業を目指す」ことをビジョンとしております。新(第5次)中期経営計画では、持続的成長と企業価値の向上を実現するために、『変革とチャレンジ』をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指すことを基本方針としております。

(2)経営戦略等

① 第4次中期経営計画の総括

 当社グループは、3か年ごとに「瀧上グループ中期経営計画」を策定しており、第4次中期経営計画(対象期間:2022年3月期~2024年3月期)では、第3次中期経営計画の基本方針であった「再生と創造」を継続し、主力事業の基盤強化と「入札だけに頼らない企業体を作る」という多角化戦略を掲げ取り組んでまいりました。

 そのような戦略のもと、鋼構造物製造事業の主力となる新設橋梁においては、発注量に影響されない安定した受注を確保すること、橋梁保全においては高度で総合的な技術力の要求に対応するための新体制を作ることが課題でありました。また鋼構造物製造事業の一端を担う鉄骨・鉄構においては、民間の大型再開発案件への対応力を強化することを掲げていました。そして共通課題としては、働き方改革による人財確保やロボット・デジタル技術の活用促進を掲げました。

 上記の方針における当社グループ連結の数値目標は、最終年度において売上高180億円、営業利益5億円(2.8%)、経常利益8億円(4.4%)と設定しました。3年間における結果は次のとおりとなりました。

(単位:億円)

第4次中期

経営計画と

実績(連結)

計画

(最終年度)

2022年3月期

第85期

2023年3月期

第86期

2024年3月期

第87期

差異

(実績-計画)

売上高

180

147

186

233

53

営業利益

5.0

△2.0

3.6

6.3

1.3

営業利益率

2.8%

△1.4%

1.9%

2.7%

△0.1%

経常利益

8.0

2.2

8.3

12.2

4.2

経常利益率

4.4%

1.5%

4.5%

5.2%

0.8%

※金額は、売上高は億円未満を四捨五入、営業利益及び経常利益は千万円未満を四捨五入しております。

 この3年間の鋼橋受注環境は、発注量の減少と材料費や人件費の高騰もあり、受注と採算の確保が一段と困難な期間となりました。その中において、第4次中期経営計画の2年目にあたる2022年度の受注は、橋梁案件では、大型案件や橋梁保全案件も含め好調であり、鉄骨・鉄構案件においても、首都圏を中心とした再開発案件の受注が好調でありました。

 また不動産賃貸事業においても、資本効率の低い物件を売却する一方で介護施設や賃貸マンション等新たな投資を行うなどスクラップアンドビルドを進め、安定的な収益確保に努めてまいりました。

② 第5次中期経営計画の基本方針

 持続的成長と企業価値の向上を実現するために、第5次中期経営計画の基本方針は、「変革とチャレンジ」をキーワードとして、中長期的に基幹事業ポートフォリオの最適化を図り、事業利益のさらなる向上を目指します。

 当社のメイン事業領域としている橋梁需要は、新設橋梁から橋梁保全にシフトしつつある一方で、人財不足の恒常化と材料費の高騰等、受注環境はますます厳しさを増すことが予想されます。こうした市場環境の中で、人財や設備、資金等の資源を有効に活用し、事業利益のさらなる向上を目指すため、事業戦略、財務戦略及び経営基盤強化を下記のとおり実行します。

Ⅰ.事業戦略

(ⅰ) 鋼構造物製造事業

a 新設橋梁事業

 新設橋梁においては、今後の市場環境変化を見据えた事業戦略の構築に取り組みます。そのためには受注戦略を強化し、中部地区を重点とした受注、大阪湾岸道路西伸部海上部などの大規模な新設プロジェクトの受注に注力してまいります。また設計変更対応力の強化、DX化の推進による生産プロセスの強化、工場原価管理の強化など、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。

b 橋梁保全事業

 橋梁保全においては、市場の更なる拡大が期待され、大型特殊橋保全工事に加え中小規模橋梁保全案件を継続して受注することを目指し、高速道路の大規模更新/床版取替工事にも注力いたします。橋梁保全市場の多様化に対応し、エンジニアリング力に厚みを増すため、地元ゼネコンやグループ会社との連携を推進し、更なる強化と拡大に努め、利益向上のあらゆる施策を実行してまいります。

c 鉄骨・鉄構事業

 鉄骨・鉄構においては、新設橋梁発注量の中長期的縮小が見込まれる中で、首都圏超高層案件に取り組むことを新規事業と同等のチャレンジと位置付けし、設備投資と人的投資を行いつつ社内体制を確実に構築するとともに、M&Aにより取得する予定のグループ会社との連携を図り、着実な成長を目指してまいります。

(ⅱ) その他の事業

a 不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業においては、安定的な収益源として、一定規模を確保しつつも、資本効率を考慮した資産の入れ替え、売却等の実施も検討してまいります。

b 材料販売事業

 材料販売事業においては、新規顧客の開拓及び既存顧客への販売増加を積極的に進め、売上拡大を図ります。厚板の外部販売比率を拡大するために、商社鉄骨と一般ファブリケーターへの販売を強化してまいります。

c 海外・新規事業

 海外その他並びに新規事業においては、前年度新たに設置した事業創造本部で一元して掌握いたします。海外現地法人の更なる利益拡大を目指すとともに、大学や異業種とのアライアンスを構築し、既存事業における技術開発に繋げ、将来に向けての種まきとなる新規事業の企画をしてまいります。

Ⅱ.財務戦略

 財務戦略としては、利益の拡大による営業活動キャッシュフローの向上と投資有価証券等の売却、銀行借入等、資本効率を意識した多様な調達手段を活用し、人的資本や設備、M&A等への投資並びに株主還元を戦略的に行ってまいります。

 株主とのコミュニケーション強化として、ESGやサステナビリティなどの非財務情報に関する目標を設定し、モニタリングを開始するとともに積極的なIR活動を実施いたします。

Ⅲ.経営基盤の強化

(ⅰ) DX戦略

DX戦略においては、業務の効率化や自働化、ロボット化、デジタルアーカイブの構築等、財務、工場、工事現場等のあらゆる場面でDX化を進めてまいります。

(ⅱ) 人財戦略

 人財戦略においては、事業戦略と連動させ、変化する事業環境にも適応できる専門人財の育成や多様な人財の活用・配置、社員の価値観と自律性を尊重し、働きがいのある労働環境を整備し社員エンゲージメントの向上に取組む等人的資本にも積極的に投資を進めてまいります。

 第5次中期経営計画は、本業である鋼構造物製造事業における利益のさらなる向上を目指すことを最重要課題と位置づけ、資本効率を意識した経営の実現に向けた基盤固めを行う3か年と考えております。上記の戦略を実行することによって中長期的にROE等の改善と資本コストの低減を実現し、次期中期経営計画での資本効率を意識した目標設定の具体化につなげていきたいと考えております。

(3)経営環境

 経営環境につきましては、国内建設市場におきましては、国土強靭化やインフラ老朽化対策のための予算が前年並みに確保される見込みで、公共工事の発注量は前年度から大きく変動しないものと予想されます。また民間建設投資におきましても前年度と同水準で推移すると予想されます。その一方、建設資材価格・労務価格の高騰や慢性的な担い手不足、時間外労働の上限規制の適用など、より一層の労働環境の充実、生産性向上が求められる状況にあります。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりであります。

①新設橋梁事業

 新設橋梁事業につきましては、国内の橋梁需要が新設橋梁から橋梁保全へのシフトが進み、中長期的には新設橋梁の市場は減少傾向にあります。但し、足元では、大阪湾岸線西伸部などの大規模プロジェクトが本格化し、中部地区においてもリニア関連事業や空港関連事業に伴う大型橋梁の発注が見込まれています。一方で、当社グループは、過去の積極的な受注活動により、89期までは現場工事は繁忙な状況となっており、現場技術者の余裕も少なくなっております。今後、発注量の減少が見込まれる中で、受注と利益を確保していくためには、受注に向けた営業戦略と高い技術力を有する現場技術者の確保が課題となります。

②橋梁保全事業

 橋梁保全事業につきましては、国土強靭化・防災減災への取り組み強化により、高速道路の床版取り替えや橋梁の耐震補強等修繕・更新需要は高水準の発注量を維持していくことが見込まれます。特に大規模な保全工事においては高度で総合的な技術力が求められるため、特殊橋保全という技術ニーズに対応できるように更なる人員確保と人財育成、技能伝承が課題となります。

③鉄骨鉄構事業

 鉄骨鉄構事業につきましては、首都圏再開発需要を中心に、需要は引き続き400万トン規模が当面継続すると見込まれます。中部地区においても、名古屋駅前再開発案件や、全国的には半導体やデータセンターも堅調な需要が見込まれます。一方でポストコロナや残業規制の強化等による働き方などの変化によるオフィス需要に注意が必要です。また、首都圏再開発案件は、これまで当社グループが得意としてきた発電所等のエネルギー関連施設の建設とは異なる高難度物件であり、さらなる成長に向けて、図面・管理体制の再構築やBIMの活用などフロントローディングの強化と、大型設備投資を踏まえた生産効率向上施策推進、収益管理強化が課題となります。

④デジタル化及び働き方改革

 上記の①~③の取り組み課題に共通するリスクは人財不足です。我が国の労働者人口は既に減少し始めており、働き方改革により女性と高齢者の労働参加率を高める取り組みがなされています。しかし、絶対的な人口不足や労働者人口自体の高齢化は着実に進行しており、ロボットやデジタル化の活用が省力化、省人化対策として期待されています。当社グループにおきましても、働き方改革による人財確保やロボット・デジタル技術等DX推進による生産性向上、ビジネスモデルの変革、高齢化に伴う技術者及び工場作業員の人財不足への対応と技術伝承が課題です。

⑤財務上の課題

 当社グループは、第5次中期経営計画の実行により、更なる事業資金が必要となってまいります。前連結会計年度までは、概ねグループ内の自己資金で事業資金を確保しておりましたが、売上規模の拡大に伴い、事業資金も増加することが見込まれますので、今後は、第5次中期経営計画の財務戦略に沿って、利益のさらなる向上を図り、営業キャッシュフローの創出に注力する一方、投資有価証券等の売却、銀行借入等、資本効率を意識した多様な調達手段を活用し、人的資本や設備、M&A 等への投資や株主還元を戦略的に行っていきます。

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 橋梁・鉄骨業界を取り巻く経営環境が一層の厳しさを増していくなか、当社グループといたしましては、企業競争力の強化に努め、適正な受注量の確保を重要な施策と位置付け、売上高、利益面でバランスの取れた収益力を目指しており、第5次中期経営計画では、売上高、営業利益(営業利益率含む)及び経常利益(経常利益率含む)を目標指標としております。

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