湖北工業 【東証スタンダード:6524】「電気機器」 へ投稿
企業概要
文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、グローバルニッチトップの複合体を成す、すなわち国内外の小規模市場を一体的に捉えたグローバル市場において高いシェアと確固たる地位を築く、という成長シナリオに主眼を置き、次の指針に沿った事業活動を展開しております。
① 経営ビジョン
オンリーワン企業の実現に資する研究開発、技術開発等を遂行していき、高収益事業を構築していく。
② 中期経営基本方針
ⅰ.市場開拓による事業規模の拡大
ⅱ.構造改革による収益力の強化
ⅲ.新たな GNT(グローバルニッチトップ)事業の創出
ⅳ.未来を担う人材の育成
ⅴ.グローバル経営管理体制の強化
③ 目標とする経営指標
当社では、中期経営基本方針に基づき、2026年12月期に向けて以下の経営指標について目標を設定し、企業価値の向上に取り組んでおります。
(2) 経営環境
各事業セグメントにおける経営環境は以下の通りであります。
① リード端子事業
(自動車関連市場)
自動車関連市場において、EVやプラグインハイブリッドをはじめとする電動化や、自動運転機能や安全性の向上等の動きを背景に、自動車用エレクトロニクス市場は中長期的な拡大が期待されています。また、このような動きの中、小型高容量化、耐振動性、漏れ電流特性の向上等、小型アルミ電解コンデンサに対する高機能化のニーズが急速に高まっております。当社は、リード端子における重要な要素技術である異種金属の溶接技術や金属加工技術を得意とし、アルミ電解コンデンサ市場において世界シェア60%を有することに加えて、高い品質水準が要求される自動車市場向けにおいては95%の市場シェアを占める等、市場をリードする技術力、安定供給力を有しております。自社開発、自社生産体制により蓄積してきた技術開発をさらに強化し、製品の競争力、安定供給体制で市場をリードしてまいります。
(情報通信機器市場等、自動車関連以外の市場)
自動車関連以外の市場においても、電子機器の高機能化に伴い、アルミ電解コンデンサの高機能化のニーズが今後高まると考えております。
特にパーソナルコンピュータやサーバー等の情報通信機器において高精度のアルミ電解コンデンサを必要とする箇所が増加傾向にあり、当社が得意とする高機能製品の採用拡大が見込めると考えております。
一方で、民生機器市場の一部においては、汎用化の進展等により、価格競争が激しい分野も一定程度拡大していくものと考えております。こうした市場については、品質や信頼性、安定供給といった当社製品の付加価値が発揮できる分野に絞り込んで販売を続けていく方針であります。
② 光部品・デバイス事業
(海底ケーブル市場)
IoTの普及やメタバースの進化等、グローバルデータ通信の高速大容量化の進展に伴い、国際社会におけるグローバルな情報通信基盤として、海底ケーブルの重要性が高まっております。現在の海底ケーブル網は全世界で130万km程度と推定されますが、毎年10万km以上が新しく敷設され、また海底ケーブルの通信容量の拡大ニーズに合わせて、ケーブルごとのデータ伝送容量が大きく拡大する傾向にあります。
生成AIの普及等、通信の大容量化へのニーズが加速する中、海底ケーブルにおいてもさらなる大容量化に対応した技術革新が加速度的に進んでおり、ケーブル当たりのファイバーペア数の飛躍的な増加、マルチコアファイバー化等、様々な新しい技術テーマに対応したデバイスの開発が不可欠な状況となっております。当社におきましては、海底ケーブル市場向けの主力製品である光アイソレータでは、世界で50%以上の市場シェアを持ち、海底での長時間使用に耐える高い信頼性を実現しています。今後も海底ケーブルの技術革新をリードする研究開発を進め、大手通信事業者や海底ケーブル敷設会社等、次世代通信技術の開発を進めるお客様との連携を強化し、プラットフォーム作りに関わることでワンストップソリューションを展開してまいります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① リード端子事業
リード端子事業におきましては、収益構造を改善し、安定的に営業利益率10%以上を維持できる体質に改善してまいります。そのために、中期経営基本方針である「構造改革による収益力の強化」を中心に全力で取り組んでまいります。
昨年から、不採算製品の価格是正や高付加価値製品の開発と採用拡大に努めておりますが、今後の取組として、より一層の生産効率の向上に重点を置き、海外生産拠点での設備総合効率(可動率・品質・性能)の改善を徹底して進めてまいります。また、本社工場におきましては、新製品及び高機能製品の生産体制構築に注力するとともに、海外生産拠点のマザー工場としてのグローバルな生産効率改善の仕組みづくりを進めてまいります。これらの取り組みにより製造原価の低減を進め、同時に高機能製品の拡販に努めることにより、利益率の向上に努めてまいります。
中期経営計画の最終年度である2026年には、営業利益率13.1%を目標にしております。
② 光部品・デバイス事業
光部品・デバイス事業におきましては、技術開発力を強化し、情報通信技術の進化をリードしてまいります。当社が主力市場とする海底ケーブル市場は、生成AIやIoTの進化等の情報通信量の増大を背景として、急速に技術革新が進んでおります。海底ケーブルの大容量化に対応した光通信デバイスの小型化や複合化に加え、次世代技術であるマルチコアファイバ技術に対応し、現在の光通信デバイスを軸にシリコンフォトニクス等の周辺技術を取り込み、より高機能化が進む次世代製品の開発を進めてまいります。また、サプライチェーンのマルチ化による収益力の強化にも取り組んでまいります。
現在の主力2事業に加えて、長年開発に取り組んでまいりました当社独自のSSG®(スラリーキャスト法を用いた高純度石英製品)の事業化を進めてまいります。既に2023年から一部のユーザーで量産製品に採用されておりますが、様々な分野での採用に向けた評価が進んでおります。成長著しい半導体産業の関連分野への市場開拓に注力して進めてまいります。
③ 人材育成及び経営管理体制の強化
中長期の成長を支える経営体制作りとして、人事評価システムの刷新や従業員のキャリアアッププランの構築等、グローバルな長期人材育成への仕組み作りを進めてまいります。また、情報システムの更新を軸にした経営管理体制の強化にも取り組んでまいります。その他、コンプライアンスやBCPを軸にしたリスクマネジメント体制の強化、自然保護活動や生物多様性への取組等の非財務に関する活動を強化し、持続可能な社会への貢献と、さらなる企業価値の向上に取り組んでまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長と株主価値の向上に資するため、売上高営業利益率、ROIC、ROEといった指標の改善に努めることとしており、こうした指標の改善に向けた内部指標として、設備総合効率をはじめとする様々指標を設定し、継続的に管理しております。
また、非財務に関する活動について積極的に取り組むこととし、CO2排出量、人事関連指標等の指標により管理しております。
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