企業兼大株主武田薬品工業東証プライム:4502】「医薬品 twitterでつぶやくへ投稿

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企業概要

 当年度の研究開発費の総額は6,333億円であります。

 医薬品の研究開発のプロセスは、長期にわたり多額の費用を伴い、その期間は10年を越えることもあります。このプロセスには、新薬の有効性および安全性の評価のための複数の試験、データを審査し販売承認の可否を判断する規制当局に対する申請が含まれます。こうした精査の過程を通過し、臨床での治療に用いることができる候補物質はごく僅かです。承認取得後も、上市後の製品に対しては、ライフサイクルマネジメント、メディカルアフェアーズやその他の投資を含め、継続的な研究開発活動による支援が行われます。

 臨床試験は、地域的および国際的な規制ガイドラインを遵守し、通常5から7年もしくはそれ以上を費やして実施されるものであり、相応の費用を伴います。通常、臨床試験は医薬品規制調和国際会議(ICH)が制定したガイドラインに沿って実施されます。これに関わる規制当局は、米国では食品医薬品局(FDA)、欧州連合では欧州医薬品庁(EMA)、日本では厚生労働省(MHLW)、中国では国家薬品監督管理局(NMPA)です。

ヒトの臨床試験は以下の3相で実施されます(各相が一部重複することもあります):

・臨床第1相(P-1)試験

少人数の健康な成人の志願者を被験者として、薬物の安全性、吸収、分布、代謝、排泄について評価するために実施

・臨床第2相(P-2)試験

少人数の志願患者さんを被験者として、安全性、有効性、用量および用法を評価するために実施

臨床第2相試験はP-2aとP-2bの2つのサブカテゴリーに分割されることがあります。P-2a試験は通常臨床上の有効性または生物学的活性を示すためにデザインされたパイロット試験であり、P-2b試験は薬物が最少の副作用で生物学的活性を示す最適用量を探索するために行われます。

・臨床第3相(P-3)試験

大人数の志願患者さんを被験者として、既存の薬剤またはプラセボと比較した安全性および有効性を評価するために実施

 これら3相のうち、臨床第3相にかかる開発費用が最も大きく、臨床第3相試験へ進めるか否かの決定は、医薬品開発における重要なビジネス判断となります。臨床第3相試験を通過した候補薬物については、管轄の規制当局に新薬承認申請書(NDA)、生物製剤承認申請(BLA)または医薬品販売承認申請(MAA)を提出し、規制当局より承認を取得した場合に上市が可能となります。NDA、BLA、MAAの作成には、膨大な量のデータの収集、検証、分析が必要であり、多額の費用が伴います。製品上市後も、保健当局により有害事象の市販後調査や、当該医薬品のリスク・ベネフィットに関する追加情報を提供するための市販後試験の実施を求められることがあります。

 当社の研究開発は、サイエンスにより、患者さんの人生を根本的に変えうるような非常に革新性が高い医薬品を創製することに注力しています。当社は、「革新的なバイオ医薬品」、「血漿分画製剤」および「ワクチン」の3つの分野において研究開発活動を実施しています。「革新的なバイオ医薬品」に対する研究開発は、当社の研究開発投資の中で最も高い比率を占めています。「革新的なバイオ医薬品」における重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー、希少遺伝子疾患および血液疾患)には未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)が存在し、当社はベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスとなりうる画期的な新規候補物質を創出してまいりました。当社では新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、細胞療法および遺伝子治療の領域の強化を図っています。また、当社はデータとデジタル技術を活用し、イノベーションの質を向上させ、実行を加速させています。

 当社のパイプラインは、当社事業の短期的および長期的かつ持続的な成長を支えるものです。初回の承認取得後も上市後の製品に対して、地理的拡大や効能追加に加え、市販後調査および剤型追加の可能性を含めた継続的な研究開発活動による支援体制が整っています。当社の研究開発チームは、販売部門との緊密な連携を通じ既発売品の価値の最大化を図り、販売活動を通じて得られた知見を研究開発戦略やポートフォリオに反映します。

自社の研究開発機能向上への注力に加え、社外パートナーとの提携も、当社研究開発パイプライン強化のための戦略における重要な要素の一つです。社外提携の拡充と多様化に向けた戦略により、様々な新製品の研究に参画し、当社が大きな研究関連のブレイクスルーを達成する可能性を高めます。

当社の主要な研究開発施設には以下を含みます:

•  グレーターボストン地区研究開発サイト:当社のボストン研究開発サイトは米国マサチューセッツ州ケンブリッジに位置しています。本サイトは当社のグローバルでの消化器系・炎症性疾患領域、オンコロジー、ならびに希少遺伝子疾患および血液疾患領域の研究開発の中心であり、加えて血漿分画製剤やワクチンなど他の疾患領域の研究開発や免疫調節および生物学的製剤の研究も支援しています。最先端の細胞療法の製造施設を備えた、当社の細胞療法研究の拠点です。さらに当社は、ケンドール・スクエアに新たに建設中の約60万平方フィートの最新鋭の研究開発およびオフィス施設について、15年間のリース契約を締結し、2026年より入居する予定です。

•  湘南ヘルスイノベーションパーク:日本の神奈川県藤沢・鎌倉地域に位置する湘南ヘルスイノベーションパーク(以下、「湘南アイパーク」)は、当社の湘南研究所を外部に開放する形で、2018年に設立された日本初の製薬企業発サイエンスパークであり、当社のニューロサイエンス研究の主要拠点です。当社はより多様なパートナーを招致し、湘南アイパークのさらなる成功を目指すため、2020年に信託設定、2023年には湘南アイパークの運営事業を当社が設立した会社に承継しました。当社は、アンカーテナントとして今後も日本におけるライフサイエンスの研究活性化に注力します。

•  サンディエゴ研究開発サイト:米国カリフォルニア州サンディエゴにある当社の研究開発拠点であり、消化器系・炎症性疾患およびニューロサイエンス領域における研究開発を支援しています。本研究サイトは、バイオテックのような形態で研究を行う拠点であり、構造生物学および生物物理学などの社内技術を駆使し、社内外で行われる研究を促進します。

•  オーストリア ウィーン研究開発サイト:オーストリア ウィーンに位置する当社の研究開発サイトであり、研究開発および血漿分画製剤のプログラムを支援しています。本研究サイトは、生物学的製剤の研究開発に注力するとともに血漿分画製剤の製造施設を備えています。

当社の2022年4月以降の主要な研究開発活動の進捗は、以下のとおりです。

研究開発パイプライン

消化器系・炎症性疾患

消化器系・炎症性疾患において、消化管疾患、肝疾患およびその他の免疫介在性の炎症性疾患の患者さんに革新的で人生を変えうるような治療法をお届けすることにフォーカスしています。炎症性腸疾患(IBD)においては、「ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)」に関する皮下注射製剤の開発および活動性の慢性回腸嚢炎をはじめとする適応症拡大を含め、フランチャイズのポテンシャルを最大化しています。加えて、「GATTEX/レベスティブ」および米国への地理的拡大のために臨床第3相試験を実施中の「アロフィセル」により当社の消化器系疾患におけるポジショニングの拡大を目指しています。また、当社は、自社創製、社外との提携および事業開発を通じて炎症性疾患(IBD、セリアック病、乾癬、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスおよびその他疾患)、厳選した肝疾患、消化管運動関連疾患における機会を探索し、パイプラインの構築を進めております。そのうち後期開発段階にある「fazirsiran(TAK-999)」は、社外との提携を通じたパイプライン構築の一例であり、α-1アンチトリプシン欠損関連肝疾患に対するファースト・イン・クラスのRNA干渉治療薬となる可能性があります。また、後期開発段階にあり、炎症性疾患治療薬としてベスト・イン・クラスとなる可能性を有する経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬「TAK-279」も、事業開発を通じて獲得した候補物質の一例です。

注)本疾患領域名は、消化器系疾患領域における重点分野の拡大とともに、現時点のパイプラインおよび免疫介在性疾患に対する当社の幅広い取組みをより適切に反映するため、「消化器系・炎症性疾患」(旧名称は「消化器系疾患」)となりました。

[ENTYVIO/エンタイビオ 一般名:ベドリズマブ]

- 2023年2月、当社は、臨床第3相「GRAPHITE試験」の最新データを2023 Tandem Meetingsにおいて発表しました。本試験において、「ベドリズマブ」が同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)後180日目までに下部消化管における急性移植片対宿主病(aGvHD)非発症生存の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を達成し、プラセボと比較して安全性プロファイルに重要な差が認められなかったことが示されました。無作為化プラセボ対照二重盲検多施設共同臨床第3相「GRAPHITE試験」は、血液悪性腫瘍の治療として血縁関係のないドナー由来のallo-HSCTを受ける患者を対象に、腸管aGvHD発症抑制における「ベドリズマブ」の有効性および安全性を検討しました。本試験において「ベドリズマブ」は、allo-HSCT後180日目までの腸管aGvHD非発症生存においてプラセボと比較し統計学的に有意な改善を示しました(「ベドリズマブ」群 85.5%、プラセボ群 70.9%(HR=0.45; 95%信頼区間:0.27、0.73; p<0.001))。安全性プロファイルについて「ベドリズマブ」群とプラセボ群の間に相関する差は認めず、新たな安全性シグナルも確認されませんでした。治療に関連した有害事象は、プラセボ群の24.8%に対し「ベドリズマブ」群は28.4%に発現し、重篤な有害事象はプラセボ群の8.5%に対し「ベドリズマブ」群で6.5%に発現しました。

- 2023年3月、当社は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)を効能・効果として、「エンタイビオ皮下注108mgペン/同皮下注108㎎シリンジ」(「エンタイビオSC」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、「エンタイビオSC」の維持療法としての有効性および安全性を評価した国際共同臨床第3相試験である「MLN0002SC-3027試験」および「MLN0002SC-3030試験」に基づくものです。「エンタイビオSC」は、皮下注射として使用できることにより、点滴静注製剤で必要とされている薬液調製のための人員、器具、設備および時間の削減が可能となり、さらに薬液調製時または投与時の過誤等のリスクを低減することが期待できます。また、点滴静注製剤と比較して簡便に取り扱うことができると考えられ、かつ投与1回あたりの所要時間も短くすることが可能となります。

- 2023年3月、当社は、慢性回腸嚢炎の治療薬としての「ベドリズマブ」の臨床第4相「EARNEST試験」の良好な結果が、the New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されたことを公表しました。今回公表した結果では、臨床第4相「EARNEST試験」がmodified Pouchitis Disease Activity Index(mPDAI)を用いた臨床的および内視鏡的寛解である有効性の主要評価項目を達成し、14週時点においてプラセボ投与群では10%(51名中5名)に対し、「ベドリズマブ」投与群では31%(51名中16名)であったことが示されました(95%信頼区間:5-38パーセンテージポイント[p.p.]差、p=0.01)。プラセボとの比較におけるこのような転帰の改善は、34週時点における有効性の副次評価項目でも認められました(mPDAIによる寛解達成率はプラセボ投与群では18%[51名中9名]に対し、「ベドリズマブ」投与群では35%[51名中18名]でした[95%信頼区間:0-35 p.p.差])。重篤な有害事象は、「ベドリズマブ」群の6%(51名中3名)、プラセボ群の8%(51名中4名)で発生しました。新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

- 2023年4月、当社は、「ENTYVIO」点滴静注製剤による導入療法後の成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎に対する維持療法として、「ENTYVIO」皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請(BLA)を米国食品医薬品局(FDA)に再提出し、受理されたことを公表しました。今回の再提出は、2019年12月の審査完了報告通知(CRL)におけるFDAの指摘内容に対応することを目的としています。CRLの受領以降、当社はFDAと緊密に連携し、当局の指摘内容に取り組んでまいりました。今回の再提出パッケージには、「ENTYVIO」皮下注射製剤の使用について検討するために収集した追加データが含まれています。同通知の内容は、「ENTYVIO」点滴静注製剤、臨床安全性および有効性データ、ならびに「ENTYVIO」皮下注射製剤のBLAを支持する検証試験である「VISIBLE1試験」の結論とは関連していませんでした。「VISIBLE1試験」では、0週および2週時点に非盲検下にて「ベドリズマブ」点滴静注製剤を2回投与後、6週時点で臨床的改善が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者216名を対象に、「ENTYVIO」皮下注射製剤の維持療法としての安全性および有効性を評価しました。主要評価項目は、52週時点における臨床寛解であり、これは完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつすべてのサブスコアが1以下と定義しました。当社は、2023年中にFDAから審査結果の結論が得られるものと見込んでいます。
 

[開発コード:TAK-999 一般名:fazirsiran]

- 2022年6月、当社とArrowhead Pharmaceuticals Inc.(Arrowhead社)は、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATD-LD)の治療薬として開発中の「fazirsiran」の臨床第2相試験「AROAAT-2002」の結果がthe New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載され、欧州肝臓学会(EASL)の年次会議であるThe International Liver Congress 2022において口頭発表したことを公表しました。本剤は、変異型α-1アンチトリプシン蛋白(Z-AAT)の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの薬剤となる可能性のあるRNA干渉(RNAi)治療薬候補で、希少な遺伝子性疾患であるAATDによる肝疾患の治療薬として現在開発中です。「fazirsiran」はAATDの治療薬候補として、米国食品医薬品局(FDA)より2021年7月にブレークスルーセラピー指定(BTD)、2018年2月に希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)指定を受けています。

- 2023年1月、当社とArrowhead社は、「fazirsiran」の臨床第2相「SEQUOIA試験」のトップライン結果を公表しました。「SEQUOIA試験」は、AATD-LDの患者42名を対象に「fazirsiran」の安全性、忍容性および薬力学的作用を評価するプラセボ対照反復投与臨床第2相試験です。試験開始時に肝線維化がみられた患者16名に「fazirsiran」を25mg、100mgまたは200mgの用量で投与したところ、Z-AATの血清中濃度が用量依存的に減少し、48週時点の平均低下率はそれぞれ74%、89%および94%でした。3用量群いずれにおいても肝臓内のZ-AATは劇的に減少し、ベースライン後の肝生検実施時の減少率の中央値は94%でした。また、組織のPAS-D検査で評価するZ-AAT蓄積度の指標である肝内封入体のスコアの平均値は、ベースライン時の5.9からベースライン後の肝生検実施時には2.3に低下しました。門脈炎症も42%の患者で改善し、悪化がみられた患者の割合はわずか7%でした。肝線維化については、50%の患者でMETAVIRスコアが1ポイント以上改善しました。これに対し、プラセボ群のうちベースライン時点で線維化がみられた患者9名の48週時点の評価では、血清中Z-AAT濃度に意義ある変化はなく、肝臓内のZ-AATは26%増加、PAS-D評価の肝内封入体に意義ある変化はありませんでした。プラセボ群で門脈炎症が改善した患者はおらず、44%で悪化しました。ベースライン後の肝生検実施時には肝線維化は22%で悪化、38%で改善を認めました。「fazirsiran」の忍容性は良好で、本報告時点で確認されている試験治療下で発現した有害事象は「fazirsiran」群とプラセボ群で同等でした。いずれの群においても、試験薬の投与中止、投与中断や試験中止に至る試験治療下で発現した有害事象は認められませんでした。「fazirsiran」を1年間投与した患者の呼吸機能検査の所見には、プラセボ群との比較において用量依存的な変化や臨床上意義ある変化はみられませんでした。両社はまた、当社とArrowhead社が共同で計画し、当社が実施中の臨床第3相試験の概要も公表しました。
 

[開発コード:TAK-625 一般名:maralixibat chloride]

- 2022年12月、当社は、「maralixibat chloride」が、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得したことを公表しました。日本では、ALGSまたはPFICを適応とする医薬品は現時点において承認されていません。「maralixibat」は日本国内においてALGSおよびPFICを対象とした臨床第3相試験段階にあります。

[開発コード:TAK-279]

- 2022年12月、当社は、Nimbus Therapeutics, LLC(Nimbus社)より「TAK-279」(Nimbus社の旧「NDI-034858」)に関する知的財産権およびその他の関連資産を所有または支配する、同社の完全子会社であるNimbus Lakshmi, Inc.(Lakshmi社)の全株式を取得する決定について公表しました。「TAK-279」は、高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬であり、乾癬を対象とした臨床第2b相試験の結果に続き、複数の自己免疫疾患の治療薬として評価が行われています。2023年2月、当社は、Lakshmi社の全株式および乾癬や炎症性腸疾患、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスを含む複数の免疫介在性疾患において、ベスト・イン・クラスの有効性および安全性ならびに利便性を示す可能性を有する「TAK-279」の取得を完了しました。今回の取得は、拡大する当社の後期開発パイプラインを強化し、ポートフォリオと患者へのインパクトを拡大する可能性とともに、当社のグローバル規模での中長期的な成長基盤を強固にするものです。

- 2023年3月、当社は、中等度から重度の尋常性乾癬の患者を対象とした「TAK-279」の臨床第2b相試験の良好な結果を公表しました。本試験では、12週時点で、Psoriasis Area and Severity Index(PASI)75、90、100を達成した患者の割合が、「TAK-279」の5mg、15mg、30mgの各投与群でプラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高く、主要評価項目と副次評価項目を達成しました。これらのデータは、米国皮膚科学会(AAD)年次総会のLate-Breaking Sessionにおいて発表されました。本試験では、5mg以上の投与群では12週時点のPASI 75達成率が有意に優れていたことが示されました。「TAK-279」の最高用量投与群では、12週時点で患者の46%がPASI 90、33%がPASI 100を達成し、皮膚病変のほぼ完全または完全な消失を示しました。有害事象(AE)の頻度は、治療群で53~62%、プラセボ群で44%でした。多くの事象は軽度から中等度でした。1例(15mg)で2件の重篤なAEが発生しましたが、治験薬投与との関連はなしと判断されました。臨床検査値パラメータの変化は、アロステリックTYK2阻害薬の既知の作用と一貫していました。当社は、これらの臨床第2b相試験の結果に基づき、乾癬を対象とした「TAK-279」の臨床第3相試験を2023年度に開始する予定です。2023年度に乾癬性関節炎を対象とした臨床第2b相試験のトップライン結果の取得を見込んでおり、全身性エリテマトーデス(SLE)や炎症性腸疾患(IBD)を含む他の複数の免疫介在性疾患を対象として「TAK-279」を評価する予定です。また、今後さらなる適応症を探索する予定です。

ニューロサイエンス(神経精神疾患)

 当社は、高いアンメット・ニーズが存在する神経疾患および神経筋疾患を対象に、革新的治療法に研究開発投資を集中させ、当社の専門知識やパートナーとの提携を生かし、パイプラインを構築しています。疾患の生物学的理解、トランスレーショナルなツール、革新的なモダリティの進展により、当社は希少神経疾患、特にオレキシン2受容体作動薬フランチャイズ(「TAK-861」、「danavorexton(TAK-925)」など)によるナルコレプシーや特発性過眠症などの睡眠・覚醒障害、「soticlestat(TAK-935)」による希少てんかん、および「pabinafusp alfa (TAK-141)」によるハンター症候群の中枢性および身体症状の治療薬の開発に注力しています。当社はさらに、神経筋疾患、神経変性疾患および運動障害のうち患者セグメントを明確に定義できる疾患に特化した投資を行っています。

 注)「pabinafusp alfa(TAK-141)」および「TAK-611」は、中枢神経系に関する専門性を活かし、2023年度第1四半期よりニューロサイエンス(神経精神疾患)領域において開発が継続されます。

[開発コード:TAK-994]

- 2022年6月、当社は、「TAK-994」のベネフィット・リスクプロファイルを評価した結果、本プログラムの開発を継続しないことを決定しました。「TAK-994」の臨床第2相試験(「TAK-994-1501試験」および「TAK-994-1504試験」)において安全性シグナルの存在が明らかになったことにより、2021年10月に2つの臨床第2相試験を予定より早く終了することを決定していました。

[開発コード:TAK-611]

- 2022年6月、当社は、遺伝子組換えヒトアリルスルファターゼA(recombinant human arylsulfatase A :rhASA)「TAK-611」が、異染性白質ジストロフィー(Metachromatic Leukodystrophy:MLD)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得したことを公表しました。日本では、MLDの効能・効果を有する治療法は現時点においてなく、「TAK-611」はMLDに対する酵素補充療法を目的としたrhASAであり、現在、国際共同臨床第2b相試験などが進行中です。

オンコロジー

オンコロジー領域では、患者さんを通じて得られるインスピレーションおよびあらゆるイノベーションを活用することで、がんの治癒を目指しています。本疾患領域では、(1)既発売品(「ニンラーロ」、「アドセトリス」、「アイクルシグ」など)およびパイプラインプログラムを通じた血液がん領域におけるさらなるプレゼンスの構築、(2)肺がんを対象とした既発売品(「アルンブリグ」、「EXKIVITY」)および大腸がん治療薬候補「フルキンチニブ(TAK-113)」を含むその他のがんを対象とする開発プログラムによる固形がん領域の拡充、(3)自然免疫を活用した最先端のパイプラインの進捗の3つの分野にフォーカスしています。

[アドセトリス 一般名:ブレンツキシマブ ベドチン]

- 2022年5月、当社は、「アドセトリス」について、CD30陽性ホジキンリンパ腫における小児の一次治療に対する用法用量について、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。

- 2022年5月、当社とSeagen Inc.は、「アドセトリス」と化学療法の併用を検討した臨床第3相試験である「ECHELON-1」の全生存期間(OS)のデータを公表しました。本データは第59回米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO)および第27回欧州血液学会議年次総会(EHA)のオーラルセッションにおいて発表されました。未治療のⅢ期またはⅣ期の成人古典的ホジキンリンパ腫患者を対象とした「ECHELON-1試験」において、「アドセトリス」、「ドキソルビシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(A+AVD)は、「ドキソルビシン」、「ブレオマイシン」、「ビンブラスチン」および「ダカルバジン」併用群(ABVD)に対して統計学的に有意なOSの改善を示しました。約6年間の観察期間(中央値73ヵ月)において、A+AVDの併用療法を受けた患者群は死亡リスクが41%低下し(ハザード比[HR]0.59;95%信頼区間[CI]:0.396-0.879)、推定全生存率は6年時点で93.9%(95%信頼区間[CI]:91.6-95.5)でした。「アドセトリス」の安全性プロファイルはこれまでの臨床試験の結果と一貫しており、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

- 2023年2月、当社は、「アドセトリス」について、再発又は難治性のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)に対する効能効果及び用法用量に関する製造販売承認事項一部変更承認の申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、再発又は難治性のCTCLの患者を対象とし、「アドセトリス」の海外臨床第3相試験である「ALCANZA試験(C25001試験)」における有効性および安全性を評価した結果ならびに国内臨床第2相医師主導試験である「SGN-35-OU試験」における日本人に対する有効性および安全性を評価した結果に基づくものです。 

[ベクティビックス 一般名:パニツムマブ]

- 2022年6月、当社は、「ベクティビックス」のRAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がんの日本人患者を対象とした国内臨床第3相試験である「PARADIGM試験」に関するデータを、米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会のPlenary Sessionにおいて発表しました。「PARADIGM試験」は、RAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者における適切な治療を世界で初めて前向きに検証しました。主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側および全体、いずれの集団でもmFOLFOX6+「ベクティビックス」併用療法がmFOLFOX6+「ベバシズマブ」併用療法に対し、統計学的に有意な延長が認められました(左側 OS中央値:37.9 vs. 34.3 HR=0.82 [95.798% CI: 0.68-0.99] p=0.031、全体 OS中央値:36.2 vs. 31.3, HR=0.84 [95% CI:0.72-0.98], p=0.030)。なお、本試験における「ベクティビックス」投与時の安全性プロファイルはこれまでに公表された臨床試験結果と同様の内容でした。2023年4月、本試験に関する論文が、Journal of the American Medical Association(JAMA)に掲載されました。

[アイクルシグ 一般名:ポナチニブ]

- 2022年11月、当社は、無作為化臨床第3相「PhALLCON試験」が主要評価項目を達成し、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ ALL)と新たに診断された成人患者において強度減弱化学療法併用下での「アイクルシグ」の投与により、「イマチニブ」と比較して高い微小残存病変(MRD)陰性の完全寛解(CR)率を示したことを公表しました。「PhALLCON試験」は、未治療の成人Ph+ALL患者を対象に、フロントラインにおける強度減弱化学療法併用下での2つのチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の有効性および安全性を比較した、最初で唯一の無作為化非盲検多施設共同国際臨床第3相直接比較試験です。本試験において、新たな安全性シグナルは認められませんでした。

[EXKIVITY 一般名:mobocertinib]

- 2023年1月、当社は、「EXKIVITY」について、プラチナ製剤ベースの化学療法を実施中あるいは実施後に病勢が進行した、上皮成長因子受容体(EGFR)エクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの成人患者に対する治療薬として中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)より承認を取得したことを公表しました。「EXKIVITY」はEGFRエクソン20挿入変異を伴う局所進行または転移性非小細胞肺がんの患者において臨床的に意義のある持続的な奏効が示されており、現在、中国でこの患者集団に対して使用できる最初で唯一の治療薬です。エクソン20挿入変異を選択的に標的とするよう設計された経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)である「EXKIVITY」は、NMPAのブレークスルーセラピープログラムの一環として審査を受けました。今回の承認は、プラチナ製剤ベースによる治療歴を有する患者集団を対象に実施した「EXKIVITY」の臨床第1/2相試験に基づくもので、本適応症の完全承認は、検証試験における臨床的有用性の確認が条件となる可能性があります。

[開発コード:TAK-113 一般名:フルキンチニブ ]

- 2023年1月、当社は、HUTCHMED(China)Limitedおよびその子会社であるHUTCHMED Limited(HUTCHMED社)と、中国本土、香港およびマカオを除く全世界を対象とした「フルキンチニブ」の開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結したことを公表しました。2018年に中国で承認された「フルキンチニブ」は、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬です。「フルキンチニブ」は、バイオマーカーの状態にかかわらず、難治性の転移性大腸がん(mCRC)の様々なサブタイプで使用される可能性がある経口治療薬です。2022年9月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)において、難治性mCRCを対象とした「フルキンチニブ」の臨床第3相国際共同「FRESCO-2試験」の有用性を示す結果が発表されました。「FRESCO-2試験」は、mCRC患者における全生存期間(OS)の改善という主要評価項目を達成し、概ね良好な忍容性を示しました。また、「フルキンチニブ」は、2020年に米国食品医薬品局(FDA)よりmCRC患者に対する治療薬としての開発についてファストトラック指定を受けています。2022年12月、HUTCHMED社はFDAに対して「フルキンチニブ」の新薬承認申請(NDA)の段階的申請を開始し、2023年3月に申請を完了しました。これに続き、欧州医薬品庁(EMA)への製造販売承認申請(MAA)、および厚生労働省(MHLW)への製造販売承認申請が予定されています。

- 2023年5月、当社とHUTCHMED(China)Limited(HUTCHMED社)は、治療歴を有するmCRCの成人患者の治療薬として、VEGFR 1/2/3に高い選択性を有する阻害薬である「フルキンチニブ」のNDAが、FDAより優先審査に指定されたことを公表しました。承認された場合、「フルキンチニブ」は治療歴を有するmCRC患者の治療薬として、3種類のVEGF受容体すべてに対して高い選択性を有する米国で承認された最初で唯一の阻害薬となります。本申請には、中国で実施された臨床第3相「FRESCO試験」のデータとともに、米国、欧州、日本およびオーストラリアで実施された臨床第3相「FRESCO-2試験」から得られた結果を含めています。本申請において、FDAが設定した処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく審査終了目標日は2023年11月30日です。

希少遺伝子疾患および血液疾患

当社は、希少遺伝子疾患および血液疾患において、高いアンメット・メディカル・ニーズが存在する複数の疾患に注力しています。遺伝性血管性浮腫においては、「タクザイロ」をはじめとするライフサイクルマネジメントプログラムへの継続的な研究開発投資を通じて、既存の治療パラダイムの変革を目指します。希少血液疾患においては、「アドベイト」、「アディノベイト/ADYNOVI」に加えて、免疫性血栓性血小板減少性紫斑病(iTTP)および先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)治療に対するパイプラインである「apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa(TAK-755)」の開発を通じて、出血性疾患治療における現在のニーズへ対応することに注力しています。また、「LIVTENCITY」においては、移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症の治療を再定義することを目指しています。当社は、アデノ随伴ウイルス(AAV)遺伝子治療の探索および前臨床の取り組みを中止することを最近決定しましたが、引き続き希少疾患の患者さんに対し革新的な医薬品を届けるという当社のビジョンを実現するための取組みを継続します。

[タクザイロ 一般名:ラナデルマブ]

- 2022年4月、当社は、2歳以上12歳未満の患者を対象とした臨床第3相試験である「SPRING試験」において、「タクザイロ」の安全性プロファイルおよび薬物動態の評価が終了し、主要評価項目を達成したことを公表しました。安全性プロファイルはこれまでに公表された12歳以上の小児患者を対象とした臨床プログラムと一致し、重篤な有害事象および有害事象による脱落はありませんでした。また、本試験において、2歳以上12歳未満の小児を対象とする遺伝性血管性浮腫(HAE)の発症抑制における「タクザイロ」の臨床活性および臨床アウトカムを評価し、本剤の薬力学を特徴付ける副次評価項目も達成しました。

- 2022年7月、当社は、ハイブリッド形式で開催された2022年欧州アレルギー臨床免疫学会議(EAACI)において、「タクザイロ」の臨床第3相「SPRING試験」の最新データを発表しました。多施設共同非盲検臨床第3相試験である「SPRING試験」の主要評価項目は、2歳以上12歳未満のHAE患者を対象とした「タクザイロ」の安全性および薬物動態(PK)です。また、副次評価項目として、HAE発作抑制の臨床効果を評価しています。本試験では、本剤150mgを2歳以上6歳未満の患者では4週毎に、6歳以上12歳未満の患者では2週毎に投与しました。「タクザイロ」は投与開始時と比較して小児患者におけるHAEの発作発症率を平均94.8%低下させ、投与期間における発作は1ヵ月あたり1.84回から0.08回になりました。患者の大多数(76.2%)は52週間の投与期間中に無発作となり、平均99.5%の日数が無発作日となりました。本試験中に報告された死亡または重篤な有害事象(TEAEs)はなく、TEAEsにより試験を中止した患者はいませんでした。これらの結果は、成人および12歳以上の小児患者を対象に既に実施された試験結果と一貫していました。これらのデータは、「タクザイロ」の低年齢の患者への適応拡大に向けて、世界各国の規制当局に提出される予定です。

- 2023年2月、当社は、「タクザイロ」について、米国食品医薬品局(FDA)より、2歳以上12歳未満の小児患者を対象としたHAE発作抑制治療薬としての対象年齢の拡大に関する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を取得したことを公表しました。本申請はFDAより優先審査に指定されていました。sBLA承認は、12歳以上18歳未満の患者を含む臨床第3相試験である「HELP試験」の有効性データの外挿と、2歳以上12歳未満のHAE患者を対象とした非盲検臨床第3相試験である「SPRING試験」における成人と小児患者の類似した薬物曝露を示す追加の薬物動態分析および安全性と薬力学データに基づきます。これまで2歳以上6歳未満のHAE小児患者に対して承認された発作抑制薬はなく、「タクザイロ」は本承認によりこの年齢集団にとって初の発作抑制薬となります。

[LIVTENCITY 一般名:maribavir]

- 2022年4月、当社は、米国ユタ州ソルトレークシティにて開催されたTandem移植・細胞治療学会およびポルトガルのリスボンにて開催された第32回欧州臨床微生物感染症学会議(ECCMID)において、「LIVTENCITY」に関する4つの抄録を発表しました。発表演題には、移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症患者において、「LIVTENCITY」投与群では従来の抗ウイルス療法群と比較して、入院率の低下(34.8%、p=0.021)と入院期間の短縮(53.8%、p=0.029)を示す臨床第3相「SOLSTICE試験」の探索的解析が含まれます。また、臨床第3相「SOLSTICE試験」のサブグループ別の事後解析では、CMVのDNA濃度が定量検出限界以下(<LLOQ)となることが最初に確認されるまでの期間が、従来の抗ウイルス療法群と比較して「LIVTENCITY」投与群で短縮することが示され、これまで報告された試験結果と一致していました。

- 2022年11月、当社は、欧州委員会(EC)より、造血幹細胞移植(HSCT)または固形臓器移植(SOT)後の、既存療法(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「シドフォビル」、「ホスカルネット」のいずれか1つ以上の前治療)に抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性のCMV感染/感染症の成人患者を対象とした治療薬として、「LIVTENCITY」の販売承認を取得したことを公表しました。中央審査による販売承認は、すべてのEU加盟国ならびにアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよび北アイルランドで有効であり、HSCTおよびSOT移植後の既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性(抵抗性無しも含む)を示す難治性の成人患者の治療薬として、従来の抗ウイルス療法(「ガンシクロビル」、「バルガンシクロビル」、「シドフォビル」または「ホスカルネット」)に対する「LIVTENCITY」の安全性および有効性が評価された臨床第3相「SOLSTICE試験」に基づいています。

- 2022年12月、当社は、HSCT後患者におけるCMV感染治療薬として「バルガンシクロビル」と比較した「LIVTENCITY」の有効性および安全性を評価する無作為化ダブルダミー実薬対照二重盲検多施設共同臨床第3相「AURORA試験」において、「LIVTENCITY」はCMV血症の消失において臨床的意義のある有効性を示したものの、事前に規定した非劣性マージンである7%に基づき、「バルガンシクロビル」との非劣性を検討した主要評価項目を満たさなかったことを公表しました(「LIVTENCITY」69.6%[190/273]vs「バルガンシクロビル」77.4%[212/274]、調整群間差:-7.7%、95% CI:-14.98、-0.36)。主要評価項目は、治療期終了時(8週目)の「バルガンシクロビル」投与群との比較において、「LIVTENCITY」単独投与後にCMV血症の消失(血漿CMV DNAがLLOQ未満:<137 IU/mL)が確認された患者の割合と定義しました。重要な副次評価項目として、投与終了から8週後の16週目において、8週目に達成したCMV血症の消失および症状コントロールを維持した患者の割合は、「LIVTENCITY」群で52.7%であり、「バルガンシクロビル」群の48.5%に対し数値的に上回りました。「LIVTENCITY」による維持効果は、12週目(「LIVTENCITY」59.3%、「バルガンシクロビル」57.3%)および20週目(「LIVTENCITY」43.2%、「バルガンシクロビル」42.3%)における治療期終了後評価で確認されました。また、「バルガンシクロビル」の試験治療下での好中球減少症発現率が高いこと(「LIVTENCITY」の21.2%に対して63.5%)および好中球減少症による投与の早期中止率が高いこと(「LIVTENCITY」の4%に対して17.5%)より、「LIVTENCITY」の良好な安全性プロファイルを本試験において再確認しました。「LIVTENCITY」で最も多く報告された有害事象は、悪心(27.5%)と味覚不全(25.6%)でした。当社は引き続き移植領域に注力し、「AURORA試験」のアウトカムを検討するために規制当局と連携しています。

[アディノベイト/ADYNOVI 一般名:ルリオクトコグ アルファ ペゴル(遺伝子組換え)]

- 2022年6月、当社は、「アディノベイト」について、定期補充療法の用法・用量に関する製造販売承認事項一部変更承認申請を日本において行ったことを公表しました。今回の申請は、主に国際共同臨床第3相試験である「CONTINUATION試験」および「PROPEL試験」の成績に基づいて行っています。

[フィラジル 一般名:イカチバント]

- 2022年8月、当社は、「フィラジル」について、厚生労働省より2歳以上の小児の遺伝性血管性浮腫(HAE)に対する用法および用量の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを公表しました。本承認は、主に2歳以上18歳未満の小児HAE患者に「フィラジル」を皮下注射したときの安全性、有効性および薬物動態を評価した国内臨床第3相非盲検試験ならびに海外臨床第3相非盲検試験に基づきます。

[開発コード:TAK-755 一般名:apadamtase alfa/cinaxadamtase alfa]

- 2022年12月、当社は、「TAK-755」が、血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)を予定される効能・効果として厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を取得したことを公表しました。「TAK-755」は、TTPを標的とした初めての遺伝子組換えADAMTS13製剤(rADAMTS13)であり、先天性TTP(cTTP)および後天性(免疫性)TTP(iTTP)の治療薬としてグローバルで開発中です。

- 2023年1月、当社は、「TAK-755」について、ピボタル臨床第3相試験において事前に計画した中間解析より得られた包括的なエビデンスから、cTTPに対する酵素補充療法薬としての有効性および安全性が支持されたことを公表しました。本試験では無作為化クロスオーバー法により、「TAK-755」を現在の標準治療(SoC)である血漿製剤を用いた治療と比較して評価しました。中間成績から、「TAK-755」がSoCと比較してcTTPの重要な疾患活動性マーカーである血小板減少症事象の発現率を60%(95%信頼区間:30%~70%)低減させることが示されました。また、治療と関連性がある有害事象が発現した被験者の割合は、SoCを受けている被験者(47.7%)と比較して、「TAK-755」が投与された被験者(8.9%)で実質的に低い結果でした。臨床第3相試験の中間解析から得られたこれらのデータに基づき、当社は、患者にとって大きなアンメット・ニーズが存在する疾患であるcTTPに対して初のrADAMTS13補充療法薬として「TAK-755」の製造販売承認申請を目指しています。

- 2023年5月、当社は、ADAMTS13欠乏性疾患のcTTPに対する酵素補充療法としての「TAK-755」について、米国食品医薬品局(FDA)により生物学的製剤承認申請(BLA)が受理されたことを公表しました。本申請は5月16日に受理され、FDAにより優先審査指定を受けています。また、「TAK-755」はFDAよりcTTPに対する希少小児疾患(RPD)指定も受けています。本剤は既に、cTTPを対象としたファストトラック指定および希少疾病用医薬品指定も受けています。このたびのBLAは、cTTPを対象とした初の無作為化対照試験から得られた有効性、薬物動態、安全性および忍容性データから示される包括的エビデンスおよび継続試験から得られた長期の安全性と有効性のデータに基づきます。「TAK-755」が承認された場合、大きなアンメットニーズが存在するcTTPに対して初めてかつ唯一のrADAMTS13補充療法薬となります。なお、「TAK-755」については、iTTPに対する安全性、有効性および薬物動態に関する臨床評価も実施中です。

血漿分画製剤

当社は、血漿分画製剤(PDT)に特化したPDTビジネスユニットを設立し、血漿の収集から製造、研究開発および商用化まで、エンド・ツー・エンドのビジネスを運営しています。本疾患領域では、様々な希少かつ複雑な慢性疾患に対する患者さんにとって生命の維持に必要不可欠な治療薬の開発を目指しています。本領域に特化した研究開発部門は、既発売の治療薬の価値最大化、新たな治療ターゲットの特定および現有する製品の製造効率の最適化という役割を担います。短期的には、当社の幅広い免疫グロブリン製剤ポートフォリオ(「HYQVIA」、「CUVITRU」、「GAMMAGARD」および「GAMMAGARD S/D」)における効能追加、地理的拡大および総合的な医療テクノロジーの活用を通じたより良い患者体験を追求しています。血液製剤およびスペシャリティケアのポートフォリオにおいては、「PROTHROMPLEX(4F-PCC)」、「ファイバ」、「CEPROTIN」および「ARALAST」における効能追加や剤型追加の開発機会の追求を優先しています。また、当社は、グローバルに販売している20種類以上にわたる治療薬ポートフォリオに加え、「20% fSCIg」(「TAK-881」)や「IgG Low IgA」(「TAK-880」)といった次世代の免疫グロブリン製剤の開発、およびその他の早期段階の治療薬候補(高シアル化免疫グロブリン(hsIgG)を含む)の開発を行っています。

[HYQVIA 一般名:遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ含有皮下注(ヒト)免疫グロブリン10%]

- 2022年7月、当社は、「HYQVIA」を慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)に対する維持療法として評価する無作為化プラセボ対照二重盲検臨床第3相「ADVANCE-1試験」において、主要評価項目を達成したことを公表しました。本試験では、投与前の少なくとも3ヵ月間、静注免疫グロブリン(IVIG)療法の用法・用量に変更がなかったCIDPの成人患者132名を対象として、「HYQVIA」の有効性、安全性、忍容性を評価しました。INCATスコアを指標とした主要評価項目の解析では、「HYQVIA」を事前のIVIGと同じ用量および用法で投与した場合、プラセボと比較してCIDPの再発を減少させました[それぞれ9.7% vs 31.4%、p値 = 0.0045]。本試験において患者の大半が「HYQVIA」の4週間投与レジメンでの治療を受けました。「HYQVIA」による治療を受けた患者62名のうち、治験薬と関連のある有害事象の大半が軽度または中等度であり、「HYQVIA」による新たな安全性リスクは報告されませんでした。CIDPにおける「HYQVIA」の安全性プロファイルは、同薬効で最長となる6年間の長期臨床試験で、一部の患者に対して進行中の「ADVANCE-3試験」のデータによって、さらに裏付けられる予定です。全データ解析が完了し、2022年度に米国およびEUの規制当局へ「HYQVIA」の申請を行いました。

- 2023年4月、当社は、「HYQVIA」について、米国食品医薬品局(FDA)より、原発性免疫不全(PI)治療薬として対象年齢を2歳から16歳までの小児患者へ拡大する生物製剤承認一部変更申請(sBLA)の承認を取得したことを公表しました。FDAによる小児PI患者の治療薬としての「HYQVIA」の承認は、2歳から16歳までの44名の小児PI患者を対象に実施したピボタル前向き非盲検非対照臨床第3相試験のエビデンスに基づきます。「HYQVIA」は、主要評価項目である急性の重篤な細菌感染症(aSBIs)の発現率につき、12ヵ月の治療期間において有効性が確認されました。年間の平均aSBI発現率は0.04であり、事前に設定された達成規準である被験者1名あたりの年間aSBI発現率1未満に対し統計学的に有意に低率(片側上限99%信頼区間 0.21、p<0.001)であったことから、小児PI患者に対する「HYQVIA」の有効性が確認されました。すべての患者が12ヵ月間(1年間の観察期間)の試験参加期間を完了した時点で行われた中間解析の結果では、成人と同様な安全性プロファイルが確認されました。

[CUVITRU 一般名:皮下注(ヒト)免疫グロブリン20%]

- 2022年10月、当社は、「20%皮下注用ヒト免疫グロブリン製剤」について、無又は低ガンマグロブリン血症を予定される効能・効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。本申請は、主に原発性免疫不全症候群(PID)の日本人患者を対象とした臨床第3相試験、およびPID患者を対象とした2つの海外臨床第2/3相試験に基づいています。これらの試験において、「20%皮下注用人免疫グロブリン製剤」は無又は低ガンマグロブリン血症の治療薬として有効性と安全性が確認されました。

[CEPROTIN 一般名:乾燥濃縮ヒトプロテインC(開発コード:TAK-662)]

- 2023年4月、当社は「乾燥濃縮ヒトプロテインC(TAK-662)」について、先天性プロテインC欠乏症に起因する静脈血栓塞栓症、電撃性紫斑病の治療および血栓形成傾向の抑制を予定される効能・効果として厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを公表しました。今回の製造販売承認申請は、主に日本人の先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした国内臨床第1/2相試験および先天性プロテインC欠乏症患者を対象とした2つの海外臨床第2/3相試験(「IMAG-098試験」、「400101試験」)に基づくものです。これらの試験において、「TAK-662」は先天性プロテインC欠乏症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。

ワクチン

ワクチンでは、イノベーションを活用し、デング熱(「QDENGA(開発コード:TAK-003)」)、新型コロナウイルス感染(COVID-19)(「ヌバキソビッド筋注」)、ジカウイルス感染(「TAK-426」)など、世界で最も困難な感染症に取り組んでいます。当社パイプラインの拡充およびプログラムの開発に対する支援を得るために、政府機関(日本、米国)や主要な世界的機関とのパートナーシップを締結しています。これらのパートナーシップは、当社のプログラムを実行し、それらのポテンシャルを最大限に引き出すための重要な能力を構築するために必要不可欠です。

[スパイクバックス筋注(旧販売名:COVID-19ワクチンモデルナ筋注) 開発コード:mRNA-1273(日本での開発コード:TAK-919)]

- 2022年5月、当社とModerna, Inc.(Moderna社)は、2022年8月1日付で「スパイクバックス筋注」の製造販売承認を当社からモデルナ・ジャパン株式会社(モデルナ・ジャパン)に承継することを公表しました。承継後モデルナ・ジャパンは、日本における「スパイクバックス筋注」の輸入、薬事、開発、品質保証および情報提供活動などのすべてに責任を持つことになります。当社は、当面の間、新型コロナウイルス感染症にかかわる特例臨時接種の枠組みの下、米国Moderna社の新型コロナウイルスワクチンの流通を引き続き担います。

[ヌバキソビッド筋注 開発コード:NVX-CoV2373(日本での開発コード:TAK-019)]

- 2022年4月、当社は、組換えスパイクタンパクを抗原とした新型コロナウイルス感染症ワクチン 「ヌバキソビッド筋注」について、18歳以上を対象として、厚生労働省より初回免疫および追加免疫に対する製造販売承認を取得したことを公表しました。今回の承認は、当社が実施した国内臨床第1/2相試験における中間結果、Novavax社が実施した英国ならびに米国およびメキシコで実施した2つのピボタル臨床第3相試験、オーストラリアおよび米国における臨床第1/2相試験の安全性と有効性のデータ、申請後に追加提出した海外の安全性および有効性のデータに基づいています。国内臨床第1/2相試験の中間結果は良好で、これまで実施された臨床試験の結果と一致していました。国内臨床試験において本ワクチン投与群に重篤な有害事象は認められませんでした。また、米国およびオーストラリアで実施した臨床第1/2相試験ならびに南アフリカで実施した臨床第2相試験において、初回接種から約6ヵ月後に本ワクチンを1回追加接種したところ、追加接種前と比較して顕著な抗体価の上昇が確認され、安全性に関する大きな懸念は認められませんでした。

- 2022年5月、当社は、「ヌバキソビッド筋注」について、予防接種法で定められた新型コロナワクチンの臨時予防接種に係る法令等の改正を経て、特例臨時接種として初回免疫(1、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)を行う場合に使用するワクチンに指定されたことを公表しました。「ヌバキソビッド筋注」は、多くの医療用医薬品やワクチンと同様に冷蔵保存(保管温度:2-8℃)であり、通常のワクチンにおけるサプライチェーンを利用して輸送・保管することが可能です。

[QDENGA 一般名:4価弱毒生デング熱ワクチン(開発コード:TAK-003)]

- 2022年6月、当社は、「TAK-003」がグローバル臨床第3相試験である「TIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)」において、ワクチン接種後4年半(54ヵ月)にわたる継続したデング熱の予防効果を示し、安全性について大きな懸念が認められなかったことを、第8回Northern European Conference on Travel Medicine(NECTM8)で発表しました。4年半を通して、「TAK-003」はデングウイルス感染症による入院に対して84.1%のワクチン有効性(95%信頼区間:77.8, 88.6)を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では85.9%の有効性(78.7, 90.7)、血清反応陰性者では79.3%の有効性(63.5, 88.2)を示しました。また、ウイルス学的に確認されたデングウイルス感染症に対して61.2%(95%信頼区間:56.0, 65.8)の全体的な有効性を示し、ワクチン接種前の血清反応陽性者では64.2%の有効性(58.4, 69.2)、血清反応陰性者では53.5%の有効性(41.6, 62.9)でした。有効性は血清型によって異なっていましたが、この結果はこれまでに報告された結果と一貫性のあるものでした。「TAK-003」の忍容性は概ね良好であり、重要な安全性リスクは特定されませんでした。また、54ヵ月間の探索的解析からは、疾患増強のエビデンスは認められませんでした。

- 2022年8月、当社は、デング熱ワクチン「QDENGA」が、インドネシア国家医薬品食品管理庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan:BPOM)により、いずれかのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的に、6歳から45歳を接種対象として承認されたことを公表しました。「QDENGA」は、デングウイルス感染歴を問わず、またワクチン接種前検査を必要としない唯一のデング熱ワクチンとしてインドネシアで承認されました。本承認は、進行中の臨床第3相試験である「TIDES試験」のワクチン接種後3年間の結果に基づくものです。

- 2022年10月、当社は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)が、欧州連合(EU)およびEU-M4all制度に参加しているデング熱流行国における「QDENGA」の承認を推奨したことを公表しました。2022年12月、当社は、「QDENGA」が欧州委員会(EC)により、EUにおける4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的として、4歳以上を接種対象者として販売承認を取得したことを公表しました。ECによる承認は、28,000人以上の小児および成人を対象にした19件の臨床第1、2、3相試験の結果により裏付けられています。これには、グローバル臨床第3相「TIDES試験」の4.5年の追跡調査データが含まれています。当社は、アジア諸国およびラテンアメリカの他のデング熱流行国においても規制当局への申請を継続して進めています。

- 2022年11月、

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